人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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あまり過信しずきると、それがなくなったとき後悔する…


Episode43 追撃-クロムチェスターδ-

『『『イヤぁぁぁぁ‼︎‼︎』』』

「ッ!?」

旅館で気絶しているように眠っていた一樹だが、『光の力』で黛達の危機を察知すると飛び起きる。痛む体を強引に動かし、ジャケットとエボルトラスターを持って旅館を飛び出した。

「間に合ってくれよ…」

 

「やらせるかあぁぁぁぁ‼︎‼︎」

一夏が咄嗟に閃光弾を放った事によりゴルゴレムの動きが止まった。

「Set into strike formation‼︎」

『『『『了解‼︎‼︎』』』』

メガキャノンチェスターが分離し、3機のクロムチェスターがストライクチェスターに再度合体。ストライクバニッシャーをゴルゴレムに向かって撃つが、ゴルゴレムは口吻から火球を出し迎撃した。

「そんな⁉︎」

ゴルゴレムは再度3人を狙う。

「「「助けてぇぇぇぇ‼︎‼︎」」」

 

『『『助けてぇぇぇぇ‼︎‼︎』』』

悲鳴が聞こえた瞬間、一樹はエボルトラスターを引き抜いた。

「だぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」

 

ゴルゴレムの口吻が3人に向かって伸びる。

「「「いやッ‼︎‼︎」」」

3人は恐怖のあまり、頭を伏せる。だが、いきなり目の前が強く光り、口吻が止められた。

「シュアァァァァ…」

《ギャシャアァァ⁉︎》

ウルトラマンが両腕を使って必死に口吻を止めていた。何とか左腕一本で抑え、セービングビュートで3人を救出。

「シュッ!」

戦闘の余波が起きない所まで送った。

「ヘェア‼︎」

 

『『『「ウルトラマン⁉︎」』』』

ストライクチェスターの面々はウルトラマンがゴルゴレムを押さえつけてるのを見て、一瞬だけ安堵の表情を浮かべた。

 

「シュゥゥゥゥ…」

《ギャシャアァァ!》

黛達をウルトラマンが救出した事により、ゴルゴレムは怒り、ウルトラマンに打ち付けようと口吻を動かす。ウルトラマンは何とか耐えていたが、体中の傷が痛み、一瞬力が抜けてしまった。その隙を逃さず、ゴルゴレムは口吻をウルトラマンに叩きつけた。

「グォッ⁉︎」

続いてゴルゴレムは火球を放つ。火球はウルトラマンの左肩へ命中した。

「グアッ⁉︎」

火球が命中した衝撃で左腕の傷が開いた。思わず左腕を押さえ片膝をついたウルトラマン。

《ギャシャアァァ‼︎》

ウルトラマンの動きが止まると、ゴルゴレムは黛達の方へ向かおうとするが、ウルトラマンは飛び上がり、ゴルゴレムの正面に着地。必死に口吻とゴルゴレムを抑え、押し戻す。

「フアァァァァ…」

《ギャシャアァァ!》

ピコン、ピコン、ピコン

今まで以上に体力の消耗が激しいのか、胸のエナジーコアが鳴り始める。それでもウルトラマンは諦めずに…

「フッ!シュアァァァァ‼︎」

ゴルゴレムを投げ飛ばした。

《ギャシャアァァ⁉︎》

「ウゥッ…ハア、ハア…」

しかし、投げ飛ばされたゴルゴレム以上にウルトラマンのダメージが大きいのか、ウルトラマンは再び片膝をついてしまう。

《ギャシャアァァ‼︎》

その隙に黛達に近づこうとするゴルゴレム。

「フッ⁉︎シュアァ‼︎」

ウルトラマンはゴルゴレムの口吻目掛け、パーティクルフェザーを放った。パーティクルフェザーは見事口吻に命中。口吻は切断された。ゴルゴレムはウルトラマンに背を向ける。ウルトラマンは追う力も無く、消えていった…

 

「ゴルゴレムの進行報告へ回り込むぞ‼︎」

『一夏!温泉街にはまだ人がいる‼︎』

「なんだって!?」

 

街に入ろうとするゴルゴレム。

「やめろぉぉぉぉぉ‼︎‼︎」

効かないと分かっていても一夏はストライクバニッシャーをゴルゴレムに向かって連射した。流石のゴルゴレムも連射の威力に横転した。その瞬間、ゴルゴレムの背中の制御器官が回復、ゴルゴレムは消えていった。

『制御器官が…回復したのか?』

ラウラが呟くと、束がモニターに映った。

『ゴルゴレムは異層を移したよ。一旦戻ってきて』

「その前に束さん!なんでこの辺りに避難勧告が出てないんですか⁉︎」

『もう一度言うよいっくん、戻ってきて』

「束さ『ブツッ』クソがぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎」

一夏の怒りの叫びが、機内に響く…

 

「ゴフッ…」

一樹は吐血しながらも、黛達の安否を確認するために森を進む。

 

「束!どういう事だ‼︎何故あのエリアに人がいた‼︎」

「ゴルゴレムの進路を特定して撃破するためには、あそこの人達が必要だった…ただそれだけの事だよ」

「貴様!櫻井が命がけで我々を守ってくれているのに何て事を!!!!」

束のあんまりな言い方に、感情的になって胸ぐらを掴む千冬。

「なら!そのかずくんを追い込んだのは一体何⁉︎女尊男卑の原因であるISを作った私と違うんだよ⁉︎かずくんは世界を滅茶滅茶にしたわけでも、人を殺した訳でもない。ただ一人の女の子を守りきれなかっただけの小さな男の子を苦しめたのは何⁉︎同じ人だよね⁉︎」

「ッ⁉︎」

動きが止まらずを得なかった千冬。束はそんな千冬の手を振りほどく。

「…次は必ず成功してもらう…そのための準備があるから私は行くね」

束は一人になった瞬間…

「ごめん、ね…かずくん…あんなやり方しか出来なくて…ごめんね…」

一樹への罪悪感に、潰れそうになった…

 

「副部長…私、昨日副部長が言ってた事、分かりました」

「ああ…『写真は真実を伝えられる』って事を、櫻井一樹君の撮った写真で教わったって言った奴?」

「はい」

 

黛達が話してる少し離れた所では、一樹が左腕を抑えながら聞いていた。

「俺の…写真?」

 

「私もです。『目的が見えた』とも言ってました。私も…見つかったような気がします。専用機持ちとして…」

 

3人の言葉ひとつひとつが、一樹の胸に鋭いナイフの様に刺さっていく。

()()…」

 

「でも…2人に話しといて何だけど、私はこの写真を公表しなくて良いと思ってるの」

「「え⁉︎」」

「この写真…見たら怖がる人がいる。撮ってる時は夢中だったから分からなかったけど、私には、櫻井君の様に真実を伝える事なんて出来ない…」

「俺はあなた達が言う程凄いやつじゃない」

「「「⁉︎」」」

3人がいきなり声が聞こえた方を向くと、脂汗をかきながら必死に何かを伝えようとする一樹がいた。

「俺の写真は…そんな褒められた物じゃない。俺の写真は…たった一人の女の子の…命を奪いかけたんだ」

「「「⁉︎」」」

「そんな奴の写真に、素晴らしさなんてあるはずが無い。あるのは…自分とは真逆…綺麗で、神秘的な物を撮れば自分も綺麗になれると信じて撮った…結局は汚れた写真、なんだ。ウッ⁉︎」

一樹は左腕を抑えて崩れかける。その抑え方を見た3人の脳裏に、昨晩ウルトラマンが火球受けた時が映った。

「そういう事だったんだ…」

黛はウルトラマンの正体に気付いた。他の2人も同じだったらしく…

「あの、昨夜はありがとうございました」

3人揃って頭も下げた。一樹はそれに何も答えず、その場を去ろうとする。

「あの、頑張って下さい」

一樹は3人から充分に離れると、ストーンフリューゲルを呼んだ。

 

『これが新型機、クロムチェスターδだよ。先の戦闘で時間を稼いだおかげで、新しく開発したハイパージェネレーターを搭載出来たよ』

「それって…メタルジェネレーターより強力なんですか?」

『ストライクチェスターでは不可能だった事…つまり、スキャンニング・パルスを使った特定異層の割り出しと、フェーズシンクロナイザーを使った異層間の移動が同時に行えるよ』

「じゃあゴルゴレムを追撃出来るんですね?」

『うん。ただ、ISに合わせた調整をするための余裕が無いから、対Gシステムは無いよ。だから今の所コレを扱える人は限られるよ』

「なら、俺が乗る‼︎」

一夏はその目に、強い意志を乗せて言う。

「…そうだな。対Gシステムが無い以上、扱えるのは織斑ぐらいだろう。束、δ機を織斑に合わせてカスタマイズしてくれ」

『分かったよ』

 

『ゴルゴレムの現在位置はエリア4、ポイント815だよ。進行方向のポイント818に対する避難勧告は、混乱を避けるために行わないよ。α機、β機、γ機はメガキャノンチェスターでポイント817で待機、δ機は別異層のゴルゴレムを追撃して異層間への移動制御器官を破壊。ゴルゴレムの器官回復に要する時間は480秒。その間にメガキャノンバニッシャーで殲滅、以上が今回の作戦の概要だよ』

出撃準備をしながら聞く面々、一夏は特に念入りに機体の状態を確認した。

「(武装、及び搭載されてるシステムは全部把握…全システム、オールグリーン…)」

『よし、今度こそゴルゴレムを潰してこい!クロムチェスター隊、出撃しろ!!!!』

『了解!チェスターα、行く!!!!』

一夏がδ機に乗り換えた事で1人乗りとなった箒が先行する。

『チェスターβ、出ますわ!!!!』

『チェスターγ、行くよ!!!!』

次々と出撃していくクロムチェスター。そして…

『いっくん、かずくんをお願いね』

「分かってます。チェスターδ、織斑一夏。出るぞ!!!!」

 

ストーンフリューゲルの中で少しでも回復しようとする一樹。だが、その脳裏に映るのはゴルゴレムに追い詰められ続ける自分だった…

「ウグッ…グッ…」

 

『Set into mega cannon formation‼︎』

ラウラの掛け声により、クロムチェスターαからγの3機が合体、メガキャノンチェスターになる。一夏はそれを見ながら、自らの任務に向かう。

「チェスターδ、ゴルゴレム追跡に向かう。スキャンニング・パルス放射…ゴルゴレム確認、異層座標E29、ハイパージェネレーター、フルドライブ!行っくぜぇぇぇぇ‼︎」

δ機が、異層移動を開始した。

「頼むぞ…一夏」

千冬は、ただ祈る事しか出来ない。

 

「クソッ!座標を移された!座標F56か…フェーズシンクロナイザー、作動、座標F56との異層同期確認」

異層移動が完了した瞬間、いきなり眼前にゴルゴレムが現れた。

「ウワッ⁉︎」

すぐに操縦桿を操り、ゴルゴレムの背後に回る。すると、ゴルゴレムの背中の制御器官が光った。再び異層を移動しようとしてるのだ。

「絶対逃さねえ!クアドラブラスター、ファイア‼︎」

δ機の4門のビーム砲が火を噴き、ゴルゴレムの制御器官を破壊した。

「よっしゃあ!」

 

『来るよ‼︎』

シャルロットの言葉とほぼ同時にメガキャノンチェスターのおよそ1200m先にゴルゴレムが現れ、その頭上からδ機も現れた。

「制御器官、回復まで後400秒だ」

『任せろ!メガキャノンバニッシャー、シュート‼︎』

ラウラが発射ボタンを押した。メガキャノンバニッシャーは真っ直ぐゴルゴレムに伸びていき…強い閃光が起きた。光が晴れたそこには…ほぼ無傷のゴルゴレムがいた。

『バニッシャーが効かないのか⁉︎』

『違うわラウラ、ゴルゴレムのバリアで威力が半減されたみたいよ!』

『み、皆さん見て下さい‼︎制御器官が…』

箒達が見ると、ゴルゴレムの制御器官が回復しつつあった。

 

「前回より回復が早い⁉︎なんて適応力の高さなの⁉︎」

学園では束がキーボードを叩きながら現状を打破するための作戦を必死で探していた。

 

ゴルゴレムを上空から攻撃しようとする一夏の前にストーンフリューゲルが飛んできた。

「一樹⁉︎」

ストーンフリューゲルとδ機は一瞬すれ違った。一樹はストーンフリューゲルの中でエボルトラスターを引き抜いた。

「ウオォォォォォォォ‼︎‼︎‼︎」

 

ウルトラマンは空中でアンファンスからジュネッスにチェンジ。着地してゴルゴレムに向かって構える。

「シュ!フアァァァ…」

ウルトラマンの後方10km先には、平和に暮らす人々の街があった…

 

「副部長、どうするんですか?」

「うーん…」

 

ゴルゴレムの進行を止めようと、ひたすら突進するウルトラマン。だが、ゴルゴレムはその鋭い頭を使ってウルトラマンをなぎ払う。

「グアッ⁉︎」

2度それを繰り返したウルトラマンだが、尚も近づいてくるゴルゴレムの頭部に、渾身の回し蹴りを放った。

「シュアッ!」

《ギシャアァァァ⁉︎》

更に飛び込んでドロップキック。

「デェアッ‼︎」

《ギシャアァァァ⁉︎》

息切れしながらも、ゴルゴレムに向かって構えるウルトラマン。

「ハア、ハア、シュアッ!…ハア…」

 

「もう少し、写真を取り続けようかな。私ね、元々噂好きなのもあったけど、それ以上に写真が好きなんだ。だから、色んな人達に私の写真で勇気や感動を与えたいと思ったから新聞部に入部したのね。だから…たとえ櫻井君が暗い気持ちで撮ったものであっても、それに心を動かされた私の様に、私も人の心を動かしたいなって思うの」

「その言葉を待ってました!」

「では、IS学園新聞部、これからも…いえ、より一層頑張って、櫻井君の写真を超えてやりましょう‼︎」

「「「おぉ〜‼︎」」」

 

ゴルゴレムを持ち上げ、街とは逆方向に投げ飛ばすウルトラマン。

「デェアァァァァ‼︎」

《ギシャアァァァ⁉︎》

ゴルゴレムが転がってる内に、ウルトラマンはメタ・フィールドを展開する。

「シュ!フアァァァァ…シュ!ヘェアァァァ‼︎」

ウルトラマンとゴルゴレムはメタ・フィールドへと移動した。

 

「みんな‼︎俺達もメタ・フィールドへ行ってウルトラマンを援護するぞ‼︎‼︎‼︎」

『『『『了解‼︎‼︎‼︎』』』』

一夏の掛け声を合図に、クロムチェスターδ機とストライクチェスターがメタ・フィールドへの突入を開始する。

「『ジェネレーター、フルドライブ‼︎』」

 

「『メタ・フィールド、突入成功‼︎』」

一夏とラウラの声が妙に響く…急いでウルトラマンとゴルゴレムを探す面々。そこには…

ピコン、ピコン、ピコン

「グゥ…ファッ、アァ…」

《ギシャアァァァ‼︎》

苦しそうに胸を抑えるウルトラマンとゴルゴレムがいた。ウルトラマンはフラフラながらも、ゴルゴレムに向かって構える。だが…

「フゥ、フゥ、シュア。アァ…アァ…」

ウルトラマンは…メタ・フィールドの大地に倒れてしまう。

「そんな⁉︎」

俺は、当たり前の事に初めて気付いた。ウルトラマンと言えど、元は櫻井一樹という、俺の幼なじみなのだ。その体に、いつ限界が来てもおかしくないのだと…by一夏




どんな生き物でも、必ず限界というものは来る…それを忘れてはならない…
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