一夏は、闇を振り払えるのか⁉︎
ピコン、ピコン、ピコン…
コアゲージが鳴り響きながらも、なんとか立ち上がったウルトラマン。
『ハァッ!』
そのウルトラマンに容赦なく前蹴りを放つメフィスト。続いて右ストレートパンチを放つが、ウルトラマンは屈んで回避。
「シェア!」
『グァッ⁉︎』
メフィストに飛び回し蹴りを食らわせ、着地後も更に蹴りを入れる。
「ハァッ!」
『グォッ⁉︎』
そして、メフィストを掴んで一回転し、メフィストを投げ飛ばす。
「シュウ!」
『グァッ⁉︎』
投げ飛ばされた衝撃からか、メフィストの動きはふらついていた。それを見たウルトラマンはエナジーコアにエネルギーを貯め、コアインパルスを放つ。
「シュ!ファァァァァァ…トゥアッ‼︎」
『グァッ!?』
コアインパルスをまともに喰らったメフィスト。
『グォッ⁉︎』
背中を強打。やはりダメージは大きかったようだ。
『ハァ、ハァ…』
その状態でメフィストはダーク・フィールドから消えた。
「ファッ、フゥ、フゥ…」
ウルトラマンも片手片膝をつく。ダーク・フィールドが解除されていくのと同時にウルトラマンも消えていった…
ノスフェルの襲撃から一夜明けた朝。一夏は学園の門にいた。
「…俺に…何をしろってんだ…」
そこに白式が鳴り響くが、一夏は無言で白式の待機形態であるガントレットを外すと、門から出て行った…
定期報告に来た一樹。
「ん?コイツは…」
白式の待機形態を見つけ、慌てて拾う。
「(なんだ…?この嫌な感じは?)」
その場で急ぎパソコンに白式を繋ぐ一樹。
「ッ⁉︎あのクソ野朗!コイツまで‼︎」
白式まで、『闇』に染まっていたのだ…
「まずはお前を助ける!絶対に‼︎」
一樹はキーボードを高速で叩き始めた。
「何⁉︎織斑が学園から出ただと⁉︎」
朝のSHRで、箒が報告して来た事に、千冬は驚愕した。
「朝から部屋に行っても返事が聞こえなかったので、守衛さんに頼んで開けて貰ったんです。けど、部屋の中には退学届があって…」
箒の涙を堪えながらの報告を聞き、千冬はすぐに指示を出す。
「山田先生!今の織斑を1人にしておくのは危険だ!捜索隊を出してくれ!」
「分かりました‼︎」
そして千冬は専用機持ちに限らず、心配そうな顔をしてる1組の生徒全員に言う。
「皆の気持ちは分かる…だが、アイツを信じてやれ。苦悩に打ち勝ち、再びここへ戻ってくるのをな…」
千冬の言葉に、皆は頷いた。
白式の『闇』を取り除いた後、千冬に白式を預けた一樹。今はストーンフリューゲルで、メフィスト戦で更に増えた傷を治癒している。
「(一夏…)」
束は管制室で千冬指示の元、ノスフェルの分析をしていた。
『ノスフェルの再生能力の謎が判明したよ』
モニターにノスフェルの喉元が映される。
『この口の中にある臓器だよ。本体が活動停止すると、この臓器が活発化して、急速にクローン再生を行ってたんだ』
「なるほど…だから何度倒しても生き返った訳か…」
ラウラが納得した様に呟いた。
一夏はどこへ向かうでも無く、森の中をさまよっていた。無気力な顔をして、焦点が合わない瞳を前に向けながら…そんな一夏の目の前に…
「よう、織斑…」
悪魔、溝呂木が現れた…
「お母さん、早く早く〜」
森の中、ある親子が楽しげに遊んでいた。
「はいはい、今行きますよ〜」
「お母さん遅〜い」
母親が子供と合流した瞬間、大きな吠え声が聞こえた。
「…え?」
2人は声が聞こえた方を見る。すると、ノスフェルの触手が伸びて来た。
「キャァァァ‼︎」
母親は子供を抱え、自分が盾になろうとする。そこに一樹が間に合い、ブラストショットでノスフェルの触手を攻撃。怯んだ所を更に本体を攻撃した。思わぬ攻撃にノスフェルは怯み、撤退していった。
「…大丈夫ですか?」
「あ、ありがとう…」
ビースト震動波を感知したIS学園から、専用機持ちを乗せたチェスター3機が出撃していった。
「かわいそうに…よほどひどい目に遭ったんだな」
一夏の顔を見た溝呂木の言葉に、一夏は憎々しげに答える。
「全部…お前のせいじゃねえか…」
「俺の?」
すっとぼける溝呂木に、一夏は憎悪を込めた瞳で睨みながら続ける。
「お前が沙織を殺した…だから俺は…」
「…会わせてやる」
「へ?」
溝呂木の言葉に、間抜けな声で反応した一夏。溝呂木はそんな一夏の耳元で囁く。
「沙織に俺が会わせてやる…そう言ったのさ…」
一夏の目の色が、変わった…溝呂木が一夏の目の前から退くと、そこには満面の笑みを浮かべた沙織がいた…
「沙織…」
沙織は一夏に背を向けると、走り出した。
「沙織!」
一夏も沙織を追って、駆け出した。
「本当にありがとうございました!」
「いえ…2人とも無事で良かったです」
「お兄ちゃん、ありがとう‼︎」
幼い子のお礼の言葉に、一樹の顔が思わず緩む。
「…どういたしまして」
そんな一樹の目に、ある場面が
「ふふ…ふふ」
「沙織!沙織‼︎」
楽しげに笑う沙織を追う一夏の姿が…一樹はすぐに表情を厳しくすると、母親に顔を向けた。
「…早めにこの山から出た方が良いです。とにかく、大通りを通って」
「…分かりました。本当にありがとうございました…」
「いえ…お気をつけて」
一樹は
「沙織!」
一夏が沙織を追っていると、森の中にぽつんと、白いドアがあった。ドアが開くと、可愛らしい部屋があり、その中に沙織はいた。
「織斑君、ここで私と一緒に暮らそう?何もかも忘れて、幸せに…良いでしょ?」
沙織の言葉に、一夏は…
「うん、そうしよう、沙織」
そう答えると、扉の中に入っていく一夏。そこに、一樹が到着した。一樹には、ただ森の中に白い板きれが立っていで、板きれを挟んで一夏と沙織が向かい合っているように見えた。一夏が見ている可愛らしい部屋は、幻なのだ。
「一夏‼︎」
一夏を助けようと駆け出した一樹。しかし、進路方向に向けて波動弾が撃たれた。一樹はギリギリそれを躱すと、波動弾の飛んできた方を見る。煙の奥から、溝呂木が現れた。
「邪魔するなって…野暮な奴だ」
「溝呂木ィ‼︎」
溝呂木は一樹に向かって走り出し、ダークエボルバーを突き出す。一樹はそれを空手の容量で受け流す。溝呂木は続けて下段回し蹴りを放ってくるが、腕で受け止める。更にダークエボルバーを突き出してくるが、一樹は両手でそれを抑える。両者は一瞬睨み合うが、一樹はすぐに一夏の方を向く。一夏は、確実に沙織の元へと近付いていた。
「沙織…」
「どうしたの織斑君」
「だって…俺のせいで沙織は…」
躊躇う一夏に、沙織は相変わらず満面の笑みを浮かべながら話す。
「言ったでしょ?もう何もかも忘れて良いって。だから…もっと近くに来て」
一夏も沙織に笑みを向け、また一歩近付いた。
「駄目だ一夏‼︎闇に囚われんな‼︎」
必死で一夏を止めようと叫ぶ一樹。溝呂木は一樹を一夏から自分へと向けさせ、話す。
「もう奴を楽にしてやれ」
「何?」
一夏に気を取られている一樹は、その言葉に怯んでしまう。溝呂木はその隙を逃さず、一樹の腹部にダークエボルバーを突き出した。一樹は吹き飛ばされ、近くの木に背中を強打する。
「ガッ⁉︎」
「お前は奴の中に自分の姿を見てたんだろうが、いい加減奴は苦痛から解放されたいんだよ」
「ハァ、ハァ…」
なんとか立ち上がりながら、溝呂木を睨む一樹。気にせずに溝呂木は続ける。
「愛する者の思い出に浸って、過去の中で生きる方が奴には幸せなのさ」
「そんなのは…生きてる意味がねえ‼︎」
一樹の言葉を聞くと、溝呂木は笑いながら近づいてくる。
「そう心配するな。後に残った抜け殻は俺が面倒見てやるよ。忠実な操り人形としてな」
「あいつを、てめえのオモチャなんかにしてたまるか!!!!」
素早くブラストショットを取り出し、波動弾を溝呂木に向かって撃つ一樹。溝呂木もまた、同時にダークエボルバーから波動弾を撃った。2人の波動弾がぶつかり、激しいスパークを起こした。
一夏の手があと少しで沙織の手に触れる…そんな時、一夏の足元で何かが割れた音がした。一夏が自分の足元を見てみると、そこには沙織から貰ったお守り、ガンバルクイナ君があり、一夏が踏んでしまったことにより、片翼が割れていた。一夏は無言でそれを拾い上げると、動きが止まる。
「織斑君?」
沙織の声にも反応せず、ただただガンバルクイナ君を見つめる一夏。
『誰かの為に頑張ってる織斑君って、きっと輝いてるに違いないもん』
いつかのデートでの沙織の言葉が一夏の脳裏に浮かぶ。更に…
『一夏、過去と向き合い、
一樹の声も、一夏に聞こえた…そこに、先程とは違う、冷たい声が響く。
「何を迷っているの?全て忘れて、楽になりなさい」
周りが暗くなっていく中、一夏の頭に浮かんだのは、沙織が光の粒になる前の一言だった。
『ごめん…………………………ね…………』
「沙織は…死んだんだ…」
ガンバルクイナ君から、少しずつ光が溢れてくる。
「お前は、沙織じゃない…」
「えぇ⁉︎」
「お前は沙織じゃない!俺の前から消えろぉぉぉぉ‼︎」
ガンバルクイナ君から強い光が溢れ、偽沙織を消し去った。
「うわあああああ‼︎」
「「ッ⁉︎」」
離れた所でそれぞれの武器を撃ち合っていた一樹と溝呂木も、一夏の手から溢れる光に驚く。
「一夏!」
「チッ!心を取り戻しやがったか…」
「うわあ‼︎」
闇の空間から飛び出した一夏。既に溝呂木の姿は無く、一樹が一夏に駆け寄る。
「一夏!大丈夫かよ⁉︎」
「一樹…」
一樹が一夏に肩を貸し、立ち上がらせようとすると、近くでノスフェルの吠え声が聞こえた。
《土産を置いていくぜ。じゃあな》
溝呂木の声が消えると、一樹は一夏をすぐ近くの木に寄りかからせる。
「…お前はよくやったよ。だから少し休め。俺は行ってくる」
駆け出した一樹。何とか起き上がった一夏も、吠え声が聞こえた所へ向かう。
専用機持ちはISを展開し、ノスフェルを攻撃していた。確実に喉の臓器を破壊しなければ、同じ事の繰り返し…なので小回りの効かないチェスターではなく、慣れたISが今回適していたのだ。
「くらえ!」
「行きますわ!」
「当たりなさいよ!」
「当たって!」
「この!」
5人ががむしゃらに攻撃するが、肝心の口元に攻撃が当たらない。ノスフェルはその巨大な爪で地面を叩き、地煙で5人のシールドエネルギーをゼロにした。
「くそ!まだだ‼︎」
ラウラが立ち上がり、予備のバズーカでノスフェルを攻撃。しかし、ノスフェルに通用せず、口元から伸ばされた触手が5人を狙う。なんとか回避したが、皆足を捻る等して、もう動けそうに無い。
「みんな!大丈夫か⁉︎」
そこに一夏が到着した。
「「「「「一夏(さん)⁉︎」」」」」
「早く離れるぞ‼︎」
一夏が5人を運ぼうとすると、ノスフェルの右側にミサイルが命中。ノスフェルはそちらを向いた。
「…ラウラ、あそこには誰がいる?」
「あそこには…教官が⁉︎」
それを聞いた一夏は再び駆け出した。
「開けろ…」
射撃戦用として、ラファール・リヴァイブを装備していた千冬は、スナイパーライフルをノスフェルに向けていた。
「開けろ…」
ノスフェルが吠えた瞬間、スナイパーライフルを撃つが、緊張の為か、外してしまった千冬。そんな千冬に、ノスフェルの爪が襲いかかる。
「う、ウワァァァ‼︎」
「千冬姉ェェェ‼︎」
一夏が急いで千冬に突進。間一髪、ノスフェルの爪を回避した。
「い、一夏…」
「油断すんな千冬姉!」
ノスフェルは着実に一夏達の元に近づいていた。
ノスフェルの背後の崖に到着した一樹。ノスフェルの足元を見ると、一夏と千冬がいた。
「…今度は頼むぜ?一夏」
そして、ノスフェルを強い目つきで見据える。
「…今度こそ、粒子1つ残さず消しとばす!」
エボルトラスターを取り出し、鞘から引き抜いた。
「ウオォォォォ‼︎」
一夏達に近付くノスフェルに、空中からカッター光線が飛んで来た。ノスフェルがカッター光線が飛んで来た方向を見ると…
「デェアァァァァ‼︎」
ウルトラマンが急降下キックでノスフェルを吹き飛ばした。起き上がったノスフェルに右ストレートパンチ。
「シェア!」
その勢いで回転回し蹴りを喰らわすウルトラマン。
「テェア!」
一夏達から離そうと、ノスフェルを押すウルトラマンだが、ノスフェルの巨大な爪がウルトラマンを攻撃する。
「グァッ⁉︎」
「一夏、お前の専用機だ」
千冬が投げてよこしたのは、白式の待機形態であるガントレットだった。
『マスター!』
「(この声…ハクか?)」
『良かったです…すみませんでしたマスター。私が、乗っ取られたばかりに…』
「(いや、俺こそ悪かった。心配かけて…)」
『大丈夫です。こうやって、マスターが戻ってきたから…だから、今度こそアレを倒しましょう!』
「(ああ!)」
白式…ハクと再会を果たした一夏。そして、千冬は一夏にケジメをつけさせる。
「奴の弱点は口だ。口の中にある再生システムを破壊しない限り、奴は何度も蘇る。また同じ惨劇が繰り返される…」
「ああ…分かった!(行くぞ!ハク‼︎)」
『はい!マスター‼︎』
「シェア!ハァァァァ…」
ウルトラマンはノスフェルの
《僕は許さない!お前を一生許さないからな‼︎》
「(俺はもう逃げない。憎しみも、悲しみも、全て背負っていく)これ以上…誰かを不幸にしない為に‼︎」
ビームマグナムのトリガーを引いた一夏。極太ビームは、まっすぐノスフェルの口に命中した。大爆発を起こすノスフェルの臓器。
ウルトラマンは少し離れると、アンファンスからジュネッスにチェンジした。
「フッ!シェア‼︎」
ジュネッスにチェンジしてすぐ、オーバーレイ・シュトロームを撃つ。
「フッ!シュウ!ファァァ…フンッ!デェアァァァ‼︎」
オーバーレイ・シュトロームをまともに喰らったノスフェルは、水色の粒子となって消滅した。ウルトラマンは一夏の方を見ると、静かに消えて行った…
沙織とのデートコースだった動物園に、一夏はいた。しかし、前来た時の様な暗い表情では無い。手には、接着剤で直されたガンバルクイナ君があった。
「(この苦しみは…沙織と生きた証なんだ。もう俺は…迷わないで歩いて行く)」
一夏は沙織が良く座っていたベンチを見る。一夏の目には満面の笑みの沙織が見えた。
「(もう、大丈夫だよね?)」
「(ああ…沙織、俺と出会ってくれてありがとう…)」
「(こちらこそ…ありがとう…さよなら、織斑君…)」
沙織は、ゆっくりと消えて行った。
「一夏ァ!そろそろ帰ろう!」
「ああ!すぐ行くよ!」
仲間の所へ走る一夏。その瞳に、もう迷いは無かった。
「(過去を変える事は出来ないけど、未来は、変える事が出来るかもしれないから)」
次回から過去の話と、若干のオリジナルという名の他のウルトラマンの怪獣が出てきたりします。クロスオーバーじゃないけどね!