人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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お久しぶりです!

今回、少し表記方法を変えてみました!

内容は相変わらずですが、お楽しみください!


Episode150 隕石-メテオ-

「シェアッ!」

《グルァァァァ》

 

ある紅葉の広がる秋晴れの日、山中でウルトラマンとレッドキングが戦っていた。

 

改造された以前の個体ならともかく、今回の様な通常のレッドキングに圧される程、今のウルトラマンはダメージを負っていない。

 

しかし、問題点は別にある。

 

**

 

「(ほんとに、そうだった…)」

 

ウルトラマンとレッドキングの戦いを援護しながら、簪はモニターを見ていた。

 

そのモニターに表示されているのは、3()()()()()()()()()()()()()()に撃ち込んだ、マーカーである。

 

ここ1ヶ月程、レッドキングが連続で出現、あまりの頻度に、簪をはじめとした千冬達は異常発生を疑ったが…

 

『…悪いが、次現れたレッドキングにマーカーを撃ってくれないか?』

 

静かに、しかしはっきりと言ったのは、一樹だ。

 

ほぼ理由を断定しているのか、妙に落ち着いているのが簪の印象に残っている。

 

千冬や麻耶も、一樹が言うならとマーカー弾を用意し、すぐに登場したレッドキングに撃ち込んだ。

 

**

 

「束さん、マーカー弾ありがとうございます」

 

『全然良いよ〜。でもね?頼まれてた通り、細胞浸透式のマーカー弾にしたけど、効果は半月程度しか無いよ?』

 

「最近のレッドキングが出てくる頻度を考えると、1週間もあれば俺の知りたい事は知れる。充分です」

 

『…ねえかずくん、最近、寝れてる?』

 

「……マーカー弾の装填、お願いします」

 

束との通話を切った後、VF-25F(メサイア)の近くで横になる一樹。

 

ここ数週間、あまりの出撃頻度に仮眠程度しか寝れていない上に、雪恵が来る以前の生活に戻ってしまっている。

 

しかも…

 

「すぅ、すぅ…」

 

「Zzzzz…」

 

δ機、VF-25F(メサイア)のコクピットで眠るのが一夏と弾だ。

 

なんなら仮設とはいえベッドで寝れている一樹より疲れは取れていないはずだ。

 

どちらかと代わろうと提案したが、『1()()()()()()()()奴が何言ってんだ』と、即時却下された。

 

あまりの出撃頻度に、千冬と麻耶も何も言えず、男子陣は格納庫で仮眠をとる生活がここ1ヶ月は続いている。

 

「(早くどうにかしないと…みんな、潰れちまう)」

 

**

 

「バルタンめ…無粋な事を…」

 

前原は苛立たしげにチェス盤の()()()()の駒を動かした。

 

桂馬の駒の周囲には【香車】と【桂馬】が置いてある。

 

今までウルトラマン…一樹陣営を【白】、己の陣営を【黒】としてチェスの駒を動かしていた前原だったが、バルタンという第三の陣営が思った以上に影から動き出したために、急遽将棋の駒を追加したのだ。

 

前原から見て、大熱戦中だったチェス盤を荒らす、邪魔な客であることこの上無い。

 

「…仕方ない。アイツらに【仕事】として預けたアイツの動きを待とう……少しは状況が良くなるといいんだがな……」

 

自身の黒の【兵士】を王将の隣に置き、【塔】へと昇格させた前原。

 

席を立ち、動き出した。

 

**

 

マーカー弾により、何度も同じ個体と戦っている事が判明した。

 

すぐさま束を中心としたチームが結成され、原因の特定を急いでいる。

 

流石の一樹も、このチームに参加する気力は残っておらず、可能な限り休息をとる事を伝えていた。

 

無論、誰も反対意見など出さず、一樹はようやく可能な限り自室のベッドで寝れるようになった。

 

一夏と弾も、レッドキングとの戦闘データが十分集まったとのことで、各員交代制となった事でようやく休めれるようになったのは幸いといえるだろう。

 

「すぅ、すぅ、すぅ…」

 

穏やかな寝息をあげている一樹の横で、音を出さないようそっと掃除や洗濯等の家事をこなしている雪恵。

 

一樹が寝てる間の有事に対応出来るよう、その部屋で雑誌を読みながら待機してるセリー。

 

一樹が安心して休めるよう、使えるもの…使うことを許されている全ての物を使ってサーチしているミオ。

 

それぞれが、出来ることを全力で行っていた。

 

『(……ん?)』

 

そんな時だった。

 

S.M.Sのレーダーを使用していたミオが、火星と木星の間にある小惑星帯に、妙な反応を見つけたのは。

 

『(…マスターに伝えるより、先に団員さんに調べてもらった方が良いかな?う〜ん…)』

 

しかしこの反応が危険なものだった場合、やはり早期対応が必要である。

 

悩んだミオは実体化すると、雪恵を経由して宗介に連絡する事にした。

 

これならば、団員を動かすかの判断を宗介達TOP7にしてもらえると考えたのだ。

 

**

 

「火星と木星の小惑星帯に、変な反応?調べるのは全然構わないが、もう少し場所絞れないかな?ミオに聞いてみてくれ。こっちのログも遡ってみるから」

 

雪恵から電話を受け取った宗介、隣にいる理香子にメモを取ってもらいながら、詳しく話を聞いていく。

 

『ミオちゃんによると、ポイントJX19-2だって…これで場所分かる?』

 

「ああ、充分だ。宇宙(そら)に連絡しとく。後の調査はこっちに任せてくれ…一樹には、なるべく隠してくれよ。アイツが知ったら体調無視して動きかねない」

 

『うん、分かってる…後はお願いね』

 

「任された」

 

雪恵との通話を終えると、理香子に目を向ける。

 

「出来たか?」

 

「もちろん。はいこれ」

 

主語を言わなくても通じるのは、流石の2人である。

 

メモには雪恵から聞いた事に加えて、この調査に適した人物まで書かれている。

 

流石はS.M.Sナンバー2の恋人兼秘書である。

TOP7の面々と同じレベルで、S.M.S内の人間を熟知している。

 

「人物の選定は、あくまで私のだから…合ってなかったら変えてくれていいからね」

 

「……いや、コイツらで良い。コイツらの腕なら、問題なくバルキリーで調査出来る」

 

ポンポン、と理香子の頭を撫でてから、宗介は宇宙と連絡を取るのだった。

 

**

 

「いいかテメエら。今回の仕事はボスを助けれる、絶好のチャンスだ。必ずやり遂げるぞ!」

 

「「「押忍!!!」」」

 

宗介から連絡を受けた佑人が、防衛課の06小隊に指令を出すと……佑人の想像の3倍は張り切っていた。

 

「(宗介と理香子の選定に、全く文句無かったけど…もう少し一樹からも仕事振ってもらおう…コイツら、ちょっと感激で泣いてるし)」

 

基本的に、マニュアル通りの仕事しかやらない所属団員達。

 

最優先事項である【一樹の頼み】が無ければ、基本的(TOP7、主に一樹は除く)に気楽(彼ら基準)な仕事なのだ。

 

「佑人のアニキ!今回は俺たちにボスからの指示を回して頂き、ありがとうございます!」

 

「この作戦、必ず皆さんのご期待に応えます!」

 

「ポイントJX19-2への、調査」

 

「これより、06小隊、出動します!」

 

ビシッ!!と敬礼してくる4人に、苦笑を浮かべる佑人。

 

「あー、あくまで調査だ。何か異変があったら即時撤退しろ。バルキリーの装備も、遠距離から見れるようにしてるからな。仮に危険性を確認したとしても、戦おうとせず、全力で戻るように」

 

「「「「了解!!」」」」

 

**

 

「ふぅ…鍋焼きうどんはやっぱり体が温まる…温かい飯自体が久しぶりだから、心も落ち着くぜ」

 

『マスター、最近ずっとゼリーだったもんね…』

 

06小隊がエターナルから出撃した頃、地球のIS学園では久しぶりにゆっくり食事を取れている一樹の姿が。

 

ほくほく顔の一樹が珍しいからか、そーっとカメラを構えて近づこうとする黛だが…

 

「仮にも戦闘のプロに、コソッと近付いてくるとか、殴られても仕方ないぜ?」

 

「すいませんでした!!!」

 

一瞬で背後に回った一樹に、肩を掴まれてしまった。

 

背筋を伸ばして謝る黛に、軽く笑いながら軽く肩をポンッと離す。

 

「でも、櫻井君が食堂にいるの、久しぶりだよね」

 

「ここ最近、ハードだったんでね……」

 

遠い目で語る一樹に、黛は色々察したのだった。

 

PiPiPiPi!!

 

「……ん?なんだ?」

 

「あ、見ていいよ。櫻井君に来る連絡って、ほとんど緊急のイメージだし」

 

「……否定出来ない。じゃあ失礼して、っと……ん?」

 

通知画面を見て表情が険しくなる一樹。

 

すぐさま電話に出ると、食堂を駆け足で出ていった。

 

「アレは、また大変そうだな…さてと」

 

黛は走り出した一樹が見えなくなると、一樹の座っていたテーブルに近づき…

 

「お片付けくらい、やってあげますか」

 

一樹が置き忘れた食器の片付けを始めるのだった。

 

**

 

「宇宙に生物反応があったってどういう事だ!?」

 

管制室に駆け込んですぐ、怒鳴るように聞く一樹。

 

既にその場に主要人物は集まっており、これから説明が入るそうだ。

 

「我々も今連絡が来たところなんだ。コレを見てくれ」

 

千冬の合図の後、モニターに表示されたのは…

 

「…タイラント」

 

そう、かつて一樹__ウルトラマンがAやS.M.S達と協力して倒したタイラントだ。

 

しかし、かつて戦ったものとは、違う点が存在した。

 

「…なあ、あの怪獣って、頭に赤い羽根あったっけ?」

 

一夏の言葉に、代表候補生達は揃って首を振る。

さらにもう1つ加えると、そのタイラントはケンタウロスのように、四足歩行となっている。

 

以前の様な胴体に、後ろ足が生えたとでも言おうか。

 

更に一緒に映ってる岩と比較すると、以前よりかなり大きくなっていると見える。

 

「…カズキ」

 

不安そうに一樹の手を取るセリー。

 

安心させるようにそっと頭を撫でた後、一樹は立ち上がった。

 

「…宇宙(そら)に上がる。悪いが、念の為に一夏はS.M.S本部に連れていくぞ。仮にも護衛役なんでな。弾も一緒だ」

 

「……分かった。許可しよう」

 

**

 

「06部隊と連絡が取れない、だと!?」

 

VF-25F(メサイア)とクロムチェスターδ機でS.M.S本部に着いた一樹達が宗介から聞いたのは、調査に向かった06部隊が消息不明という報せだった。

 

「…アイツらを怒るなよ一樹」

 

「コレは怒ってるんじゃなくて焦ってるんだ!!俺に連絡しないで偵察に行ったとか今更お前らに文句言わねえよ!!ただ団員が消息不明となれば話は別だ!!!」

 

話を聞くに、ミオがS.M.Sのレーダーに一瞬反応したのを危惧、宗介達に調査を依頼したとのこと。

 

それはココ最近の疲労が抜けていない一樹への気遣いなのは分かっているし、何よりも自分が信頼しているS.M.Sに頼んでくれたのだ。聞かされていなくても別に良い。

 

だが、調査に向かった部隊から、タイラントと思われる怪獣の写真以降連絡が途絶えているというなら話は別だ。

 

「クソっ!整備班!急いでメサイアを大気圏離脱仕様に調整してくれ!一旦エターナルへ向かう!弾、操縦いけるか?」

 

恐らく、小惑星帯で戦闘になる。

 

その事を考えると、なるべく体力や集中力を温存しておきたい一樹。

 

「…若葉マーク貼りたてって条件でいいなら、な」

 

つい最近、訓練過程を終えたばかりの弾。

 

そんな操縦で、この大企業のトップを運ぶのは流石に忌避する。

 

「俺がやろうか?少しでも一樹は休んどかないとだし」

 

数回程、大気圏離脱操縦の経験がある一夏が手を挙げる。

 

確かに弾よりかは安心出来るが…

 

「…お前らはそれぞれで上がってくれ。幸いな事に、お前らは専用機で自身の安全は保証されてるしな。俺は…」

 

そこで、まだ誰もいない扉の方を見る一樹。

 

正面にいた宗介は流石といわんばかりに肩をすくめている。

 

一夏と弾がキョトンとしていると…

 

「…頼んでいいか?一馬」

 

「もちろん。そのためにノーマルスーツ着てるんだからな」

 

ガチャッと扉を開けて入ってきたのは、TOP7の1人、星野一馬だ。

 

一樹が最も信頼出来る者の1人が現れたのだ。

 

一樹が頼むのも、理解は出来る。

 

だが…

 

「「(なんで部屋に入ってくる前に誰が入ってくるか分かったんだ?)」」

 

伊達に宗介達の鬼特訓は受けていない。

 

誰かが部屋に入ろうとしているのは察知していた。

 

しかし、それが一馬だとまでは察知していなかった。

 

「弾、足音とか聞こえたか?」コソコソ

 

「いや全く。というか、この人達が俺たちに分かるような違いを出すとも思えない」コソコソ

 

「分かってはいたつもりだけど、やっぱりTOP7エグいわぁ…」コソコソ

 

「おいテメェら。後ろには俺がいること忘れてるだろ」

 

ピシッと固まった一夏と弾。

 

ギギっと油が切れたロボットの様に振り向くと、呆れた顔の宗介がいた。

 

「……そんなに【俺たち】を察知したいってんなら、徹底的に鍛えてやるが?」

 

「「勘弁してください!」」

 

S.M.Sのトップは間違いなく一樹だ。

 

だが、何度も言う様に訓練の監督は宗介達の方が圧倒的にえげつない。

 

S.M.S防衛科の誰もが、最初の1回を受けるまでは『一樹含め側近達に訓練を観てもらえる!』とワクワクするが、1度それぞれのを受けた後では『ボス!!助けてください!!』となる。

 

当然、一夏も弾も防衛科所属なので…その地獄を、何度も見ている。

 

「……最近、IS学園の訓練程度しか受けてないんだろ?どのみち、この問題が解決したら俺か和哉が訓練観てやるから覚悟しとけ」

 

「「助けてくれ一樹!!!!」」

 

恥も外聞もなく、涙と鼻水を垂れ流しながら一馬と打ち合わせしている一樹に泣きつく2人。

 

「うるせぇなァ……今それどころじゃねえんだ。訓練前に()()()()()()()()なら大人しく準備してろ」

 

「「Yes.sir!!」」

 

背筋が凍る程冷たい一樹の目に、彼の怒りに触れてしまったと察したのか、ビシッと敬礼した後、慌てて出る2人。

 

「……宗介、この件が終わったらアイツらを預ける。お前か和哉…1人だけなんて生ぬるい。智希も含めた3人でしごきあげろ」

 

「あいよ」

 

後ろである種の死刑宣告をされてる事は、今は知らなくていい事だ。

 

「それじゃ一馬、悪いけど俺はしばらく寝る。エターナルに着いたら起こしてくれ」

 

「ほいほい、任された。とりあえずエターナルにも連絡してあるから、着くまでは休んでな」

 

大気圏離脱という、難易度の高い物+その時にかかるGすら気にしてないとばかりに話す2人。

 

蒼をベースとしたノーマルスーツを着た一樹は、ヘルメットをしっかり被った上とはいえ、よく寝られるものだ。

 

それだけ、一馬を信頼してるということでもあるが。

 

「…すげえよな。あの信頼関係。俺もああなりたいぜ」

 

大気圏離脱のために、今回はVF-25Aの専用ブースター装備に乗る一夏。

確認作業を終えた一夏の呟きに、同じくA型に乗る弾も続く。

 

「でもさ、そうなるためには…」

 

「今以上の、修羅場超えないとか…」

 

**

 

「おい、みんな無事か?」

 

「はい、隊長」

 

「全員無事です。今は、ですが…」

 

「分かっている。なるべくこの部屋のエアーを使わない為に、ここからはEx-ギアの脳波通信で会話する」

 

06隊は、全員無事だった。

しかし、彼らの機体はそうではなかった。

 

「(ボス…安全装置の調整、戻ったら感謝させて下さい)」

 

調査ポイントまで慎重に近づいていたその時だった。

 

バルキリーが強制的に全パイロットを脱出させたのは。

 

その直後だ。

 

ある機体はモーニングスターの様な球体によって破壊された。

 

ある機体は鳥の羽根の様な物が無数に突き刺さった。

 

ある機体は、シンプルに焼き尽くされた。

 

ある機体は…謎の軌道で飛んできた隕石に追突された。

 

一樹がかなり念入りにプログラムを調整した事を伝えていたのもあって、唐突に放り出されたというのに06隊は冷静に近くの小惑星に全員着地。

 

ISとEx-アーマーの技術を応用した簡易ステーションを建て、そこに避難している。

 

「(ノーマルスーツのエアーは…残り数十分、ステーションも合わせて…数時間といったところか。ステーションをフル点検した後で助かった)」

 

06隊長はそこまで思考した後、グルりと自分の部下を見回す。

 

これだけの緊急事態だというのに、3人の部下は落ち着いて見える。

 

長である自分の指示を待っているのもあるだろうが、全員が生きているのに安堵してるからだろう。

 

『隊長、どうしましょう?エターナルへの緊急通信をするのは確定として、ここがどこか説明する方法が分かりません』

 

 

『その点含めて確認する。全員、Ex-ギアがどこか損傷してたりするか?』

 

全員首を横に振る。

とりあえず、ノーマルスーツのエアーも全員同じ程度残ってる事に安堵する隊長。

 

『通信だが、我々のバルキリーには常に専用発信機が反応している。よって、それが破壊された事をエターナルは察知しているはずだ。つまり、我々が出来ることは…』

 

『救助を待って大人しくしてる、ですか?』

 

『大体正解だ。どこぞの政治家ならともかく、ボスやアニキ達が俺らを見捨てると思うか?』

 

『『『いえ全く』』』

 

『そういう事だ。救助については期待して待ってて良い。だが、問題は…』

 

『バルキリーが破壊された理由、ですよね?』

 

隊員たちの表情が強ばる。

 

ただの隕石とかで破壊されたのならば、後でボスである一樹に土下座すればいい。

 

しかし、今回は…

 

『一応、常にカメラ映像はエターナルに送っていたので、ボスたちに役に立つ物が映っていればいいんですが…』

 

安心してほしい。

 

1番大事な物が映っていたし、送られてもいるのだから。

 

**

 

一樹たち4人は、無事にエターナルに合流出来た。

 

佑人から反応の消えた地点を教えてもらい、救助に向かう準備を整えた。

 

地球から乗ってきた3機に加え、エターナルに置いてあったVF-25Aに一樹が搭乗。

 

これで、それぞれの複座に06隊を乗せる計算だ

 

普段のOSをメモリに記録させておいてから、専用OSに書き換え、準備万端。

 

『一樹、気をつけてな。3人も、一樹のフォロー頼む』

 

「心配、ありがとうな佑人。エターナルを頼むぜ」

 

『佑人、お前こそエターナル壊すなよ?』

 

『2人の足でまといにならないよう気をつけるよ』

 

『救助したら速攻戻っていいんだよな?』

 

『おう、一馬はともかく、お前らそこまで宇宙空間の訓練受けてないだろ?危ないから、06隊を回収したらすぐ戻ってこい。不意打ちに気をつけてな』

 

**

 

「06隊のバルキリーが破壊された地点まであと少しだ。一馬以外の全員はハイパーセンサーも使おう」

 

『『了解』』

 

宇宙空間独特の暗さが、慣れてない一夏と弾に冷や汗を流させる。

 

それに対して流石といえようか、一樹と一馬は庭のように宇宙空間を飛んでいる。

 

それを見て、一夏と弾は宇宙空間の訓練を増やすことを決意していた。

 

「ミオ、頼む」

 

『合点承知』

 

ミオのハイパーセンサーを使って、タイラントを探し始める一樹。

 

しかし、その試みは不要だったらしい。

 

___ドックン

 

「ッ!?全員上がれ!!」

 

『『『ッ!!』』』

 

一樹の叫びに反射的に操縦桿を引く3人。

 

瞬間、モーニングスターの様な球体が、バルキリーを狙って飛んできた。

 

一樹のおかげで回避出来たと、一息つきかける一夏と弾。

 

しかし、それは悪手だ。

 

『『止まるな!!後ろから隕石が来るぞ!!』』

 

一樹だけでなく、今度は一馬までも全力で叫んだ。

 

慌てて操縦桿を操作。

 

先程回避した球体が、()()()()()()()()きたのだ。

 

『なんじゃこりゃ!!』

 

小さいとは行っても、バルキリーを破壊する程度は簡単に出来る隕石を引くほどのパワー。

 

一夏もそれなりに怪獣との戦闘経験があるが、ここまでのパワーは体験したことが無い。

 

「なるほど!これで06隊のバルキリーはやられたのか!理解した!ミオ、多分近くにS.M.Sの緊急ステーションがあるはずだ!見つけてくれ!」

 

『今見つけた!ポイントJX19-2FD!』

 

「一馬ァ!!」

 

『ッ!!』

 

解放回線でミオが伝えた瞬間、一馬はバルキリーを戦闘機のファイター形態から手足を出したガウォーク形態に変形。

 

『お前らすぐに何か捕まれ!!』

 

言った瞬間、緊急ステーションに急接近。着地スレスレのブースト制御でステーションを回収。戦場から緊急離脱を試みる。

 

《ギャオオオオオン!!》

 

どこからか咆哮が聞こえたと思ったら、無数の鳥の羽根が一馬の乗るバルキリーを狙う。

 

『『させるかぁ!!』』

 

すぐに一夏と弾がフォローに入り、無数の羽根をガトリングで迎撃。

 

「よし!一夏と弾!ここは任せる!俺らが戻るまで耐えてくれよ!」

 

『長くはもたないからな!』

 

『任された!』

 

「一馬!とりあえず俺らは隠れるぞ!」

 

『了解!!』

 

一樹の護衛のもと、何とか安全圏まで一馬の駆るバルキリーを避難させた。

 

**

 

「06の隊長!体力はまだあるな?」

 

『ボスですか!?はい!!もちろんです!!』

 

「よし、なら一馬と操縦を交代、エターナルに引き返せ」

 

『し、しかし…』

 

まだ戦える、と言いかける隊長に、一樹はそっと被せた。

 

「佑人がお前たちに出した司令は何だ?」

 

『…ポイントの、調査です』

 

「その司令に、戦闘への参加はあったか?」

 

『…いえ、何か異常があれば、すぐ帰還するようにと』

 

「だよな?もしかして、俺らが迎えに来た事に責任感じてるか?」

 

『……』

 

その無言の間が、答えだった。

 

「……お前らは、もう充分仕事を果たしてくれたんだ。大丈夫、ここからは任せてくれ。気にするなら、帰ったら俺たちに飯でも作ってくれ。06隊のキャンプ飯は美味いってエターナルの人間から聞いてるんだ。頼むぜ?なにせ、こっちは大飯ぐらいの男4人だからな」

 

『……分かりました!06隊の腕によりをかけて作らせていただきます!』

 

「よし、なら隊長。そのバルキリーを頼んだ。一馬はこっちに来い」

 

『あいよ』

 

**

 

『クソッ!まだかよ!!』

 

『なんだよコイツ!!デカイ癖に動きがはええ!!』

 

一夏と弾は、必死にバルキリーを操り巨大なタイラントの攻撃を避けていた。

 

以前対峙した時に分かっていた火炎放射だけでなく、腹部から冷気まで放出してくるうえに、鉄球を伸ばしたかと思えば隕石を引いてくるのだ。

 

一夏や弾程の腕が無ければ、4回は撃墜されてるレベルだ。

 

このままでは…

 

『『ッ!?』』

 

その時、タイラントの前に光の柱が現れた。

 

眩い光の柱から現れるのは、銀色の巨人。

 

「シェアッ!」

 

自身より2倍は大きいタイラントと、ウルトラマンは対峙した。

 

**

 

《ギャオッ!!》

 

ウルトラマンを敵と認めたタイラントは、その巨体に似合わない素早さで接近すると、腕の振りを加えた勢いで鉄球を振るってくる。

 

「フッ!」

 

それを敢えて前に飛び込む事で避け、タイラントの足元に入り込むと連続で拳を叩き込む。

 

「ハッ!デェアッ!」

 

《ギャオッ…!?》

 

前足を大きく上げてウルトラマンを踏みつぶそうとするタイラント。

 

それを、大きく横に転がる事で避けるウルトラマン。

 

起き上がりと同時に、パーティクルフェザーを放つ。

 

「シュアッ!」

 

《ギャオンッ!》

 

タイラントも負けていない。

 

鉄球を目の前で風車のように回し、即席の盾としてパーティクルフェザーを受け止めた。

 

そして大きく息を吸い込むと、超高熱の炎を吹いた。

 

ウルトラマンがそれを避けてる隙に、鉄球を頭上高くに伸ばす。

 

「シュッ!?」

 

危険を察知したウルトラマンはアームドネクサスを交差し、マッハムーブを発動。

 

バルキリー3機を回収し、急ぎその場を離れる。

 

ドォォォォォォォォォンッ!!!!

 

その瞬間、これまでとは比べ物にならない大きさの隕石が、今の今までいた衛星を破壊してしまった。

 

『助かった〜』

 

『アイツ、自爆までして…』

 

『怪獣の行動なんて、読めないもんだろ。ありがとな、一樹』

 

一馬のお礼に頷いて返そうとしたウルトラマン。

 

だが…

 

「グゥッ!!??」

 

首に突如鉄球の鎖が巻き付き、引き寄せられた。

 

『『『一樹!!!』』』

 

急ぎバルキリーを操作し、それを追う3人。

 

**

 

「グアァァァァ!?」

 

《キシャアァァァァ!!》

 

ウルトラマンを衛星に叩きつけたタイラント。

 

そのままウルトラマンを引きずり、岩場にぶつけ続けた。

 

『離せやゴラァァ!!』

 

追いついた一馬のバルキリーのレーザーが、鎖をピンポイントで狙い撃つ。

 

TOP7でも随一の狙撃は見事鎖を撃ち抜き、ウルトラマンを解放する。

 

「フッ!シュウッ!」

 

素早く起き上がると、ウルトラマンはジュネッスにチェンジ。

 

鎖を破壊された影響で、タイラントが姿勢を崩してる隙に、エネルギーを溜める。

 

「シュウッ!ハアァァァァ…テェアッ!!」

 

コアインパルスがタイラントの胴体に命中、大爆発を起こした。

 

『よっしゃあ!!』

 

『勝ちぃ!!』

 

『……』

 

無邪気に喜ぶ一夏と弾だが、一馬は違う。

 

妙な胸騒ぎを覚え、爆煙の向こう側を見ようと集中していた。

 

「……」

 

それはウルトラマンも同じらしく、爆煙を前に身構えていた。

 

そして、それは正しかった。

 

コォォォォォ……

 

「フッ!?」

 

『ッ!!?寒い!!』

 

()()を最初に感じたのウルトラマン、続いて()()()の感受性の強い一夏だ。

 

爆煙の中に、次々と入っていくのは青白い光の玉…まるで、【怨念】のような。

 

数百は下らない数の【怨念】が煙の中に消えていき…

 

《アオォォォォン……》

 

背筋が凍る、地を這うような唸り声の後、()()が姿を現す。

 

骨組みだけとなった、ゾンビのような姿のタイラントが。

 

「…シュッ!」

 

動きに生気が見られない、不気味な動きをするタイラントに、ウルトラマンは構えた…




この表記方法が良いか、是非感想を頂きたいと思います!
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