人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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Episode30 悪夢-ナイトメア-

俺は…憎しみの激しさから、少女を傷つけてしまった。俺の憎しみは、また誰かを傷つけてしまう…そして、俺の心までも…by一夏

 

IS学園の丘で、一夏はぼーっとしていた。そんな一夏の近くに、定期報告に来ていた一樹が近づく。

「一樹?」

 

地下室では、束がキーボードを叩きながら一夏、一樹の様子を見ていた。

「…いっくんをお願いね、かずくん」

 

目の前の海を見ながら、一樹にと言う訳でもなく、一夏は語り始めた。

「沙織も…動物園で会った少女も、俺に関わった人は、皆犠牲になってしまう…一樹が、雪恵の時に感じたのも…こんな気持ちなのか?」

「…雪だけじゃねえさ。いつもそう言ってるだろ?」

「でも…俺と一樹は違う。俺は一樹みたいに…強い人間じゃねえから…」

「…そんなことはねえよ。誰にだって、忘れてしまいたい過去はある。田中雪恵…彼女は俺の心から一生拭い去れない、辛い過去だ。彼女は、幼い頃から、周りから浮いていた俺と関わってくれていた。だけど、お前も知っての通り…雪は…俺は…俺は何故あの時…ちゃんと止められなかったんだ…」

『かーくん!』

『かーくん♪』

『かーくん…』

『かーくん、ごめんね…』

「…当時、夢を何度も見た。ある森で、雪が俺に呼びかけてくる…雪が…俺を導いたんだ…俺は雪を救えなかった。けど、その雪に導かれて…」

一樹は、エボルトラスターを見つめながら語り続ける。

「この光を得た…この光の意味が何なのか…それは俺も分からない。けどな、お前を助けた時に、こう感じたんだ。“過去は変えられないけど、未来なら変える事が出来るかもしれない”ってな…」

一樹の話を聞いた一夏に、沙織との会話が思い出される。

 

『はい、お守りだよ。“ガンバルクイナ君”4月からのIS学園、頑張ってね』

 

「…無意味だ…未来を変えたって、沙織は2度と戻らない。そんなの…無意味だ」

一夏はそう言うと、寮に向かって行った。一樹はそんな一夏の後ろ姿を見ていたが…

ドックン

手元のエボルトラスターが…ビーストを感知した。

「ッ⁉︎」

一樹はすぐに、その場から走り去った。

その頃、メガキャノンチェスターによって倒された筈のノスフェルが、ある工場を襲っていた…

 

『東金工場でビースト震動波を確認したよ!クロムチェスター隊は出撃して‼︎』

束からの指示を受け、各搭乗機に向かって走る一夏達。

 

ノスフェルが暴れている工場に、一樹も向かっていた。

「(一夏、憎しみを捨てろ。憎しみじゃ何も変えられない)」

 

「(俺は力が欲しい!ビーストを倒せる力が‼︎)」

 

「(一夏、過去と向き合い、未来(いま)を生きるんだ)」

 

「(奴らが沙織を殺した…奴らが‼︎)」

日も沈みかけている中、3機のクロムチェスターが出撃して行く…

『ノスフェルの震動波は微弱だ。かなり弱っていると思われる。各自、ISを展開して探し、見つけ次第撃破せよ』

「「「「了解‼︎」」」」

 

現場に到着した一樹。そこに、悪魔が待ち構えていた。

「櫻井」

「ッ⁉︎」

一樹の正面に現れた溝呂木。

「織斑一夏を救おうったって無駄だぜ」

「溝呂木、てめえ…」

「黙って見てろよ。奴が闇の世界に

顛落(てんらく)していく様を」

「ふっざけんなぁぁぁ!!!!」

エボルトラスターを引き抜き、ウルトラマンに変身する一樹。しかし、それより早く溝呂木がダークエボルバーを左右に開き、ダークメフィストに変身した。

『ハァ。ハッ!』

先に変身完了したメフィストは、メフィストクローを地面に突き刺し、ダーク・フィールドを展開。展開しながら、闇の中に消えて行った。

『フッフッフッ…』

ダーク・フィールド内に着地したウルトラマン。辺りを見回しても、メフィストの姿は見えない。ウルトラマンは警戒しながら辺りを見渡し続ける。そこに、加速音が聞こえた。

「フッ⁉︎」

『ハァ!』

メフィストがクローを突き出しながら、急降下して来た。ウルトラマンは右に回転してメフィストの突撃を回避すると、ジュネッスにチェンジした。

「フッ!シェア‼︎」

メフィストはウルトラマンがジュネッスにチェンジしたのを見ると、楽しそうに笑いながら立ち上がった。

「テェア!」

『トゥア!』

クローを突き出して来たメフィストを飛び越えたウルトラマン。メフィストを後ろから掴み、自らの背中を軸に投げ飛ばした。

「ヘェア!」

『フンッ!』

メフィストは軟着陸し、立ち上がるが、そこにウルトラマンの強烈な回し蹴りが決まった。

「シュア‼︎」

『グゥア⁉︎』

メフィストの体から火花が散り、メフィストは吹っ飛ばされる。

 

ノスフェルがいつ出てきても良いようにと、視界確保のため各々のISを展開した状態で捜索するIS学園組。しかし、ハイパーセンサーを持ってしてもノスフェルを見つけられない。

「ッ⁉︎後ろ⁉︎」

シャルロットのアストレイのセンサーが背後のノスフェルを発見。すぐにマシンガンを撃つが、ノスフェルはその場から去って行った。

「そこ!」

シャルロットから逃走したノスフェルの次の着地点にはラウラがいた。レールカノンを撃つが、ノスフェルは怯んだ様子を見せない。後方へ瞬時加速で下がると、ラウラのいた地点にノスフェルは着地。すぐさま飛び跳ねて行った。

「チッ!」

 

「シュアァァァ…」

ウルトラマンはかなりの高度へ上がって行く。メフィストはそんなウルトラマンを見て、クローをしまった。

「フゥゥゥ…シュア‼︎」

ウルトラマンは空中で高速回転しながらカッター光線を乱射する大技、“ボードレイフェザー”を放つ。いつ撃たれるかタイミングの読めないその技をメフィストは側転で回避していく。ウルトラマンが高速回転をやめた瞬間、メフィストの右手から波動弾が撃たれ、ウルトラマンに命中する。

『フッ!ハァ‼︎』

「グゥアァァァ⁉︎」

かなりの高度から落ちたため、ウルトラマンは大きなダメージを受ける。

 

白式のセンサーが、ビースト震動波を感知した。

「ッ!そこか‼︎」

ノスフェルに向かってビームマグナムを構える一夏。だが、引き金が引けない…

《助けて!助けて‼︎》

一夏の脳裏に、救えなかった少女の悲鳴が響き、なかなか引き金が引けないのだ。

《どうして彩を撃ったんだ⁉︎僕は許さない!お前を一生許さないからな‼︎》

妹を撃たれた少年の叫びも、一夏の指を動かさないでいた…

「ハァ、ハァ、ハァ」

過呼吸気味になっている一夏に向けて、ノスフェルがその巨大な爪を振り下ろそうする…が

 

ドカァァンッ‼︎

 

5人が到着。それぞれの射撃武装でノスフェルを攻撃した。ノスフェルはその攻撃に怯み、闇の中へ姿を消した。皆がISを解除し、一夏に近寄ろうとする中、一夏は今だマグナムを構えたまま固まっていた。

「一夏、何故撃たなかった?」

箒が厳しい目で一夏に聞く。しかし、一夏は過呼吸気味に固まっていた。

「何故撃たなかったと聞いている‼︎」

頭に血が上った箒は、一夏を突き飛ばす。何の抵抗もせず、一夏は倒れたのだった。

 

「ハァ、ハァ、ハァ」

フラフラながらも立ち上がったウルトラマンに、メフィストは回し蹴りを放つ。

『ハッ!』

「フッ!」

しかしウルトラマンは屈んでメフィストの回し蹴りを避けるとエルボーカッターでメフィストを斬りつけた。

「デェア‼︎」

『グゥア⁉︎』

メフィストは数歩下がって勢いを殺した後、強烈な両足飛び蹴りを放った。

『ドゥア‼︎』

「グゥアァァァ⁉︎」

まともに喰らったウルトラマンは吹き飛ばされ、地面に背中を強打する。

ピコン、ピコン、ピコン…

『フンッ』

 

「(一樹…お前の言う通り、憎しみでは何も変えられなかった…俺はどうすれば良いんだ…俺はどうするべきなのか…分からない)」




では、また次話で。
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