人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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来たぞ、悪魔が…


Episode29 悪魔-メフィスト-

絶望から立ち直るのに、憎しみが必要だった。でも…by一夏。

 

「先程、ビーストに襲われたと思われる乗用車に残されたカメラの写真です」

モニターに映された写真を見て、一夏は驚愕する。

「これは⁉︎」

「織斑、知ってるのか?」

「今日、たまたま動物園で会ったんです。この写真は俺が撮りました」

「そうだったんですか…その場所の監視カメラによると、ビーストはこの家族の親を殺害した後、生きたままの状態で子供達を連れ去っています」

「んな!子供達はまだ生きてるのか⁉︎」

箒は愕然とする。そして、察せられる理由をセシリアが言った。

「おそらく…人質として、ですわね」

その言葉を聞いた一夏は倒れこむ様に近くのイスに座った。

「まさか…あの家族は、俺と出会ったばかりに?」

 

兄妹を連れ去ったビーストは、別荘にいた。兄妹達はまだ眠っている。そんな別荘の外では、溝呂木が不気味な笑みを浮かべていた。

「さあ…デスゲームの第二幕だ」

 

「○○山荘に、微弱だがビースト震動波確認、状況の把握の為にまずは織斑、篠ノ之のα機のみ出撃せよ」

千冬の指示で一夏、箒はα機に乗り込み、現場へ急行した。

 

一夏達が向かってる山荘に一樹も走っていた。もうすぐで着く、そんな時に邪悪な視線を感じ、止まる。すると、物陰から闇の波動弾が一樹に向かって飛んできた。前に飛び込んでそれを回避する。木の後ろに隠れ、誰がやったか確認しようとする。そこに、声が響いた。

《何故戦う?誰にも賞賛されず、ボロボロになりながら…何の為にお前は戦う?》

再度一樹に向かって波動弾が飛んでくる。すぐさま顔を引っ込め、避けた。そんな一樹の目の前に、溝呂木が現れた。

「…そんな孤独な戦いを続けても、虚しいだけだぜ?」

「……」

 

α機が現場に到着。山荘前に着くと、一夏は白式のセンサーで確認する。

「ッ⁉︎4つある光点の内2つは人間じゃねえ‼︎子供達が危ない‼︎行くぞ箒‼︎」

「ああ‼︎」

2人が山荘に突入しようとすると、背後で爆発音が鳴る。一夏が確認すると、新たな震動波があった。

「チッ!どうすれば…」

そこに、2次部隊であるシャルロットとラウラが到着した。

「一夏、私があちらを確認する。一夏と箒はシャルロットと共に子供達の救出を」

「分かった!頼んだぜラウラ‼︎」

 

「チッ!」

背後から次々と撃たれる闇の波動弾を一樹は木から木へと移動して避ける。溝呂木は笑いながら一樹に近づく。

「お前の痛みなど誰も理解しやしない。篠ノ之箒とやらが良い例だ。お前が今助けに行こうとしてる子供達ですら、時間が経てばお前の事を忘れる」

「……」

 

一夏達が山荘に突入すると、子供達に強引に薪を食べさせようとする両親の姿があった。

「子供達を離せ‼︎」

一夏に気付くと、両親と思わしき2人は一夏達に薪を投げてきた。

「ぐっ⁉︎」

「あっ⁉︎」

「箒!シャル!」

一夏が箒とシャルロットに気を取られてる隙に、ビーストは子供を連れて山荘を脱走する。

「待ちやがれ‼︎」

 

ラウラはもう一つの震動波の場所に向かっていた。しかし、人の気配を感じ、木陰に隠れる。そこから一樹の声が聞こえた。

「…誰かに分かってもらおう、そんな事は思ってない。俺は、俺がしてきたことの『償い』と、こんな俺が得た光の意味を見つけるために…戦ってるだけだ‼︎」

懐からエボルトラスターを取り出す一樹。それを見て、不気味に笑いながら黒いアイテム『ダークエボルバー』を両手で掴む溝呂木。そして木陰に隠れていたラウラに語る。

《ラウラ、よく見ておけ。これが今の俺の姿、俺の力だ》

「ッ⁉︎」

気付かれていた事に驚いてるラウラを他所に、溝呂木はダークエボルバーを左右同時に引き、闇に包まれる。『ダークメフィスト』に変身。メフィストを視認した一樹も、エボルトラスターを鞘から引き抜き、天空へ掲げた。

「ハァ!」

ウルトラマンに変身した一樹。メフィストと対峙する。ファウストがピエロならばメフィストは悪魔。背骨や肋骨が浮き出た様な禍々しい模様がファウストより不気味さを増していた…

『ハッ!フゥゥゥ…ハッ!』

メフィストは右腕にメフィストクローを呼び出し、ウルトラマンと対峙する。

 

一夏は両親の姿をして子供達を連れ去ろうとするビーストを追っていた。

「やめて!お母さん!」

「やめてよ父さん!本当にどうしたんだよ⁉︎」

「あーうるさい!彩来い‼︎」

父親に扮したビーストは、兄である薫を放り出し、彩のみを連れて行こうとする。

「お兄ちゃん!助けて‼︎」

「彩!」

薫が美香の元へ走りだそうとするが…

「薫!うるさい‼︎」

母親に扮したビーストが薫をどつき、転ばせた。そこに一夏が到着。麒麟のビームマグナムを部分展開する。

「ビースト‼︎」

一夏の声に反応したのか、ビーストが振り向く。その顔は、歪んだ笑みを浮かべていた…

「ッ!」

威力を最小限に絞ったライフルモードを撃つが、母親に扮したビーストはそれを右手で弾いた。

「チッ!」

再度マグナムを撃とうとする一夏だが…

「やめろコイツ!」

ビーストをまだ母親だと思っている薫が一夏を止めようとする。

「離せ!アレは君の母さんなんかじゃない‼︎君の母さんも父さんも、もう死んでるんだ‼︎」

「嘘つくな!そんなことある訳無いだろ‼︎」

一夏を薫が抑えてる間に、美香を連れ去ろうとするビースト。

「助けて!お兄ちゃん‼︎」

一夏は薫を振りほどき、ビームマグナムを構える。すると、母親ビーストは右手が禍々しい爪の生えた状態になった。一夏が引き金を引くより早く、ビーストは一夏の腕を蹴り上げ、空いた胴体に更に蹴りを入れて吹き飛ばした。

「グハッ!」

 

メフィストはウルトラマンに飛び込み蹴りを放つ。が、ウルトラマンは両腕で受け止める。

『フンッ!』

ウルトラマンはすぐに一回転右回し蹴りを放とうとするが、メフィストはしゃがんで回避した。

「シェア!」

『ハッ!』

 

「織斑君達が行った現場に、黒い巨人が現れました‼︎」

麻耶の報告を聞き、千冬はすぐに指示を出す。

「よし!オルコットに凰もβ機で出撃せよ‼︎」

指示を受けた2人はすぐに機体に乗り込み、出撃した。

 

『ハッ!』

メフィストクローを突き出してくるのを、空手の要領で受け流すウルトラマン。しかし、空いた胴に、メフィストの左回し蹴りが放たれる。

「グアッ!」

更にクローを突き出してくるメフィスト。ウルトラマンは両手でそれを受け止める。メフィストは引くと見せかけて、再度クローを振り回す。

『デェア!』

が、ウルトラマンは前に飛び込んでそれを回避。メフィストに対峙するが、メフィストクローの攻撃を2回連続で喰らってしまう。

「グアッ⁉︎」

ウルトラマンの身体から火花が散り、痛みで動きが止まっている所に、メフィストのストレートキックが入る。

「グアッ⁉︎アッ…」

吹き飛ばされ、地面に背中を強く打ったウルトラマン。そこに、メフィストはクローから波動弾を撃つ。

『フンッ!ハァァァ…トゥア!』

「シェア!」

ウルトラマンはその波動弾を左に飛び込んで回避した。

 

「一夏!」

箒達は一夏と合流した。

「みんな…」

「一夏、機体に戻るぞ」

「で、でもあの子達が⁉︎」

一夏が反論しようとすると、解放回線で鈴が報告してきた。

『アタシ達もそろそろ着くわ。合流しましょう』

「「「分かった(よ)」」」

 

『フンッ!ハァァァァ…』

「ファァァァ…」

メフィストはクローでウルトラマンを斬ろうとするが、ウルトラマンは両腕でクローを受け止める。メフィストは全身の力を入れて押しきろうとするが、ウルトラマンは逆にそれを利用し、振り払うと、メフィストに前蹴り。そこに、チェスター3機が到着した。

「んな⁉︎黒い巨人は死んだ筈だ‼︎」

箒の驚きの声にシャルロットが反応する。

「よく見て箒。模様が違うよ」

 

司令室でも、千冬が驚いていると、モニターにラウラの顔が出てきた。

「…どうした?」

『教官、あの黒い巨人は…溝呂木慎也です!』

「何⁉︎溝呂木が…」

 

『ハッ!』

「シュ!」

対峙しているウルトラマンとメフィストの足元を、美香を連れ去ろうとしているビーストがいた、その後ろには薫もいた。

「お兄ちゃん!助けて!」

「彩!彩‼︎」

それに気付いたウルトラマン。

「フッ⁉︎」

兄妹を助けようと動き出すが、そこにメフィストのクロー攻撃が飛んでくる。

『デュア!』

体を反らしてその攻撃を回避したウルトラマン。

『お前の相手は俺だぜ?』

「(このクソ野朗ッ‼︎)」

メフィストクローを突き出してくるメフィストの腕を掴み、投げようとするが、メフィストは側転でその勢いを殺すと、ウルトラマンに前蹴りを放つ。

『テェア!』

「グッ!」

更にメフィストはウルトラマンの頭上を飛び越え、ウルトラマンの背後に回ると、メフィストクローで斬りつけた。

「グアッ⁉︎」

今までの戦闘のダメージが抜け切っていないウルトラマンは前のめりに倒れこんだ。

「グッ…」

それを見たメフィストは鼻で笑うと、アレを呼んだ。

『フン!()()()()()

 

地面が割れ、そこから以前ウルトラマンがダーク・フィールドで倒した筈のビースト『ノスフェル』が頭部のみを出した。ノスフェルは彩を両親ごと体内に吸収した。

「彩!彩ァァァ‼︎」

 

「あのビースト…生きてやがったか…」

ノスフェルを見た一夏の瞳からは、光が失われていた…

 

『フン!ハァ!』

メフィストクローを連続で突き出してくるメフィストの腕を蹴り、その腕を掴むウルトラマン。

「フッ!シェア‼︎」

『グォッ!』

掴んだ腕を上に上げ、空いた胴にストレートパンチを叩き込む。怯んだメフィストに、更にストレートキックを放ち、吹き飛ばした。

「シェア‼︎」

『グォッ!』

今度はノスフェルを…とノスフェルを見たウルトラマンは驚愕する。

「フッ⁉︎」

ノスフェルの額の肉片の中に、彩が閉じ込められていたのだ…

「助けてェ!助けてェ‼︎」

「ファッ⁉︎」

彩を助けようと走り出すウルトラマンだが、そこにメフィストが回し蹴りを放ってきた。

「グアッ⁉︎」

『フフフフ…』

 

『…全員聞け。黒い巨人より、ビーストの殲滅を優先する。メガキャノンフォーメーションの威力を知る良い機会だ。やれ』

「「「「了解‼︎」」」」

千冬の指示を聞き、一夏が指令を出す。

「Set into mega cannon formation‼︎」

メガキャノンチェスターに合体し、ノスフェルに近付く…

「ガンスタビライザー、オールグリーン」

「了解だ」

シャルロットの報告を聞いた一夏は砲口をノスフェルに向ける。

「お前だけは…絶対に許さねえ…」

 

『フン!』

「グアッ⁉︎」

メフィストはウルトラマンを吹き飛ばすと、眉間に手を当てた。

『フンッ』

すると、薫の視界に一夏がノスフェルを撃とうとしてるのが映った…

「やめろォ!彩がその中にいるんだ‼︎」

 

ノスフェルは徐々にチェスターに近付いて来る。一夏は照準を合わせた。

「今だ、一夏」

「ああ…」

箒の言葉に返事をすると、発射ボタンを押した…

 

「シェア!」

『グォッ⁉︎』

メフィストに飛び蹴りを喰らわせたウルトラマン。すぐにノスフェルの方を見るが、すでにバニッシャーが撃たれていた…

「フゥッ⁉︎(やめろぉぉぉぉ‼︎)」

倒れこむノスフェルに思わず手を伸ばしてしまうウルトラマン。しかし、現実は残酷で、ノスフェルは大爆発を起こした…

「彩!彩ァァァ‼︎」

 

「やった!」

仇を取れた事で喜ぶ一夏。箒もその一夏にサムズアップ。一夏もサムズアップで返した。

 

『フッフッフッフッフッ…』

不気味に笑いながら消えるメフィスト。ウルトラマンも悔しさに拳を握り締め、静かに消えて行った…

 

「一樹!見てたか?俺の活躍!」

一夜明けた翌日、現場にいた一樹に一夏は笑顔で語りかける。しかし、一樹は無言で一夏を殴る。

バキッ!

「ッ!いきなり何しやがる⁉︎」

「そういうのはアレ見てから言ってみろ‼︎」

一樹に言われ、一夏は一樹が指した方を見ると、救急車で運ばれようとしている少女がいた。

「…あの子は…」

「ノスフェル…あのビーストの額のコブに閉じ込められてたんだよ」

「そ、そんな…」

一夏は崩れる様に両膝をつく。一夏に気付いた薫は一夏に飛びかかると、マウントポジションの状態で殴りかかった。

「コイツ!どうして彩を撃ったんだ!俺はお前を許さない!一生お前を許さないからな‼︎」

一樹が薫を抑え、救急隊員に薫を任せると、一夏に言う。

「…憎しみじゃ…他の憎しみを生むだけだ」




憎しみに染まってしまったら、他のことが目につかなくなってしまう。それは危険だと、改めて分かるお話でしたね…ネクサスのEpisode14は。
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