人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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…彼は、いつまで戦わなければならないのだろうか。


Episode42 要撃戦-クロスフェーズ・トラップ-

「そんなボロボロなのに、何故自分を労わらない⁉︎」

千冬は一樹に問う。

「やるしか、無いからかな…」

左腕を抑えながら、苦笑いしながら一樹は答える。

「一樹…」

ガルベロスを倒したウルトラマン=櫻井一樹だったが、この時、彼の体は既に…

 

ある霧深い山では、登山客が謎の死を遂げていた…

 

ピピピピ‼︎

「「「「⁉︎」」」」

突如千冬のリヴァイブに通信が入る。

『織斑先生!』

「どうした山田先生」

『束さんが新しいビースト振動波を捉えました!』

「了解、クロムチェスター隊を出撃させてくれ。わたし達もすぐに合流する」

『了解‼︎』

千冬が麻耶と話している間に、一樹はボロボロの体を引きずりながらその場を離れようとする。

「待て櫻井!私たちと共に行動してくれないか⁉︎」

千冬が一樹を呼び止めるが…

「…悪いが俺は……あの学園を信じれない」

今後ろにいる者にシャルロット、摩耶に束を除いて、一樹は学園にいる人間のほとんどを信じられずにいる。

「だが!我々の戦う目的は、同じ筈だ‼︎」

()()?…なら教えてくれよ…俺に光を与えられた『理由(わけ)』を……」

「何…?」

「一樹…」

一夏の呼び止める言葉も聞こえないのか、一樹は何も答えずにストーンフリューゲルでその場を去って行った。

 

千冬達が現場に到着すると、既に箒達が調査をしていた。

「ビーストは?」

「振動波は健在です。ですが、過去に無い波形を示してます」

「どういう事だ?シャル」

一夏が質問したところで、恐ろしい吠え声が聞こえた。全員が声の方向を向くと、今までいなかった筈のビーストが突如現れた。

「各員チェスターに搭乗!」

「「「「了解‼︎」」」」

「織斑!お前はあの戦闘機に乗れ!アレは私も操縦出来ん!」

「了解‼︎」

一夏がフェニックスに搭乗した瞬間、ビーストの目の前に光の柱が現れた。

「ウルトラマン!」

 

「シュ!」

ウルトラマンは4足歩行のビーストに向けて先制の飛び込みチョップを放つ。

「フワァ!」

続けて裏拳。

「フンッ!」

ビーストもただやられるだけで無く、その自重を利用した突進を放ってきた。

「フンッ⁉︎」

何とか突進を受け止めるウルトラマン。しばらくその状況が続いたが…

「フッ⁉︎」

ビーストの口吻が伸び、ガルベロスに噛まれた部分を連続で叩きのめした。

「グッ!グァァ⁉︎」

吹き飛ばされたウルトラマン。すぐに体制を立て直そうとするが…

「シュ!グアァ…」

左腕の痛みに耐え切れず、思わず右手で押さえつけた。

 

「まさか…キズが癒えて無いのか?」

左腕を押さえるウルトラマンを見て、ラウラが呟いた。

 

「グアァ⁉︎」

《グシュウゥゥ‼︎》

素早く動けないウルトラマンを容赦なく投げ飛ばすビースト。ウルトラマンは何とか突進を受け止めるが、すぐに投げ飛ばされてしまう。

「グッ!フアァァ‼︎」

ウルトラマンのストレートキックがビーストに命中。当たりどころが悪かったのか、ビーストは怯み、ウルトラマンから離れた。

「フッ⁉︎」

突如ビーストの背中の水晶の様な物が光った。光線技と思ったウルトラマンは、光線技を出させない為に急接近、飛び込み蹴りを放つが…

「フッ⁉︎」

何故かウルトラマンはビーストを通り抜けてしまった。

「シュウ!」

ウルトラマンはアームドネクサスをエナジーコアに近づけ、アンファンスからジュネッスへとチェンジする。

 

「存在するのに攻撃出来ない…これがこの波形の正体なんだね…」

ウルトラマンとビーストの戦闘を見たシャルロットが呟いた。

 

「シュ!フアァァァァ…フッ!ヘェアァ‼︎」

ウルトラマンはビーストを確実に捉えるためにメタ・フィールドを展開する。

 

メタ・フィールドの展開を終えたウルトラマン。

「シュ!」

ウルトラマンは勢いよくスライディングし、ビーストの腹部にぶつかる。

《グシャアァァァァ⁉︎》

「フッ!シュウ!テェア‼︎」

しばらく叩きつけると、両足で思いっきり蹴り飛ばした。そしてビーストを頭を掴んで回転し、投げ飛ばす。

「フゥゥゥ…シェアッ‼︎」

メタ・フィールドの岩盤に叩きつけられたビーストが怯んだのを確認すると、オーバーレイ・シュトロームを放とうとエネルギーを貯める…

「フンッ!シュ!フアァァァァ…ガアァ⁉︎」

だが、左腕に激痛が走る。オーバーレイ・シュトロームを放てずにいるとビーストの容赦ない突進をまともにくらってしまう。

「グアァァァ⁉︎」

2度目の突進は何とか受け止めたウルトラマンだが…

ピコン、ピコン、ピコン

コアゲージが鳴り始めると同時にメタ・フィールドが解除されていく…

「グアァ、シュ!フアァァ…」

《グシャアァァァァ‼︎》

ビーストの背中の水晶が光り、とうとうメタ・フィールドを破ってしまった。ストライクチェスターでメタ・フィールドに突入しようとしていた面々が驚く。

「メタ・フィールドが…消滅した?」

ビーストはウルトラマンから逃走。ウルトラマンも追う事は出来ず、消えてしまった…

 

ふらつきながらもストーンフリューゲルはその場から離れていく。

「傷の回復が遅い…どうなってんだよ、俺の体は…ガアァ⁉︎」

 

ウルトラマンがビーストと戦っていた近くの山では、IS学園新聞部副部長の黛薫子が山の風景写真を部員と共に撮っていた。

「…あれ?今なんか落ちた?」

 

『コードネーム『ゴルゴレム』には別の異層に飛び込む力、即ち、異層間移動能力が備わっているよ』

IS学園では、一夏達専用機持ちが束の報告を受けていた。

「けど姉さん、メタ・フィールドには捕らえられていましたよ?」

「って事は…ラフレイアの時の様にウルトラマンがいないと倒せない…って事か?」

『うーん、確かにいっくんの言う通り、ウルトラマンのメタ・フィールドが確実で良いんだけど、今回はクロスフェーズ・トラップを使ってみようと思うんだ』

「クロスフェーズ・トラップ?」

『そ。幸い、ゴルゴレムの振動波は強力だからロストする心配は無いんだ。ゴルゴレムの進路上にスキャンニングパルスの増幅システムを設けて攻撃に転用するって作戦なんだ』

「「「「スキャンニングパルス?」」」」

「普段はメタ・フィールドの異層を割り出す為に使われている操作波だ」

『送電線を外した高圧電灯を増幅機に改造。ここにメガキャノンチェスターから最大出力のスキャンニングパルスを放射する。ゴルゴレムが別異層にいてもこの鉄塔の間を通過すればその異層間移動制御器官を破壊出来るよ』

「アレね。電子レンジの中で生卵が爆発する感じ」

凰が妙に庶民的な例えを出す。

「そして姿を現したゴルゴレムをメガキャノンバニッシャーで叩く…」

セシリアが作戦の締めを言うと、一夏が疑問を言う。

「けど束さん、ゴルゴレムがこの罠に引っかかる確証は無いんじゃ…」

『その点は大丈夫だよいっくん。現場から30km離れた所には温泉街があるの。つまり…』

「多くの捕食対象がいる…か」

「いつも以上に失敗は許されないって事だね…」

シャルロットの顔が一気に青ざめる。

『一つ懸念事項があって、スキャンニングパルスの放射限界時間なんだ』

「つまりはメタルジェネレーターの運用パワーの限界…ということですわね」

『その間…180秒』

「たったの180秒だと⁉︎」

 

「おっかしいなぁ…ここら辺に何か落ちたと思うんだけど…」

「副部長、どうかしましたか?」

新聞部唯一の専用機持ちである佐藤が黛に話しかける。

「いや、ここら辺に何か落ちたのを見たんだけど「副部長‼︎」どうしたの?」

「ひ、人が倒れてます‼︎」

「「ッ⁉︎」」

黛と佐藤がその場に着くと、そこに倒れていたのは…一樹だった。

「ま、まさか…」

「副部長、知り合いですか?」

「い、いや、きっと人違いね。佐藤さん、この人を旅館まで連れて行って」

「分かりました!」

専用機を展開した佐藤が一樹を抱え、IS学園新聞部一行は旅館へと移動した。

 

旅館に運ばれた一樹はIS学園新聞部によって応急処置がされた。今、部屋では黛と1年の竹本が一樹を看ていた。一樹は今、大量の汗を流しながら眠っている…

「副部長、ダメです。電話も携帯もつながらないです」

何とかして救急車を呼ぼうとしていた新聞部員だが、電話や携帯はおろか、佐藤の専用機を持ってしてもつながらなかった。

「具合、どうですか?」

「見ての通り、まだ眠ったままよ」

「そうですか…」

佐藤が一樹のジャケットを畳もうと持ち上げると、ジャケットからエボルトラスターが落ちた。

「え?何これ?」

拾おうとする佐藤に…

「…さわ、るな…」

一樹が震えながら制止していた。

「触らないでくれ…」

エボルトラスターを掴もうと左腕を伸ばす一樹だが、すぐに苦悶の表情で左腕を抑える。

「ッ⁉︎」

「ダメですよ、まだ動いちゃ。体中傷だらけなんですから」

佐藤が一樹の脂汗をタオルで拭き取る中、黛が一樹に話しかける。

「あなた…櫻井一樹さん、よね?」

黛が確認する様に話しかけるが、疲れ切ってる一樹は痛みに耐え切れずに気絶した。

「まだだめか…」

その瞬間、いきなり電灯が消えた。

「え?停電?」

 

黛達がいる旅館から30km離れたところでは、一夏達がクロスフェーズ・トラップの準備を進めていた。

「最終チェッククリア。スキャンニング・パルス、放射準備完了」

『ゴルゴレム、1500mラインを通過』

一夏とラウラの声が、妙に響く…

 

「やっぱり知ってる人だったんですね、副部長」

「いえ、この人は私の事なんか知らないわ」

「え?」

黛は、まるで思い出す様に語り始めた。

「中学3年の時の話よ…私が初めて人の写真を見て震えたのは。あんなにも力強く写真で真実を伝えられる…それを知ったのが、あるコンクールに出された写真よ。人や自然、地球から見れる宇宙の神秘…それを若干14歳の男の子が撮った…それを知った時、私の目的が見えた気がしたのよ…」

 

『ゴルゴレム、800mラインを通過…500mラインを通過』

「スキャンニング・パルス、放射しま『待て織斑!』え?」

『まだ早い…ギリギリまで待つんだ』

『400mラインを通過…止まった!ゴルゴレム、300m地点で止まりました‼︎』

「まさか…気付いたのか⁉︎」

前の箒が愕然とするが、一夏は冷静だった。

「箒、落ち着け。相手も一応生き物だ。止まる事もあるだろうよ」

 

「しかし暑いわね…今は非常用電源で電灯をつけてるからか、エアコンは動かないし…」

黛はそう言いながら窓を開けるが、風は全く吹いていない。

「風も無いし、もう最悪…」

その時、一樹の枕元でエボルトラスターが鼓動を打っていたのを、誰も気づかなかった…

 

『動き出しました!コースは変わらずに速度が上がってます‼︎…100mライン通過!…50m!…30…20…10‼︎』

『織斑‼︎』

「放射‼︎」

一夏が放射ボタンを押した事により、クロスフェーズ・トラップが動き出した。

「クロスフェーズ・トラップ、作動を確認‼︎」

その瞬間、ゴルゴレムの頭が見え始めた。

「見えました!」

『いや、まだ完全ではない‼︎』

トラップの間で苦しむゴルゴレム。

 

「何?」

「何かの鳴き声が聞こえた気がする…」

窓の近くにいた黛には山の向こうでクロスフェーズ・トラップのプラズマが見えていた。黛はいまだ眠り続ける一樹の方を向く。

「あなた…アレを撮りに来たの?」

しかし意識が無い一樹が答えられるはずもない。しかし、黛は何か決心すると自らのカメラを持って部屋を飛び出した。

「「副部長⁉︎」」

佐藤と竹本は黛を追う。

 

「放射限界まで後50秒‼︎」

スキャンニング・パルスの限界が近づいている…

 

窓から見えたプラズマに向かって全力で走る黛。

「ハア、ハア、ハア…」

 

「限界まで、後20秒‼︎…後10秒!…9…8…7…6…5…4…3…2…1」

ゼロになるその瞬間、ゴルゴレム背中の水晶が破壊された。

「よしっ!!」

『そうか!背中の破壊された箇所が制御器官だったのか!』

『ゴルゴレム、来るよ‼︎』

ゴルゴレムの身体が(いかづち)状のエネルギー派が放たれるが、一夏が咄嗟にメガキャノンチェスターを浮上させたことにより難を逃れた。

「ラウラ!メガキャノンバニッシャーが撃てるようになるまで後90秒必要なんだ!俺は攻撃に集中するから操縦頼んだ‼︎」

『任せろ‼︎』

ラウラに操縦を任せ、一夏はスパイダーミサイルでゴルゴレムを攻撃していく。

 

「あれは…」

一夏達がゴルゴレムと戦闘を開始してすぐに黛も到着した。黛の眼前にはメガキャノンチェスターがゴルゴレムの雷を避け、ミサイルで反撃していくのが見える。

「…」

無言で写真を撮り始める黛。そこに後輩の2人が追いついた。

「ッ⁉︎副部長!逃げないと‼︎」

「…あなた達だけでも逃げて」

「「でも‼︎」」

黛は2人に答えずに、独り呟く。

「櫻井君…今度は私の番、私の写真が人々に真実を伝えるの‼︎誰も知らない真実を‼︎」

 

『メタルジェネレーター、冷却完了‼︎』

『メガキャノンバニッシャー、撃てるよ一夏‼︎』

「ああ…ッ⁉︎あれは黛先輩か⁉︎」

『『『『え⁉︎』』』』

黛の存在に気付いた一夏達だが、専用機持ちでない黛には連絡が取れない。しかも彼女は必死に写真を撮っているようだ。

「くそッ‼︎ゴルゴレムを黛先輩に近づけさせる訳にはいかねえ‼︎ラウラ誘導頼んだ‼︎」

『クッ…了解だ…』

「箒は千冬姉達に連絡だ‼︎急げ‼︎」

「あ、ああ‼︎」

「セシリアはスパイダーミサイルを閃光弾に切り替えてくれ!」

『わ、分かりましたわ!』

「鈴はジェネレーターの冷却装置稼働率を最大に上げろ!帰り動かなくなってもこの際構わない‼︎」

『分かった!』

「シャルは近くに他に誰かいないか探し、いた場合はラウラに報告してくれ‼︎」

『うん、任せて‼︎』

しかし、現実は残酷でゴルゴレムは黛に気付いてしまった…

 

「み、見つかった⁉︎」

ゴルゴレムに睨まれた瞬間、黛は腰が抜け、動けなくなってしまった。

「副部長‼︎」

「逃げてぇぇぇぇ‼︎‼︎」

2人は叫ぶが、腰が抜けた黛は動けない。そんな黛にゴルゴレムの口吻がせまる。

「「「イヤぁぁぁぁ‼︎‼︎」」」




頼む一夏…今この状況では、お前だけが頼りだ。
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