人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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セリーを1組に紹介します。


さて、何が起こるやら…


Episode62 紹介-セリー-

「おい一樹!!お前体は大丈夫か!?」

雪恵と共に教室に入った一樹に詰め寄る一夏。

「朝っぱらからなんて質問だよ…とりあえず落ち着け」

そして、呆れ顔で一夏を宥める一樹。興奮してる一夏に変わって説明する少女が。

「昨晩、かずやんが1人でフィールドに行ったからみんな心配したんだよ〜」

相変わらずのほほんとした話し方の『布仏本音』に、一樹は苦笑しながら話す。

「普通、あんな深夜に起きてると思うか?被害を出さないためってのもあるけど、なにより騒音をなるべく出さないために昨日フィールド貼ったのに…」

「そのおかげで昨晩雪恵は発狂したんだけど!?」

一夏の言葉に、聞き捨てならない事が含まれた。一樹が凄まじい速度で雪恵を見ると、雪恵は一樹の袖を掴んで、頬を膨らませていた。

「…だって、かーくんがメタ・フィールド内で消えちゃうかと思ったんだもん…」

だから朝、寮から出れる時間になってすぐに飛び出したのだ。そしたらセリーの件を話され、問い詰める瞬間を逃し、今に至る。

「…ああ。それ言われると弱い」

実際にゴルゴレムとの決着の時、メタ・フィールドの消滅と同時に消えてしまうのではないかと一樹も思ったのだ。実際にメタ・フィールドを扱う一樹でさえこれなのだ。仕組みを知ってる()()の雪恵の不安は計り知れない。

「…悪かったよ」

頭を掻きながら雪恵に謝る一樹。だが、雪恵の機嫌はそれでは直らなかった。

「今度の週末、デートしてくれなきゃ嫌だ」

「……行くのは良いが、俺に奢れるだけの財布の余裕はないぞ?ただの付き添いになるぞ?それでも良いのか?」

「うんッ!!!!」

IS学園に来てから1番の笑顔を見せる雪恵。専用機持ち(雪恵もだが)に隠れて分からないが、雪恵も恋する乙女なのだ。それも成就した、だ。成就したコツを後に専用機持ちが聞いたら『素直になる事…かな?私たち、幼馴染なのに過ごした時間は短いから…』と、後半の重すぎる内容に直角に頭を下げたのだ。そもそも、前半をやれたら一樹が半狂乱になることはないだろう…

「楽しそうでなによりだ」

「ッ!」

バシンッ!!!!

雪恵に向かって振り下ろされた出席簿を一樹が受け止めた。

「…雪、ちょっと待ってろ。コイツに話が出来た」

「かーくんストップ!!!!織斑先生の顔が青ざめてるから!!!!セリーちゃんもかーくんを補佐しようとしなくて良いから!!!!」

 

「…あ、改めて今日からこのクラスに転入…違うな。櫻井が保護したやつだ。自己紹介しろ」

「……」

千冬の指示を聞いても動かないセリーに、目の前に座ってる一樹は苦笑いを浮かべながら促す。

「ほら、みんなに挨拶しな?」

妹に話しかける兄のような優しさのこもった声に、セリーは頷くと話す。

「…私の名前はセリー。『田中セリー』。よろしく」

それだけ言うと、一樹の膝にちょこんと座るセリー。何故セリーが『田中』性を名乗ってるかと言うと、雪恵の両親がセリーを引き取ったのだ。一樹が引き取っても良いのだが、書類等の関係上、田中家を頼らざるを得なかった。一樹が雪恵の父、『田中秋斗』に頼んだ時、「喜んで協力しよう」との事でこうなった。

「…田中セリーは諸事情があって櫻井や田中と行動する。みんな頼んだぞ」

「「「「はーい」」」」

一樹と雪恵の名前が出たところで、大体の事情を察した1組生徒たちだった。

 

休み時間、セリーの周りには人だかりが出来ていた。当の本人であるセリーは一樹に頭を撫でてもらうのが気持ちいいのか、ウトウトと船を漕ぎ始めた。

「「「「可愛い…」」」」

セリーのマスコット的可愛さに、皆が微笑ましく思っていた。

「セリー?眠いのか?」

「ん…ねむくない」

「目がトロトロじゃねえか。どうせ授業の時は俺も外に出るし、一緒に屋上でも行くか?」

「ん…いく」

一樹の手を引いて、教室を出ようとするセリー。早く屋上で寝たそうだ。

「こらこらセリー。まだみんなの事覚えてないだろ?覚えなきゃ」

「ん、わかった」

セリーが皆の方を向くと、それぞれが自己紹介を始めた。一通り終わり…一夏の順番になった。

「やあ、俺の名前は織斑一夏。よろしくな、セリー」

一夏もセリーの頭を撫でようとするが…

「お前の匂い、嫌い」

セリーに払われてしまった。

「「「え?」」」

これに驚くのは一樹、雪恵、一夏だ。セリーは一夏から離れ、一樹の後ろに回る。

「ど、どうしたセリー?」

「コイツ、色んな匂いが混ざって嫌い」

「な!?毎日ちゃんと体洗ってるぞ!!?」

セリーの言葉に、一夏は自分の袖の辺りを嗅ぐ。

「…おい一夏。セリーは『色んな匂いが混ざってる』って言ったんだ。『汗臭い』とは言ってねえよ」

「あ、そっか…でもなんだ?シャンプー?石鹸?それとも洗剤か…?」

一夏が混ざってるであろう匂いを上げていく。一樹はテレパシーでセリーに聞く事にした。

「(セリー、どんな匂いがするんだ?)」

「(色んな女の頭を撫でてる匂いがする)」

「あぁ、納得」

セリーの言葉に、一樹が辺りを見回すと、一夏に頭を撫でられた事がある女子が大半だった。しかし、疑問が残る。

「(何で俺は平気なんだ?俺も孤児院で義妹(いもうと)たちの頭撫でてるから結構な人数になるんだけど…)」

「(カズキの手はシャンプー?の匂いがあまり混ざってないけど、コイツのは色々混ざりすぎて気持ち悪い)」

「ああ…」

孤児院では1人1人にシャンプーを用意することは出来ない。精々男女で分けるので限界だ。一樹が使ってるシャンプー+孤児院女子のシャンプー+雪恵の使ってるシャンプー程度ならセリーも大丈夫なのだろう。それに対し、一夏は撫でた女子全員が違うシャンプーを使ってる事もありうる。少なくとも一樹の何倍も混ざってるだろう。セリーが一夏の手を嫌う理由は分かった。

「ねえセリーちゃん、私にも教えて」

セリーに耳を寄せて聞く雪恵。セリーは一樹に語ったのと同じ理由を雪恵に説明する。一樹の背後で雪恵が苦笑しているのが分かった。

「…聞くと『ああ、納得』ってなるだろ?」

「…だね」

一樹と雪恵は苦笑し合う。そこで予鈴が鳴り、雪恵を含む生徒たちは席につく。…一夏はセリーに『匂いが嫌い』と言われたのにショックを受けていたが…

 

授業が始まると、一樹はセリーをおぶってある所に向かった。

「カズキ、どこに行ってるの?」

「ん?今地球を騒がしてる元凶に会いにいくんだ」

「…それ、カズキの敵?」

セリーの目が冷たくなっていく。それに気付いた一樹は片手でセリーを支えると、空いた片手でセリーの頭を撫でる。

「…大丈夫だよセリー。これから会う人は、俺と雪の味方だよ」

「…ん、分かった」

セリーを落ち着かせると、一樹は束の部屋のブザーを鳴らした。

『入って良いよ〜』

許可が出たので部屋にはいる。

「やあやあかずくん!随分久しぶりな気がするね!」

「…束さんがここに篭ってるからでしょうが」

「おやおや?背中の子が噂のゼットンかなかな?」

「…セリー、死なない程度に燃やしていいぞ」

「ん、分かった」

「ごめんふざけすぎた。だからそれはやめて」

束のおふざけに、割と本気で燃やそうと思ったが、直角に腰を折る束にアホらしくなった。セリーを止めると本題を促す。

「で、俺をここに呼んだ理由は?」

「…これを渡しとこうと思ってね」

束が一樹に渡したのは、西洋の剣の首飾りだった。まるで仮面○イダーク○ガのタイ○ンソードだ。違うのは色合いで、あちらが紫をベースにしているのに対し、こちらは銀をベースにいており、中央の宝石の色は青だった。

「…俺、これでも日本刀使いなんですけど…」

逆刃刀という特殊な刀だが。

「いや、言いたいことは分かるよ?でも、それをデザインしたのは雪ちゃんなんだよ」

「雪が?」

「なんでも、『日本刀はあの独特の曲がりが難しいよ〜(泣)』だって」

容易にその場面が想像出来る一樹とセリーだった。

「…まあ、分かりました。これを首にかけとけば良いんですね?」

「うん」

束に言われ、一樹は慣れないアクセサリーを首につけようとする。

「つけられねえ…セリー、悪いんだけどつけてくれね?」

「ん」

セリーにつけてもらった途端。

 

 

マスター……

 

 

「ッ!?」

()が聞こえた。

「…カズキ?どうしたの?」

いきなり表情が険しくなった一樹に、心配そうな目を向けるセリー。

「…束さん。コイツは…」

「多分君が考えている通りの物だよ。昔君が束さんに預けた物。もう、解放しても良いかなって」

「…そうですか」

「どういうこと?」

一樹と束の会話の内容に着いていけないセリーは首を傾げる。そんなセリーに、一樹はこう答えた。

「時が来れば分かるよ」

その顔は、何を表しているのか、セリーには分からなかった…

 




ま、まさかの一夏嫌いなセリーちゃん。

やったね一樹!仕事増えないですんだよ!!

一樹が束から受け取った首飾り。

アレは一体、何なのだろうか?
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