人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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一年に一度は更新したいよね!?

お久しぶりのフルセイバーです。

もっとやりたいけど毎回切り時が分からない……




Episode146 初代-リピアー-

火星付近の宙域、2体のバルタン星人とウルトラ戦士が戦っていた。

2体のバルタンは両手の大きなハサミから怪光線をウルトラ戦士に向けて放つ。

対するウルトラ戦士は自身の周りに光の壁を貼って怪光線を受け止めると、返しにギロチン状の光線を2つ放った。

バルタンはギロチンを怪光線で破壊すると、ウルトラ戦士から逃亡を図る。

すぐさまウルトラ戦士はバルタンを追う。

進路は、地球…!

 

**

 

一方その頃、地球のIS学園では…

 

「ギャアァァァァ!?」

「またかよぉぉぉぉ!?」

 

一夏、弾が一樹に扱かれていた。

ドラグーン無し、フルバースト無し、使えるのはビームライフル一丁とレールガン、ビームサーベル一振りのみとかなりのハンデなのだが、その分フリーダムの機動力を全力で出した結果がご覧の通り。

 

「…ミオ、今回のタイムは?」

『5分』

「正直、もうちょい延ばして欲しいな」

「「お前相手に無茶言うな!!!!」」

「…命懸けの敵にもそれを言うのか?」

「「ウグッ!?」」

 

一樹の指摘に何も言えない2人。

え?専用機持ちたち?

それなら…

 

「「「「……」」」」チーン

 

一夏に良いところ見せようと混ざってみたけど、一樹に指示された一夏のウォーミングアップによって瞬殺されてます。

 

**

 

「「……」」ガツガツバクバク

「焦って食うなよ〜喉に詰まらせるぞ〜」

「「…!?」」ドンドン

「言わんこっちゃない…」

 

周りに特に人がいない食堂。

一樹との模擬戦を終えて腹ペコの2人が色々食べていると、焦りすぎていたのか咽せた。

呆れながら一樹がお茶を渡すと、グビグビ飲む2人。

 

「「プハァッ!死ぬかと思った!!」」

「どこのカエル軍曹だ。あの程度の模擬戦ならそこまで疲れないだろうが」

 

チーズバーガーを食べながらツッコミを入れる一樹。

そんな彼に2人は食ってかかる。

 

「ふざけんな!お前相手に8分保つ様になっただけでも勲章もんだろ!?」

「そうだそうだ!」

「…あのなぁ、あまり騒ぐ様なら宗介達の誰か呼ぶぞ?」

「「すいませんでしたぁ!!!!」」

 

確かに一樹より宗介達の方が弱い。

しかし、訓練の教官としてはあの5人は一樹より厳しい。そりゃあもう厳しい。大事なことなので2回言った。

濃密な訓練なのは変わらないのだが、適度に休憩(訓練の程度にもよるが、大体1時間やったら10分程度)を入れる一樹に対して、宗介達はぶっ続けで最低2時間はやる。

一樹がそれぞれ自分の命と大切な人を守れるために鍛えるのに対し、宗介達はそれにプラスして一樹に着いていける程度には…つまり、自分たちのレベルまで鍛えようとする。

そりゃあエゲツなくもなる。

しかし代表の宗介曰く…

 

『一樹に着いてこれないようなら、S.M.Sの戦闘部隊では長く生きれない』

 

だそうだ。一樹が割と強くやめるように言っても、止まらない程に。

なので、最近はTOP7の誰に教官して欲しいか抽選(S.M.Sの祭り好きの雰囲気を利用)で決める事にして一樹が出来る精一杯の救済措置とした。

当然一樹に票が集まる(けっして宗介達が嫌われているわけではない。S.M.S内での一樹人気が異常なだけである)のだが、その後大ビンゴ大会によって決定される。

抽選に敗れた者の阿鼻叫喚の叫びは、S.M.Sの戦闘関係部門が集まるところではよく見る光景なのだ。

むしろ抽選する事なく一樹に見てもらえる一夏と弾は、感謝するべきだったりする。

 

「宗介に和哉の訓練、確かにレベルアップするけど…終わった瞬間倒れた記憶しか無い…」

「一夏はその2人か…俺は智希と一馬だよ…あの2人の砲撃と射撃はエゲツないよ…」

 

デザートまで無事食べ終わった2人の愚痴を、珈琲を飲みながら静かに聞く一樹。

ちなみに2人がS.M.Sに入った頃には佑人は一樹に宇宙を任されていたので数に入ってないが…近接格闘の鬼らしいとは佑人の訓練を受けた団員談。

 

「…まあ、アイツらは()()()…それこそS.M.Sが出来る前から俺と一緒に前線にいるからな…レベルの差は当たり前だよ」

「「だとしても教え方が!」」

「まあなぁ…アイツら、加減知らないからなぁ…」

 

こればかりは苦笑を浮かべるしかない一樹。

 

「一応、言ってはいるんだけど…あまりアテにしないでくれよ」

「「切実に頑張って欲しい」」

「…あいよ」

 

**

 

夕食を食べ終えた一樹は、何気なくアリーナに来ていた。

時たまアリーナの屋根上から星を見上げるのが、4月からのちょっとした楽しみなのだ。

 

「よっと…さてさて、そろそろペガサス座が見れると思____ん?」

 

いつもの様に屋根に寝転がる一樹の目に映ったのは…動き回る閃光が3つ、時折ぶつかっている光景だ。

 

「(ミオ)」

『ラジャー!』

 

阿吽の呼吸で、ミオはハイパーセンサーの倍率を上げる。

 

「…あれは!?」

 

それが何か分かった一樹。すぐさまエボルトラスターを引き抜き、光となって急浮上した。

 

**

 

ウルトラ戦士と2体のバルタンは激しい空中戦を繰り広げている。

バルタンの怪光線を避けたウルトラ戦士は近くのバルタンに接近するが、もう一体のバルタンがそれを許さない。

ウルトラ戦士の進路を塞ぐ様に怪光線を撃って妨害し、仲間が逃げれる隙を作ると、自らは分身。ウルトラ戦士を四方から攻撃しようとする…が。

 

「シェアッ!」

 

ジュネッスにチェンジしたウルトラマンのボードレイフェザーが、バルタンの分身を消していく。

まさかの増援に、動きが止まるバルタン達。

その隙を見逃すウルトラ戦士では無い。

ギロチンのような光輪を放ち、一体のバルタンを倒した…かと思えた。

しかしそこはバルタン。ギリギリで分身の術を使い、ウルトラ戦士の攻撃を捌くと、相棒のバルタンと共に消えていった…

 

**

 

バルタンが消えてしまい、気配も感じれなくなったため、2人のウルトラマンは変身を解いた。

 

「…お疲れ様です。【ハヤタ】さん」

 

目の前にいる一見普通の老人に声をかける一樹。だが、見るものが見れば、彼の経験からくる強者のオーラを感じれる事だろう。

 

「…久しぶりだね、一樹君。そして巻き込んでしまいすまない。助かったよ」

「ハヤタさんを集中的に研究してる奴らです。そんな奴ら2体を相手してたんですから、お気になさらずに」

 

頭を下げてくるハヤタを慌てて制する一樹。

ハヤタほどの人物に頭を下げられると、彼としては背中がむず痒い。

 

「とりあえず、しばらくはS.M.Sに泊まってください。雨風凌げるくらいしか出来ませんが…」

「いや、助かるよ」

 

**

 

翌朝、一樹は朝食をとりながら、夜に起こった出来事を雪恵とセリーに話していた。

「へぇ、じゃあ今S.M.Sにはウルトラ戦士の中でも凄い人が来てるんだ」

「凄いなんてもんじゃないさ。あの人が地球を好いてくれなかったら、今の地球は無かったかもしれないんだから」

「そんな凄い人なの!?」

「そうだよユキエ。なんてったって、初めて地球を長期間守ってた人なんだから」

「想像以上に凄すぎる人だった!?」

 

尚、地球長期滞在中の最後の敵はセリーの同族だったりするのだが、流石にそこには一樹もセリーも触れることは無かった。

 

「まあそんなレベルの大物なんでね、こっちとしてもちょっとした宿用意するくらいは全然するんだ」

「1企業が国賓(こくひん)招いてるみたいだね……」

「みたいというか、下手したらそれ以上というか……」

 

一樹からしたら昔世話になった好々爺(こうこうや)の1人であるが、他の人から見たら国賓通り越して星賓(せいひん)?である事は間違い無い。

 

「話は変わるが、この間逃がしちまった奴を仕留めるために宗介達に情報集めてもらってる。連絡が来るか、俺が奴らを()()したらすぐ動く。その時はフォロー頼む」

「「はーい」」

 

**

 

「随分苦労したようだな。バルタン」

「貴様もいたのか。メフィラス…我らを治療して、何をさせる気だ?」

 

メフィラス=前原が拠点としている深海。そこのある空間では、ウルトラ戦士2人に追い詰められていたバルタン2体が治療を受けていた。

1体は話せる程度には回復したが、もう1体はまだ治療のため、メフィラス星で製造された医療カプセルで眠っている。

前原に倣ったのか、メガネをかけたインテリビジネスマンに化けている。

彼らは今、前原の趣味であるチェスをしながら交渉をしていた。

 

「まあ確かに、何も請求しない訳では無い」

「…何が狙いだ」

「メフィラス星人としては地球侵略。俺個人としてはあの若い地球人の戦いを見続けたいのが目的だ」

 

前原としては、そこまで地球侵略に固執していない。

彼の同族達は侵略を望んでいるのだろうが、彼自身としては面白い物が観れればなんでもいいのである。更に自分が楽しく戦う事が出来れば最高だ。

そんな前原にとって、ウルトラマン=一樹は最高に面白い存在なのだ。

 

「……そのために、奴を治療しているのか?」

 

バルタンの目には、医療カプセルで眠る人間が3人。

そう、煉獄で前原が回収した、藤原に宗太、花澤だ。

 

「ああ、今のところアイツと1番面白い戦いを見せてくれる奴なんでな。他の2人はついでだ」

「……貧弱な人間を治療して、どうするつもりだ?」

「当然奴とまた戦わせる。特にコイツは奴にかなり執着してるようだからな」

 

藤原の入ってるカプセルをコンコンと叩く前原。

前原の()()に利用される藤原を一瞥するも、バルタンには関係ない話なので、それはどうでもいい。

 

「話を戻そう。俺がお前らに求めるのは、お前らと同時に地球に来たウルトラ戦士をさっさと地球外に追い出して欲しいってことだ。出来ればお前らも出ていって欲しいがな」

 

お前らがいると俺の()()()が減るんでな。

そう言う前原の言葉を聞きながら、バルタンは医療カプセルの隣にある、一際大きな培養カプセルを見る。

そこにあるモノと前原の実力を考慮し、バルタンは決断した。

 

「……分かった。我らは同族の仇を取り次第、地球から去ろう。あの変な空間を作るウルトラマンも倒したいが、何より奴を優先する。だが、櫻井一樹(オモチャ)()()()()倒してしまうかもしれんがな」

「好きにしろ。それでやられてしまうようなら、それまでの奴だったというだけだからな」

 

まあ、お前ら程度に奴を殺れるとは思えないがな。

自らの実力を過信しているバルタンを哀れに思いながら、前原はチェスの駒を動かす。

前原がチェックメイトを告げるまで、あと6手。

 

**

 

ハヤタとお気に入りのラーメン屋に食べに来ていた一樹とセリー。雪恵は門限があるから!と本当に泣く泣く留守番だ。

 

「いやはや、まさか()とご飯を食べることが出来るとはね…人生、何が起こるか分からんな」

「…()()は広い。こんな事があるから、面白い」

「全くだ」

 

種族としては宿敵に当たるハヤタとセリー。

そんな2人が同じ席でラーメンを食べてるなんて、知る人が見たらどんな反応をすることやら。

 

「しかし、美味しいラーメン屋さんだったよ。一樹君はいつもこういうのを食べてるのかい?」

「いつもというか、幼なじみ(一夏)か仲間(宗介達)といる時だけというか…」

 

自分だけでは、絶対に食べに来ないと暗に言う一樹に、ハヤタは不思議そうな顔をする。

 

「1人の時は来ないのかね?」

「そうですね…1人では中々歩くんで、どうも面倒で…」

「ああ確かに。1人で来るとなると、中々億劫ではあるね…」

「ご飯は誰かと食べると美味しいって、ホントに分かりますよ」

 

**

 

「……行ったか」

 

治療を終えた2体のバルタンは、前原に形だけの礼をすると、アジトからさっさと出て行った。

 

「…この程度の勝負しか出来ないのなら、奴に勝つなんて、無理な話だな」

 

前原の視線の先には、2つのチェス盤。

バルタン2体とチェスで対峙したが、なんの面白味も無い勝負だった。

前原が()()()見せた初歩的な隙にあっさりと引っかかり、強気に攻めてくるが…用意していた一手によって、あっさりカウンターを決め、そのまま攻め落とした。

つまらん勝負を見るくらいなら、いっそ自分で消してやろうかとも思ったが、そうすると厄介な初代が地球に残ってしまう。

流石の前原も、彼と戦いながら初代も相手するのは避けたい。最低限、バルタンには初代を追い出してくれないと困るのだ。

 

「…ま、奴らを消したらさっさと帰るだろう。なにせ、今は奴程の実力者を遊ばしておけるほど、宇宙は静かじゃないからな」

 

チェスボードに、自身の次の一手を打つ前原。この一手に、一樹(相手)がどう対処するのか楽しみにしながら、前原はバルタンが動くのを待った。

 

**

 

ハヤタが地球に()()()()()、はや1週間が経とうとしていた。

一樹もハヤタも、少なくない時間を捜索に充てていたが、流石は宇宙忍者と言うべきか、中々尻尾を出さない。

空中だけでなく、地下にも捜索を広げたが、特に怪しげな物は見つからなかった。

 

「(地球製のレーダーじゃ、あまりアテにならないか……相手が相手だから仕方ないけども)」

 

心の中で愚痴りながら、結局足で探している2人。

なるべく関係ない人を巻き込まないために、裏道裏道と移動してると、たまに面倒くさい輩に絡まれるが…まあ、見事に一樹のストレス発散道具にされている。しかも真島組に強制収容だ。

いつもなら軽いノリで話しかけてくる真島組の面々だが、一樹の圧倒的な不機嫌オーラに、会話をそこそこに撤収していたのはある意味見物だった。

 

「(やっちまった…あとでお詫びの酒樽でも事務所に手配しとこ…マサ兄にメールを入れて、と)」

 

連絡のためにスマホを取り出したところ…

 

____きこえる?ウルトラマンさん。

 

()()()()()()()()()

何処か、幼い子供のような声だ。

 

「(…誰だ?)」

 

テレパシーを使ってくる上に、一樹をウルトラマンと呼ぶなど、いくら声が幼くても警戒しない訳が無い。

 

____そんな警戒しないで?ぼくはあなたの敵じゃないよ?

 

「(悪いが、今まで何度もそう言って化けてる奴を見てるからな…流石に声だけの奴を信用するのは無理だ)」

 

____あ、そういうこと?でも…ぼく動けないんだよね…

 

「(はぁ?)」

 

____ぼくがあなたにテレパシーを送った事にも関係するんだ。宇宙座標AD1586に来て貰える?

 

宇宙座標AD1586…S.M.Sの宇宙レーダーの範囲外。そんなところからテレパシーを送ってくるなど、相当の実力者か、科学技術を持っている異星人なのは間違いない。

 

____もちろん、もう1人のウルトラマンに伝えてからでいいから。待ってるね。

 

そう告げると、テレパシーの送り主は静かになった。

 

「(……罠かもしれないが、行くしかないな)」

 

左腕の腕時計を操作、ハヤタに通信を送る。

 

『なにかあったのかね?一樹君』

「変なテレパシーに、宇宙座標AD1586に呼び出されました」

『なに!?』

「奴らの罠かもしれませんが、現状何の手がかりも見つけられないので、行ってきます」

『待て!私が行こう!』

「いえ、ここは実力もあるハヤタさんが残ってください。奴の罠だとして、地球を守れるために確実な人が残ってくれてた方が安心出来ます。大丈夫ですよ、俺は大多数から嫌われてるので」

『……嫌われてるのと、無事に戻るのはイコールにならないんではないか?』

「よく言うでしょ?憎まれっ子世に憚るって。てな訳で俺は行きます。もし俺が敵になるような事があったら、遠慮なく光線をぶち込んで下さい」

『……そうならない事を祈るよ。気をつけて行ってくれ』

「了解です」

 

通信を切ると、周囲に人がいない事を確認。エボルトラスターを引き抜き、赤い光球となって超高速で浮上した。

 

**

 

宇宙座標AD1586に着いたウルトラマン。

その眼前にあるのは、デブリの塊。

やはり罠か?と思った時だった。

 

____来てくれてありがとう!ウルトラマン

 

「……」

 

先程と同じ、幼い子供のようなテレパシーの声。

変身した事で感覚は鋭くなっているために感知を試みると、テレパシーの発進源は想像以上に近かった。なにせ、目の前のデブリの塊がそうなのだから。

 

「(俺を呼んだのは…お前か?)」

 

____うん、そうだよ。実は助けて欲しくて……

 

「(どういうことだ?)」

 

____このデブリの中に、ぼくたちの船があるの、分かる?

 

テレパシーを聞いた後、そのデブリの塊をウルトラマンはその瞳から放つ透過光線で確認する。

確かにその中に、宇宙船らしき物が確認出来た。

 

____実はぼくたち、今地球にいる2人のバルタンを止めに来たんだけど、こんな感じで逆に止められちゃったんだ…

 

「(……それで俺に助けを求めたと。だがな、お前も知ってるだろ?)」

 

____……うん、君たちウルトラマンと、ぼくたちバルタンには、深すぎる因縁がある。でも、なら何故君はぼくたちを攻撃しないの?今なら、ぼくたちには何も出来ない。君なら簡単に、ぼくたちを倒せるのに。

 

「(……お前とは、話し合いが出来そうだったからな。わざわざ、命を奪う必要は無いだろ)」

 

一樹は現に、バルタンとの初遭遇でも対話から始めている。

バルタンの知能の高さは有名だ。

あのバルタンが攻撃的だったのと、その復讐に来た2体目も、対話が出来ないタイプであったために、戦闘に至ってしまっただけだ。

 

「(そっちこそ、何故俺にテレパシーを送ってきた?あ、少し揺れるかもだ)」

 

両手の先から細めの光線を出し、宇宙船を傷つけないよう細心の注意を払いながらデブリを削っていく。

 

____僕達の声が聞こてる人が全然いないって言うのもあるけど、僕たちが止めようとしてるバルタンが、助けてくれる訳が無いって言うのと、君は敵対しない者は必ず助けてくれるって確信があったからかな。あ、そこら辺に動力炉あるから気をつけて。

 

「(あいよ。随分買われたもんだな。あ、ここら辺はブースターか?)」

 

____いくら敵意が無いと気付いたからって、君たちの宿敵種族のひとつ、ゼットンを助けたのはびっくりしたからね。あ、そうそう。ブースターは6基あるから気をつけてね。

 

会話をしながらも、着々とデブリを削っていくウルトラマン。

大分削れたが、それでも宇宙船は動けそうにない。

 

「(なあ、これ以上光線で削るのは流石に怖いんだが、大丈夫か?)」

 

____確かに。じゃあ、数秒だけバリア張るから、君の光線技で一気に壊してよ。君程の実力者なら、これくらいのデブリを壊すのは訳ないでしょ?

 

「(……確かにそれは訳ないが)」

 

____心配しなくても、データを取ったりしないよ。でも…その姿の光線くらいなら耐えられるのは知ってるよ。良くも悪くもね。

 

「(…そうかい。なら合図くれ)」

 

____うん。カウント5で行くよ。5…4…3…2…1…今!

 

「シェアッ!」

 

テレパシーの合図に合わせて、クロスレイ・シュトロームを放つ。

その威力によって、宇宙船にまとわりついていたデブリが吹き飛んだ。

 

____ありがとう!それじゃあ、地球に行こうか!

 

「(お前が止めてくれるなら、それが1番だからな…)」

 

____うん…僕もそれが良いと思ってる。ねえ、君の名前教えてよ。僕の名前は【シルビィ】!

 

「(…全部終わって、その時にお前が味方だったら、教えてやるよ)」

 

____分かった!約束だよ!

 

**

 

一樹がシルビィを助けに向かった頃、前原のアジトから出たバルタンは、2人ともインテリビジネスマンへと化けて街を歩いていた。

 

「止まって」

「「?」」

 

突如、2人の前に立ち塞がったのは低めの身長に、幼げな顔から女性らしい凹凸のハッキリした体躯の美少女…セリーだ。

 

「…貴様、地球人じゃないな?」

「我々に何の用だ?」

 

インテリらしく、メガネをクイッと上げながら話す2人。

対するセリーは、腕を組みながらあくまで対等に話し出す。

 

「…私は今の地球が大好きなんだ。このままでいて欲しいと思ってる。もしあなた達が地球が好きで、観光で来たのなら何も言わない。でも___」

 

そこで一息つくと、表情を鋭くさせ一言。

 

「____この星を害しようとするのなら、容赦はしない」

 

目の前の少女から発せられる圧に、バルタンは口笛を鳴らした。

 

「ふむ…中々の戦闘能力を持っているようだな。しかし安心したまえ。我々は()()()侵略に来たのでは無い」

「数多の同族を討ってきたウルトラ戦士が、今この星にいる。我々の目的はソイツだ」

 

バルタンの話を注意深く聞くセリー。

その左手の、()()()()()()()()()()を2人に向けながら。

 

「…もし、私がソイツを見つけて、地球から追い出したのなら、お前らは地球から出てくのか?」

「私は相手に合わせる性質(たち)でね。君のように対話から始めてくるのであれば、それに合わせるさ。君程の実力者なら尚更ね」

「…そう、それなら良い。お前らが、少なくともすぐ暴れたりしないのが分かっただけね」

「心外だな。我々はこれでも頭脳派だ。すぐに暴れ出す脳なしと一緒にしないでくれたまえ」

「…ソイツを見つけて追い出したとしたら、お前らは分かるのか?」

「ああ。具体的にどこ?とは分からないが、少なくともこの星にいる。というのはな。奴程の実力者は、いくら隠そうとしても光の波動が漏れ出る。()()()()君からもね」

「…」

「心配するな。君から出てる波動は、我々が探してる波動とは違う。君とやりあう気は無いよ」

「もし君が奴を見かけたなら、地球(ここ)から追い出してくれたまえ。それを感知したら、我々もここから出よう」

「…分かった」

 

不敵に笑うと、バルタン2人は背を向けて歩き出した。

あくまで対話が目当てのセリーもその背中に何かする事も無く、そっと見送った。

念の為姿が完全に見えなくなってから、そっと腕時計を口元に近づけた。

 

「…聞こえた?」

『ああ、バッチリね』

 

そう、セリーはバルタンを見つけてすぐにハヤタと通信を繋げていたのだ。

セリーとしては見つけ次第、一樹の手間を減らすために焼いてやろうかと思ったが、そこは一樹。もし仮に見つけたとしたらハヤタにすぐ連絡するよう伝えていたのだ。

 

「アイツら…本当の事言ってると思う?」

『正直、声だけでは判断出来ない。私にとって、バルタンというだけで悪いイメージから入ってしまうからね』

「…カズキと一緒じゃなければ、私もそうだったってこと?」

『…正直ね。君の事はセブンから聞いてはいるが、やはり面と向かわないとね』

「まあ、よく分かる。私も正直、カズキの近くで1度会ってないと会わないようにしてたと思う」

 

こればかりは仕方ない事だろう。それだけ、セリー(ゼットン)ハヤタ(ウルトラマン)の因縁は深いのだから。

 

「…一応、私の今の居場所を送った。多分まだ近くにいると思うから、後はお願い。私はユキエの傍にいたいから」

『了解だ。あとは任せてくれ』

 

**

 

シルビィと共に地球に戻った一樹。

スマホを見ると、セリーからバルタンと遭遇した連絡が来ていた。

 

「…シルビィ、奴らの目撃情報があった。今もその辺にいるか分からないが、行ってみるぞ」

『うん!分かった!』

 

横でプカプカと浮いている小さなバルタン。

一樹が今まで見てきたバルタンと違って、丸みもあり、とても愛らしい見た目のバルタンは、声も相まって幼く感じる。

 

「…ハヤタさんにも伝えとくか」

 

腕時計の通信スイッチを入れようとした、その時。一樹の勘が危険信号を発した。

咄嗟に横で浮いてるシルビィの腕を掴んで、庇う様に抱える。

 

「相変わらずの勘の良さだな……クズが」

 

瞬間、粘着質な殺気を感じた。

この嫌になる殺気を放てるのは、1人しかいない。

 

「…よお、随分元気そうだな。藤原」

「おかげさんでな」

 

宿敵、藤原修斗しか。

赤茶色のパーカーに青のジーンズで、フードを深く被ったその姿は、かつて正体を隠してた頃対峙してたのとよく似ていた。

違うのは、あの頃程顔を隠してない事だろうか。

フードの下の眼光は、とても鋭い。

 

「(悪いシルビィ、今は黙って俺の傍から動かないでくれ)」

 

小声で話すと、了承とばかりにシルビィはトン、と一樹の体を軽く叩いた。

 

「体の調子はどうだ?少なくとも今年1杯は動けなくなるくらいには痛めつけた筈なんだけどな」

「…ああ、お前にやられた傷は、お優しい前原が治療してくれたよ。メフィラス星の科学力でな」

 

小さく舌打ちする一樹。

可能性を考慮しなかった訳では無いが、それでもこんな早くには動けないと思っていた。

IQ1万の星人達の治療技術は、一樹の想像を軽く超えていたようだ。

 

「そう警戒すんな。()()お前と殺り合うつもりは無い」

 

思わず目を見開く一樹。

今までの藤原なら、どんな時であろうと隙あらば一樹を消すために戦闘を仕掛けてきていた。

そんな藤原が、少なくとも今は戦うつもりはないと言ったのだ。

 

「…何が狙いだ」

「僕は誰かに命令されたり、指示されるのが大っ嫌いなんだ。いくら僕に都合のいい話だとしても、ね」

 

前原の現段階の目的は、一樹の戦いを見ること。

そして、一樹と最も激しくぶつかるのは、一樹に対して強い憎しみを持つ藤原である。

藤原を治療すれば、ほっといても一樹と戦うと思っていたのだろうが…藤原の、誰かが自分の上に立つ事への嫌悪感は、一樹への殺意をも抑える程だったようだ。

 

「少なくとも、前原が地球にいる間は()()大人しくしててやる。まだ本調子でもないしな」

「……」

「さっさと前原を消せよ。そっから僕が殺してやる」

「目障りだってんなら、お前なら自分で消しそうだけどな」

「言ったろ?本調子じゃないってな」

「……」

 

一樹としても、前原といずれ戦う事は覚悟している。

藤原と協力して向かってくる可能性も考慮していた。

だが…本調子では無いとはいえ、()()藤原が気に入らない奴を自分で始末しようとしない事に疑問が残る。

少し、試してみる事にした。

 

「…本調子じゃないってのは本当だろうがな。それでお前が獲物を譲るとは考えにくい。まさか怖気付いてんのか?」

「…バカも休み休み言えよクズが。メフィラスの1人や2人で、この僕が手を引く訳無いだろ」

「だったらご自慢の力で前原を始末すればいいだろ?治療してもらったことに恩を感じてるか、ただの腰抜けかって思うのも仕方ないと思うが?」

「……」

 

無言で藤原は、刀…無限刃を【呼び】出した。

一樹も逆刃刀を【呼び】出して、それに対応する構えを取るが、同時に確証も得た。

 

「やっぱり怖いんじゃねえか。そりゃそうだよな。お前は今まで【理性】の無いバケモンしか従えた事が無い。それに…1度俺に完膚なきまでに負けた(それ)で挑んでこようとするのも、変身して戦ったんじゃ前原との【契約】に差し支えるってところか?」

「……」

 

端正な顔立ちを、憤怒の表情で歪ませる藤原。

藤原は【知性】はあるが【理性】はそこまである方では無いと認識している一樹にとって、藤原がこれだけ煽っても動いてこないのは、それだけ前原との【契約】が効いているのだろう。

 

「……クッソ!」

 

最後まで一樹に反論出来ず、藤原は苛立たしげに無限刃を消すと、闇に包まれ消えていった。

 

『…アレ、なんなの?』

「振られた女に執着してるストーカー。で、今その女と付き合ってる俺を殺せば付き合えると思ってる外道」

『最悪だね』

「ちなみに親が医者で、顔も金払いも良いから昔はよく別の女達には囲まれてた。肝心なのには全く見向きもされてなかったがな」

『辞書に乗っけたいくらいの王道なクソ野郎だね』

「年齢制限モノだったら色々やばかったろうな。やろうもんなら尊厳をぶっ殺して心も殺すが」

『NTRは最低だね』

「言っといてなんだが地球の文化に詳しすぎないかシルビィ」

『地球の漫画とかの娯楽は宇宙でも大人気だよ?絵柄が好みなのにストーリーで吐いたって話もよく聞くし』

「罪深すぎだろ地球人…」

 

頭が痛くなる情報を聴くと、一樹はシルビィと共にハヤタと合流するために歩き出した。




NTRは大嫌いです。

ネタ抜きで。

三次小節とかで一樹×雪恵のイチャラブ書いて欲しい(年齢制限含む…でも雪恵はドM定期)とか生意気言うフルセイバーだけどNTRは許さん絶対にだ(鋼の意思)
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