人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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言い訳はしない。

2ヶ月間お待たせしました!!!!

スランプって怖いね!!!!

もう1年も書いてるのに10巻終わる気がしないよ!?


とにかく!
今回は派手に暴れてます!

ではどうぞ!!!!


Episode134 第一局面-ファースト・フェイズ–

一樹が駆け出したのを合図に、決戦が始まった。

次々と迫り来る一派の兵隊達を逆刃刀を薙いで倒していき、徐々に正治達に迫る。

「やっぱお前はただ殺される訳が無いって思ってたぜ!!!!」

「ッ!?」

兵隊達に紛れ、【俊敏】の綾野が飛び出して来た。

その両手に持っているのは、拳銃…

「って事で、俺に殺されろや!!!!」

「断る!!!!」

素早く放たれた銃弾を、逆刃刀で弾く一樹。しかし、その反動で大きく仰け反ってしまう…

「お終いだな!!!!」

「…それは分からぬでござるよ」

「あん?どういう_____ッ!!?」

勝ち誇った笑みを浮かべている綾野の両手に、ゴム弾が命中した。

「銃を使えるのは、お前だけじゃねえんだよ」

ニヤリと笑うのは、TOP7の中で最も射撃が上手い一馬だ。

「じゃあ一樹。ここは俺に任せて進んでくれ」

「かたじけない」

一馬にこの場を任せ、一樹は更に進む。

「さぁて、どれくらい俺を楽しませてくれるのかな?」

どちらが悪役なのか深く問いたいが、そんな事は気にせずに、一馬も両手に拳銃を持つと綾野を撃ちまくる。

「アグッ!?グガッ!?アギッ!!?」

「あ、そうそう。この拳銃(コレ)、物理法則を無視した無限リロード銃だから…」

言いながら、背後から襲ってくる藤原一派の兵隊達を撃ち抜く一馬。

「弾切れまで耐えれば勝ち…とか思わない方が良いぞ」

「この野郎ッ…」

一馬を殺意の篭った目で睨む綾野。それを受け、一馬も綾野を冷たい目で睨んだ。

「ッ!!?」

その瞬間、綾野は腰が抜けかけた。それほど、一馬から放たれる圧は大きいのだ。

「久しぶりだよ…本ッッ当に久しぶりだよ…俺たちがここまで()()()なんてよ…6年間、溜まりに溜まった鬱憤(うっぷん)を晴らさしてもらうから覚悟しろ」

 

 

「おい一夏。いつまで寝てるんだよ」

呆然と砂浜に転がっている一夏を立たせる弾。

「え、え?一馬と佑人が、あれ?」

「一発殴ったら治るかな?」

バギッ!!

「グハッ!?はっ!俺は一体何を!」

「治ったな。じゃあ行くぞ」

「へ?」

「あの一派のボスには、お前も因縁があるんだろ?」

S.M.S本部から持ち出した、一夏専用の模造刀(ベルトに鞘付き)を渡す弾。

「…ああ。そうだな」

それを受け取ると、一夏はIS学園の制服の上から、そのベルトを巻いた。

一方の弾は一馬と同じく、無限リロード_____しかしプロトタイプのため、弾丸の製作には一馬の以上に時間がかかる_____の銃に、使い勝手の良い小型スタンロッド_____Ex-ギアの動力炉を超小型にしたため、稼働時間は事実上制限無し_____を取り出した。

「んじゃあ…」

「行きますか!」

一夏と弾、同時に駆け出す。柵を跳躍で飛び越すと、藤原一派の兵隊達を次々と下していく。

「一夏!弾!お前らは一樹のフォローにまわれ!」

綾野と対峙しながら、一馬が2人に叫んだ。

「「了解!!」」

 

 

「早く!狼煙を上げろ!」

正治の叫ぶような命令に、慌てて狼煙をあげる兵の1人。それを合図に、沖に待機していた煉獄から砲撃が飛んできた。

「死ね!死ね!!死ねぇぇぇぇ!!!!」

隠し持っていた拳銃を、がむしゃらに撃ちまくる正治。がむしゃら過ぎて、敵味方関係無く被害が出ている。

そして、その内の一発が佑人の頬を掠った。

無論秒でキレた。

「何してくれんじゃボケぇぇぇぇ!!!!」

近くに落ちていた貝殻を拾うと、正治目掛けて投げた。

「アベシッ!!?」

それは見事正治の眉間にクリーンヒットし、正治は情けなく倒れた。

「しょ、正治様!!?」

兵達が慌てて正治を担ぎ、船へと運ぶ。

「逃すかよ!」

煉獄に向かう正治を追おうとする佑人。だが、その眼前に刀の切っ先が…

「チッ!」

やむを得ず後方に下がって避ける佑人。

「へぇ…案外やるみたいだな」

佑人に刀を突き出したのは【策謀】の坂崎。ニヤニヤと君の悪い笑みを浮かべる坂崎に、佑人は舌打ちする。

「邪魔しやがって…」

「正治は煉獄の中でこそ真価を発揮するんでな。ここではやらせねえよ」

坂崎の言葉を聞くと、佑人はため息をついた。その後、首をゴキゴキ鳴らしながら回すと、戦闘モードで坂崎と対峙する。

「まあ良いや。お前も()()()の連中の1人だろうからな…ストレス発散分くらいは耐えて貰わなきゃな!!!!」

TOP7の中では珍しく、佑人は徒手空拳を好む。拳を保護するグローブをはめ直すと、坂崎に向かって踏み込んだ。

 

 

「…ここ、任せて大丈夫でござるか?」

煉獄からの砲撃を何とか避けながら、一樹は近くにいた宗介と智希、和哉に聞く。無論、3人の答えは決まっている。

「「「任せろ!!!!」」」

「かたじけない」

元々煉獄に乗り込むつもりだったのか、警官達が小さな船を用意していた。そこに駆け込む一樹。

「「一樹!!」」

「おろ?」

自らを呼ぶ声に一樹が振り向くと、IS学園の制服を着崩した一夏と、S.M.Sの隊服を着た弾がいた。

「ったく、ハラハラさせんなよ!」

計画を聞かされていなかった一夏が文句を言ってくるが、そんな事より大事な事がある。

「…雪やセリーは?」

「あの2人なら大丈夫だ」

弾の言葉にホッとすると、改めて船に乗ろうとする一樹。

「アレに乗り込むのか?」

「ああ」

一夏の問いに答えると、一樹達は船で煉獄に向かう。

 

 

一樹達が煉獄に乗り込もうとしている頃、千冬や楯無達も兵と戦っていた。

そこに、怪しく光る物が…

「ッ!!?」

殺気を感じた千冬がソレを弾く。ソレは、極限まで薄く鍛えられた刃だった。

「あらあら。初見でこの【薄刃ノ太刀(はくじんのたち)】を弾くなんて…流石はブリュンヒルデといったところかしら」

声の元は、【幹部】の紅一点である【変幻】の花澤。相変わらずの妖しい笑みを浮かべているその姿は、この状況にとても合っていた。

「お前は…確か」

「藤原派のトップだったわよね」

千冬に追いついた箒達。面識のある箒と鈴を見ると、花澤はカラカラと笑った。

「いやだ〜久しぶり〜。どう?少しは織斑君の気は引けてる?」

「そういうお前はどうなんだ?」

「そうよ。そういうのは自分から言うものでしょ」

己の得物を構えながら、花澤と会話する2人。その隙に、他の者は花澤を囲む。

それを知ってか知らずか、陽気に笑い続ける花澤。

「え?聞きたい?しょうがないなあ…私はね、藤原君から…」

言葉の途中で、踊る様に薄刃ノ太刀を振るう花澤。

「「「「アアッ!!?」」」」

「藤原君から、熱〜いモノを貰ってるわよ♪」

笑顔のまま、薄刃ノ太刀を振り回す花澤。その動きに、箒と鈴は覚えがあった。

「お前、まさか…」

「新体操の技を使ってる…?」

そう、花澤は過去に新体操で賞を取った事がある。薄刃ノ太刀を新体操のリボンの様に振るって、箒達を攻撃したのだ。

「そうよ?リボンを上手く扱えないようじゃ、新体操は完成しないし、新体操をやっている者同士でなきゃ、リボンの動きを把握出来ない…新体操で鍛えた体の動きに、【刀狩り】の涼ちゃんから借りたこの新井赤空の後期型殺人寄剣、薄刃ノ太刀による広範囲攻撃…これが、私が【変幻】の花澤と呼ばれている由縁よ」

 

 

次々と襲いくる兵隊達を、宗介は殺さないよう細心の注意を払いながら斬りまくる。その背後に、【破壊】の沢山が…

「死ねぇぇぇぇ!!!!」

その手に持つ大剣を、宗介に向かって振り下ろした。

 

ドォォォォォンッッッ!!!!!!!!

 

その衝撃により、凄まじい砂埃が舞う。

「フンッ。たわいもない…」

「誰が?」

「ッ!!?」

背後の声に驚く沢山。慌てて振り向くと、そこには刀の峰を肩に当てて呆れている宗介の姿が。

「い、いつの間に…!!?」

「おいおい。あんだけ濃い殺気を放ってたら誰でも分かるっての。特に()()()世界にいるんじゃな…それが分かってないって事は、お前大した奴じゃねえな」

その言葉に、一瞬で沢山の頭に血が上った。

「舐めるなぁ!!!!」

 

ドゴォォォォンッッ!!!!!!!!

 

先程よりも勢いよく大剣を振り下ろす沢山。

「(これは確実に殺った!!!!)」

「お前、武器の本質を理解してないだろ?」

「なッ!!?!!?」

再び背後から聞こえる宗介の声に、沢山は愕然とする。

「お前が使ってる大剣(ソレ)は、確かに一撃必殺の威力を持つ。だけどな」

宗介の話している間に、沢山はその大剣を右に薙いだ。

だが、宗介は刀身に乗るという離れ業を見せた。

「その威力はソレを振り回せるだけの腕力と、少ない攻撃の選択肢をいかに活かすかを計算出来てこそ活きる。お前には腕力は充分にあるが、選択肢を増やせるだけの頭は無いようだな」

「お、俺の攻撃は!あのクズも恐れる程の…」

沢山の言葉は最後まで続かなかった。

 

ドォォォォォンッ!!!!

 

宗介は沢山の首を掴み、砂浜に叩きつけた。

「ガハッ!!?!!?」

「おい…クズってのは誰を指してるんだ?」

重く暗い、ドスの効いた声を出す宗介。

「…フンッ!お前がそう思ってる奴じゃないか?」

「…だから、誰だって聞いてんだよ」

「クズの下に甘んじてるお前に、現実を教えてやろう。その者の名は桜ら…」

「もう良い喋んな」

押さえ付けていた首を離すと、沢山の土手っ腹を蹴り上げた。

 

ドキャァァァァァ!!!!!!!!

 

「オゴッ!!?!!?」

かなりの高さまで上がった沢山。砂浜に落ちた時には、砂埃が高く舞った。

「俺だけでも冷静にやろうかと思ったけど、やっぱ無理だわ。一樹の頼みが無かったら瞬殺してるくらいキテるわ…まあ安心しろ死にはしないから。ただ…」

そこで区切る宗介。その手に持つ刃が妖しく光る…

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から、覚悟しろ」

 

 

「く、来るぞ!敵の砲撃だ!!」

誰かの悲鳴が耳に入った途端、智希はバレーのレシーブの様な体制になった。

「和哉!」

「任せろ!!!!」

智希の構えていた手に飛び乗る和哉。

「お帰りくださァァァァい!!!!」

そして、なんと砲弾をスパイクで弾き返した。

「「「「ええぇぇぇぇぇ!!?!!?」」」」

警官も藤原一派も関係なく驚いた。

「…やはり、貴様らを優先的に叩いた方が良さそうだ」

「「あ?」」

智希と和哉の前に現れるは、【豪傑】の内山…

他の幹部と違い、全身を強固な鎧で固めており、生半可な攻撃ではビクともしなさそうだ。

「他の【幹部】は全員忙しそうだからな…仕方ない、俺がお前ら2人を相手してやる」

「「ありがとさん!!!!」」

少しでも早く片付けるために、2人は同時に駆け出した。

 

 

「あ!テメエはグハッ!!?」

煉獄に乗り込んだ瞬間、兵隊の1人を鎮める一樹。それに続いて乗り込む一夏と弾、警官達。

決着(ケリ)つけようぜ藤原ァ!!!!」

一夏が吠える。それを合図に、一樹は船首から甲板に飛び降り、一派との戦闘を開始する。

「死ねや!」

「ッ!」

兵隊の1人が、一樹の至近距離でライフルを撃ってくるが、首を傾けて躱す。

「なっ!!?」

驚愕している兵を逆刃刀で下すと、突然駆け出した。

「逃すな!!!!」

「(わざわざ乗り込んで来たとこから逃げるか間抜け)」

駆け出した一樹の狙いは、兵隊が固まっている一角。そこにスライディングで滑り込むと、ブレイクダンスの様にその場で足を高く上げて回転。

「ぐっ!?」

「がっ!?」

「ごっ!?」

一樹を囲もうとしていた兵はその回転の勢いが乗った蹴りを受け後退。それならばと、刀で斬りかかってくる者は素早く起き上がった一樹の逆刃刀の一撃で沈んだ。

次の敵に備え立ち上がった一樹の耳に、やはり兵隊を下していた一夏の声が入った。

「一樹!ここは俺達がやるから、お前は砲台を!」

一夏の言葉に頷くと、警官を数人連れて、煉獄の中心部へと攻め込む。

銃で狙ってくる敵を一瞬で下すと、砲撃を続けている兵を次々下していき、二度と撃たれない様、砲台を逆刃で切断していく。

 

ダンダンダンダンッッ!!!!!!!!

 

「ッ!!?全員伏せろ!!!!」

一樹の声に慌てて伏せる警官達。その頭上をギラリと光る刃が…

「「「「(ヒィッ!!?!!?)」」」」

幾ら鍛え上げられている警官と言えど、死の恐怖が消えるはずが無い。一樹の声が無ければ、今の一撃で全員の首が胴体からさよならしていただろう。

「そこッ!!」

一樹が突如跳び、逆刃刀を振り上げた。

 

ガギィィィィィンッ!!!!

 

その一撃は、いつの間にか現れていた【縮地】の宗太によって受け止められた。

受け止められる事を予測していた一樹は宗太の腕を掴んで投げ落とす。が、宗太は空中前転する事で難なく着地。続いて降下してきた一樹の一撃を側転して避けると、一樹に向かって踏み込み、挨拶代わりに刀を振り下ろす。

「ッし!」

その攻撃を逆刃刀で円を描いて反らせ、勢いを乗せた回し蹴りを放つ一樹。

「よっと!」

しかし宗太は、その攻撃を一瞬跳んで避ける。着地と同時に、突進しながら刀を左右に振るってくるのを、一樹も高速で退がりながら逆刃刀で防御する。反撃で放った一撃を、宗太は後ろに跳ねて避ける。

そして、相変わらずの笑みを浮かべながら一樹に話しかけた。

「お久しぶりです櫻井さん。ご無事でなによりです」

その宗太に、一樹は逆刃刀を突き出しながら応える。

「生憎ゆるりと会話を楽しんでいる余裕は無い」

「せっかちだなぁ」

「藤原はどこだ」

「…あなたじゃ勝てませんよ。あの人は()()ですから…」

片足でトントンと跳ねた瞬間、宗太は一樹に踏み込んだ。

 

 

甲板の敵を薙ぎ払った後、弾と別れた一夏。今は、煉獄の動力部を目指して進んでいる。

「(砲撃は一樹が止めてくれたし、俺達も働かないとな)」

駆動音が聞こえる所へひたすら進んでいた一夏。

 

ウワァァァァァァァァ!!!!!!!!

 

そんな彼の耳に、警官の悲鳴が聞こえた。

「ッ!!?」

すぐさま手の刀を握り直して悲鳴の元へ駆ける一夏。

駆けつけた一夏の目に…

「た、たしゅけて…」

「おいおい、警官様がそんな無様で良いのかよ」

血だらけで倒れている警官に、今まさにトドメを刺そうと、槍の穂先を警官に向けている【鉄壁】の村田の姿が…

「やぁめぇろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

振り下ろされた槍の穂先を、刀の刀身で受け止めて弾いた一夏。

「お、織斑一夏…?」

「早く!早く逃げて下さい!」

「す、すまない…」

警官を逃し、村田と対峙する。

「よお織斑。相変わらずのヒーローっぷりだな」

「そう言うお前は相変わらずのヒールっぷりだな」

片手用に、幾分小さめの槍を右手で遊ばせながら話しかけてくる村田。一夏も臨戦態勢で臨む。

「まさかお前が乗り込んでくるとは思わなかったぜ」

「お前らの大将には言いたい事が山ほどあるからな」

「ふうん…お前が、修斗の所までたどり着けるかな?」

槍を持ち直してから突進してくる村田。一夏は槍の攻撃を刀で弾き、蹴りを放つが、それは村田が左手に持つ亀甲型の盾に受け止められる。

「くっ…」

続けて村田は全体重を込めた前蹴りを放った。

「オラァッ!!」

「ゴッ!?」

腹部にまともに入り、数歩退がる一夏の頭部を、村田は盾で殴る。

 

ゴッ!!!!!!!!

 

「ッ!!?!!?!!?」

その衝撃に、視界が霞む一夏。

踏ん張りが効かない一夏を、槍を横薙ぎに振るって殴る村田。

「っし!」

「ガッ…」

頭から血を流して倒れる一夏の背を容赦なく踏みつける村田。

「俺をそこらの雑魚と一緒にしてんのか?舐めすぎなんだよ…それともなんだ?お前の実力はその程度なのか?」

「グッ…ガッ…」

「ああ、浜に行ってた【幹部】のレベルで考えてた?なら納得だぜ。けどな、【幹部】のTOP 3_____順番に宗太、俺、丸山な_____は他の【幹部】と壁ふたつくらい違うんだよ」

一夏の背を踏みつけながら話す村田。そのあまりの力に、一夏は起き上がれない…

「この…やろ…」

「まあ、お前も多少は鍛えてたんだろうな。左手が若干痺れてやがる。けど、運が悪かったんだよ、お前は」

一夏の背から足をどけて、すぐさま蹴りを放つ村田。

「オゴッッッ!!?!!?」

蹴りの威力は凄まじく、一夏は隣の物置まで吹っ飛ばされた。

「お〜い。生きてるか〜」

ふざけた口調で問う村田。

しかし、何も返って来ない…

「あ、こりゃ織斑逝ったな。さて、修斗と合流するかね」

 

 

一夏が煉獄の右側から動力部を目指しているのに対し、弾は左側から動力部を目指していた。

警官と共に、警備の兵を殴り倒して着々と進んでいた。

「ガッ!!?」

「「「「ッ!!?」」」」

突如、壁から腕が伸びて来て、警官の1人を捕獲。引き込まれてしまった。

「待て!!!!」

駆け寄る弾。その足元に、ボロ雑巾の様にさせられた警官が転がって来た。

「大丈夫ですか!!?」

「う、うぅっ…」

息はある様だ。それにホッとする弾。

「般若心経…」

その耳に、お経を唱える声が。

弾がその方向を向くと、血だらけの警官の襟を左手で掴んで引きずる、【天誅】の丸山が…

「…何してやがる」

険しい表情を浮かべて、丸山に詰め寄る弾。

「…フンッ!!!!」

そんな弾に、丸山は引きずっていた警官を投げた。

「なっ!!?」

何とか警官を受け止める弾。

その瞬間!

 

ドンッッッ!!!!!!!!

 

「ごはっ!!?」

警官越しに、丸山の重い拳打が決まる。

「(なんつう馬鹿力だよ!!?すいませんお巡りさん!)」

心の中で謝ると、抱えていた警官を軽く投げて身軽になる。

「ハァッ!!!!」

轟ッ!!!!と風切り音が聞こえる程の丸山の拳を、紙一重で避ける弾。

ビリビリと肌に衝撃が走るのを感じながら、弾はスタンロッドを最大出力で丸山に押し当てた。

「ぬぅっ!」

電撃が()()効いてるらしく、丸山が怯んだ。

「(オイオイ!最大出力だぞ!?気絶しないってマジかよ!)」

驚愕しながらも、隙を逃さないために踏み込み、人体急所のひとつである水月に腰の入った拳を叩き込む。

「ラァッ!」

ドンッッッ!!!!!!!!

見事に決まった。だが…

「ヌンッ!」

「ガッ!!?」

丸山には大したダメージを与えられなかったらしい。逆に頭部にダメージを喰らう事になってしまった。

「(嘘だろ…?人体急所を全力で殴ったんだぞ…何で効いて無いんだ…)」

視界がボヤけるが、何とか踏ん張る弾。しかし、それは丸山に読まれており、追撃の回し蹴りを喰らう事になってしまった。

「グハッ!?」

その蹴りの威力は凄まじく、弾の体が横に飛んだ。

しかし弾もただやられる訳には行かない。右手に拳銃を持つと、吹き飛びながら丸山に連射。

しかしその弾丸は、丸山の前に貼られた障壁によって弾かれた。

「なっ…」

驚く弾に詰め寄り、その重い拳を叩き込んだ。

「ガッ!!?」

壁際に追い込み、連続で拳を叩き込こもうとする丸山に何とか前蹴りを喰らわせる弾。

「ラァッ!」

「ヌッ!?」

だが、丸山は数歩下がっただけだった。すぐに体制を整えると、弾の胸倉を掴み、壁に叩きつけた。

「フンッ!!!!」

「ゴガッ!!?」

更に、弾の足が付かない所まで持ち上げると、身動き取れない弾に拳を連続で打ち込む。

「ガッ!?グッ!?ゴガッ!!?」

このままじゃ()られると判断した弾は、奥の手を使う。

右手に嵌めていた腕時計の盤面を壁に叩きつけて押すと、腕時計から中距離スタンブレードが発生。

「ラァッ!ハァッ!」

「くっ…」

バリバリと音が鳴るスタンブレードを右に左に振るうと、流石の丸山も怯んだ。しかし、特に剣術に秀でている訳ではない弾の攻撃はすぐに見切られ、カウンターの一撃が腹部に決められてしまった。

「ハッ!」

「ゴッ…」

蹲りながら数歩退がる弾。その隙に、丸山は弾達が倒した兵が落としたガトリングガンを拾う。

そして…

 

ガガガガガガガガガガッッッ!!!!!!!!

 

ガトリングガンを撃ちながら、アッパーカットの様に振り上げる丸山。

「ガァァァァァァァァァァァァ!!?!!?」

ガトリングの攻撃に襲われる弾。その体から、血しぶきが巻き起こる。

丸山はそんな弾に詰め寄ると、まだ熱のこもっている筈の銃口を握って、グリップ部で弾の腹部を殴りつけた。

「ゴハッ!!?」

その衝撃に、ガトリングガンは耐え切れずに破裂。当然、残弾も破裂する事になり…

 

ドォンッッ!!!!!!!!

 

「ガハッ!!?!!?」

至近距離で弾丸の破裂が起きた弾は、その衝撃により後方に吹き飛ばされる。

仰向けに倒れた弾が動かない事を見ると、丸山は藤原と合流するために移動した。

 

 

宗太の縦横無尽に襲いくる攻撃を、逆刃刀で捌き続ける一樹。

上空から急降下しての攻撃を、逆刃刀を斜めに構える事で捌くと、宗太の着地の瞬間を狙って回し蹴りを放つ。対する宗太は、捌かれた刀を床に刺して支柱にして横移動する事で一樹の蹴りを避ける。

蹴りを避けられた一樹は宗太の背後を取ろうと動き回るが、速さが拮抗しているためか、中々背後を取れない。

壁際に追い込んだとしても、宗太はその脚力で壁を踏み台にして飛び上がり、一樹に刀を振り下ろす。

「ッ!」

何とか逆刃刀で受け、宗太の背を押す事で追撃を避ける。

「よっと!」

宗太は対面の壁を蹴って勢いをつけると、一樹に向かって突進してきた。

「ッし!」

一樹はソレを、壁を走って宗太をやり過ごすことで避ける。

「逃がしませんよ!」

宗太も一樹を追って駆け出す。

無造作に置かれているガラクタを物ともせずに駆ける2人。

比較的障害物が少なかった宗太が前に出て刀を振り下ろす。

「ッ…」

何とか急ブレーキをかけてその斬撃を避けた一樹。互いに呼吸を整えていると、宗太が話しかけてきた。

「前より速くなりましたね…迷いの無い動きをしています」

「……」

「あなたが修行で腕を上げてきたというのなら」

そこで宗太は、腰に挿していた鞘を抜き取り、捨てた。

「こちらも、礼を尽くさないと」

「……」

一瞬の静寂の後、一樹に踏み込む宗太。

「…チッ」

鞘の重りが無くなった事の影響がそんなに大きいとは思えないが、宗太の心情は違うのだろう。鞘を腰に挿していた時よりも速い。それに、小さく舌打ちする一樹。

流れる様に迫ってくる斬撃を逆刃刀で捌き続けるが、突如宗太が突進してきた。

「ッ…」

受け止め切れず、通風口から落ちる一樹と宗太。落ちた先は、煉獄の動力部…

 

「戻れ、宗太」

 

宗太を呼ぶ声が響く。その声に従って、宗太は一樹の側から離れた。

一樹が声の元を向くと、そこには…

 

「やぁっと会えたな…クズ野郎」

 

傍に村田と丸山を置いた、この騒動の元凶である…藤原修斗が。

 

「待たせたな…ゲス野郎」

 

真っ直ぐ藤原を見据えながら言う一樹。

「随分と荒い息だな…そんな状態で僕と殺り合おうってか?」

「保険をかけなきゃかかってこない腰抜けには丁度良かろう」

「…減らず口が。その虚勢がどこまで続くかな」

無限刃を鞘から抜き、ゆっくりと階段を降り始めた。

「…ところでクズ。気になる事は無いか?」

「…何でござるか」

「お前がこの船に乗り込む時、一緒に来た奴らは、今この場にいるか?」

「……何が言いたい」

一樹の瞳が、一際鋭くなる。

それを知ってか知らずか、愉しそうに続ける藤原。

「織斑は村田が、あのバンダナの男は丸山が相手をしたんだがな」

「………を……た」

「あ?」

「な……し……」

「聞こえねえぞクズ野郎!!!!」

「だから…」

瞬間、その場を一樹の冷たい殺気が支配した。

感情が欠落している宗太以外の全員が圧倒される中、一樹が獣の様に吠えた。

「あの2人に…何をした!!?!!?!!?」

目の前の藤原目掛け、一樹は駆け出した。




弾の戦闘シーンでとあるライダーが思い浮かんだあなた。
そう、元ネタはアレです。
合ってますよ。


では…よいお年を!!!!

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