人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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難産だ…




Episode68 練習-プラクティス-

キャノンボール・ファストも近い今日(こんにち)、IS学園の実習は当然それに向けた練習なのだが…

「へへーん!追いつけるもんなら追いついてみな‼︎」

「にゃろ…絶対落とす‼︎」

「絶対に叩っ斬る‼︎」

「必ず倒してみせますわ!」

「あの件があるけど、今回はちゃんと装備してるし、手加減しないわよ!」

「僕とアストレイなら、やれる!」

「奴を追い抜くぞ!レーゲン‼︎」

「ちょ、かーくん早すぎ⁉︎」

フリーダムを纏った一樹を追う1年専用機持ちがいた…一応コースは守っているはずだが、次々と起こる爆煙によって判断がつかない。

「ヤッフー!!」

そんな中、わざとコースの上空に上がって思いっきり空を飛ぶ一樹。

「やっぱ空を飛ぶって最高に気持ちいいぜ!」

無邪気な顔で、バレルロールなんてしている。更に悪戯っぽく笑うと、急降下。

「雪、一緒に飛ぼうぜ!」

「え、ちょ、待っ…」

ビリの雪恵の手を掴むと、他の専用機持ちの間を縫うように飛ぶ。そして再びトップに。

「ヤッホー!!」

「いやぁぁぁぁ!!?」

呑気に飛ぶ一樹だが、雪恵は後ろからくる攻撃に冷や汗が止まらない。一樹が当たらないようにしてると分かっていても、やはり怖いものは怖い。

『何をしている!?櫻井は瞬時加速をしていないんだぞ!櫻井を抜かなければ貴様らは放課後補習だ!!』

「「「「嫌だぁぁぁぁ!!!!」」」」

鬼(千冬)の補習を受けたくない専用機持ちたちは、必死で一樹を追うが、周回遅れのまま授業は終わってしまった。

 

 

「特別補習を行う!このバカ共が‼︎」

「いやだって織斑先生!」

「櫻井君はプロなんですよ⁉︎」

一夏、シャルロットが文句を言うが、千冬の一喝に黙る。

「やかましい!戦闘ならともかく、櫻井からの反撃無しの状態で周回遅れなど言語道断だ!みっちり鍛えなおしてやるから覚悟しろ!」

「「「「いやぁぁぁぁ!!!!」」」」

専用機持ちたちが悲痛な叫びをあげる。ふと、一夏が気づく。

「…あれ?雪恵は?」

「「「「逃げたか!!?」」」」

「田中は稼働時間が短い事から今は櫻井が特別コーチをしている!馬鹿な事を考える暇があったら少しでもISをいじれ‼︎」

「「「「は、はいィィィィ‼︎」」」」

 

 

「いやぁ!楽しかった!!」

「…かーくん、凄い笑顔だね」

所変わって第一アリーナ。少年の様な笑顔を見せる一樹と、げっそりとした雪恵の2人がいた。

「空を飛ぶってのは、俺に許された数少ない娯楽だからな」

「…いつも飛んでるじゃん」

「ばっかお前。アレは戦闘中だぞ?飛んでるって楽しんでる場合じゃないぞ?」

「…今日のアレは何だったのかな?後ろから凄く攻撃が来てたけど?」

「あの程度は攻撃に入らねえよ」

「かーくんはね!!」

雪恵にとって、アレは命がいくつあっても足りない。それだけ心臓に悪かった。

「後ろから織斑君の高出力ビームが、箒ちゃんの斬撃が、セシリアちゃんの狙撃が、鈴ちゃんの衝撃砲の音が、シャルロットちゃんのビームが、ラウラちゃんのレールカノンが、全部襲ってくるんだよ⁉︎怖かったんだから‼︎」

「おいおい、本番はもっと攻撃が激しいんだぞ?しかもお前が狙われる形で」

「…私、ビリでも良い?」

「【櫻井 一樹】としても、【S.M.S】としても、それは別に構わない」

IS部門で、特に他の人間にアピールする必要はないS.M.S。

「自分で言っといてなんだけど、本当に良いの?」

「はっ!キャノンボール・ファストでビリだって程度で無くなる信用じゃねえよ」

元々S.M.Sは何でも屋だ。IS部門で信頼を得ずとも、他の部門で皆食べていける。むしろISは一夏、雪恵のために作ったので、他の企業の評価はいらない。

「…かーくん達って、結局何が専門なの?」

「最初は傭兵モドキをやってたんだ。だからそれが一番強い部門だな。ほら、フリーダムだって軍事部門の開発した奴だし」

傭兵モドキとは言うものの、S.M.Sはむやみに命を奪わない。そのため、S.M.Sが参加した戦いは敵陣営の軍事力は壊滅しても、死者はほぼいないのだ。

「っと、そういう訳だから雪はのんびり飛んでくれて構わない。けど、このままじゃ授業についていけなくなるから、練習はしような」

「ううっ…(既に実技はやばいなんて、言えない)」

「千冬から実技が遅れてるって聞いてるからな。まずは基本からやっていくぞ」

「千冬さんの馬鹿ぁぁぁぁぁ‼︎」

「おいおい…千冬から教科書は借りてるから、それを俺なりに教えていく。ちなみに、今回はセリーにも手伝ってもらう」

「ん、よろしく」

「よろしくね。セリーちゃん」

「じゃあ雪。アストレイ・ゼロを展開してくれ」

言われた通り、アストレイ・ゼロを展開する雪恵。

「うん、展開速度に問題は無いな。セリー、頼む」

「ん」

セリーは手から火球を出して宙に浮かべた。

「まずは歩行からいこうか。雪、この火球を追って歩いてくれ」

「うん」

セリーが火球を動かし、雪恵はそれを追う。ISが開発されてから、女性は小学生の頃からこの授業をやるようになった。が、雪恵はISが開発されるより前に脳死状態となったため、基礎の授業を受けていないのだ。

…よくそれで亡国企業の襲撃を乗りきったものである。

「一応織斑君から教えてもらってたから、ここまではなんとか…」

「俺はISを扱えないから、操縦方が違うと思ってたんだが…教科書を見る限り、そんなに違いはなさそうだな」

「かーくんのも思考で動かすタイプだしね」

「そこのフレーム構造は大分違うが…ま、扱う分には関係ない。セリー、こんどはゆっくりと火球を上昇させてくれ」

「分かった」

一樹の指示通り、セリーは火球を上昇させる。

「そこで一旦ストップ。雪、今度は飛ぶ練習だ。火球を目標にゆっくり上昇してくれ」

雪恵はアストレイ・ゼロを上昇させようとするが…

「あ、あれ?浮かない?」

いつもならすぐに浮かび上がるのに、アストレイ・ゼロはその場でジャンプを続けるだけだった。

「…?」

不思議に思った一樹がアストレイ・ゼロのデータを見ると…

「…雪、もしかして設定いじった?」

「え?え?どゆこと?」

「設定がマニュアルになってる…」

「…あ。この間間違えて触っちゃったかも…」

「とりあえず直しとくよ…」

と、のんびりやっていった。

そして、とうとうその日がやってくる…




子供のように無邪気な一樹は、どうですか?
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