人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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男なら、誰かのために強くなれ。

歯を食いしばって、思いっきり守り抜け。

転んでもいい、また立ち上がれれば。

ただそれだけ出来れば、『英雄』だ!!!!


Episode47 英雄-ヒーロー-

「嘘だ…ウルトラマンが…一樹が負けるなんて‼︎」

『そう取り乱すな…相変わらず女々しい奴だ』

δ機のモニターに、溝呂木が映った瞬間、一夏は顔を怒りに歪ませる。

「溝呂木‼︎」

『ウルトラマンの敗北は、これから始まる聖なる儀式のほんのプロローグにすぎない』

「お前だけは…絶対に許さねえ‼︎‼︎」

クアドラブラスターを撃とうとする一夏。だが…溝呂木の前に呆然としている箒、セシリア、鈴がまるで盾の様に立たされた。

『撃てよ。撃てるならな…』

「箒!セシリア!鈴‼︎」

発射を躊躇う一夏。その瞬間、いきなりδ機が揺れた。

「くっ⁉︎」

『一夏!うわっ⁉︎』

ストライクチェスターのラウラが心配した声を上げるが、ストライクチェスターも揺れる。原因は…

《クシャァァァァァ‼︎‼︎》

クトゥーラが触手で2機を捕らえたのだ。

『フルパワーで脱出しろ‼︎』

『ジェネレーター出力、低下!これじゃ脱出出来ません‼︎』

 

「すべてのゲストは揃った…処刑の開始だ」

「…処刑、だと?」

箒の疑問に溝呂木は言葉ではなく、行動で答える。ウルトラマンが磔にされている岩に向かってダークエボルバーを振るう。

「冥府よ…動け‼︎」

溝呂木の命令を受け、岩から闇の蔦が伸び、ウルトラマンを覆い始める。

「「「⁉︎」」」

 

「アレは…」

『闇の波動だ』

 

「あの蔦がウルトラマンの全身を覆い尽くした時、櫻井一樹の命の光は完全に消え失せる。その瞬間、奴と同化していた光はこの終焉の地に解き放たれる。俺はその光を奪い、無敵の超人となり、世界を思うままに動かしてやる…より高き者、より強き者、より完璧なる者として!フフフフ…アハハハ、アハハハハハハ‼︎‼︎」

溝呂木の笑い声に反応する様に、都心部では次々と停電状態へとなっていく…

 

「特殊振動波が、地上にまで⁉︎」

IS学園で見守る麻耶。モニターには、停電状態へとなっていく都心部が映っていた…

『…溝呂木の儀式が、本当に黙示録の実現だとしたら、秩序は確実に崩壊するだろうね。でも__________』

「でも?」

『____私の見る未来は、まだ混沌の中にある。光は、まだその輝きを失ってないってことだよ…ま、私が望んでるだけかもしれないけど。かずくんがまだやられてないってね』

 

闇の蔦が、ウルトラマンの下半身を覆ってきた…

 

『わたしのおなまえは『たなかゆきえ』っていうんだ!あなたのおなまえは?』

『かずきっていうんだ…なら、『かーくん』ってよぶね。わたしとおともだちになってください‼︎』

『かーくん!今度の日曜にお祭りがあるんだって!行くよ‼︎』

 

「ゆ………き………」

 

『かーくんは…平和な生活が好きでしょ?私も…平和に笑ってるかーくんが好きだから…だから』

『…ごめんね』

 

「ウウッ…」

 

闇の蔦が、ウルトラマンの上半身を覆い始めた…

「くそッ!」

『各機、発射可能な武器を全てビーストに集中せよ!』

「『『ええっ⁉︎』』」

『この状態での攻撃じゃ…』

『ビーストの気をそらす!それだけで良い‼︎』

「『了解‼︎‼︎』」

千冬の指示を受け、操縦桿を握っている一夏とラウラがそれぞれ攻撃。一夏はクアドラブラスターを、ラウラはストライクバニッシャーを撃つ。何発かはクトゥーラに命中するが…

《クシャァァァァ‼︎‼︎》

 

「馬鹿が…無駄な足掻きは見苦しいだけだ」

 

クトゥーラはさっきより激しく2機を振り回す。

「うわっ‼︎」

『グッ⁉︎』

ストライクチェスターが、岩盤にぶつかろうとしている…

 

「「「ああっ⁉︎」」」

「待て、まだ殺すな」

 

溝呂木の命令に、クトゥーラはストライクチェスターを岩盤から遠ざけた。だが、それは一夏の狙い通りだった。

「(頼むぞ、ラウラ!)クアドラブラスター、ファイア‼︎‼︎」

δ機のクアドラブラスターがストライクチェスターを縛る触手に命中、怯んだクトゥーラはストライクチェスターを解放する。

『ボーデヴィッヒ‼︎‼︎』

『分かってます‼︎ストライクバニッシャー、シュート‼︎‼︎』

続いてラウラがδ機を縛る触手を攻撃、δ機も解放させる。解放された瞬間、一夏は叫ぶ。

「Set into hyper strike formation‼︎‼︎」

ハイパーストライクチェスターに合体、そして、束が新たに作った新兵器をクトゥーラに向けて撃つ。名を…

「喰らえ!『ウルティメイトバニッシャー』、シュート‼︎‼︎」

一樹から与えられたデータを元に、オーバーレイ・シュトロームと理論上は同程度の威力を誇る新兵器。それをクトゥーラに命中させる。

《クシャァァァァ⁉︎》

クトゥーラは断末魔の叫びを上げながら水色の粒子となり、消えていった…

 

「やるねえ。だがやはり無駄な足掻きだ。じきに処刑は終了する」

闇の蔦は、ウルトラマンの顔以外の全てを覆っていた…

 

『かーくん…かーくん』

精神世界とでも言えようか、その世界で倒れていた一樹を呼ぶ声。一樹はゆっくりと起き上がる…そんな一樹の前に立っていたのは…

「………雪………」

案内人(ナビゲーター)である雪恵だった…

『かーくん、納得出来る写真は撮れた?』

雪恵の問いに、一樹は悲痛な面持ちで首を横に振るう。

「俺…俺は、人の生きる姿を、綺麗な空を、力強く生きる植物を、その意味を、撮りたかった。だけど俺の写真は…君を、脳死にまで追い詰めた…最低だよ」

 

「溝呂木、ゲームは終わりだ」

リヴァイブのライフルを溝呂木に向けて、千冬が言う。仲間達の元に駆け出そうとする箒、セシリア、鈴だが、溝呂木にまたもや気絶させられる。

「それはどうかな?」

溝呂木は空高く飛び上がると、ダークエボルバーから波動弾を連続で撃つ。それは箒達も狙われており、庇おうとした一夏と、避けられなかったシャルロットに命中した。

「ウグッ⁉︎」

「アアッ⁉︎」

「⁉︎溝呂木ぃぃぃ‼︎‼︎」

リヴァイブのライフルを溝呂木に向ける千冬だが、急降下した溝呂木の動きについて行けず、鳩尾にダークエボルバーを突き出されて吹っ飛ばされる。溝呂木は流れる様に背後にダークエボルバーを突き出す。それと交差する様に、ラウラのマグナムが溝呂木の喉元に突き出されていた。

「…腕を上げたな。流石は俺が見込んだ女だ」

「ふざけるな。ビーストに成り果てた男が」

「…もう一度だけ聞く。俺の仲間になる気は?」

「なら答えてやる。死んだ方がマシだ」

「…だったら死ね」

ラウラの腕を蹴飛ばし、ダークエボルバーで攻撃しようとする溝呂木。だが、急に背後から攻撃され、ラウラを攻撃するには至らなかった。溝呂木が攻撃された報告を向くと、ビームマグナムを構えた一夏がいた。

「溝呂木…てめえだけは俺がぶっ潰す‼︎‼︎」

「やってみろよ坊や。だが、頼りのウルトラマンはもういないぜ?」

ダークエボルバーを引き、ダークメフィストに変身する溝呂木。

「撃て‼︎‼︎‼︎」

千冬の号令と同時に、ラウラとシャルロットがメフィストに向けて攻撃を開始。一夏は気絶している箒達を救出しようとするが…

『フンッ!タァッ‼︎』

メフィストは矢じり形の光弾、ダークレイフェザーを放ち、それを許さない。一夏は爆風によって吹き飛ばされた。

「グハッ⁉︎」

「一夏!くそッ!篠ノ之達は後だ‼︎各員チェスターに搭乗せよ‼︎」

「「「了解‼︎‼︎」」」

 

エボルトラスターを見つめながら、懺悔の様に一樹は語る。

「俺は君に導かれ、光の力を得た。そして誰かを救うために戦い続けた…力を与えられた事…それが君を脳死に追い込んだ俺の、罰だと思ったから。ボロボロに傷つき、1人孤独に死んでいくことが、せめてもの罪滅ぼしに違いないと…でもそれも終わった」

『かーくん、その力は、罰なんかじゃないよ?』

「……え?」

エボルトラスターが優しく鼓動を打つ。その光が、あの遺跡を映す。一樹が見過ごした、遺跡の壁画を…

『あなたに与えられたその光は、長い時を越えて、多くの人達に受け継がれてきたの。その光を得た人達は、時には大切なものを失いながらも、必死に戦ってきた』

「その光が…俺に?」

『そう、かーくんは選ばれたの。その光の継承者、適能者(デュナミスト)として…』

「でも、俺にそんな資格があるのか…?だって、俺は君を…」

『かーくん、私、かーくんの撮る写真が…ううん、かーくんが好きだよ』

「…え?」

『かーくんは、私の笑顔を1番綺麗に撮ってくれた。いつも私が何かミスをした時、文句を言いながらもフォローしてくれた。私が生きる意味をくれたのは、他の誰でもないかーくんなんだよ』

「雪が、生きる意味…」

『私、かーくんと過ごす日々が、とても輝いてる。私のいる世界は、かーくんと一緒だから輝き続けていられる』

雪恵の身体が少しずつ消えていく…

「雪?」

『かーくんと出会えて本当に嬉しい。ありがとう』

「雪⁉︎」

雪恵の身体が、完全に消えた…思わず立ち上がって雪恵を追おうとする一樹。

『守ってあげて…大切な人達を、その力で…()()だよ、かーくん…』

「約束…」

一樹の脳裏に浮かぶのは、幼い頃にした2人の、永遠の約束…

()()()

 

「喰らえ‼︎」

ウルティメイトバニッシャーをメフィストに向けて撃つ一夏。

『グッ⁉︎アアッ⁉︎』

メフィストは少したじろぐが、そこまで大きいダメージは受けてない様だ。

『デェアッ!』

お返しとばかりに、ダークレイフェザーを放つメフィスト。回避が間に合わず、下部にダークレイフェザーを喰らうハイパーストライクチェスター。

『グッ!まだだ‼︎』

「絶対に、諦めるもんか‼︎‼︎」

 

手に持つエボルトラスターの鼓動が、どんどん強くなってゆく。

「俺は…今度こそ守ってみせる。この光で…それが、雪との()()で、俺の生き方だから!!!!」

エボルトラスターから放たれる光が、一樹とその空間を飲み込んだ。

 

エナジーコアを中心に、ウルトラマンの身体が光り始める。そして、その光は闇の蔦を弾く。そして__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンは闇の蔦から抜け出した。

『何⁉︎』

闇の蔦が弾かれた事に驚くメフィスト。

『ウルトラマンが…』

「一樹‼︎‼︎」

ウルトラマンは岩から飛び降りるが、まだその瞳の光は失われたままだった…

 

何とか起きた箒達の目には、ふらふらながらも立ち上がるウルトラマンが映っていた。

「「「ウルトラマン…」」」

 

「ハア、ハア、ファッ…」

『力とは…』

ふらふらのウルトラマンに近づくメフィスト。

『他者を支配し圧するためにある…』

ウルトラマンの首を左手で強く締める。

「グッ⁉︎」

『それに気付けぬ貴様が…俺に勝てる筈が無い‼︎』

空いた右手でウルトラマンの鳩尾を殴ると、1回転右ストレートキックをウルトラマンに放つ。キックを喰らった箇所から火花が飛び散り、吹き飛ぶウルトラマン。

『デュアッ‼︎』

「グアァァァ⁉︎」

 

『第2、第3エンジン復調‼︎』

『ハイパーエネルギー、充填完了‼︎‼︎』

『よし、織斑。ウルティメイトバニッシャー、発射』

「了解‼︎‼︎」

メフィストに向けてウルティメイトバニッシャーを放つ一夏。

『ハッ!』

だが、メフィストはダークレイフェザーでウルティメイトバニッシャーを相殺した。

『駄目!やっぱり効かない‼︎』

『次の1撃が、最後です‼︎』

「くそッ!奴の弱点に撃ち込むしか勝機がねえ…」

『束…教えてくれ。最後の1発をどこに撃てば良い?』

束から帰ってきた返事は、一夏達の度肝を抜いた。

『ウルトラマンの…エナジーコアを撃って』

「え⁉︎ウルトラマンを⁉︎」

 

「どういうことです?」

隣にいた麻耶も束に質問する。無論、ウルトラマンの正体が知り合いであるため、束が適当を言うことはない。

『ウルティメイトバニッシャーは、ウルトラマンの放つ破壊光線の光電子マトリックスを元に作られたんだよ。組成データを修正すれば、純粋なエネルギーとして還元出来る。つまり____』

 

『____ウルトラマンに力を与えられる…』

『ただ狙いは正確にね。少しでも中心を外れれば、意味が無いから』

 

「ウアアッ、ハア、ハア…」

まだウルトラマンの瞳には、光がやどっていない…

 

『修正データ受信』

『エネルギー、変換完了』

最後の1発を撃つための準備が完了した…

『一夏、この1発をお前に託す』

『一夏、頑張って』

『一夏、やれるな?』

一夏は、お守りのガンバルクイナ君を見る。そして…

「…ああ、任せろ‼︎」

照準を合わせる一夏の脳裏に移るのは、IS学園で再会してからの一樹。時には自分を救い、時には自分を導いてくれた存在…

「……」

エナジーコア、ロックオン

「立て‼︎ウルトラマン‼︎‼︎」

一夏は、発射ボタンを押した。

 

「ウウッ⁉︎グアァァァァァァァ⁉︎」

ウルトラマンにバニッシャー自体は命中した。バニッシャーの威力に、ウルトラマンは吹き飛ばされ、大地に倒れる。その手が、天に向かって伸ばされるが…

「ウウッ、アァ…」

たらりと、落とされた…

 

「そんな!」

『失敗したのか⁉︎』

一夏達の瞳に絶望が映りかけたその瞬間…

『!?一夏見て!ウルトラマンの体が…』

 

ウルトラマンの全身からエナジーコアに光が集中する。

ドクン、ドクン、ドクン…

エナジーコアは力強く鼓動を打ち…ウルトラマンの瞳に、光が戻った。静かに、だが、しっかりとウルトラマンは立ち上がる。

 

「よしっ!」

『成功だ!』

『やったね一夏‼︎』

喜ぶ3人。千冬も、声にこそ出さないが、表情は安堵の色を示していた。

 

ウルトラマンはエナジーコアに左のアームドネクサスをくっつけ、下ろした。

「フッ!シュアァ‼︎」

ウルトラマンを水色の光が包み、ウルトラマンをアンファンスからジュネッスへとチェンジさせた。

『馬鹿な⁉︎貴様の光はもう完全に消えかけていた筈だ‼︎』

メフィストはメフィストクローを呼び出し、クローから破壊光弾、ハイパーメフィストショットを連続で撃つ。

『フンッ‼︎‼︎』

対して、ウルトラマンは左のアームドネクサスでその光弾を受け止めていく。

「ハッ‼︎‼︎」

受けた闇の力を少しずつ光に変えていく。

「この力は、決して希望を捨てぬ人々のためにあるんだ‼︎それに気付けないお前が…この力に勝てる筈がねえだろ‼︎‼︎‼︎」

ウルトラマンは両腕をクロス。受け止めた闇の力を光の力に変換したスピルレイ・ジェネレードをメフィストに向かって放つ。

「フゥオォォォ…シュアァ‼︎‼︎」

その巨大なエネルギーを受けたメフィストだが、傷一つついていない。だが、ウルティメイトバニッシャー以上にダメージは負っている様だ。その証拠に、メフィストクローは消え、膝をついていた。

『希望…笑わせるな‼︎』

立ち上がり、ウルトラマンを睨むメフィスト。

『俺は無敵だ!断じて負けはしない‼︎‼︎』

「フッ⁉︎」

『ハアッ‼︎』

「シェアッ‼︎」

2人の巨人は同時に飛び上がり、空中で激しくぶつかり合う。パンチとパンチ、キックとキックがぶつかり合いながら徐々に高く上がっていく。

『フッ!』

メフィストのフックパンチをウルトラマンは下降して回避すると、上昇の力を加えたアッパーカットでメフィストを攻撃。

「テェアッ‼︎」

『グォッ⁉︎』

体制が崩れたメフィストに、更に攻撃を加える。

「キュアァァァァァァァ…」

だが、メフィストも負けてはいない。ウルトラマンの拘束から逃れると、全体重を加えた両足蹴りをウルトラマンに喰らわせる。

『デュウッ‼︎』

「グアッ⁉︎」

下を見るメフィストの視界に、呆然と自分達を見上げる箒達が映った。

『フッ!ハアッ‼︎』

ウルトラマンと箒達を狙って、メフィストはダークレイクラスターを雨の様に放つ。

「フッ⁉︎シュアァァァァァ‼︎‼︎」

闇の雨の範囲に箒達がいるのを察すると、ウルトラマンは箒達の元に急降下。箒達をサークルシールドで闇の雨から守る。

「ヘェアッ‼︎‼︎」

箒達は呆然と自分達を守るウルトラマンを見つめる。闇の雨を防ぎきったウルトラマンは箒達を見る。3人は思わず叫んだ。

「何故私達を庇った⁉︎」

「私達は…あなたを殺しかけたんですのよ⁉︎」

「そんなアタシ達を庇って、あなたに何の得があるのよ⁉︎」

3人の叫びを聞き、ウルトラマン…櫻井一樹は答える。

「それが…雪との『約束』だからだ」

 

『かーくん。かーくんにお願いがあるの?』

『お願い?』

『うん。もし、私に何かあったら、かーくんが助けてくれる?』

『当たり前だろ?絶対に助ける』

『…うん、ありがとう。あとね…』

『ん?』

『かーくんの心も、守ってほしいの。かーくんがやりたいことを、ちゃんと…』

『どういうことだ?』

『もし、絶体絶命の状況があったら、かーくんはどうする?』

『…その場の人を、全部助ける』

『そう。それを実行して。それが、私との()()…ずっと私の…全ての人の、()()()()でいて?』

悪役(ヒール)ではなく、一樹は英雄(ヒーロー)でいる…それが、一樹と雪恵の『約束』だった。

 

ウルトラマンは再び戦場へと戻る。

「フッ‼︎」

「「「……」」」

箒達は、そのウルトラマンの背中を見送ることしか出来なかった…

 

 

『櫻井を援護するぞ!全ミサイル発射‼︎‼︎』

「『『了解‼︎‼︎』』」

ハイパーストライクチェスターに搭載されている全てのミサイルをメフィストに向かって撃つ。しかし…

『ハアッ‼︎』

メフィストはダークレイクラスターで全てのミサイルを迎撃した。

「くそッ‼︎‼︎」

メフィストはハイパーストライクチェスターに向かってくる。突進してハイパーストライクチェスターを破壊する気だ。

『来るぞボーデヴィッヒ‼︎‼︎』

『はいっ‼︎‼︎』

ラウラは操縦桿を右に倒しメフィストを避けようとする。が、このままではぶつかってしまう…

『ぶつかる⁉︎』

だが_______

「シェアッ‼︎‼︎」

『グォッ⁉︎』

ウルトラマンがメフィストに突進し、メフィストをハイパーストライクチェスターから離した。

「…ありがとう、一樹」

 

『何故だ!何故貴様はそこまで人間にこだわる⁉︎人間など、守る価値も無いのに‼︎』

「それはお前がそう思ってるからだろうが‼︎俺にとっちゃ、お前の方がよっぽど救いがねえよ‼︎‼︎」

メフィストの連続ダークレイフェザーを空中で体を捻って回避するウルトラマン。回避も兼ねて、タイミング不可視のボードレイフェザーを放つ。メフィストは時に回避し、時に拳で叩き落としてそれをやり過ごす。

『ふざけるな!ISが発明される前からやれ男尊女卑だの、なんだのと言い続けていた愚か者達と俺を一緒にするな‼︎‼︎』

メフィストはウルトラマンに急接近し、その右拳を振り下ろす。

『デェアッ‼︎』

だが、ウルトラマンは左手でその拳を受け止めると、メフィストの拳を掴んだ。

「シュウッ‼︎」

拳を握り締められ、苦悶の声をあげるメフィスト。

『グォッ⁉︎オォッ⁉︎』

「分かってねえな…お前が語ってるのは人間のほんの一面に過ぎねえんだよ‼︎人間ってのは、時に俺達以上の力を発揮する…そんな生き物なんだよ‼︎‼︎」

メフィストの腕を振り上げると、空いた胴に連続で蹴りを放つウルトラマン。

「ハアァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎」

『グオォォォォォォォォ⁉︎』

最後に両足蹴りを勢いよく放つウルトラマン。

「ヘェアッ‼︎‼︎」

『グァッ⁉︎』

メフィストとの距離が離れると、ウルトラマンはメフィストに向かって言い放つ。

「お前が…知ったような口で人間を語ってんじゃねえよこのクソ野郎‼︎‼︎‼︎‼︎」

『ふざけるな!このクソガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎』

メフィストは両腕にエネルギーを溜め始める。

『フンッ!ハアァァァァ‼︎』

それを見たウルトラマンも両腕にエネルギーを溜め始める。

「フッ!シュウッ‼︎フアァァァァァァァァ…」

『ハアァァァァァァァァ‼︎』

「フンッ‼︎」

『デュアァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎‼︎』

「デェアァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎‼︎」

2人の巨人の必殺光線がぶつかる。メフィストのダークレイ・シュトロームと互角の勝負を続けるウルトラマンのオーバーレイ・シュトローム。ウルティメイトバニッシャーを遥かに超えた、本家本元の力…

『貴様如きに‼︎この俺が負けるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』

「こっちの台詞だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

両者は同時に光線の威力を上げる。しかし、徐々にオーバーレイ・シュトロームがダークレイ・シュトロームを押していく。

 

「『『『行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』』』」

ハイパーストライクチェスターで、一夏、千冬、ラウラ、シャルロットが叫ぶ。その叫びに応えるように、オーバーレイ・シュトロームの勢いが増す…

 

「ハアァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

『グッ!グオォォォォォォォォ!!?!!?』

オーバーレイ・シュトロームが完全にダークレイ・シュトロームを押し切り、メフィストを中心に爆発が起こる。その爆発は、ハイパーストライクチェスターをも飲み込もうとする。

「ウワッ⁉︎」

『コントロールが効かない⁉︎』

一夏、ラウラが必死に操縦桿を握るが、爆風の影響で、システムが逝ってしまっているのか、全く制御出来ない。

「くそッ‼︎どうすれば‼︎‼︎」

お前ら!しっかり掴まってろよ‼︎

突如脳裏に声が響いたと思ったら、急にハイパーストライクチェスターが安定した。一夏が上を見ると…

「う、ウルトラマン…」

ウルトラマンがハイパーストライクチェスターを両腕で支えていた。ウルトラマンは左腕でハイパーストライクチェスターを抱え直すと、右手からセービングビュートを伸ばし、終焉の地で呆然としてる3人を救出する。

「シュウッ!」

ウルトラマンはそのまま、時空を移動し、IS学園へと向かう。

 

IS学園の近くの森で、ウルトラマンはセービングビュートの3人を先に地上に下ろすと、そっとハイパーストライクチェスターを置いた。そして、光に包まれて消えていった。

「一樹‼︎」

「「櫻井‼︎」」

「櫻井君‼︎」

すぐにコクピットから降りる4人。森に一樹を探しに出る。

 

一樹は崖で海に光る月を見ていた。長時間変身した事による疲れはあるものの、怪我等は全て完治(傷跡は残っているが)していた。

「(ありがとな、雪…おかげで俺はまだ、戦える)」

エボルトラスターを見つめながら、一樹は微笑む。数年振りに心の底から笑った気がした。

「にしても、()()()か…いい言葉だよな。またねって…まだ、希望を捨てなくて良いんだよな」

精神世界での雪の別れの言葉に、一樹は月に向かって手を伸ばすと、何かを掴む様に手を握る。そこに…

「一樹!」

「…ん?」

一夏達が駆け寄ってきた。一樹も笑顔で手を振りながら駆け寄ると…いきなり一夏にヘッドロックされた。

「何故に⁉︎」

「この野郎!心配かけさせやがって‼︎なんだよあの手!失敗したかと思ったんだぞ‼︎」

「お前にはアレが演技に見えたのか⁉︎んな訳ねえだろ‼︎」

「手がたらりと落ちた時にマジで終わったと思ったんだぞ‼︎」

「お前以上に俺が思ったわ‼︎いきなり胸撃たれて普通に立っていられるかってんだ‼︎」

「そこは耐えろよ‼︎」

「無茶言ってんじゃねえ‼︎」

久しぶりに思える男2人のじゃれあいに、女性陣は少し涙が溢れてきた。そこに、ゆっくりと現れる影、箒、セシリア、鈴。

「「「……」」」

3人は静かに一樹に近づく。一樹はただ立っているだけだ。そして、3人は同時に___

「「「ごめんなさい‼︎」」」

頭を深く下げた。

「……」

「私達は、大きな間違いをしていた」

「一夏さんだけでなく、あなたはこの世界をずっと守っていた…」

「アタシは、アンタがサボる訳が無いのを知っていながら、状況証拠だけでアンタを攻撃しちゃった…」

「「「だから、ごめんなさい‼︎」」」

一夏達はそれを黙って見ていた。一樹は即死級の攻撃を受けている。だから仕返ししても3人は文句を言えない。また、3人もその覚悟はあるのだろう。証拠にさっきからずっと震えている。一夏にですら全く歯が立たなかった自分達が、一夏より強い一樹に攻撃されたら…と思っているのだろう。

「じゃあ…」

一樹が一歩踏み出す。それだけで3人はビクンッと肩を強張らせる。

「篠ノ之箒、セシリア・オルコット、凰鈴音と言ったな。俺は櫻井一樹。諸事情でヒーローなんぞをやってる者だ。よろしくな!」

「「「「へ?」」」」

突然自己紹介し始めた一樹に、一夏以外の全員が間抜けな声を上げる。一夏はそれを予想していたのか、ノーリアクションだが。

「ん?何でそんな意外そうな顔してるんだ?」

「いや…」

「その…」

「実際意外だし…」

「何だよ、まさか俺にボコボコにされるとでも思ったのか?だとしたら心外だ。俺は別にそんな鬼畜じゃないぞ」

「一樹、コイツらはそれをされてもおかしくない事をしてるんだ。それ相応の罰を与えなきゃまたやるぞ」

いつものS.M.S対応をしようとしてる一樹。だが、いくら何でも甘過ぎると判断した一夏が横から口を出す。

「じゃあ…千冬、コイツらに特別課題を出す。それを監督してくれ」

「…内容は?」

「第4整備室に大量のISがあってな?それを装着。PIC、パワーアシストを切ってグラウンドじゃなくIS学園敷地を100周」

「…甘すぎないか?」

処罰としては異常に重いが、3人のやった事は殺人未遂。その程度では甘すぎると判断する千冬。

「…前に俺は一夏に言ったんだ。『過去は変えられないけど、未来なら変えることが出来るかもしれない』ってな。そう言った俺が、いつまでも過去に囚われるのも、な…」

「…そうか。お前がそう言うなら私は止めない。貴様ら、櫻井が許しても我々は許さん。次櫻井に何かしてみろ。2度と日の出は拝めないと思え」

「「「はい…」」」

「それじゃあ…」

一樹はゆっくりと手を出す。3人は少し躊躇ったが…ゆっくりと、その手を握った。

「改めて…櫻井一樹だ。諸事情でヒーローなんぞをやってる者だ。よろしくな」

「篠ノ之箒だ。実家は剣術道場を営んでいた。こちらこそよろしく頼む」

「セシリア・オルコットです。イギリス代表候補生で、イギリスではちょっとした会社を営んでいます。よろしくお願いしますわ」

「凰鈴音よ。中国代表候補生で、両親は中華料理屋をやってたわ。よろしくね」

一樹はやっとこの3人と和解出来た。それは、1年専用機持ちの殆どと友好を持てた事を意味していた。

 

そして時は流れ、夏休みが終わった…

「いや〜、今年の夏休みは色々あったな一樹」

「ま、メフィストの件がひと段落してから遊びまくってたからな」

ぐてーとしながら一夏と会話する一樹。そう、夏休み後半から一夏達のグループに一樹が加わり、7人で遊び倒したのだ。

「おかげで俺の残高は一気に2割消えたぜ」

「おい一夏。それを大きな声で言って良いのはオルコットだけだ」

S.M.Sとしての給料がある為、あまり一夏自身のダメージは無い。しかし、毎月自分のいた孤児院に多額の仕送りをしている一樹には大問題だ。

「俺は遊びまくってた影響で貯蓄殆ど無くなりましたとさ…」

「……ごめん」

そんな会話してると、千冬が教室に入ってくる。

「全員席に着け!今日は連絡事項が山ほどあるんだ。早く終わらせたければ早く席に着け!」

その言葉にすぐさま全員が席に着く。

「さて、皆夏休みを満喫したらしいな。だが、今日から2学期が始まる。夏休みボケは早く直す様に。さて、連絡事項が…」

始業式特有の挨拶。終業式はあんなにどす黒かった景色が、とても輝いて見えた…

「さて、今日は転校生が来る。皆、仲良くしろよ」

「……ん?」

『仲良くしろよ』と言った千冬はとても優しい笑みを一樹に向けて浮かべていた。その笑みの理由が分からない一樹。

「さて、入ってくれ」

千冬に言われて教室に入る1人の女子、その顔を見た瞬間、一樹の顔が驚きと喜びが入り混じった表情になる。何故なら、入ってきた女子とは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「田中雪恵です!皆さんよろしくお願いします‼︎」

一樹がずっと守ると決めた少女、田中雪恵が教壇に上がっていた。

「え⁉︎」

「雪恵か⁉︎」

「うん!()()()()!織斑君に箒ちゃん‼︎」

雪恵はそこで、ゆっくりと一樹の方を向く。

「ゆ………き………」

「かーくん‼︎」

我慢出来ずに一樹に飛び込む雪恵。一樹は受け止めきれず、椅子から落ち、背中を強く打つが、その痛みが夢ではないと語っていた。

「かーくん!かーくんかーくん!!!!」

「本当に…雪なんだよな?」

「うん!光が私を起こしてくれたの‼︎ずっと眠ったままだったのにこんなに動ける様にしてくれたの‼︎またかーくんと一緒にいれるの‼︎」

「良かった…本当に、良かった‼︎」

優しく雪恵を抱きしめる一樹、守り続けた温もりが、そこにあった。

「おはよう、()()()()、雪」

「おはよう、()()()()!かーくん‼︎」

2人しか通じない会話は、感涙する皆の声でかき消された。当事者である2人は大泣き状態。周りの目も気にせず、大声で泣いていた…

 

 

 

 

 

『ヒーロー』と『ヒロイン』は再び出会う事が出来た。これから先、様々な苦悩が2人を襲うだろう…でも、この2人ならきっと乗り越えられる…抱き合う2人を見ながら、千冬はそう思った。




はい!雪恵さん目覚めました!!!!これでタグのオリ主×オリヒロが発揮するぞ!!!!

え?ジュネッス編最終回じゃないのかって?

まだ一樹にはやるべきことがある!それが終わるまで、彼はデュナミストなんだ!!!!


はい。まだまだジュネッスの姿で頑張ります。今までよりかはダークな話は来ないと思いますので、皆さんどうぞご気楽にお楽しみください。

次の話を書く前に…ちょっとティッシュ箱足りないよ!涙止まらないよ!雪恵さん、起きて本当に良かった!!!!
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