人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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Episode48 雪恵-ナビゲーター-

「「「「雪恵ちゃん!IS学園にようこそ‼︎」」」」

「ありがとうみんな‼︎」

始業式の日の夜、食堂で雪恵の歓迎パーティーが開かれていた。この数時間で早くも友人を作ったらしい。変わらぬ雪恵に、幼馴染の3人はずっと笑顔だった。

「ねえねえ雪恵ちゃん!櫻井君の小さい頃ってどんな感じだった?」

「ブホッ⁉︎」

相川が雪恵にした質問は、近くで(というか雪恵が離れない)コーヒーを飲んでいた一樹が吹き出すには十分過ぎるものだった。

「えー?格好良かったよ〜」

体をくねくねさせながら頬を赤らめる雪恵。完全に惚気の体制だ。だが、それに対する皆の反応は__

「「「「え?格好良かった?」」」」

これである。それを聞いた雪恵は…

「ン?ドウイウイミカナ?」

話し方が片言になっていた。しかも代表候補生であるセシリア、シャルロット、更には軍人であるラウラまでカタカタ震える程の圧を放っていた。

「えーと、その、小さい頃から格好良いっていうのが分からなかっただけだよ‼︎」

慌てて鷹月がフォローする。確かに、小さい頃から格好良かったとはとても想像出来ないだろう…それを聞いた雪恵は納得した様子で頷いた。

「そっか。小さい頃から格好良い男の子なんてそんないないもんね。私はかーくんに織斑君がずっと一緒だったからさ」

「「「「ああ、ならしょうがない(櫻井君はどうでも良いけど、織斑君は昔から女の子泣かせてそう)」」」」

「「(なんだろう、凄く失礼な事思われた気がする)」」

男子2人が少し苛立っているのを察した代表候補生'sが慌てて話に入る。

「そ、それで格好良い話って何か聞かせてもらって良いかな⁉︎」

「わ、私も気になりますわ!」

「そ、そうだな!櫻井の昔の話は私も興味あるぞ‼︎」

代表候補生'sの謎の使命感(恐怖?)にキョトンとする雪恵だが、すぐに話し始める。

「まず、私が初めて会った時にはもう武術を習ってたね。ちなみに4歳だったかな?」

「「「「4歳で⁉︎」」」」

「(ごめんなさい実はその時点で何歳か分からないですマジごめんなさい)」

「それでちょっとガキ大将みたいな子達がケンカ売ってきても一撃も喰らわなかったんだよ‼︎」

「「「「一撃も⁉︎」」」」

「(違いますただ単に体が避ける習慣付いてただけなんですそんな武勇伝みたいに言わないでください雪‼︎)」

「しかも!小学校に入ってすぐに6年生のワルにケンカ売られたんだけど全く相手にしないであしらってたんだ!しかも見もしないで攻撃避けてたの‼︎」

「(違いますたかが12歳程度の攻撃じゃスローに見えたから軽く首振っただけなんですお願いだから話デカくしないで‼︎)」

「小学校3年生の時の夏祭りなんて、私と私の友達庇ってヤクザ3人組を30秒で倒したし!」

「「「「ヤクザ3人組を30秒で倒したァァ⁉︎」」」」

「(それは確かにそうだけど!相手がガキだからって油断してたのを逆刃刀で殴っただけだから‼︎)」

その後も一樹の武勇伝?を延々と語られ、一樹は物凄い罪悪感に苛まれ続けたのだった。

 

「えへへ〜」

割り振られた部屋(一時的に一夏とルームメイト)で、雪恵はある写真を見てにやけていた。

「ん?雪恵、その写真は?」

「うん、さっき撮った写真だよ」

「もう写真出来たのか…」

1組全員で撮ったその写真の中央には、笑顔でポーズをとる雪恵と、雪恵に腕を組まれて戸惑い気味に写ってる一樹がいた。この写真を撮る時の会話が…

 

『はーい新聞部でーす!新入生が来たという事で取材に来ました〜』

『え?もしかして…』

『ん〜?って櫻井君⁉︎なんでここに⁉︎』

『えーと、一応コイツの護衛役としてこの学園に入ってたんですよ』

『へ、へえ…ね、ねえ。()()の事新聞に乗っけて良い?』

『駄目に決まってるじゃないですか』

『だよね…で、転校生て誰かな?』

『はいはーい!私でーす‼︎田中雪恵!かーくんや織斑君、箒ちゃんの幼馴染でーす‼︎』

『おおー君かー!新聞に乗っけて良い?』

『嫌です』

『いきなり顔がマジになった⁉︎』

『ちょっと、家庭の事情があるので…』

『ああ…ならしょうがないか。じゃあ、記念写真撮ってあげる!』

『!お願いします‼︎』

『って動き早っ⁉︎1組全員が既に整列してるだと⁉︎』

自然とカメラのフレームから離れていた一樹。昔からの習慣なので体が勝手に動いていた。それを見た雪恵が…

『かーくんはこっち‼︎』

『え?ちょ、雪!引っ張るなって‼︎』

雪恵に引っ張られた一樹は、中央…雪恵の隣に立たされた。引っ張られた状態のままなので少し左肩が下がっている。その状態のまま黛はシャッターを切った。

 

「かーくんが写ってる写真って、私1枚も持ってないから…」

「言われてみれば俺も持ってなかったな…一樹はずっと撮る側だったから」

一樹は学校の集合写真も撮っていたので、写真に写る機会がほぼほぼ無かったのだ。一夏が知ってる中で写真に写っているのはせいぜいS.M.Sの名札くらいである。

「えへへ〜。これからは色んな所で写真が撮れるね〜」

写真に向かって語りかける雪恵。見た者全てが幸せになれそうな笑顔である。この笑顔に小学校時代、何人の男子生徒が惚れたのやら…真実は一夏と一樹しか知らない。

「(…やっと得た幸せだからか、俺の記憶のどれよりも暖かい笑顔だな…)」

人一倍感情の温度を感知出来る(しかし自分への恋心除く)一夏には、雪恵の笑顔が記憶のどれよりも暖かく感じた…

 

一方、整備室では一樹が雪恵父と電話で話をしていた。

『どうかね?驚いたかね?』

「そりゃあ驚きますよ。信じてはいても、いきなり目の前に現れるんですから…(てっきりまた案内人(ナビゲーター)として現れたかと思ったわ)」

『いや、雪恵本人の強い希望でね。一樹君達を驚かせたいと言うものだから…はっ⁉︎』

「ほう…おじさん、そこら辺詳しく教えて頂けますか?」

『い、いや。言っとくが雪恵が起きたのはほんの1週間前だぞ?千冬さんだって教えたのは昨日だったし。なにより起きたばかりなのだから少しお茶目な方がゆき「おじさん?」いや何でも無い』

「はぁ…まあそこは今回置いておくとしますよ。仕掛け人が先に泣いちゃってましたしね」

『そうか…雪恵はただ、時間が欲しかったんじゃないかと私は思ってる。お医者さんも驚いていたからな。6年間も寝ていたのに筋力に何の問題も無かったのだから』

「……」

『まあ、お医者さんがいなくなってから雪恵本人から聞いたよ。『光』がそうしてくれた、とね。何故かは知らないが雪恵は私達がウルトラマンの事を知っている事を分かっていたからな』

「…そうですか。なら良かったんですけど」

その後、二言三言雪恵父と話した後、一樹は通話を切った。

「ふぅ…あんだけマジ泣きしたのって、いつ以来かな…」

蛇口にホースを付けただけの簡易シャワーを浴びながら、一樹は呟く。

「…今度こそ、守る。絶対に」

 

翌日、1組と2組合同で実習が行われた。

「では、夏休み明け最初の実習を始める」

「「「「よろしくお願いします‼︎」」」」

「うむ、ではまず、クラス代表同士の模擬戦をしてもらおう。織斑、凰はアリーナの中央へ。他は観客席に移動しろ」

千冬の号令の元、一夏と鈴以外の生徒はアリーナ観客席に向かおうとするが、そんな中雪恵は一樹に言う。

「ねえかーくん」

「ん?何だ?」

「久々に『アレ』やってほしいな〜」

「はぁ⁉︎」

「良いじゃん良いじゃん♪やってよ〜」

瞳をキラキラさせている雪恵に、面倒になった一樹が折れた。

「あー分かったよ!やれば良いんだろやれば‼︎」

生徒達全てに加え、千冬までも何をするのか目を向ける。そんな視線を無視し、一樹は雪恵を抱える。俗に言うお姫様抱っこだ。

「「「「あ!ずるい‼︎(私も織斑君にならやってもらいたい‼︎)」」」」

「(頼むから()の中は雪に気付かれない様にしてくれ…止めるの面倒だからさ…)雪、しっかり掴まってろよ」

「うん!」

雪恵がしっかりと掴まったのを確認すると、一樹は一気にアリーナ観客席の1番上まで跳んだ。Ex-アーマーを装備もしないで…

「「「「えええええええ⁉︎」」」」

当人と一夏以外が驚きの声を上げるが、一樹はちょっと足に違和感を覚えた。

「うーん、やっぱり久々だから足に若干違和感あるな…」

「でも距離伸びてるからあまり気にしなくて良いじゃん♪私はそう思うよ♪」

一樹に抱えられたままだからか、雪恵はご機嫌だ。その様子にため息をつく一樹。

「はぁ…このままだと足に負担がかかりすぎて危ないからもうやらないように「やっぱり直そう!いや直してかーくん‼︎」早いなオイ‼︎」

「だって、かーくんのお姫様抱っこを逃すなんて私にはあり得ないよ‼︎」

とまあ、夫婦?漫才を繰り広げる2人に、もはや他の生徒は開いた口が塞がらなかった。

 

「だ、大分話が逸れたが、これよりクラス代表同士の模擬戦を開始する。織斑と凰はISを展開しろ」

千冬の指示に、一夏と鈴は麒麟と甲龍を展開、空中の指定位置に移動する。移動中の麒麟に、プライベートチャネルが入る。

『一夏、分かってると思うけどデストロイモードは禁止な』

「(分かってますって。千冬姉にもアレの解放条件は話してないし、何より解放する必要が無い)」

『じゃあ、凰にもそう伝えとく』

「頼んだ」

一樹との会話が終わり、数秒後には目の前の鈴が安堵の表情を浮かべているのが見えた。どうやらデストロイモードはトラウマらしい。無理も無いが…

『試合、開始!』

千冬の号令と同時に、2人は瞬時加速で近づき、ビームサーベルと青龍刀をぶつけ合う。

「安心しろ鈴。デストロイモードは使えないから」

「どこを安心しろってのよ!アンタが強すぎてアタシ達代表候補生の面目丸潰れよ!どうしてくれんのよ⁉︎」

「まさかの逆ギレですと⁉︎」

言い合いながらも鈴の顔は笑顔だ。いつもの口論が楽しくて仕方ないのだろう。一夏もそれを理解してるため、会話では思いっきりふざける。だが、戦闘はふざけない。鍔迫り合いをした状態から体を大きく横回転し、シールドを甲龍に叩きつけた。

「そらっ!」

「きゃっ⁉︎」

体制が崩れた甲龍に向かってライフルモードのビームマグナムを連射しながら後退していく。一撃一撃が必殺の威力であるため、鈴は必死に避ける。

「ちょ、ちょっと!攻め方がえげつないんだけど⁉︎」

「戦いなんてそんなもんだ‼︎」

鈴が回避に集中してるのを見越して瞬時加速で甲龍に近づく一夏。その右手には、エネルギーチャージが終了した雪片弐型が握られていた。

「悪いな鈴!これで終わりだ‼︎」

零落白夜を発動、容赦なく甲龍に振るった。鈴自体にはダメージが行かない様に腕から数ミリ離れたところで…相変わらず絶妙な太刀筋だった。零落白夜の効果で強制的に絶対防御が発動され、甲龍のシールドエネルギーがゼロになった。

『試合、終了』

 

「うわぁ…織斑君の戦い方えげつないね〜」

観客席で一夏vs鈴の戦いを見ていた雪恵の感想がそれだった。だが、一樹は違う。

「いや、今の一夏の攻撃は結構危なかっしい」

「え?何で?ずっと鈴ちゃんを圧倒してたじゃん」

「甲龍のスペックなら、最後の一撃にタイミングを合わせて衝撃砲を撃つ事で回避するって事が可能なんだ。出来ないのはただ鈴が諦めてただけ。アイツ自身の技量ならそれくらい出来る筈なんだ」

「…妙に鈴ちゃんを推してるね」

雪恵が少し拗ねた口調で言う。それに気付いた一樹は苦笑いを浮かべる。

「…生身でアイツの攻撃喰らったからな。自由落下の威力+衝撃砲は効いたぜ…」

「……え?ちょっと待って。生身ってどういう事?私、気になるなぁ〜」

「教える必要は無い」

「ええ〜!教えてよ〜って痛⁉︎無言で連続チョップはやめて‼︎」

「…お前に話したら翌日から凰が引きこもりになる」

「かーくんは私をどういう風に思ってるのかな⁉︎」

 

時は流れて昼休み…一夏、箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラに加えて雪恵も一緒に昼食を取っていた。

「うーん、美味しい!IS学園のご飯ってこんなに美味しいんだね‼︎」

目をキラキラさせながらシャルロットと同じマカロニグラタンを食べる雪恵。自分の好物を褒められ、シャルロットも上機嫌だ。

「だよね!僕もこの味を出そうと何回も試してるんだけど全然出せないんだよねぇ…」

「ま、そこは経験の差なんだろ」

一夏もそれに同意するが、シャルロットはその一夏を恨みがましく見る。

「食堂のおばちゃんやプロならともかく…一夏に料理でも負けるのは女の子としてショックだよ…」

一夏の女の子泣かせは家事能力にまで行っていた…

「……」チラッ

雪恵が時計を見て少し残念そうな顔を浮かべた。

「雪恵、どうしたのだ?」

箒が雪恵に聞くと雪恵は少し悲しげに笑いながら答える。

「うん、かーくんと一緒にご飯食べたかったなって思って…かーくんに聞いたら『やらなきゃいけない事が終われば合流するよ』って言うから少し期待してたんだけど…」

「……」

雪恵の言葉に、気まずそうに顔をそらす一夏。一夏は分かっているのだ。一樹が食堂に来るはずの無いことを…結局、一樹は昼休みに一夏達と顔を合わせる事は無かった。

 

「……」

一樹は先程から何か視線を感じていた。獲物を追い詰める狩人の様な視線を…

「(ったく、この学園でこんなの出来るのは1人しかいねえっつのに、何やってんだか)」

自分が誰か明かしてる様なものだが、当の本人はどうでも良いらしい。先程から遊ぶ様に気配の濃度を変えている。いい加減うざい。

「(そろそろ撒くか…)」

適当な曲がり角で曲がる一樹。

 

「(しめた!この先は行き止まり…今日こそあの装備について話して貰うわよ‼︎)」

一樹を尾行していた少女、更識楯無は急いで角を曲がる。しかし…

「嘘⁉︎撒かれた⁉︎」

行き止まりである筈の角に、一樹の姿は無かった。

「何で⁉︎」

思わず大きな声を出す楯無の首元に、刃が…

「ひっ⁉︎」

「よう、『更識楯無』さんよぉ…いきなり人を尾けるたぁどういう了見だぁ?」

いつの間にか楯無の後ろに一樹がいた。刃は逆刃刀だ。

「ど、どうやって…」

「質問に質問で返すとは常識がなってねえな…いっぺん落ちろ」

その後、楯無の姿を見た者はいなかった…

 

「いや死んでないからね‼︎」

起きて早々変な事を言う楯無。頭が逝ってるのだろうか…

「ああもう放課後じゃない‼︎もう!乙女をこんな硬い床で寝かしたままなんてどういう神経してるのよ‼︎」

ぷりぷり怒る楯無だが、寝かした当の本人の方がよっぽど硬い床で寝ている。そんな楯無の視界に…

「ん?あれは確か…織斑一夏?」




注意

しばらく楯無の扱いが雑ですが、作者は楯無は嫌いじゃありません。

むしろ割と好きなキャラです。

9巻以降のですが…
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