彼は生まれてからずっと戦っていた。
父は人間、母は異形の者。
そして、どちらの種族からも混血である彼は嫌われた。
母の種族は、忌まわしき混血である彼を消そうとした。
母は、彼を庇って死んだ。
父は、彼が生まれる前に母の種族に殺された。
彼は少ない仲間と旅をするしかなかった。
それでも刺客は彼を襲い、彼は自衛の為に刺客を倒し続けた。
旅の途中、託された命があった。
彼は守り続ける事を決意した。
託された者を、自分の『家族』として。
そして、旅を続けている内に信頼出来る仲間も増えて行った。
仲間たちは彼が1人でボロボロになるのが見てられず、一緒に戦う事を誓った。
そして旅は、『世界』を巡るものとなった。
彼らはもう、自分の正確な年齢は知らない。
『世界』ごとの役割に従うだけだった。
どこの世界も戦いは絶えない。
どこに行っても、彼は戦うことしか出来なかった。
彼の辛そうな顔を、『世界』に送らなければならない者はずっと見ていた。
「…今度は『どこ』に行けばいい?」
彼はもう何度めかも分からない旅の始まりにつく。
『今度の『世界』は、ある兵器が生み出された結果、女尊男卑に染まってしまうところです』
送る者も、その顔は悲痛なものだった。送る者ですら、その旅がいつ終わりを迎えるのか分からないからだ。
「…そうか。また面倒なところだな」
だから彼も、いつ終わるのかとは聞かない。
「じゃあ行くよ。道づくりは頼んだぜ『アイリス』」
送る者の名は『アイリス』。かつて彼と出会い、彼を救おうと心に決めた少女
『はい。いってらっしゃい』
アイリスに見送られ、彼…櫻井一樹は旅を続ける。
「…」
次なる『世界』についた一樹。
「(口調変えなきゃいけないって面倒だな…)」
彼は今…4歳児程の大きさだった。
「(いつものがやれるか試すか)」
一樹は指をひと鳴らしした。
パチンッ!
すると体が一瞬光り、慣れしたんだ高さ(170cm程。男子高校生の平均より少し下くらいだろうか)に変わった。
「よし、買い物はこれで問題なくいけるな。で、拠点のここは…いつも通りか」
一樹が母から受け取った洋館が、今回も
「…カレンダーを見るに明日入園式か。口調は少し舌ったらずにしなきゃ…」
その入園式で、彼は運命的な出会いをするのだが、この時の彼が知るはずもなかった。
入園式も無事終了。後はクラス分け(?)を残すのみとなった。
「(…親がいないのは俺だけか)」
周りの子たちはみな両親と共におり、1人で座っているのは一樹だけだった。
「(…綺麗だな。みんな)」
周りの園児の、曇りのない笑顔を見て一樹はほっとする。人の暖かさを感じれる瞬間が、一樹は好きだった。
「ねえ」
早速友達作りに励んでいる子がいるようだ。子供の成長とは早いものである。
「ねえ、きこえてる?」
しかし、その子は成長が早すぎて相手の子が戸惑っているらしい。
「…ふえぇ…」
相手がスルーしてるのか、その声が湿り気を帯びていた。早く反応してやってほしい。入園初日から泣き声は聞きたくない。
「ねえってば‼︎」
「うわあビックリした!?」
耳元への叫びに驚いた一樹。叫んだ人の顔を見ようとする。
「…グスッ」
目の前には泣きそうな女の子がいた。
「(話しかけられてたの俺だったぁぁぁ‼︎い、急いで謝らねば!)ご、ごめんね。ちょっとぼーっとしてた」
「…なんどもおはなししようとしてたのに…」
涙は引いたようだが、今度は両頬を膨らませている。表情豊かな子だ。
「え、えと…おなまえ、なんていうの?」
苦し紛れに名前を聞く一樹。それが正解だったのか、ぱああと光るような笑顔を見せてきた。うん、子供はやっぱり笑顔が大事だ。
「わたしのおなまえは『たなか ゆきえ』っていうの!あなたのおなまえは?」
「…『さくらい かずき』だよ」
「かずきっていうんだ…なら『かーくん』ってよぶね!わたしとともだちになってください!」
「!?」
一樹は驚愕する。今までも何度かこの年代の体になったが、誰1人一樹とは友になろうとはしなかったからだ。
「え、えと…ぼくと?」
「うん!」
「…いいよ。ともだちになろう!」
これが、
それから数年経ち、一樹と雪恵は小学校に入った。小学校に入ってからも雪恵は一樹にべったりだった。
「かーくん、あーそーぼ」
「ゆき…せっかくがっこうおやすみなんだから、あさはやくにおこすのやめてよ…」
「ダメ!せっかくかーくんと1にちじゅういれるひなんだから、いっぱいあそぶの‼︎」
一樹は日曜と言う事もあり、ゆっくり寝ていたのだが、雪恵に起こされたのだ。
「はやくはやく‼︎きょうはいちかくんとほうきちゃんとこのどうじょう?ってとこにあそびにいくんだから‼︎」
「遊ぶとこじゃねえ‼︎」
元々精神年齢は???歳の一樹。思わず普段仲間といる時の口調になってしまう時もたまにある。雪恵はもう慣れた。
「結局来ちまった…」
「ん?どうしたのかーくん」
「ううん、なんでもないよ」
篠ノ之道場に着いた雪恵と一樹。そこでは箒と一夏が真剣な様子で竹刀を振っていた。
「ハァ!」
「フンッ!」
竹刀と竹刀がぶつかる音を聞き、心地いいと感じてしまった一樹。
「(でも、やっぱり平和だよな…『活人剣』が普通に普及してるし)」
指導を受けているその空気は、一樹にとってはどこまでも『平和』だった。
「フゥ…ん?かずきにゆきえだ。どうしたの?」
一夏が一樹達に気付き声をかける。一樹が返事をするよりも早く雪恵が答える。
「あそびにきたの‼︎」
「「「「遊ぶとこじゃねえ‼︎」」」」
一樹と門下生が思わずツッコム。それを箒の父であり師範でもある篠ノ之柳韻は、笑ってその光景を見ていた。
「じゃあみんな、とるよ〜」
夕方、一樹のデジタル一眼レフの前に篠ノ之道場の人+雪恵が立っていた。一樹は下手な業者より撮るのが上手く、集合写真等は全て一樹が撮っていた。学校の集合写真等に一樹が写っていないのはそういう訳があるのだが、数年後の箒はそれを『クラス全員が拒絶したから』と言っている。
「よし、とれた。いちか、これでいい?」
「ありがとう」
「どういたしまして。じゃあぼくはかえるね。ゆきは?」
「あ、わたしもかえる〜」
こんな調子で…初めて平和な生活が送れていた…こんな世界が、ずっと続いて欲しいとこの時の俺は願い続けていたby一樹
小学校4年生の時の夏休み、自由研究の為の写真を撮りに、学校の裏山に向かっていた。雪恵と共同でして良いかと担任に聞いたら笑顔でOKを貰えたので、雪恵と共同で“空の変化”と、趣味全開でやっていた。そんなある日…
「かーくん!ここなら綺麗に空が撮れるよ‼︎」
「雪!危ないからそこで飛び跳ねるな‼︎」
雪恵がベストポジションとばかりに急斜面の上で飛び跳ねている。
「大丈夫だよ〜かーくんは心配性だ…」
その時、雪恵が足を滑らせる。一樹は全力で雪恵に向かって走り、雪恵の腕を掴む。
「こん…のぉ…」
しかし今の一樹の体は小学生だ。片手で女の子と言えど、持ち上げるのは無理だ。
「(雪には知られたくなかったけど…なるしか)」
S.M.Sにいる時の体になろうと一樹が覚悟した時…
「どうした一樹⁉︎」
一夏が到着した。
「雪が落ちかけてる!」
「クソッ!待ってろ!今千冬姉呼んでくるから‼︎」
確かに2人で掴んでも持ち上げることは不可能だ。一夏の判断は正しいと言える。
「雪!頑張れ!あと少しだ‼︎」
雪恵と自分自身に言う一樹。しかし雪恵は…
「かーくん、ごめんね…」
「ッ⁉︎」
そっと、一樹の手を離そうとする。
「やめろ‼︎」
「このままだと、2人とも落ちちゃうよ」
「んなことはさせねえ‼︎今すぐ俺が「かーくん‼︎」ッ⁉︎」
「かーくんは…平和な生活が好きでしょ?私も…平和に笑ってるかーくんが好きだから…だから」
「黙れ!雪をこのまま落とす訳には行かねえ‼︎」
しかし、運命とは残酷だ。夏と言うこともあって、雪恵を掴んでいた一樹の手が2人の汗で滑っていく。
「…ごめんね」
雪恵の手が離れ、再び落ちそうになるのを一樹は飛び込み、右手で地面を、左腕で雪恵を抱える。
「グッ…」
しかし、今度は右手に2人分の体重がかかり、右手が悲鳴をあげている。そこに…
「櫻井!大丈夫か⁉︎」
「かずくん!今助けるからね‼︎」
一夏が呼んだ千冬と束が到着。2人を引っ張ろうと駆け出す…が
ガラガラガラ
「「ッ⁉︎」」
一樹が捕まっていた所が崩れ、急斜面を転がり落ちる一樹と雪恵。一樹は少しでも雪恵が傷つかぬ様、抱きしめるしか出来なかった…
一夏達が坂の下に着くと、血だらけの一樹と、傷は殆どないが気絶してる雪恵がいた…すぐに救急車を呼び、2人を病院に連れて行った…
注意!
この追憶編、ネクサスの設定を知ってる方は色々ツッコミどころが現れると思います。ええ、作者もにわかですが分かりますし。ですが!それでも書く‼︎
俺は、そう託されたんだ!⇦言いたかっただけ。