その分長いぞ!
お楽しみください!
一樹が光の国に行って早数週間。雪恵の顔が、日に日に暗くなっている。
「ユキエ。今カズキが行ってる場所はとても遠いから、移動に時間がかかってるんだよ」
「でも…あの人は1週間って言ってたもん…」
『治療が1週間って言ってたから…』
セリーやミオが懸命に励ますも、効果は薄い。
それが分かっているから、一夏達も何も言えない。
「…田中。辛いかもしれないが、今は授業をしっかり受けてくれ。テストも近いしな」
「…はい」
一樹がいない理由を知らない簪は、クラスメイトとの間に距離を感じていた。
元々人見知りだというのもあり、しかも後からこのクラスに入ったのである程度は仕方ないのだが…
「(でも…鈴も事情を知ってるみたいだから、何も知らないのは私だけみたい…)」
そう、簪は一樹の正体を知らない。
それにチェスターには2度乗ったが、その時の一樹は学園から追い出されていた。だから、あの3人の様な誤解も生まれようが無かったのだ。
「(みんな、何を隠してるんだろ…櫻井君の噂の中に、答えがあるのかな…?)」
IS学園はほぼ女子校だ。
そのため、異常な速さで情報は女子全体に回っている…基本的には。
現在、簪が知っている一樹関係の噂は…
・護衛役の仕事をサボっている⇦一樹の性格上、それはありえないと簪は断言出来る。
・織斑一夏と櫻井一樹は
・実は三股かけている⇦一夏じゃあるまいし、と簪は一笑に付す。
「(ダメ…碌な噂流れてない…)」
自分の持つ情報だけでは足りないと、簪は判断。そんな簪が取った手は…
「で、この束さんを尋ねて来たと?」
「はい…」
簪が尋ねたのは、束だった…
「ふうん…何でかずくんの事を聞きに来たかは聞かないよ。興味ないからね」
多少改善されたとはいえ、相変わらず身内と認めた人物以外には冷たい束。
そんな束に、簪は震えるほど緊張しながら話す。
「…篠ノ之博士が雪恵達の次くらいには、櫻井君にとって【心強い味方】で、色々知ってると思ったから…」
「興味ないって言ったよね?何話始めてるの?」
束の冷たい目に耐えながら、簪は話し続ける。
「…そんな博士が、櫻井君の立場が悪くなるような話はしないと思うから」
「…はあ」
震えながらも引く様子を見せない簪にため息をつく束。
「…そうだね。束さんはかずくんの立場が悪くなるような話はしない。けど、それ=真実とはならないと思うんだけど?」
「…それは、私が判断する。入学してからの短い付き合いでも、櫻井君が学園で噂されてるような人じゃないことくらい分かる。あんなに友人の一夏に悪意が向かないように努力してる姿を見てれば、それくらい分かる」
束がチラリと簪の眼を見ると、簪の目には、どんな真実でも受け入れる覚悟のある眼をしていた。
「…何が知りたいんだっけ?」
「櫻井君のことで…私以外の1組の人が知ってることを」
「ふうん…全部話してあげても良いけど、それは束さんが面倒だからやらない」
「…え?」
話してもらえると思ってた簪は、束の言葉に愕然とする。
「束さんが言えることは…あなたは既に、知ってる。けれど、その可能性を考えてないってことくらいかな」
話は終わりとばかりに、束は簪に背を向ける。
残された簪は、しばらく呆然としていたのだった。
「かーくん…」
雪恵の手にあるのは、壊れて使い物にならなくなった黒い腕時計。雪恵には合わない黒地のそれは、一樹の相棒だった【フリーダム】の待機形態だ。
救出された一夏の手に握られていたそれは、成層圏外での戦いの激しさを表していた。
「…帰ってくるよね、かーくん」
夕方の屋上で、雪恵は1人膝を抱えるのだった。
「……」
膝を抱える雪恵を、ドアの隙間から辛そうに見る一夏。
「ごめん、雪恵…」
自分が藤原に操られなければ、一樹があそこまでダメージを受けることはなかった。
その考えばかりが、一夏の頭に浮かぶ。
「…謝るくらいなら、今のユキエに必要以上に関わるな」
初めて会った頃のような、冷たい眼で一夏を睨むセリー。
「……」
そして、何も言えない一夏。
「今ユキエが欲しいのはお前の謝罪なんてちっぽけなものじゃない。ユキエが欲しいのはカズキの存在そのものなんだ。お前はいつものように、あの女達とでも遊んでろ」
「…こんな状況で、遊んでなんかいられるかよ」
小さくそれだけ言う一夏。
ガンッッッッ!!!!!!!!
一瞬だった。セリーが一夏の胸倉を掴んで壁に叩きつけたのは。
「がっ…」
「いい加減にしろよ馬鹿!セブン達がいたから良かったものの、そうでなかったらカズキは死んだままだったんだ!お前たち人間に何が出来る!援護が限界なのに、その援護すらやれなかったお前が、今のユキエに近づくな‼︎」
荒々しく一夏を突き飛ばすと、セリーは肩で息をしながら部屋に戻っていった。
簪は落ち着いて考えるためと、気分転換のために【サン・アロハ】に来ていた。
「(ここの雰囲気は落ち着くし…何より、櫻井君があんな子供っぽい顔で寝れる場所って貴重だろうから)」
「何か考え事かな?」
注文を持ってきたダンが聞いてくる。
このチャンスを逃す簪ではない。
「あの…櫻井君とは、どんな関係何ですか?」
「一樹君と?」
「ええ…あの櫻井君が、安心した顔で寝れる場所は、少ないと思うので」
「…何故彼のことを知ろうとしてるのか、聞かせてもらえるかな?」
「…簡単に言うと、私だけ彼のことを知らないからです」
現クラスメイトは自分以外全員彼のことを知っているのに…
以前までの簪なら、気にしなかったことだろう。
そんな簪がここまでするのは…
「櫻井君には、色々助けられたので…」
打鉄弐式の完成だけではない。
姉の楯無との和解にも、一樹(と雪恵)が動いてくれていた。
そんな一樹が、何か問題を抱えているのだとしたら…簪も、協力したい。
その旨をダンに伝えるも…
「彼は、『その気持ちだけで充分だぜ』と、あの微笑みを見せながら言うのだろうな…」
ダンも、苦笑を浮かべるだけだった。
確かに簪もそれが思い浮かぶ。
自分の事より、一夏たち…何よりも、雪恵の事を優先する一樹の姿が。
けどそれは、簪の望む答えでは無い。
「それでも、知りたいんです。櫻井君が、今どんな問題を抱えているのか」
「…私から言える事は」
ダンの言葉を聞き漏らすまいと、簪は姿勢を正す。
「君は既に、彼の秘密を
だが、ダンの言葉は、束の言葉とほぼ同じだった。
「…」
「納得出来ないという顔だね…」
「それは、まあ…」
「けど、それが事実なんだ。君があの学園にいる以上、彼の秘密を何度も見ている筈なんだ」
束もダンも口を揃えて言うのは、【一樹の秘密を既に見て知っている筈】ということ。
それ以上ここで知る事は出来ないと分かった簪は会計を済ませると、一礼して店から出て行った。
「傷は癒えた…さて、あんだけ斬ってくれた礼をしに行かなきゃ」
闇の中で、悪魔…藤原修斗が動き出す。
一樹が光の国に行ってから、もうすぐ1ヶ月経つ。
「_____で、あるからして」
千冬の授業だと言うのに…雪恵はただただ、手元の黒腕時計を見つめるだけだった。
「(かーくん…帰ってくるよね?)」
雪恵の目は、ここ2週間で真っ赤になっていた。
クラスメイトもそんな雪恵にかける言葉が見つからず、見守ることしか出来ない。
そんな時だった。
《ギャオォォォォ!!!!》
藤原達が、攻めて来たのは。
「さあて、生まれ変わったパンドンの力を見せてあげるよ」
生まれ変わったパンドンは首が左右に分かれ、二方向からの攻撃にも対応出来る様になっていた。
その名も、【キングパンドン】
そのキングパンドンの右の頭には、藤原が乗っていた。
「さあ…来いよ。斬られた礼をしてやるからさぁ!」
その声が届いたのだろうか、ダンはウルトラアイを取り出した。
「一樹君のいない間は、守ってみせるさ!」
決意を固め、ウルトラアイを装着する。
「デュアッ‼︎」
IS学園に飛んで来たセブン。
学園を背に、キングパンドンと対峙する。
「デュッ!」
だが、セブンが相手をするのはまともな敵では無い。
「来た来た!待ってたぞ‼︎」
藤原は歓喜の声を上げ、ダークエボルトラスターを引き抜いた。
『フッ!』
《ギャオォォォォ‼︎》
登場と同時に波動弾を撃つシャドウ。それに合わせて、キングパンドンも2つの頭から火球を放ってきた。
「ジュッ!」
それをウルトラシールドで受け止めるセブン。
戦いが、始まった。
『ハアッ!』
マッハムーブで近付いてきたシャドウが右ストレートを放ってくる。
セブンはそれを払い落として左ニーキックをシャドウの腹部に決める。
「ジュアッ!」
『グッ!?』
うずくまるシャドウの頭を抑え、背後から近付いてきたキングパンドンに左後ろ回し蹴り。
「デュアッ!」
《ギャオッ!?》
1対2という不利な状況でも、決して引かないセブン。流石は幾多もの死線を潜り抜けている戦士だ。
『クソッ!ならば…』
セブンがキングパンドンの相手をしてる隙に、シャドウは学園目掛けてダークレイ・ジャビロームを放った。
「フッ!?」
それに気づいたセブンが手を伸ばすも、間に合わない…!
周りが避難して、誰もいない 1年1組の教室。
「ユキエ!早く行こう!?」
『雪恵さん!早く‼︎』
いや…動かない雪恵に、そんな雪恵を必死に説得するセリーとミオがいた。
「…2人は行って。私はここにいるから」
「『何で!?』」
「ここにいれば…かーくんを感じられるから」
「カズキは帰ってくるんだよ!?それなのにユキエがいなくなったら「じゃあいつ戻ってくるのさ!!!?」ッ…」
ずっと堪えていた雪恵の激情に、セリーもミオも黙る。
「結局かーくんは死んじゃったのかもしれない!いくら光の国の医療が凄くても、死んだ人は治せなかったら!!!?」
「……」
『雪恵さん…』
「もうやだよぉ…かーくんのいない世界なんて、もうやだよぉ…」
小さな子供の様に膝を抱える雪恵。
それでも説得しようとするセリーの目に、シャドウの攻撃が…
「ッ!!!?ユキエ!!!!」
セリーが前に出て、苦し紛れのバリアを貼る…
人を6年も待たせておきながら、自分はそれかよ。もう少し頑張れよオイ。
そんな声が3人の耳に入った瞬間、赤い光球がシャドウの攻撃を弾いた。
『なっ!?』
驚くセブンにシャドウ。
赤い光球はシャドウの上空で止まり_____
「デェアァァァァ!!!!」
『グッ!!!?』
_____アンファンス状態のウルトラマンが現れ、シャドウに飛び蹴りを喰らわせた。
飛び蹴りをまともに喰らったシャドウは大地に倒れ、ウルトラマンは軟着陸。力強く立ち上がると、ジュネッスにチェンジする。
「フッ!シェアッ‼︎」
「かーくん…?」
ウルトラマンの背中を見上げて、もう出ないと思っていた涙が出てくる雪恵。
「かーくん、だよね…帰って、来れたんだよね…?」
既にその声は涙声だ。
そんな雪恵の声に頷くウルトラマン。
「(大丈夫だから…雪は安全な場所に行ってくれ。セリー達と一緒に)」
テレパシーで優しく告げるウルトラマンに、大泣きしながら頷く雪恵。同じく涙を流すセリーに連れられて、シェルターに移動していく。
『ふざけるな…何生き返ってんだよお前ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!』
「シュッ!」
激昂したシャドウとウルトラマンが同時に駆け出す。
「フッ!」
『ハアッ!』
ウルトラマンの空中前転、シャドウの空中側転がすれ違う。
両者は同時に軟着陸し、一瞬睨み合う。
殴りかかってくるシャドウを最小の動きで避けると、ガラ空きの背中に回し蹴りを放つ。
「シェアッ‼︎」
『グゥッ!?』
前のめりに倒れるシャドウ。シャドウが倒れてる隙に、簡易的にエネルギーを溜めたゴルドレイ・シュトロームをセブンの背後を狙うキングパンドンに向かって撃つ。
「フゥゥゥ…デェアッ‼︎」
《ギャオッ!!!?》
流石に撃破まではいかなかったが、キングパンドンを怯ませる事は出来た。
「ッ!?後ろだ!!」
「フッ!?」
『デュアッ!』
セブンの言葉に、ウルトラマンが後ろを見ると、起き上がったシャドウが上段回し蹴りを放ってきた。すぐさま屈んでその攻撃を避けると、カウンターのフックパンチを喰らわせる。
「シェアッ!」
『グオッ!?』
そして、セブンとキングパンドンも激闘を繰り広げる。
キングパンドンの双頭から放たれる熱線を、大きく飛び上がって回避するセブン。その勢いのままキングパンドンに飛び膝蹴りを喰らわせる。
「デュアッ!」
《ギャオッ!?》
マウントポジションを取り、キングパンドンの動きを封じながら手刀を連続で叩き込むセブン。
シャドウの中段回し蹴りを左腕と左脚で受け止め、続けて放たれた左ストレートパンチの腕を掴んで一本背負いを決める。
「ハァッ‼︎」
『グッ!?』
受け身も取れずに背中を強打したシャドウ。それでも執念で起き上がるシャドウに、ウルトラマンの連続回し蹴りが決まる。
「シュッ!ハァッ!!」
『グアッ!?』
まさに手も足も出ないシャドウ。
これが、ウルトラマン=櫻井一樹とシャドウ=藤原修斗の実力の差だ。
『何故だ…何故攻撃が当たらない!!!?』
シャドウ・デビルに進化してから今まで、ここまで一方的にはやられていなかったシャドウ。だがそれは、常にウルトラマンの体がボロボロの時を狙っていたからだ。傷が完治し、体力も充分な今、ウルトラマンが負ける筈が無い。だが、当然ウルトラマンはシャドウにそれを教えるつもりは無い。
「シュッ!!」
ウルトラマンは高く飛び上がると完成した新技、シュトローム・ストライクを放った。
「デェアァァァァ!!!!」
『グアァァァァ!!!?』
シャドウの体から火花が散り、吹き飛ばされた。
『ふざけるな…ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』
激昂したシャドウは飛び上がると、空中からダーククラスターを放ってきた。
『ハァァァァァァァ…デュアッ!!』
その散弾が、ウルトラマン達目掛けて飛んでくる。
「フッ、シェアッ!!」
それを、ウルトラマンはラムダ・スラッシャーで全て迎撃するという離れ業を見せる。その影響で爆炎があちこちで起こり、それに紛れてシャドウが突進してくる。
『ハァッ!!!!』
それを迎撃するためにウルトラマンはその場で空中前転、かかと落としでシャドウを叩き落とした。
「シェアッ!」
『グゥッ!?』
打鉄弐式を展開して一般生徒の避難を見守っていた簪に、一夏に護衛されながら束が近づいてきた。
「…あなたはかずくんの秘密を知りたいと言ってたね?」
「…はい」
「なら、まずはコレでウルトラマンを援護して」
そう言って、束からIS専用バズーカを渡される簪。
「話が見えないんですけど…」
「それは近いうち分かるよ。自然とね。けど、それも生きてればの話。まずは生き残らなきゃ。そのためにも、ウルトラマンの援護をする。簡単でしょ?」
「…分かりました」
束からバズーカを受け取り、打鉄弐式とリンクさせる。
ターゲットマーカーで、シャドウのコアゲージを狙う。
「そのバズーカ、1発分しか入ってないから外さないでね」
「…了解」
フラフラのシャドウ目掛けて、簪はトリガーを引いた。
バズーカから放たれたミサイルは、見事シャドウに命中した。
『グゥッ!!!?』
全身を走るエネルギーに、シャドウは苦しむ。
「ソアッグ鉱石のエネルギーとウルティメイトバニッシャーのエネルギーを混ぜ合わせたキメラミサイルだよ。どう?効くでしょう?いっくんとかずくんが受けた痛み、その身で味わえ」
底冷えする程冷たい声で告げる束。
そんな束の隣で、興奮気味の簪が叫ぶ。
「ウルトラマン!今だよ!!!!」
簪の叫びを合図に、ウルトラマンは両腕にエネルギーを溜める。
「フッ!シュッ‼︎キュアァァァァァァァァ…フンッ!ディヤァァァァァァァァ!!!!」
放たれたオーバーレイ・シュトロームはシャドウに命中。
そのエネルギーに苦しみながらシャドウ…藤原は叫ぶ。
『これで勝ったと思うな…僕は必ず、お前を殺す!どんな手を使ってでもな!!!!』
「…シュッ!!!!」
光線の出力を上げるウルトラマン。そして…
『グアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!?!!!?』
断末魔の叫びを上げ、シャドウは弾けるように消えた。
だが、まだ戦いは終わっていない。
ウルトラマンはセブンとキングパンドンの位置を把握すると、メタ・フィールドを展開する。
「シュッ!フアァァァァァァァァ…フッ!デェアァァァァ!!!!」
光のドームが形成され、戦いの場をメタ・フィールドへと移す。
光のドームが形成されていくのを見た一夏が、麒麟を纏ってドームに入る。
それに、別の場所で避難誘導をしていた箒達も各々の機体を纏って続く。
当然雪恵もアストレイ・ゼロを纏い、セリーを抱えて行こうとする。だが、その前に…
「簪ちゃんも、一緒に行こ?」
簪に声をかける事も忘れない。
「…うん!」
「デュッ!」
「ヘェアッ!」
屈んだセブンの背中に手を付き、キングパンドンに飛び蹴りを放つウルトラマン。
《ギャッ…》
肺の部分に蹴りが入ったのか、掠れた声が出るキングパンドン。
「「デェアッ!!」」
《ギャオッ!?》
その隙を逃す2人では無い。
ウルトラマンは左回し蹴り、セブンは右回し蹴りでキングパンドンを攻撃する。その威力に、キングパンドンの体から火花が散る。
数歩下がると、キングパンドンはその双頭から火球を連続で放ってきた。
《ギャオォォォォ!!》
それを捌こうと身構える2人だが、一夏達の攻撃が火球を打ち消した。
「これくらいなら、ISでも出来る!」
更に雪恵がランチャーストライカーに換装、火球を続けて放とうとするキングパンドンの右頭の口にアグニを撃つ。
「させないよ!!!!」
セリーも念動力で飛び、手から出した1兆度の火球をキングパンドンの左頭の目に放り投げる。
「…喰らえ」
《ギャオォォォォ!!!?!!!?》
雪恵、セリーの攻撃に怯むキングパンドン。
そんなキングパンドンの各部に、簪は視線マルチロックオン。
「…山嵐、行って!!」
打鉄弐式から放たれる大量のミサイルを受け、キングパンドンの各部から火花が散る。
《ギャオォォォォォォォォ!!!?!!!?》
専用機の連続攻撃を受け、キングパンドンは膝をついた。
「今だ!!!!!!!!」
一夏が叫ぶと、それぞれの最強武装をチャージする。
一夏はビームマグナム、箒は空裂、セシリアはスターライトMK-Ⅱ、鈴は衝撃砲、シャルロットはI.W.S.Pのレールガン、ラウラはレールカノン、簪は荷電粒子砲、そして雪恵のアグニ、セリーの火球…
「フッ!シュッ‼︎フアァァァァ…フンッ!デェアァァァァ!!!!」
「デュアッ!!!!」
更にウルトラマンのオーバーレイ・シュトロームにセブンのワイドショットが放たれ…
《ギャオォォォォォォォォ!!!?!!!?》
キングパンドンは断末魔の叫びを上げ、爆散した。
一夏達はそれぞれ2人の巨人に敬礼。
2人の巨人はそれに頷いて返す。
「シュッ…」
ウルトラマンはメタ・フィールドを解除しながら、セブンは両手を胸の前で組んで消えていった…
「傷は治ったようだな」
「ええ、おかげさまで」
変身を解いた一樹とダンは、学園の対岸にいた。
「まさか1ヶ月もかかるとは思いませんでしたけど、久々に体が軽いです」
「…だが」
軽く跳ぶ一樹に、ダンは真剣な表情で話す。
「体の傷は治っても、君が長年受けてきた心の傷は治っていない。その事を、決して忘れるなよ」
「…大丈夫です。何せ_____
ダンが光の国に帰るのを見送ってから、一樹はモノレールでIS学園に戻ってきた。
その瞬間…
ドサッ!!
「おろ!?」
いきなり何かが落ちて来て、流石の一樹も踏ん張れず地面に潰される。
こんな事が出来るのを、一樹は1人しか知らない…
「あにすんだよセリッ!」
一樹の言葉は、最後まで続かなかった。
上半身を起こした瞬間、強く抱きしめられたからだ。
セリーの可能性も無くは無いが、何よりも…
「ゔぇぇぇぇぇぇん!!!!!!!!」
彼女の方が先だろう。
この1ヶ月、堪えに堪えた彼女こそが。
「…なんつう泣き方だよ、雪」
「だっで、だっでぇぇぇぇぇぇ!!!!」
一樹に抱きついて大泣きする雪恵。
そんな雪恵の頭を、苦笑しながら撫でる一樹。
「ずっど、死んじゃったと思ってたんだからぁぁぁぁ!!!!」
「…心配かけて悪かった」
「かーくんの…かーくんの…かーくんのバカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「…まあ、今回は言われてもしょうがねえな。1ヶ月分全部吐き出せ。全部受け止めるから」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
雪恵が泣き止むまでずっと、一樹は優しくその背中をさすっていた。
数分後、今だにぐすんぐすん言いながら一樹から離れようとしない雪恵。
「…まだ、許してないんだから」
「…そうかい」
「うん。だから…セリーちゃん達!!!!」
ドサッ!!
「おろろ!?」
またもや上から落ちてきた何かに潰される一樹。
それは勿論…
「ガズギィィィィィィィィ!!!!!!!!」
『マズダァァァァァァァァ!!!!!!!!』
この1ヶ月、雪恵と一緒に耐えていたセリーが
「…お前ら、実は楽しんでねえか?」
無論そんな事は無く、一樹は1時間程、雪恵にセリー、それと実体化したミオに泣きつかれ続けた。
「…重くは勿論無いけど、動きにくい…」
泣き疲れた3人は一樹に引っ付いたまま寝てしまった。
右手に雪恵、左手にセリー、そして背中にミオ。何故か一樹でも振りほどけない程の力(人間の強さを再認識させられた)で抱きつかれていた。
その状態で、とりあえず部屋に向かう一樹。
「…え…り…」
「おろ?」
右手で抱えている雪恵の方から声が聞こえ、一樹は一旦止まる。
しかし、雪恵は幸せそうな顔で寝ている。
「…寝言か」
再び歩き出す一樹。
そして、今度ははっきり聞こえた。
おかえり、かーくん。
「…ただいま」
歩調を心なしか遅くして、一樹は3人を運ぶ。
その顔は、とても明るかった。
_____今の俺には、心を癒してくれる最高の人がいますから。
みなさんが、少しでも感動していただければ嬉しいです。
ちなみに、まだ最終回は程遠いので。
まだまだ【人と光の“絆”】をよろしくお願いします!