人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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一樹以外、全員ゲストという凄い回。

いや、むしろこの場合は一樹がゲストなのか?

とにかく、お楽しみ下さい!


Episode118 治療-セラピー-

光の国に帰ったケンがまず向かったのは、銀十字軍の本部だった。

「マリー、頼む」

「ええ」

そしてマリー、【ウルトラの母】に左胸に風穴が空いている一樹をそっと預ける。

医療用カプセルの中で、一樹の治療が始まる。

 

バタンッッ!!!!

 

そこに、2人のウルトラマン…1人は以前地球で一樹と共闘したウルトラマンレオだ。そして、もう1人は…

「大隊長!一樹が来てるってのは本当なのか!!?」

青い体に、頭部には2本の宇宙ブーメラン。

彼の名は【ウルトラマンゼロ】

何と、あのセブンの実子である。

「病院では静かにしろ、この馬鹿弟子」

そしてレオの弟子でもある。

 

ゴチンッッッッッッッ!!!!!!!!

 

見事な拳骨を脳天に喰らうゼロ。

「イッテぇぇぇぇ!!?し、師匠!もっと手加減をしてくれよ!」

「静かにと言ったのが分からないのか?もう1発いっておくか?」

「話を戻して大隊長、一樹が来てるってのは本当なのか?」

ゼロ、全力で話を逸らす。

「ああ…そこで治療を受けているよ…」

ケンが指す方向には、未だ左胸に風穴が空いている一樹の姿が…

「ッ!?一樹!!!」

カプセルに駆け寄ろうとするゼロの首根っこを、レオが捕まえる。

「…今は治療中だ。下手に近づくんじゃない」

「…分かったよ」

大人しくなったゼロから手を離すと、レオはケンへと話しかける。

「…彼をこんなにした奴は?」

「闇の巨人だ。その名はシャドウ。そしてその正体は…一樹君の元同級生の、藤原修斗らしい」

「…アイツか」

 

 

これはまだ、レオ=ゲンが地球で一夏の修行を見ていた時の話だ。

一夏の修行場所を探していたゲン。その優れた聴覚が、ある言葉と…暴力の音を捉えた。

 

おい人殺し!何でお前が生きてんだよ!

 

本当、雪恵さんじゃなくてお前が死んじゃえば良かったのに!

 

天罰だよ!天罰!

 

あまりの内容に、ゲンが駆けつけると…無抵抗の一樹を、集団で殴っていた。

「おいおい、そこじゃあまり効果無いだろ。もっとこう、抉る様に殴るんだよ」

リーダーと思われる男子が、両腕を掴まれて動けない一樹の腹部に、思いっきり拳を叩き込んだ。

 

ズンッッッ!!!!!!!!

 

「かはっ…」

それでも、一樹は抵抗しない。

その瞳に光は宿っておらず、ただただ空っぽだった…

「やめないか!!!!」

そんな一樹の姿を見ていられず、ゲンが止めに入る。

「…チッ。行くぞ」

リーダーの言葉に、退散していく少年達。

ゲンが一樹に駆け寄るも、一樹は空っぽな瞳のまま動かなかった。

「…大丈夫か?一樹君」

「……大丈夫です。ありがとうございます」

それだけ返すと、一樹は去っていく。

後に一夏に話を聞くと、一夏は怒りに顔を歪ませてゲンに話した。

 

・そのリーダー格の名前は、藤原修斗だということ。

・学内で一樹を虐めても、むしろヒーロー扱いされること。

・教室ですら、一樹に『気分はどうだ?人殺し』と言ったこと。

・自分も助けようとはしてるが、一樹自身がそれを拒むこと。

 

聞いていて、ゲンも怒りに震えていた。

 

彼が何をした?

彼は大切な女の子を救いたかった。

しかしそれは出来なかった。

それだけでも哀しいことなのに、何故彼をそんなにも攻撃する?

その女の子を目の前で失って、1番辛い彼を何故?

 

元から彼を気にかけていたゲンは、それ以降より一樹を気にかけるようになり、彼の心の支えになろうと努力した。

 

 

「アイツが…闇の力を」

治療を受ける一樹を見ながら、レオは拳を硬く握り締めていた…

 

 

「う、うーん…」

新たな命を与えられた一樹が目を覚まし、最初に見たのは…

「あ、起きましたか?」

爽やかな笑みを見せる青年の姿だった。

「お久しぶりです、一樹さん」

「…久しぶり、()()()。何でわざわざその姿に?」

青年の名は【ヒビノ・ミライ】

光の国にいることからも、彼がウルトラ戦士である事が分かる。

「一樹さんと話すには、こっちの方が良いと思ったからです」

「いや助かるけどさ。面倒じゃないのか?」

「全然平気ですよ。お気になさらず」

「そうか。なら良いんだけど」

硬直がまだ抜けていない一樹がゆっくりと起き上がるのを、ミライが手伝う。

「…いっつ」

「硬直が抜けるには時間がかかりますから、あまり無理しないでください」

「…分かった。ところで、ここどこ?銀十字軍の病室じゃ無さそうだけど」

どこか見た覚えのある部屋だが、思い出せない。

「あ、ここはゼロの部屋ですよ。以前一樹さんが光の国にいた時、ここで寝泊まりしてたとの事ですが?」

「あー。そう言えばそうだったっけ。もう何年も前だから覚えてなかったわ」

そんな話をしていたら、ゲンが入ってきた。

「ゲンさん…」

「…起きたようだな」

「ご心配おかけしました…」

「全くだ。任務がひと段落ついて光の国に戻って来たら、一樹君が治療を受けていると聞いて気が気じゃなかったぞ。動けるか?」

「肩を借りれば、何とか…」

「ならそのままで良い。移動するぞ」

「…へ?」

「ミライ」

きょとんとする一樹。ゲンは隣にいるミライに視線を送ると、ミライは笑顔で頷く。

左腕に【メビウスブレス】を出現させると、高く掲げた。

「メビウースッ!」

ミライは【ウルトラマンメビウス】の姿に戻ると、そっと一樹を持ち上げる。

「…何か、悪いなメビウス」

姿が変わったため、本名で呼ぶ一樹。

いつの間にか、ゲンもレオに戻っていた。

「よし、では行くか。一樹君のリハビリへ!」

 

 

リハビリ先には、凄まじい面々が揃っていた。

ジャックにAにタロウに80にゼロ…

「よっしゃ、順番にツッコミ入れるぞ。仕事どうしたマント持ち!!【ハヤタ】さんとダンさん以外全員集合じゃねえか!矢的さんにゼロもだ!あんたらも暇じゃねえだろうがぁ!!」

レオはまだ分かる。

地球にいた頃、スポーツセンターの職員もやっていたので、リハビリに関しての知識もあるだろう。

メビウスもここまで運んでくれたことから、たまたま空いていたと考えられる。

しかし、他の面々は違う。

光の国でも、トップクラスの忙しさを誇る彼らが、1人のリハビリに付き合うなど考えられない。

「何、たまには元生徒との交流もせねばな」⇦80

「俺だけじゃないでしょうが!矢的先生の受け持った生徒は!」⇦一樹

「これも訓練の一環だからな」⇦タロウ

「いやタロウさんは新しい戦士育てなきゃいけないでしょうが!」⇦一樹

「丁度任務から帰ってきたんだ」⇦A

「まずケンさんかゾフィーさんに報告しに行ってください」⇦一樹

「今、丁度休みでな」⇦ジャック

「嘘つくならもっとマシな嘘ついてくださいよ」⇦一樹

それぞれにツッコミを入れる一樹に、それを律儀に待つ戦士達。そして、最後はゼロだ。

「おいおい、久しぶりに会って早々それかよ。他にもあんだろ?」

「部屋貸してくれてありがとう馬鹿(ゼロ)

「おいコラ!今人の名前を変なルビにしなかったか!?」

「そんなことはねえよ馬鹿」

「もはや隠す気すらねえだと!?」

ゼロと一樹の会話を楽しそうに聞く面々。

この2人は、いつだって賑やかだ。

「よし、再会も済んだところで、一樹君のリハビリを始めるぞ」

レオの一言に一樹は頷くと、エボルトラスターを引き抜いた。

 

 

「まず、固まってる筋肉をほぐすところから始めよう。メビウス、軽く相手をしてくれ」

「はい!」

ウルトラマンと対峙するメビウス。

「…悪い、頼むな」

「いえ!正直久々に一樹さんと模擬戦が出来てワクワクしています!」

「…模擬戦になるのか?これ」

確かに、以前光の国にいた頃はメビウスの相手をしていた事もあるが…今の自分では話にならないだろう、とウルトラマンは判断する。

「危なくなったら俺達が止めるからな。では、始め!!」

レオの掛け声で、模擬戦が始まった。

 

 

それから、1週間後…

「デェアァァァァァァ!!」

「ウルトラゼロキィィック!!」

ジュネッス形態のウルトラマンのシュトローム・ストライクとゼロのウルトラゼロキックがぶつかり合う。

この1週間でウルトラマン=一樹の体は全快。流石は光の国の医療である。

今はレオのアドバイスの元、シュトローム・ストライクの完成を目指していた。

そして…

「うあっ!?」

なんとゼロのウルトラゼロキックすら破る程の技となった。

「流石だな一樹君。3日で習得するとは」

「技の原理は知ってて、レオさんのも見たことがあるので…完成具合ではゼロにも負けてますよ。まだエネルギー効率が上手くいってないですし」

「当たり前だ!たった3日でこの技習得されたら俺のメンツ丸潰れだ!!」

ゼロのツッコミをスルーして、ウルトラマンから一樹の姿に戻る。

「くぅー!さて、レオさんに教えてもらえたし、そろそろ帰るかな。もう1週間経つし」

「ん?地球を出てからか?」

「あ?そうだけど」

ゼロの言葉に、一樹が首を傾げる。

続く言葉に、愕然とするとは思いもせずに…

「お前が地球を出てから、もう3週間は経ってる筈だぞ?」

「……何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?!!?!!?」

絶叫する一樹。一樹が目を覚ましてからは、確かに1週間なのに…

「まず、地球から光の国(ここ)に来るまでに実時間が1週間かかってるだろ?」

衝撃、まさかの着いた時点で1週間経っていた。

「いや待てよ!体感ではそんなに経ってねえぞ!!?」

「そりゃあ時空間移動してるからだろ…むしろ、300万光年離れてる光の国と地球が片道1週間ってかなり早いと思うけどな」

一樹の耳には、ゼロの言葉が途中までしか入っていない。

 

以前光の国にいた頃は、あまりにも長居し過ぎていた(ゼロとの生活や、戦士達との交流が心地よかった)ので、日付の感覚が無かった。

移動に1週間掛かる…と言う事は、今から帰っても4週間、つまりは1ヶ月経っているという…おろ?

 

「…なあゼロ。移動に1週間掛かるのは分かった。けど、それだとしても今から帰れば3週間じゃないのか?」

「お前が光の国に来てから、目が覚めるまでに更に1週間経ってたんだよ」

「俺そんなに寝てたのか!!?早く帰らねえと!!!!」

そうと分かればグズグズしていられない。何故なら…いつもの3人(特に雪恵)が愚図る未来が簡単に見えるから。

一樹はすぐにエボルトラスターを取り出す。

引き抜く前に、笑顔でゼロと向き合う。

「…ゼロ、久しぶりに会えて楽しかったぜ?またはしゃごうな」

「…いつでも来い。あの部屋は空けとくからよ」

一樹は頷くと、今度はレオに深く頭を下げた。

「…1週間、俺のリハビリに付き合ってくれてありがとうございました」

「何、気にするな。俺も楽しかったからな。またいつでも来てくれ」

「はい…出来れば全員に挨拶したいのですが、時間が無いんで…もう、行きます」

「今度は、帰省するつもりで来いよ。俺達はいつでも大歓迎だからな!」

「…ゼロ、お前はやっぱり馬鹿だ」

「あぁ!?何でだよ!!?」

「…レオさんの前で、【帰省】なんて言葉使うんじゃねえよ」

「あ…」

レオの故郷…獅子座L77星は、もう無い…

「大丈夫だ一樹君。今の俺には、大事な【故郷(ふるさと)】があるからな」

それが指す星は、ひとつしかない…

「…たまには、寄って来てください。あなたの故郷に…」

「うむ」

レオの返事を聞くと、一樹はエボルトラスターを引き抜き、変身。

時空間移動のエネルギーホールを作る。

「皆さんに、よろしくお伝えください」

そうレオに伝えると、エネルギーホールへと入って行った。

帰るべき場所に、帰るために。




1週間という期間は、自分の都合ですので、あまり深く考えないで下さいね?
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