いや、むしろこの場合は一樹がゲストなのか?
とにかく、お楽しみ下さい!
光の国に帰ったケンがまず向かったのは、銀十字軍の本部だった。
「マリー、頼む」
「ええ」
そしてマリー、【ウルトラの母】に左胸に風穴が空いている一樹をそっと預ける。
医療用カプセルの中で、一樹の治療が始まる。
バタンッッ!!!!
そこに、2人のウルトラマン…1人は以前地球で一樹と共闘したウルトラマンレオだ。そして、もう1人は…
「大隊長!一樹が来てるってのは本当なのか!!?」
青い体に、頭部には2本の宇宙ブーメラン。
彼の名は【ウルトラマンゼロ】
何と、あのセブンの実子である。
「病院では静かにしろ、この馬鹿弟子」
そしてレオの弟子でもある。
ゴチンッッッッッッッ!!!!!!!!
見事な拳骨を脳天に喰らうゼロ。
「イッテぇぇぇぇ!!?し、師匠!もっと手加減をしてくれよ!」
「静かにと言ったのが分からないのか?もう1発いっておくか?」
「話を戻して大隊長、一樹が来てるってのは本当なのか?」
ゼロ、全力で話を逸らす。
「ああ…そこで治療を受けているよ…」
ケンが指す方向には、未だ左胸に風穴が空いている一樹の姿が…
「ッ!?一樹!!!」
カプセルに駆け寄ろうとするゼロの首根っこを、レオが捕まえる。
「…今は治療中だ。下手に近づくんじゃない」
「…分かったよ」
大人しくなったゼロから手を離すと、レオはケンへと話しかける。
「…彼をこんなにした奴は?」
「闇の巨人だ。その名はシャドウ。そしてその正体は…一樹君の元同級生の、藤原修斗らしい」
「…アイツか」
これはまだ、レオ=ゲンが地球で一夏の修行を見ていた時の話だ。
一夏の修行場所を探していたゲン。その優れた聴覚が、ある言葉と…暴力の音を捉えた。
おい人殺し!何でお前が生きてんだよ!
本当、雪恵さんじゃなくてお前が死んじゃえば良かったのに!
天罰だよ!天罰!
あまりの内容に、ゲンが駆けつけると…無抵抗の一樹を、集団で殴っていた。
「おいおい、そこじゃあまり効果無いだろ。もっとこう、抉る様に殴るんだよ」
リーダーと思われる男子が、両腕を掴まれて動けない一樹の腹部に、思いっきり拳を叩き込んだ。
ズンッッッ!!!!!!!!
「かはっ…」
それでも、一樹は抵抗しない。
その瞳に光は宿っておらず、ただただ空っぽだった…
「やめないか!!!!」
そんな一樹の姿を見ていられず、ゲンが止めに入る。
「…チッ。行くぞ」
リーダーの言葉に、退散していく少年達。
ゲンが一樹に駆け寄るも、一樹は空っぽな瞳のまま動かなかった。
「…大丈夫か?一樹君」
「……大丈夫です。ありがとうございます」
それだけ返すと、一樹は去っていく。
後に一夏に話を聞くと、一夏は怒りに顔を歪ませてゲンに話した。
・そのリーダー格の名前は、藤原修斗だということ。
・学内で一樹を虐めても、むしろヒーロー扱いされること。
・教室ですら、一樹に『気分はどうだ?人殺し』と言ったこと。
・自分も助けようとはしてるが、一樹自身がそれを拒むこと。
聞いていて、ゲンも怒りに震えていた。
彼が何をした?
彼は大切な女の子を救いたかった。
しかしそれは出来なかった。
それだけでも哀しいことなのに、何故彼をそんなにも攻撃する?
その女の子を目の前で失って、1番辛い彼を何故?
元から彼を気にかけていたゲンは、それ以降より一樹を気にかけるようになり、彼の心の支えになろうと努力した。
「アイツが…闇の力を」
治療を受ける一樹を見ながら、レオは拳を硬く握り締めていた…
「う、うーん…」
新たな命を与えられた一樹が目を覚まし、最初に見たのは…
「あ、起きましたか?」
爽やかな笑みを見せる青年の姿だった。
「お久しぶりです、一樹さん」
「…久しぶり、
青年の名は【ヒビノ・ミライ】
光の国にいることからも、彼がウルトラ戦士である事が分かる。
「一樹さんと話すには、こっちの方が良いと思ったからです」
「いや助かるけどさ。面倒じゃないのか?」
「全然平気ですよ。お気になさらず」
「そうか。なら良いんだけど」
硬直がまだ抜けていない一樹がゆっくりと起き上がるのを、ミライが手伝う。
「…いっつ」
「硬直が抜けるには時間がかかりますから、あまり無理しないでください」
「…分かった。ところで、ここどこ?銀十字軍の病室じゃ無さそうだけど」
どこか見た覚えのある部屋だが、思い出せない。
「あ、ここはゼロの部屋ですよ。以前一樹さんが光の国にいた時、ここで寝泊まりしてたとの事ですが?」
「あー。そう言えばそうだったっけ。もう何年も前だから覚えてなかったわ」
そんな話をしていたら、ゲンが入ってきた。
「ゲンさん…」
「…起きたようだな」
「ご心配おかけしました…」
「全くだ。任務がひと段落ついて光の国に戻って来たら、一樹君が治療を受けていると聞いて気が気じゃなかったぞ。動けるか?」
「肩を借りれば、何とか…」
「ならそのままで良い。移動するぞ」
「…へ?」
「ミライ」
きょとんとする一樹。ゲンは隣にいるミライに視線を送ると、ミライは笑顔で頷く。
左腕に【メビウスブレス】を出現させると、高く掲げた。
「メビウースッ!」
ミライは【ウルトラマンメビウス】の姿に戻ると、そっと一樹を持ち上げる。
「…何か、悪いなメビウス」
姿が変わったため、本名で呼ぶ一樹。
いつの間にか、ゲンもレオに戻っていた。
「よし、では行くか。一樹君のリハビリへ!」
リハビリ先には、凄まじい面々が揃っていた。
ジャックにAにタロウに80にゼロ…
「よっしゃ、順番にツッコミ入れるぞ。仕事どうしたマント持ち!!【ハヤタ】さんとダンさん以外全員集合じゃねえか!矢的さんにゼロもだ!あんたらも暇じゃねえだろうがぁ!!」
レオはまだ分かる。
地球にいた頃、スポーツセンターの職員もやっていたので、リハビリに関しての知識もあるだろう。
メビウスもここまで運んでくれたことから、たまたま空いていたと考えられる。
しかし、他の面々は違う。
光の国でも、トップクラスの忙しさを誇る彼らが、1人のリハビリに付き合うなど考えられない。
「何、たまには元生徒との交流もせねばな」⇦80
「俺だけじゃないでしょうが!矢的先生の受け持った生徒は!」⇦一樹
「これも訓練の一環だからな」⇦タロウ
「いやタロウさんは新しい戦士育てなきゃいけないでしょうが!」⇦一樹
「丁度任務から帰ってきたんだ」⇦A
「まずケンさんかゾフィーさんに報告しに行ってください」⇦一樹
「今、丁度休みでな」⇦ジャック
「嘘つくならもっとマシな嘘ついてくださいよ」⇦一樹
それぞれにツッコミを入れる一樹に、それを律儀に待つ戦士達。そして、最後はゼロだ。
「おいおい、久しぶりに会って早々それかよ。他にもあんだろ?」
「部屋貸してくれてありがとう
「おいコラ!今人の名前を変なルビにしなかったか!?」
「そんなことはねえよ馬鹿」
「もはや隠す気すらねえだと!?」
ゼロと一樹の会話を楽しそうに聞く面々。
この2人は、いつだって賑やかだ。
「よし、再会も済んだところで、一樹君のリハビリを始めるぞ」
レオの一言に一樹は頷くと、エボルトラスターを引き抜いた。
「まず、固まってる筋肉をほぐすところから始めよう。メビウス、軽く相手をしてくれ」
「はい!」
ウルトラマンと対峙するメビウス。
「…悪い、頼むな」
「いえ!正直久々に一樹さんと模擬戦が出来てワクワクしています!」
「…模擬戦になるのか?これ」
確かに、以前光の国にいた頃はメビウスの相手をしていた事もあるが…今の自分では話にならないだろう、とウルトラマンは判断する。
「危なくなったら俺達が止めるからな。では、始め!!」
レオの掛け声で、模擬戦が始まった。
それから、1週間後…
「デェアァァァァァァ!!」
「ウルトラゼロキィィック!!」
ジュネッス形態のウルトラマンのシュトローム・ストライクとゼロのウルトラゼロキックがぶつかり合う。
この1週間でウルトラマン=一樹の体は全快。流石は光の国の医療である。
今はレオのアドバイスの元、シュトローム・ストライクの完成を目指していた。
そして…
「うあっ!?」
なんとゼロのウルトラゼロキックすら破る程の技となった。
「流石だな一樹君。3日で習得するとは」
「技の原理は知ってて、レオさんのも見たことがあるので…完成具合ではゼロにも負けてますよ。まだエネルギー効率が上手くいってないですし」
「当たり前だ!たった3日でこの技習得されたら俺のメンツ丸潰れだ!!」
ゼロのツッコミをスルーして、ウルトラマンから一樹の姿に戻る。
「くぅー!さて、レオさんに教えてもらえたし、そろそろ帰るかな。もう1週間経つし」
「ん?地球を出てからか?」
「あ?そうだけど」
ゼロの言葉に、一樹が首を傾げる。
続く言葉に、愕然とするとは思いもせずに…
「お前が地球を出てから、もう3週間は経ってる筈だぞ?」
「……何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?!!?!!?」
絶叫する一樹。一樹が目を覚ましてからは、確かに1週間なのに…
「まず、地球から
衝撃、まさかの着いた時点で1週間経っていた。
「いや待てよ!体感ではそんなに経ってねえぞ!!?」
「そりゃあ時空間移動してるからだろ…むしろ、300万光年離れてる光の国と地球が片道1週間ってかなり早いと思うけどな」
一樹の耳には、ゼロの言葉が途中までしか入っていない。
以前光の国にいた頃は、あまりにも長居し過ぎていた(ゼロとの生活や、戦士達との交流が心地よかった)ので、日付の感覚が無かった。
移動に1週間掛かる…と言う事は、今から帰っても4週間、つまりは1ヶ月経っているという…おろ?
「…なあゼロ。移動に1週間掛かるのは分かった。けど、それだとしても今から帰れば3週間じゃないのか?」
「お前が光の国に来てから、目が覚めるまでに更に1週間経ってたんだよ」
「俺そんなに寝てたのか!!?早く帰らねえと!!!!」
そうと分かればグズグズしていられない。何故なら…いつもの3人(特に雪恵)が愚図る未来が簡単に見えるから。
一樹はすぐにエボルトラスターを取り出す。
引き抜く前に、笑顔でゼロと向き合う。
「…ゼロ、久しぶりに会えて楽しかったぜ?またはしゃごうな」
「…いつでも来い。あの部屋は空けとくからよ」
一樹は頷くと、今度はレオに深く頭を下げた。
「…1週間、俺のリハビリに付き合ってくれてありがとうございました」
「何、気にするな。俺も楽しかったからな。またいつでも来てくれ」
「はい…出来れば全員に挨拶したいのですが、時間が無いんで…もう、行きます」
「今度は、帰省するつもりで来いよ。俺達はいつでも大歓迎だからな!」
「…ゼロ、お前はやっぱり馬鹿だ」
「あぁ!?何でだよ!!?」
「…レオさんの前で、【帰省】なんて言葉使うんじゃねえよ」
「あ…」
レオの故郷…獅子座L77星は、もう無い…
「大丈夫だ一樹君。今の俺には、大事な【
それが指す星は、ひとつしかない…
「…たまには、寄って来てください。あなたの故郷に…」
「うむ」
レオの返事を聞くと、一樹はエボルトラスターを引き抜き、変身。
時空間移動のエネルギーホールを作る。
「皆さんに、よろしくお伝えください」
そうレオに伝えると、エネルギーホールへと入って行った。
帰るべき場所に、帰るために。
1週間という期間は、自分の都合ですので、あまり深く考えないで下さいね?