「…という訳で、クラス別トーナメントは中止になったって」
「…なんでそれを俺に言う?」
鈴との試合が終わった後、比較的軽傷だった一夏は保健室から出て、整備室にいた。一樹はと言うとストライクの再度調整をしていた。
「いや、なんとなく」
「そうかよ…飯食いに行かなくて良いのか?」
「まんま同じ事をお前に聞く。お前が飯食ってるとこ見たこと無いんだが?」
「安心しろ。お前が見てないとこで野草とか食ってるから」
「それは食ってるとは言わん!」
「仕方ねえだろ…だって、ゲホッゲホッゲホッ、グボア!」
いきなり咳き込んだ一樹。抑えてた掌には血が付いていた…
「ん?どうした一樹。風邪か?」
どうやら一夏には見えてないらしい。一樹は近くの水道で手を洗いながら答える。
「ん?まあちょっとばかし痰が出ただけだ」
「そっか。風邪には気をつけろよ。じゃあ俺は食堂行くから」
一夏が部屋を出た途端、一樹は片手片膝を付いてしまった。
「マグネット・コーティングでも遅いのか…」
態々防御の要であるPS装甲の電圧を下げて関節部のスピードを上げたのだが、それでも遅かった。そして、
ドックン
「…来やがったか…良いぜ、相手してやんよ…」
エボルトラスターの鼓動を感じ、一樹は整備室から出て行った。
一方一夏は、鈴と和解?をして今は箒、セシリア、鈴と夕食を食べていた。
「しかし、残念ですわね。クラス対抗トーナメントが中止になるなんて」
セシリアも半年フリーパスを欲しがっていた1人なので、とても残念そうだ。
「しかし仕方あるまい。あんな事があってはトーナメントどころでは無いからな」
鮭定食を食べながら箒が言う。フリーパスの対象には和菓子が無いので、箒はフリーパスにあまり興味が無かった。なので、別に落ち込んではいない様だ。
「アタシだってそれは分かるけどさ…やっぱりデザートいっぱい食べたかったな」
鈴はデザートなら特にこだわりは無いので、やはりフリーパスは欲しかった様だ。
「フリーパスが欲しいのも分かるけどさ、あんな襲撃者が来た中で誰一人死ななかったのは良かったじゃねえか」
一夏が尤もなことを言う。3人が話していたのは命あってこその話なのだから…その数分後、夕食を食べ終わり、各々の部屋に戻ろうとするが…
「うわ!」
「何これ⁉︎」
IS学園を地響きが襲い、外には以前現れたペドレオンが現れていた。
『緊急事態発生、生徒は至急シェルターへ避難せよ。繰り返す、生徒は至急シェルターへ避難せよ』
避難アラームが聞こえ、再び生徒達が避難していく中、一夏は白式を展開して、外に向かう。
「一夏さん!」
「一夏‼︎」
セシリア、鈴も自らの専用機を展開し、一夏の後を追う。
「せめて生徒達の避難が終わるまであのバケモノを誘導する!」
「だからって白式じゃ!」
鈴が叫ぶ。確かに白式には射撃武器が無い。誘導するにも目の前を飛ぶしか無い。
「ああ…だから2人はあの怪獣が俺の方を見る様に攻撃してくれないか?もちろん、断ってくれても良い。俺が頼んだのは、命の危険があるかもしれないからな」
「そんなことを言ってるのではありません‼︎」
「なんで稼働時間が1番短いあんたがやるのよ‼︎やるならアタシかセシリアが…」
「駄目だ!こういうのは…俺達、男の仕事だ‼︎」
気合を入れて、ペドレオンに向かって飛んでいく一夏。ペドレオンはスラスターの音で一夏に気付き、フリーゲンに変化し、一夏を追う。
「よし、やっぱり2人共逃げろ‼︎」
「ちょ、一夏!」
「待って下さい一夏さん‼︎」
2人は一夏を追おうとするが、教師陣にそれを止められた。
「駄目です!オルコットさんに凰さん!あなた達まで行かせる訳には行きません‼︎」
「離して下さい!一夏さんが…一夏さんが‼︎」
「アイツは専用機持ちで1番稼働時間が短かいのよ⁉︎やられちゃう‼︎」
一樹は学園に向かって走っていたが、セシリアと鈴の絶叫から一夏が囮となって学園から離してるというのが分かった。
「アイツ…無茶しやがって…」
しかし、こういう状況でそう動かなかったら一夏では無い。それが分かってる一樹は一瞬笑うとすぐに気を引き締めた。エボルトラスターを引き抜き、正面に構える。その後、縦に大きく回し、天空へ掲げた。
「ハッ!」
眩い光が一樹を包んだ…
「クソッ!想像以上に速え‼︎」
一夏は白式がシールドエネルギーを減らさずに出せる最大スピードで飛んでいた。しかし、フリーゲンの飛ぶスピードは白式を優に超えていた。今、一夏は体の大きさの違いを利用し、細かく曲がってなんとか避けてる状態だ。
「クソッ!まだ学園から離れ切って無い…どうすれば⁉︎」
背後に迫るフリーゲン。一夏は思わず目を閉じる。その瞬間、ハイパーセンサーが一夏の後ろに光の柱が現れ、一夏とペドレオンに間に入ったのを認識した。
「フアァァァァ…」
柱の中からあの銀色の巨人が現れた。巨人の体は赤く発光していて、左手を『止まれ』と言ってるかの様に突き出す。赤い光『オーラミラージュ』は相手の動きを止める技。それを受けてるペドレオンは動きが止まった。
「う、ウルトラマン…」
無意識の内に一夏からその言葉が出た。
「ヘェア!」
ウルトラマンは動きが止まってるペドレオンに容赦なく、右チョップを当てる。ペドレオンはその威力で地面へと叩き落された。ウルトラマンもすぐに地上に着地する。
「フッ!ヘアァァ‼︎」
左のアームドネクサスをエナジーコアにくっつけ、銀色の状態“アンファンス”から赤い形態“ジュネッス”に変化した。
「シュウ!フアァァァァ…フッ!ヘアァァ‼︎」
右手を左のアームドネクサスにくっつけ、大きく半円を描いて構えた後、右手を天空へ掲げた。すると、右手から一筋の青い光線が伸びる。ある程度の高さが行ったところからオレンジ色の光が徐々に大きく広がり、ドーム状になっていく。中に閉じ込められた形になったペドレオンはそのオレンジ色の光に火球を撃つが、効果は無い。白式もまた、ドームの範囲に入った。
「ッ!コントロールが⁉︎落ちる⁉︎」
え⁉︎オレンジ色のドームダッテェ⁉︎