人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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7巻に入った!


それと超・展・開‼︎


Episode71 退去-リセッション-

「「「「襲われたぁ⁉︎」」」」

「ああ、昨日の夜にな」

月曜日、夕食の席で一夏は昨日の出来事を皆に話した。織斑マドカの名は伏せて。

「け、怪我はない?」

シャルロットが心配そうに聞いてくる。

「ああ、大丈夫だ。一樹が対象してくれたしな」

「流石カズキ。こいつなんか見捨てればいいのに」

「セリーさん。一樹を上げるついでに俺を口撃するのやめていただけませんか⁉︎」

相変わらず一夏には冷たいセリー。一夏の抗議をスルーして、一樹の膝上でオムライスを頬張る。

「かーくんは怪我してない?」

今度は雪恵が一樹に聞く。ちなみに雪恵の夕食はカルボナーラだ。

「…ああ。一撃もくらってないよ」

少し間が空いた一樹の体を、雪恵はペタペタ触り出す。

「…何やってんの?」

「かーくんが実は大怪我してるのを隠してるのか確認してるの」

「信用ねえな…」

ボソッと呟いた一樹を、一夏は見逃さなかった。

「それはお前が悪いぞ一樹。無茶ばっかりやってるお前がな」

「そうだな。櫻井の日頃の行いが悪い」

「雪恵さんの気持ちも考えた方がいいですわ」

「アンタが無茶ばっかりやってるのが悪いのよ」

「1人で色々やってるからね、櫻井君は」

「まったく、少しは周りを頼れ」

ここぞとばかりに一樹に詰め寄る専用機持ち達。普段負けっぱなしな事への仕返しのつもりだろうか。

「…カズキが助けを求めても、どうせ助けない人達が何を言ってるの?」

オムライスを食べ終えたセリーが、冷たい目で専用機持ちたちを睨む。

「…どうせ、そこのバカのいるところしか動かないくせに、何を言ってるの?」

「「「「うっ…」」」」

図星を指された5人は、目をそらした。

「…セリー、言いすぎだぞ」

「でも本当の事だよ」

「それでもだ。謝りなさい」

「いくらカズキの言葉でも、これは譲れない」

「セリーちゃん…」

雪恵も思う事があるのか、セリーに強く言えない。実際、セリーの言ってる事は言葉が悪いだけで、的を得ているのだ。

「…セリー、ちょっと移動するぞ。雪、悪いな」

空気が悪くなってしまい、一樹はセリーと一緒に席を立つ。

「…セリーが悪かったな」

一夏たちに謝ると、セリーの手を引き食堂を出て行った。

 

 

「…ごめんなさい、カズキ」

「セリーが俺を思って言ってくれたのは分かるけど、少し言い方がキツかったな」

整備室に入ってすぐ、セリーは一樹に謝った。

「だって…あいつら無責任なんだもん」

「…それでも、援護はしてくれる」

「それはあのバカに良いところを見せたいから…!」

「…そうだな」

セリーは、雪恵を除く専用機持ちたちが嫌いだ。一樹が体を、命をかけて守っているのを理解しない専用機持ちが。

「…カズキがクラスからいなくなれば、どうせあいつら喜ぶもん!ユキエのことも考えずに!」

「……」

セリーは、泣きながら一樹に抱きつく。一樹は、優しくセリーの頭を撫でる。

「あいつらの汚い心が嫌だよぉ…私を捨てた奴らと同じ目のあいつらが嫌だよぉ…!」

「……」

セリーは、1度捨てられている。目的の役に立たないという理由で。その優しさが理由で。

「…大丈夫だよ。俺は、雪は、セリーを捨てない。絶対にだ」

子供の様に震えるセリーを、一樹は優しく撫で続けた。

 

 

整備室の扉の前で、雪恵を筆頭に専用機持ちたちが立ちすくんでいた。

「「「「……」」」」

皆、無言だった。最初に口を開いたのは、雪恵だった。

「…織斑君以外のみんなは、かーくんがいなくなってほしい?」

他の面々に背を向けたまま、抑揚のない声で問う雪恵。

「「「「……」」」」

誰も言葉を発しない。それが、全てを語っていた。

「………そう」

悲しそうに、雪恵は言うと、自室へと戻る。今にも泣きそうなその顔を、一樹に見せないために。

「……結局、変わってないんだな」

雪恵が去るのを待ってたかの様に、一樹が整備室から出てきた。その後ろでは、泣き疲れたセリーが寝袋で寝ていた。

「……一樹」

ずっと黙っていた一夏が口を開くが、一樹はそれを制する。

「……そんなに嫌なら、睨むとか攻撃する前に、職員に文句を言えば良かったじゃねえかよ。『コイツがいなくても、織斑一夏は大丈夫です』ってさ。何で言わなかった?それだけで俺は荷物を纏めさせられただろうに…この整備室から、学園から、いなくなったのに」

「「「「……」」」」

「今はお前ら女の言うことなら、ほぼ通用すんだろ?ましてやここはIS学園だ。俺を追い出すなんて簡単だったんじゃねえのか?千冬とかに言わなければよう」

事情を知っている千冬や麻耶以外の教員に言ってしまえば、今も退去を命じられることだろう。

「……何か言ったらどうだ?」

さっきから黙りっぱなしの面々を促す一樹。睨むでも凄んでるわけでもない、ただ見てるだけの一樹。何も言えない面々。

「…えば」

「あん?」

「…言えば、お前はここから出て行ったのか?」

ようやく口を開いたのは、箒だった。

「私たちが文句を言ったら、お前はここからいなくなったのか?」

「俺の意思がここに通じるって思ってんの?聞くまでもないと思うけど。まともな部屋じゃないここに住んでる時点で」

「なら、何故自分から消えなかったんですの⁉︎」

箒が言い出したことで、セシリアも口を開く。

「だからさぁ…俺が1度でも『ここに残りたい』って言ったかよ?一夏や雪、セリー以外にはゴミのように見られる中で、残りたいって言うと思ってんの?お前らが俺の立ち位置に立ったと仮定して考えてみろよ」

淡々と返す一樹を、一夏が止めにはいる。

「もうやめてくれよ一樹…頼むから」

「俺は別に事実を言ってるだけなんだが…」

「俺は、一樹が来たって聞いて嬉しかったんだぜ?自分以外女子しかいないって思ってたなかで、親友が来てくれたことがどれだけ嬉しかったか…」

()()()()

その一言で、一夏は黙る。

「誤解のないようもう一度言うが、俺はお前を恨んでなんかいない。ただ疑問に思った事を言ってるだけだ」

()()()()()恨むほど、一樹の感情は潤っていなかったのだ…

自分に向けられる嫌悪の視線が増えた程度、一樹にはさして気にすることではない。

「実際、お前の強さなら俺はいらなくね?って思うしな。一次形態時ならともかく、今なら問題ないだろうし」

「「「……」」」

「で、さっきから一言も喋らない3人はどうなの?」

「「「……」」」

「今は()()があるから、俺はここにいろとでも言いたそうな顔だな」

懐からエボルトラスターを取り出す一樹。無言で目を逸らす鈴、シャルロット、ラウラ。

「(一夏がこの場にいなければ、即答してたろうな…)そんなに話しにくいなら」

一樹は個人回線を使って、一夏以外に聞いた。

専用機持ちの答えは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……櫻井は昨日をもって、織斑の護衛役ではなくなった。今日、田中セリーと共に、学園を去ることになった」

翌日のSHR。千冬が淡々と伝えたことに、クラスは衝撃が走る。

「ど、どういう事だよ千冬姉!」

「織斑先生と呼べ…言葉のままの意味だ」

「ッ⁉︎」

たまらず雪恵が教室を飛び出した。

「お、おい雪恵!!」

それを追い、一夏も教室を飛び出す。

「お、織斑君!田中さん!」

「行かせてやれ、山田先生」

「し、しかし!」

「…田中の事を思うとな。流石の私も、怒れん。それに、櫻井が解雇される意味が理解できないのは山田先生もなはずだ」

「…ですが」

「教師も人間だ。非情になれないこともあるさ」

 

 

「かーくん!」

整備室に駆け込んだ雪恵。しかし、そこにあったはずの荷物は無い。

「雪恵!いたか⁉︎」

「いない!」

「ならモノレールに急ぐぞ!始発がそろそろ出る!」

「うん!」

 

 

「カズキ…ユキエに言わなくて良いの?」

「別に今生の別れじゃないんだ。S.M.S本社にいるし、今は携帯で連絡も取れるしな」

そうは言うものの、一樹は拳を強く握りしめていた。それに込められた想いは、怒りなのか悔しさなのか。

「…カズキ、誰かが走ってくる」

「のようだな」

大して物の入ってないエナメルバッグを下ろし、人を待つ。駆け込んできた雪恵と一夏を…

「はあ、はあ、はあ…かーくん!なんでいなくなっちゃうの⁉︎」

「クビにされた、以上」

「何でだよ!お前は何ひとつ悪いことしてねえじゃねえかよ!」

「さあ?この理不尽な世の中で、男にとって最も理不尽な職場なのに、ここまで続いた方が俺は驚きだよ」

「それは…そうだけど…」

「それに…」

一樹は目の前で涙を浮かべる雪恵の頭を撫でながら、優しく言う。

「この学園からは出るけど、別にこの国から出るわけじゃない。連絡も簡単に取れるしな。休日はS.M.S本社に来いよ。話は通しておくから」

「う、うん…わがっだ」

泣きながら雪恵は頷く。やっと同じところで生活出来ると、喜んでたらコレだ。どこまで世界は、一樹を否定すれば気がすむのだろう。

「…俺は諦めないぞ。お前は絶対、ここに戻ってくるってな」

「……俺はそれにどうリアクションを取れば良いんだ?」

「…カズキ、ユキエのところに戻れるとだけ思えば良いんだよ」

「…お、おう。と、そろそろ時間だ。またな、雪、一夏」

「バイバイ、ユキエ」

「またね、かーくん、セリーちゃん」

「あ、あれ?セリーさん?俺は?」

最後まで一夏のことをスルーしたセリーを連れて、一樹はモノレールに乗って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでやっとゴミがいなくなったわね。学園が綺麗になって清々しいわ」

一樹を追い出したくて仕方がなかった教頭が、念願を叶えられたことで喜んでいた。その背後に、黒いオーラを放ったうさ耳が…

「ここまで恩知らずだとはな」

「ヒッ⁉︎」

教頭が後ろを向くと、底冷えするほど冷たい目をした束がいた。

「し、篠ノ之博士⁉︎」

「何度かずくんがこの学園を、生徒を守ったのかも忘れ、追い出すとかお前本当に人間?」

「な、何を言ってるのですか。今までの襲撃者、及び怪物を退かせたのは織斑一夏ではないですか。各国の政府への報告書にもそのように…」

「あの程度の情報改竄が、この私に通じるとでも?それに、各国の政府もあんな嘘だらけな報告を鵜呑みするほどバカじゃない。()()()()()()()()I()S()()()()()()()()()言ってるのがその証拠だ。政府にはちーちゃんと私が真実を送ってるのもあるだろうけど」

「そ、そんな!学園から発せられたメール等は全部私が…」

サーバーを管理している教頭の顔が、驚愕に染まる。しかし、凡人が作ったサーバーを通すなど、()()がするはずがない。

「何でお前ら凡人が作ったサーバーを通さなきゃならない。私が使うのは私が作ったサーバーか、かずくん達が作ったサーバーだけだ…お前なんかでも、かずくんは救ったというのに、お前は…!」

教頭は、1度バクバズンに捕食されかかっている。それを助けたのは、ウルトラマンのセービングビュートだ。

束は、そのことを言っているのだろう。

「お前はもう終わりだ。かずくんを…ゆきちゃんを泣かせた罪は、万死に値する!」

「ヒッ…⁉︎」

その後、教頭…元IS学園教頭がどうなったのか、知ってる者はいない…

「必ず、かずくんはここに帰す。ゆきちゃんのために、この天災が一肌脱ぎますか!」

 




やっと教頭がいなくなった…


スコールが言った亡国機業以外の敵その1
IS学園の人間
文字通り命がけで守っていることから目を逸らして、一樹を追い出そうと働く連中。1年1組の生徒も一部いるらしい。


解雇された一樹はセリーを連れてある寄り道をする。それは…













どうでも良い話ですが、今回の本文、4444文字でした。
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