人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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やりたいことはいっぱいあるのに、中々そこまでいけない実力の無さに泣いてます


Episode147 髑髏-レッドキング-

「俺の仲間曰く、さっきまでこの辺りに奴らがいたらしい…同族同士のテレパシーか何かで察知出来ないか?」

『う〜ん…テレパシーを発してたりするならともかく、一応は極秘で動いてるみたいだから、流石に分からないよ』

「そうか」

 

シルビィの言葉に、特に落胆することもなく頷く一樹。

 

『…怒らないの?』

「むしろ怒ると思われてる事が不思議なんだけど?」

『だって、バルタン同士なら分かると思ったから僕を連れてきたんでしょ?』

「ん〜…まあ、分かってくれたら良いなって感じだったし。別に怒ることじゃないよ」

『…同族を感じないって事も信じてくれるんだね』

「嘘をつく必要があるのか?」

『無いけど、僕たちは長く争ってきた歴史がある。疑われても仕方ないと思ってさ』

「あー…」

 

シルビィの言いたい事は理解出来た。

だが、一樹からしたらそもそも認識が違う。

 

「…多分、今シルビィと話してるのがマント持ちとか、無限の奴とか、どこぞの元チンピラの青いヤツだったらそうかもな」

 

___誰が元チンピラだよ!!??

 

『…なんか聞こえたけど』

「気にすんな。事実を述べてるだけだしな。まあとにかく…ぶっちゃけ俺からしたらそこまでシルビィ達バルタンと因縁がある訳じゃない」

『…少なくとも、君もバルタンと2回争ってるけど?』

「逆に言えば、()()2()()()()()()()とも言える。まず、俺自身はまず地球人だから、あの人達程バルタンと長い因縁は無い」

『え?だって君は…』

「俺は確かに、今はウルトラマンとしての顔も持ってる。だけど…」

 

___M78星雲の生まれのじゃない。

 

『…あ、そっか』

「そのおかげだろうな。まあ、おしゃべりはそこまでだ。探すのを再開しよう(感覚で探すんなら、ぶっちゃけ一夏の力を借りたいんだけどなぁ…)」

 

一樹の評価として、戦場や、己にかけられる殺気の探知からの反応では負けるつもりは無い。

だが、単純に気配を察知する能力や感知距離の長さでは、一夏の方が断然上だと思っている。

調子に乗りすぎるので、褒めにくいのが難点だが。

 

**

 

場面は変わり、セリーから連絡を受けたハヤタが、現場に着いたところだ。

お互い、自分の気配を最低限まで隠しているうえにどっちにとってもアウェーな地球な以上、捜索は足というアナログな方法しか無い。

だが、ハヤタにはかつて地球で過ごしてきて得た土地勘がある。

必ず、バルタンを先に見つけるという固い意思で歩き続ける。

そんなハヤタの前に…

 

「…お前が、アイツらが【マント持ち】と呼ぶ戦士の中で、特に上位の奴か」

「ッ!?」

 

【闇】から、藤原が現れた。

藤原の存在をセブンから聞いてはいるハヤタだが、やはり実際に見ると、その異常な程の【闇】の濃さに驚く。

あの【マント持ち】ナンバー2にそこまで思わせる程、今の藤原は大きな【闇】を纏っていた。

 

「…おい、答えろよ」

「仮にも目上に対する口の利き方では無いな。初めて話した地球人が君でなくて本当に良かったよ」

「…ただの老いぼれにしか見えないな。なるほど、アイツの言う通り気配を隠すのは上手いって訳か。それなら…」

 

懐からブラックエボルトラスターを取り出すと、頭上で数回まわしてから、大地に闇を流し込んだ。

瞬間、大地が大きく揺れる。

 

「ッ!?何をした!!?」

「流石の僕も、【六兄弟】に何の情報を無しに挑む事はしたくないからね。嫌でも実力見させてもらうよ」

 

**

 

《キィィィィ!!》

 

藤原が闇を流した事で、大地に眠っていた【レッドキング】が目を覚ました。

長く眠っていたレッドキングは眠気覚ましとばかりに周囲の建物を破壊していく。

ハヤタと合流する為に向かっていた一樹とシルビィも、それを認識。現場に向かって走っていた。

 

「チッ!ハヤタさんと合流したかったのに!!」

『ど、どうする!?こんな状況じゃ捜索なんてしてられないよ!?』

「…あの怪獣からは、さっき話してた陰湿ヤローの気配がする。多分、狙いはハヤタさんの戦い方を見るか、ハヤタさんが出てきて、バルタンも同時に相手取らせて邪魔者纏めて片付けようとしてるってとこかもな!!」

『そんな!そんな事したらいくら彼でも被害は抑えきれないよ!?』

「ああ、だから…(ミオ、ノワールとの個人回線を頼む)」

『あいあい』

 

一樹の指示に、ミオがセリーのノワールと回線を繋いだ。

 

『…どうしたの?カズキ』

「(セリー、今どこにいる?)」

『ユキエと一緒に学園にいるけど…』

「(それなら丁度良い。ちょっと保護して欲しいヤツがいるんだ。ポイントZN39に来てくれないか?)」

『ZN39…あ、ここだね。分かった。今行く』

 

その言葉が終わるとすぐ、セリーがテレポートしてきた。

 

「ッ!バルタン!!」

「(ストップ。こいつは協力者だぞセリー)」

 

一樹の脇にいるシルビィを見て、戦闘態勢を取ろうとするセリーを引き続き個人回線で制止する一樹。

 

「…」

『こ、こんにちは…』

 

流石の一樹の言葉と言えど、疑いの目をシルビィに向けているセリー。

シルビィは一樹の影に隠れながら、とりあえず挨拶する。

個人回線で声をかけたのは、まだ名乗っていないと言う事でもあることを察して、セリーも個人回線で返した。

 

「(……カズキがそう言うなら)」

「(ありがとな。とりあえず、雪達の事だから今頃チェスターで出撃してるだろうから、セリーはここでシルビィを守ってくれるか?俺はアイツの相手をしなきゃいけないから)」

 

今現在、周囲の建物を破壊しながら進んでいるレッドキングを指さしながらセリーに頼む一樹。

渋々セリーは頷いた。

 

「…分かった。おいお前、少しでも変な動きしてみろ。いくらこの人の協力者でもその時は燃やすからな」

『う、うん。分かったよ』

 

ここが妥協点だろう。

それを分かっているから、シルビィは大人しく頷いた。

 

「それじゃ、シルビィ。コイツと安全なとこに避難していてくれ。俺はアレの相手をしてくる」

 

言うが早いか、レッドキングに向かって一樹は駆け出した。

 

**

 

「どうした?早くアレを止めないと大変な被害が出るぞ」

「……」

 

やむを得ず、懐に手を伸ばすハヤタ。

だが、懐からソレを出す直前。

 

「デェアァァァァ!!」

《キィィィィ!?》

 

一樹が変身したウルトラマンの飛び蹴りがレッドキングに命中。

レッドキングを大地に転がした。

 

「…チッ!お前は呼んで無いんだよクズがぁぁ!!」

 

頭に血が登った藤原は、後先考えずブラックエボルトラスターを引き抜いた。

 

**

 

《キィィィィ!》

「フッ!」

 

蹴飛ばされた事で激昂したレッドキングが、その剛腕を振るってくる。

対する紙一重で避け、空いた胴に回し蹴り。

 

「ハッ!」

《キィッ!?》

 

そこまで知能がある訳では無いレッドキング。

ただ怒りに任せて腕を振るうが、ただ力を振り回すだけでは、激戦をくぐり抜けているウルトラマンの相手では無い。

柔術の要領で、レッドキングの力を利用してバランスを崩して再び大地に転がす。

レッドキングの起き上がりに合わせて、頭上を飛び越える事で一瞬レッドキングの視界から消えると、レッドキングの尾を掴み、ジャイアントスイング。

 

「シュアァァァァ…デェアァァァ!!」

《キィィィィ!!?》

 

投げ飛ばしたレッドキングに油断無く構えていたウルトラマン。

しかし…

 

「フッ!?」

 

ウルトラマンとレッドキングを含む周囲が、闇に包まれる。

 

『デュアァァァ!!』

「グオッ!?」

 

背中にドロップキックを喰らってしまい、大地に倒れるウルトラマン。

ドロップキックをしたのは、この闇…ダーク・フィールドを展開したシャドウ・デビルだ。

 

『お前じゃない…お前が出る幕じゃ無いんだよおおお!!』

「…前原の望み通りには動かないんじゃ無かったのか?」

『んな事はどうでもいい!僕が今見たいのはあのマント持ちの力だ!!お前じゃ無いんだよ!!』

「やっぱりか…それが分かってて俺があの人の力を見せる訳ねえだろ?それに…」

 

後ろから近づいてきていたレッドキングに強烈な裏拳を決めた後、ウルトラマンはジュネッスにチェンジした。

 

「フッ!シェアッ!」

 

銀色から真紅の体に変わると、シャドウに向けて拳を向ける。

 

「お前ら程度を相手してる程、あの人は暇じゃねえんだよ」

『ふざけんなァァァ!!』

《キィィィィ!!》

 

ダーク・フィールドの影響か、瞳が赤くなり、更に凶暴さを増したレッドキングがシャドウと同時に駆け出す。

怒りで冷静さを欠いているシャドウの拳など、今のウルトラマンに当たる筈が無い。

伸ばされた腕を掴むと、素早く肘打ちを喰らわせ、蹲ったシャドウをレッドキングにハンマー投げの様に投げた。

 

『グゥッ!?』

《キィィィィ!?》

 

衝突した事で動きを止めるシャドウとレッドキング。

その隙を逃すウルトラマンでは無い。

軽く跳んだかと思えば、マッハムーブを使用。

シャドウとレッドキングに怒涛の連続蹴りを喰らわす。

 

「フッ!ハッ!シェアッ!!」

『グゥッ!?』

《キィィィィ!?》

 

自らに有利な筈のダーク・フィールドで、更に手駒もいる中圧倒されるシャドウ。

シャドウの動きが止まってる隙に、ウルトラマンはエナジーコアにエネルギーを溜める。

 

「シュッ!ファァァァ…テェアッ!!」

《キィィィィ!?》

 

コアインパルスを発射し、レッドキングを撃破した。

そして、シャドウにトドメを刺すために対峙するが、嫌な予感がした為、動きを止めた。

 

【ふむ。君の危機察知能力は素晴らしいね】

 

いつの間にか闇に紛れていた、バルタンの1体がシャドウの隣に現れた。

 

【何、君たちの邪魔はせんよ。ただ、コレはわたし達が頂いていこう】

 

警戒するウルトラマンに対して軽く告げると、シャドウは眼中に無いと前を通り過ぎる。

バルタンの目当ては、コアインパルスを喰らって今にも消滅しそうなレッドキングだ。

無言で両腕のハサミを向けると、冷凍光線をレッドキングに当てて消滅を止めた。

これまた闇に隠れていた円盤にレッドキングを取り込むと…

 

《フォフォフォ…》

 

宇宙忍者の異名の通り、うっすらと消えていった。

 

『クソォッ!!』

「……」

 

最期までバルタンの眼中に無かったシャドウが、大地に怒りをぶつける。

バルタンの気配は消えたが、シャドウの脅威は残っている。

不利なこの空間において、ウルトラマンの優先順位は消えたバルタンよりも目の前のシャドウだ。

 

『どいつもこいつも、僕をコケにしやがってえええ!!』

 

シャドウの怒りに呼応し、ダーク・フィールドの大気が揺れる。

ビリビリと向けられる殺気に、ウルトラマンは静かに構える。

 

『冷静ぶるなよ!!クズが!!』

 

前原を初めとして、バルタンにもコケにされたシャドウはいつになく怒りに任せた行動を取り続ける。

当然、激闘をくぐり抜けてきているウルトラマンにそんな力任せの攻撃が当たる訳もなく、そのことごとくを捌かれている。

大ぶりの拳に合わせて踏み込みエルボーを喰らわせて怯ませると、クロスレイ・シュトロームを放つ。

 

「フッ!ハアァァァ…テェアッ!!」

『グゥッ!?グァァァァ!?』

 

クロスレイ・シュトロームはシャドウに直撃。

シャドウは胸を苦しそうに抑えながら消えていった。

 

**

 

「ゴホッ!?」

「……」

 

一樹と藤原、共に変身を解いた2人が珍しく対峙している。

当然ながら、今更和解など出来る関係では無いので空気は最悪だが。

 

「……お前、何考えてる?」

 

ブラストショットを右手に持った状態で、一樹は藤原に問う。

 

「僕は前原の思い通りには動かない…そう言ったろ」

 

対する藤原は、先程まで発していた殺気を引っ込めると、懐から水の入ったペットボトルを取り出して口に含む。

口の中に溜まっていた血を水と一緒に吐き捨てる。

 

「僕は自分の実力を見誤ったりしない。今の僕が幾ら暴れたところで、お前にも…前原にも勝てないのは分かってる」

「……いくら倒しても倒しても這い上がってくる生命力は鬱陶しい程強いのにな」

「うるさい。僕が今すべきなのは、前原とお前を倒すために力をつけることだ。前原もバルタンも、僕はまるで眼中に無い。この状況を利用しない手は無い」

「……」

「なあ、お前にとっても前原は鬱陶しいだろ?」

「…何が言いたい」

 

険しい顔の一樹に、藤原は言った。

 

「僕と手を組めよ。前原を消すためにな」




光と闇は手を組むのだろうか…
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