このペースなのは序盤だけです。ご了承下さい。
「さて、始まる前にも言ったが、この時間はクラス代表を決める。自薦他薦は問わん。誰かいるか?」
「(俺じゃなければ誰でもいいや…)」
一夏の考えはこうだったが、現実はそんな甘くない。
「はい!織斑君を推薦します!」
「私も!」
「「「「賛成!」」」」
「ちょぉぉぉっと待てぇぇぇぇ‼︎」
一夏魂の叫び。だが、彼の姉は非情だ。
「うるさい。他薦された者に拒否権はない。選ばれた以上はやりぬけ」
「おかしいだろどう考えたって!ただ物珍しいからって厄介ごと押し付けられてたまるか‼︎」
なおも千冬に食ってかかろうとする一夏だが、急に黙った。千冬が睨みつけたのもあるが、それ以上に一樹の絶対零度の睨みが一夏にこう告げていた。
「(黙らねえと____ぞ?)」
「(ごごごごごごごごゴメンナサイ直ぐに黙りますハイ)」
冷や汗ダラダラの一夏に千冬は訝しげな視線を送るが、直ぐにそんな場合ではなくなった。
「納得出来ませんわ‼︎
先ほど一夏に話しかけて?いたセシリアと言う女子が抗議の声を上げる。
「(良かったな一夏。やりたい人が出てきたぞ)」
「(だな。余計な事言わなくて良いから『私がやります‼︎』って言ってほしい)」
「このセシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえとおっしゃるのですか⁉︎ただ物珍しいからといって極東の猿の下につけなどと⁉︎」
ブチッ×2
「(…一樹)」
「(なんだ一夏)」
「(
「(落ち着け、あのアマをボコボコにしたいのはお前だけじゃない)」
男子2人は表情には出さないが、オーラが怒気を含んでいる。それに気づかずセシリアは続ける。
「本来、代表というものは実力で決めるべきなんです!それを物珍しいからという理由だけで決めてもらっては困りますわ‼︎」
「「(おぉ…まともな事言ってるのに最初の言葉が全てを台無しにしてるな)」
「そしてその実力で選ぶなら当然私がなるべきです‼︎このイギリス代表候補生のセシリア・オルコットが‼︎)」
「(この学園、コイツに負ける程弱いのいるの⁉︎)」
「(一樹、一応聞いておくが
「(当たり前だ)」
「(なら良いや。一応入試は俺が最後だったから全員のを別部屋で見てたけど、なんかわざと負けたみたいだぜ?)」
「(まあ、こんな性格じゃ勝っても負けてもうるさそうだけど…)」
「__であるからしてって、聞いてますの⁉︎そこのお二方‼︎」
「「って言ってるぞ一樹(一夏)」」
その瞬間、クラス中(セシリア除く)が吹いた。屈辱に顔を真っ赤にしてるセシリアに向けて、男子2人の反撃が始まる。
「島国島国って言うけどさ、その島国で作られた兵器(モノ)を学ぶために来たのは誰だよ」
「なっ…」
一夏の正論に、一気にセシリアの顔から怒りの湯気が吹き出す。
「それにさ、イギリスだって島国だろうが。世界一マズイ飯で何年覇者だよ」
「な、あなた私の祖国を侮辱しますの⁉︎」
「最初にして来たのはどっちだよ。自分が言ったことを棚に上げて人が言ったら怒んのかよ?小さい人間だな」
「一夏の言葉にさらに付け加えるなら、アンタはイギリスを代表してこの場にいるんだろ?なら……日本に喧嘩売る様な態度とって良いのかよ小娘」
「小娘⁉︎あなただって同じ年でしょ⁉︎」
「質問に答えろ」
一樹から発される殺気に、セシリアは一気に黙る。オーラだけで一樹の力量をある程度測れたらしい。少し遅いが…
「このクラスの半分はぱっと見日本人だ。そんなクラスであの言葉、いくら女尊男卑の昨今でも許される筈ねえよな?誤解が無いよう言っとくがイギリスを悪く言うつもりはねえよ。文学的にも、歴史的にも世界で類を見ないほど味のある国だからな。そんなイギリスのために言ってやる。今アンタが言った言葉そのまま日本に伝えてみろ……戦争が起こるぞ?何も知らねえ小娘のせいでな。そもそもそんなにクラス代表やりてえんなら自薦しろよ。クラスの誰かがアンタを推薦してくれると思ってんのか?あぁ?」
一樹と一夏を筆頭に、日本人から睨まれるセシリア。だが、彼女は謝る事を知らない…
「……決闘ですわ‼︎それだけ言えるという事はそうとう腕があるのでしょう⁉︎」
「ふざけんなよてめえ!まず謝るのが先「やめろ一夏」だけど‼︎」
「ここでお前が立ち上がったらその小娘の思うざまだ」
「けど落ち着いてなんて「やめろって言ってんだろうが‼︎」ッ…」
頭に血が上った一夏を黙らせるために殺気を濃くする一樹。その場の全員の顔が青ざめる程の濃度に、一夏はようやく冷静になった。
「…チッ!良いぜ、その決闘とやら受けてやるよ!ボッコボコにしてやるから覚悟しやがれ‼︎」
訂正、まだ頭は冷えきれてなかった。頭を抱えながら、一樹は千冬に話す。
「悪い千冬、ここからは仕切り直してくれ」
「分かった……決闘は一週間後、第一アリーナで行う。2人とも準備しておく様に!」
時は進み昼休み。一樹はグラウンドの片隅でスマホでネットを見ていた。グラウンドなら他の生徒もいそうだが、ここは砂埃がすごい。そんな所に女子が好き好んで来る場所ではない。ちなみに一樹は隅なら人1人砂埃を防げるスペースを見つけたので、そこでスマホを操作していた。
「…『山のガソリンスタンドで謎の行方不明事件!』か…」
ネットに出されたニュースの見出しに嫌な予感がした一樹。記事を詳細まで表示させる。
「学園からそんなに離れていない…今夜あたり、警戒しとかないとな…」
キーンコーンカーンコーン
「…予鈴か」
授業が始まる5分前だ。授業を受ける必要の無い一樹はあまり気にしていないが…一樹は懐から白い短剣状のアイテムを取り出して呟く。
「なあ、そろそろ教えてくれよ。俺に…何を望む?」
白いアイテム“エボルトラスター”は中央の宝石が鼓動を打つように1度光るだけだった。
キーンコーンカーンコーン
その日の授業が全て終わると、一夏は机に突っ伏した。
「づがれだ〜」
そんな一夏の横では、一樹が学園の警備状況を机に内蔵されているパソコンで再確認していた。
「お前、1週間後は決闘(笑)だろ?少しは練習しておけ」
「…じゃあEx-ギア借りて良い?」
「持ち出し厳禁ってのが守れるなら」
「なら学園に1台貸して」
「お前今俺が言った事聞こえなかった?持ち出し厳禁って言ったろ?」
「ねえ俺が外に簡単には出れないって分かってるよね?」
「は?だって1週間は自宅からの通学だろ?」
「…ハッ!そうだった!こうしちゃいられない‼︎早く行くぞ一樹‼︎」
「はいはい…」
「いざ出陣!エイ!エイ!お「あ、織斑君に櫻井君!」…オー?」
さあ行こうとした2人だが、廊下に出た時点で真耶に声をかけられる。
「良かった〜…2人ともいましたね。こちらが寮の鍵になります」
ン?イマセンセイナンテイッタ?リョウノカギダッテ?
「あの…確か一週間は自宅通学って話じゃありませんでした?」
「そうだったんですけど、事情が事情なので、強引に割り込んだらしいですよ。なので、調整が済むまで織斑君は女子と同室になってもらう事になります」
「…すみません。聞けたらで良いんですけど、それを指示したのは誰ですか?」
一樹が真耶に聞く。確かにそれは一夏も気になるところだ。
「日本政府です」
「「(あのご隠居がぁぁぁ‼︎普段仕事遅いくせになんでこういう時だか早いんだよぉぉぉぉ‼︎)」」
素早く一樹が携帯を操作。数度のやりとりの後…
「よし、銀座の寿司食い放題確保」
「え⁉︎いきなりどうしたんですか櫻井君⁉︎」
「気にしないでください山田先生。ちょいとお偉いさんに灸を据えただけです」
「織斑君⁉︎余計に気になるんですが⁉︎」
「先生、知らない方が世の中幸せな事もあるんですよ?」
「わ、分かりましたもうそれ以上聞きません…これが織斑君の寮の鍵になります。失くさないようお願いします」
「はい、分かりました。ところで、調整が終われば一樹は俺と同室ですよね?」
「そ、それが…」
「ん?」
一夏が一樹の部屋を聞いた途端、真耶は言いづらそうな顔になった。ま、まさか…
「織斑君の部屋の調整がついても、櫻井君が同じ部屋になることは無いと思います…」
「…ちなみに俺は何処で寝泊まりすればよろしいですか?」
「最初は教頭が屋上にさせようとしていたのですが、流石に織斑先生が止めました」
「(千冬姉ナイス‼︎)」
一夏が心の中で姉を賞賛する。だが、真耶は浮かない顔で一樹に鍵を渡す。
「私たちも出来れば織斑君と同室にしたかったのですが、結果はこの部屋です…」
真耶が渡してきた鍵にはこう書かれていた。
【学園第4整備室】
「「……」」
「本当にすみません…」
「いや、屋上じゃないだけマシです。ありがとうございます」
苦笑いを浮かべながら鍵を受け取る一樹。一夏と共に割り振られた部屋に向かう。
「じゃ、俺はこっちだから」
「おう」
途中で一夏と別れ、整備室を目指すが…
『貴様!そこに直れ‼︎』
『待て!話せば分かる‼︎』
「⁉︎」
突如聞こえた悲鳴。一樹は悲鳴の元へと全速力で向かう。
「(何があったってんだこの短時間に‼︎)」
勢いよく角を曲がろうとしたら…
「うわぁ〜篠ノ之さん大胆!」
「抜け駆け禁止だよ‼︎」
一夏が箒に迫られていた。
「…」ずこーッ‼︎
思わずずっこける一樹。どうやら
「…心配して損した。早く整備室行こ」
「うわぁ…汚いというかゴチャゴチャしてると言うか…」
第4整備室に着いたが、中を見るとそれは酷いものだった。修復不能になったISのパーツ、部屋全体が長年使われてないのか埃だらけ、空調も換気扇以外無い。
せめてもの救いは、整備する為の道具はそこそこ新しかったことと、電源が使えることだろうか。
「…掃除、頑張ろ」
「死ぬかと思った…」
夕食に一樹を誘うために、一夏は第4整備室に来た。扉を開けると…
「な、なんじゃこりゃあ⁉︎」
そこにあったのは埃が舞った事によって出来た粉塵だった。
「いきなりうるせえ!これでも片付いた方なんだよ‼︎」
粉塵が晴れ、一夏が見たのは片腕に回路が使い物にならなくなったIS本体、片腕に第1世代のスクラップを持った一樹だった。
「相変わらずすげえな、その腕力。それとこのパーツの数々」
「ISとしては使えないからガラクタとして置きっ放しだ」
「ガラクタぁ⁉︎まだまだ使えるじゃん!」
「ちなみに使えるパーツを集めたらIS約20機分あります」
「こんなところで税金を無駄遣いしてたのか!知りたくなかったなぁ‼︎」
「まあ、それは置いといて」
言葉と同時に両腕の荷物を床に置く一樹。
「何か用か?」
「いや、飯食いに行こうぜって言いに来たんだけど…」
「…俺、食券渡されないよ?」
「は⁉︎」
IS学園では、1日3食分の食券が渡されている。デザートや間食は別料金だが…
「何で?」
「教頭曰く、『あなたは生徒じゃないから』だって」
「…どうすんの?」
「何とかするよ。とりあえずお前は食堂行きなよ」
「…了解」
一夏を食堂に行かせ、一樹は片付けを再開した。
IS学園での食事がいつも気になるんですよね。どこからお金出てるのか…って考えた結果これにしました。どうですかね?