人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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今回は休日の話!


といっても世間一般では平日なんですけど!


一樹とセリーはどう過ごすのか!


Episode80 遊戯場-ゲームセンター-

「おし、これで良いだろ」

時刻は午後9時。頼まれたシステム作成を終えた一樹。

「後は明日、送るだけだ」

『マスターにこんな特技があるなんて…』

「あれ?お前知らなかった?」

『うん、知らなかった』

「おかしいな…」

『何が?』

「だって、お前のOS作ったの…俺だよ?」

『…えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?』

 

 

翌朝、一夏のパソコンに、システムのデータが送られていた。

「お、流石一樹。早い早い」

「んぅ?かーくんがどうしたの?」

目を眠たげに擦りながら、雪恵が近づいてきた。

「簪のシステム、一樹が作った奴だから一樹に調整してもらった」

「…かーくん、いつの間に簪ちゃんのシステム作ってたの?」

「簪いわく、鈴が転校してきたのと同じ時期だそうだ」

「…すごい前だね」

「その時はすごい穴だらけのシステムだったらしくてな、プロ精神というか、お人好しというか、一樹が基本ソフトだけとりあえず作ったらしい」

「流石に詳細設定は入れられないもんね…入れたらかーくんと『話し合い』しなきゃいけないところだよ」

詳細設定には、女性のスリーサイズの入力が必要なのだ。当然一樹が入れられる訳がない。

「今回のソフトも詳細設定の部分だけ空欄なんだ。後で簪に渡しとかないと」

 

 

「…なあ」

「一樹は休んでろ」

書類仕事をしようとしたら、宗介とその彼女、理香子に仕事を取られた一樹。

「宗介の言う通りだよ。IS学園にいる間中働いてたもんなんだから、しばらく休んでて良いよ」

「理香子さんや、そうもいかないだろ。他の奴らに示しがつかないから…」

俺がやる、と言いかけたら社員の1人が一樹を見つけ、慌てて止めに来た。

「か、一樹さんは休んでてください!これくらい僕たちに任せて」

「いや、それはお前達の負担が…」

「大丈夫です!なあみんな!」

「「「「まっかせて下さい一樹社長‼︎」」」」

「一樹さん、ずっとサービス残業やってたものなんだから、しばらく休んでてくださいよ。具体的には20年ほど」

「お前、俺に社長を辞任しろってか?」

呆れ笑いでツッコム一樹。それを慌てて否定する社員。

「ちちち違います!S.M.Sの社長は一樹さん以外ありえません!」

「じゃあなんで?」

「一樹さん、最後にタイムカード押したのいつですか?」

「………あれ?いつだっけ?」

「「「「休め‼︎」」」」

近くのTOP7全員(宗介、智希、和哉、一馬)にツッコまれ、流石の一樹もたじたじになる。

「わ、わーったよ。じゃあ何か問題があったら呼「俺に報告するように!良いなお前ら!」おいコラ」

「「「「はい!宗介副社長!」」」」

「お前ら話を聞け!」

こんな感じで、和気あいあいとした職場です。

 

「カズキ♪カズキ♪」

久々にゆっくり出来るからか、セリーは一樹の膝上でご機嫌だ。

「…何するか」

普段、仕事をやってる時以外は食うか寝るかしかない一樹にとって、何年振りかの休日は何をしたら良いか分からない。

「雪がいたら、すぐ決まっただろうけど…セリーは何がしたい?」

「…ユキエに会いたい」

セリーの要望に、一樹はどうしようもなく悔しくなった。

「…ごめんな。俺と一緒に出ることになっちまって」

「カズキは悪くない…それに、学園に残っても、今度はカズキに会いたくなるもん」

「…ありがと」

せめて、今だけは。自分に懐いてくれてるセリーの暖かさを感じていよう…心に潤いが戻る、その時までは。いつか宇宙に、帰りたいと言うかもしれなくても。

「…私の居場所はここ。ユキエとカズキがいる、この星だから」

だんだん一樹の表情を読めるようになったのか、そんな事を優しい笑みで言うセリー。

「(いつの間にか、守りたいって思えるものが増えたな…)」

雪恵やセリーはもちろん、宗介達S.M.Sの仲間、舞たち『アサガオ』の家族…

一人ぼっちだった頃には、とても考えられなかった大切なもの。

「(この居場所は…守りたいな…命に代えても、絶対に…)」

 

 

「すごい…一晩で、これだけのシステムを作るなんて」

放課後、一樹から送られたシステムデータを簪に渡すと、簪は目を丸くして驚いていた。

「当然詳細設定はされてないから、それだけは入力してくれってさ」

「うん、分かってる」

されてたら怖いよ、と続けて言う簪。

確かにな。

『これがマスターなら、勝手に見て勝手に入力してるでしょうね』

ハクさんや、君は俺を何だと思ってるんだい?

『デリカシーの無い唐変木、ですね』

ねえ、昨日のことまだ怒ってるの?

『いえ、全く。ヤンデレと呼ばれた時の雪恵さんくらいには怒ってません』

大・激・怒!!?

『さあ…どうでしょうね』

相棒が怖いよぉ…

 

 

とりあえずセリーを連れてレゾナントに来た一樹。

「来たは良いものの…何をすれば良いんだ?」

「服屋はやだよ」

「心配すんな。俺もやだ」

ついこの間、散々見て回ったのだ。もう当分行きたくない。

「とりあえずゲーセンでも行くか」

「賛成」

 

ゲーセンに着いた2人。まず目に着いたのは…

 

パイロットを体験!マニュアルモードはGまで完全再現!君に扱いきれるか⁉︎

 

戦闘機の体験ゲームがあった。

「…これ、良いのか?」

「見て。『オートマチック操作ではGもかからず、安全にお楽しみいただけます。基本はこれでどうぞ』だって」

「その分、動きが単調になります…か」

「カズキ!」

セリーの目が一樹に訴える。が、何を訴えているのかは分からない。

「…やりたいのか?」

とりあえず1番高確率なことを聞いてみる。これで肯定の返事なら、必ずオートマチック操作にさせるのだが…

「ううん」

セリーは首を振ると、目をキラキラさせながら言う。

「カズキがマニュアルモードで無双して!」

…一応その道で食べてる人間が、それをやったら反則ではないか?

一樹はそう思う。

「大丈夫、オートマチック操作の人はみんな早い」

そのコーナー中央のターミナルを指すセリー。確かにみなオートマチックで、スピードだけなら7Gは行ってるレベルだ。ただ、あまりに動きが単調すぎる。

「(…ん?)」

端の方で、1人マニュアルモードでプレイしてる人物がいた。スピードは遅いが、その分テクニックで攻撃を回避している。

「(マニュアルモードはスピードが出せないのか?)」

改めて説明書きを読むと、マニュアルモードは本当に戦闘機の動きが出来るらしく、スピードも自分で調整するようだ。

つまり、その人物はスピードをわざと遅くしてるか、アレが耐えられる限界スピードなのだろう。

「…セリー、ゲーセンってのはな?みんなで楽しくやるものなんだ。パワーバランスがおかしくなるようなら、やらない方が良いぞ。実力で分けてくれるオンライン対戦じゃないんだから」

「ぶー」

セリーを説得しようとする一樹。だが…

「聞き捨てならねえな兄ちゃん」

「「?」」

後ろから声をかけられた。一樹が後ろを向くと、服越しでも分かるほど鍛えられた肉体を持つ男がいた。

「まるでテメエがやったら楽勝みたいな言い方じゃねえか」

「だってカズキは…ふがっ」

セリーが余計なことを言う前に口を塞ぐ一樹。

「いえ、自分のような初心者がしゃしゃり出たら、チームを組まされた方の迷惑になると思って言っただけですよ?」

あくまで自分が初心者だと言い張る一樹。目の前の男は胡散臭げな目をする。

「あぁ?さっきの嬢ちゃんの言い方だとマニュアルモードで余裕の様な言い方じゃねえか。おかしくねえか」

「この子、対人戦のゲームの深さを知らないんですよ。家庭版ゲームの身内戦しかね」

「ほお…確かにゲーセンのレベルと家庭版のレベルは遥かに違うからな。兄ちゃんの言う事は理解出来んでもない」

「ありがとうございます」

「ふががもがっ」

セリーが文句を言いたげな目をしてるが、この場を平穏に済ませたい一樹はそれをさせない。

「では、自分達はお邪魔のようなのでこの辺で」

そそくさと退散しようとするが、男に進路を阻まれた。

「だが、テメエみたいなナヨナヨした奴にその子は勿体ねえ」

ピクッ

一樹のこめかみが一瞬動いた。が、男は気付かずに続ける。

「大人しくその子をこっちに渡すってんなら逃してやる。だが、それが出来ないってんなら…」

後ろのゲーム機を指して言う。

「あのゲームのマニュアルモードで俺を倒してみな」

「……」

一樹は小さく舌打ちする。面倒な事になった。この手の輩は自分が負ける事を考えない。負けたら騒ぎが大きくなり、面倒になる。かと言って勝負に応じなくても面倒。となれば…

「…良いですよ。その勝負、受けます」

()()()()()()()()()()()

 

「このゲームの面白いところはな、戦闘機が変形するんだ。見てみろよ」

ターミナルを指す男。その画面に映るのは、戦闘機の状態から手足が出る中間状態と、完全な人型への変形。

「戦闘機の状態が【ファイター】、そこから手足が出た状態が【ガウォーク】、そして完全な人型の状態が【バトロイド】っていうんだ。このゲームをやる上で、この三形態を知らなきゃそもそも始まんねえ」

もう勝った気でいる男。一樹はそれが哀れに思うも、決して顔には出さない。

「ま、操作方法はコイツが教えてくれるからそれでやってみな。言っとくがオートマチックでやってきたらその時点でテメエの負けだからな」

そう言うと、男は一樹を球体の中へと誘導する。

「…分かってますよ」

「ふん、今のうちに言い訳を考えとくんだな」

男が隣の球体に入る。その隙に一樹は高速でメールを打った。

 

「こんなにレパートリーあんのかよ…」

マニュアルモードを選択したあと、機体選択の画面に移行した。自動でシートベルトが閉められるのを気にせず、一樹は機体を選ぶ。

「(…VF-0のA型、ゴーストブースターを装備。これで充分だろ)」

 

戦いが始まった。まずは手加減してあまりブースト蒸さず、飛行が出来る最小限のブーストで飛ぶ。

「(…アイツはSV-51γのツインブースター装備か)」

一樹の背後を取り、マシンガンを斉射してくる。とりあえずブーストを一段階増やして回避。

「(Gを完全再現とは言うものの…これで?)」

一樹は、通常ならこの時点で5Gはかかる状態だ。それが今は高速道路を走る普通車と変わらない状態だ。

「(ま、本当に忠実にしたら誰もやらないか)」

速度があがる度に若干ベルトが締めてくるが、一樹は全く気にせずに飛ぶ。

 

セリーはターミナルで一樹と男の戦いを見ていた。

「おい、すげえぞ。マニュアルモード対マニュアルモードだ」

「マジかよ⁉︎基本オートマチックモードのこのゲームで⁉︎」

やはりマニュアルモード同士の戦いは珍しいのか、ギャラリーが増えてくる。

「(カズキ、遊んでる…)」

一見すると、一樹のVF-0が追い詰められているように見える。

背後をとられ、マシンガンを斉射されているのだ。

「おいおい。VF-0追い詰められてるじゃん。素人か?」

ギャラリーの1人がそう言うが、別のギャラリーがそれを否定した。

「いや違う!よく見ろ、VF-0の方は一撃も喰らってないぞ⁉︎」

「はぁ⁉︎」

言われたギャラリーがすぐに画面のHPゲージを見ると、VF-0のゲージは1ドットも動いてなかった。

「嘘だろ⁉︎レーザーならともかく、マシンガンだぞ⁉︎連続で放たれる弾丸全部を避けてるってのか⁉︎」

 

「(クソ!クソ‼︎どうして当たらねえんだよ‼︎)」

男はイラついていた。開始早々背後を取ったこの戦いは、男の圧勝の筈だった。

だが実際はどうだ。マニュアルモード故の細かいスラスター方向の制御で、マシンガンが1発も当たっていない。

それに加えこのスピードだ。男がここまでスピードを出した場合、肉を抉るようにベルトが入り込むのは間違いない。オートマチックモードにしてるかとも思ったが、HPゲージの隣にはちゃんとマニュアルモードである事が表示されている。

「(ちくしょうが!)」

 

「あ!VF-0が動いた!」

「嘘だろ⁉︎更にスピードを上げただと⁉︎」

VF-0は更にブーストを蒸し、SV-51γを引き離すと、速度を落とさずにガウォークに変形。脚のスラスターを反らせ、弧を描くように飛ぶ。つまり…

「今度はVF-0が背後を取った⁉︎」

一瞬で攻勢が変わった。

対してSV-51γはツインブースターを装備してる都合上、変形が出来ない。この状況を覆すためには、ツインブースターをパージしなければならないのだ。

「あ!SV-51γがパージした!」

「しかも搭載されてたミサイル全部を後ろのVF-0に撃ったぞ⁉︎」

「あれじゃVF-0も避けらんねえな…これで終わりかな?」

ギャラリーのほとんどが、VF-0が負けると信じて疑わなかった。だが…

「「「「ッ⁉︎」」」」

VF-0はバトロイド形態に変形、手に持ったマシンガンでミサイル群を迎撃してみせた。

「「「「す、凄え!!!!」」」」

ギャラリーの反応に、セリーは満面の笑みを浮かべていた。

「やっちゃえ!カズキ‼︎」

 

「(じゃあ、時間もアレだし、終わりにしますか)」

もう充分に時間を稼いだ一樹は、再度ファイター形態に変形。ゴーストブースターに搭載されている全てのミサイルを撃ち、相手のSV-51γをあっさりと落とした。

 

「…俺の勝ちですね」

「んな筈はねえ!あんな動きが、テメエみたいなガキ出来る筈がねえ!インチキだ!」

「言いがかりはやめてくださいよ。そんな短時間で、インチキを実践出来る訳ないでしょ」

「うるせえ!あんな動き、オートマチックモードでしかありえねえ!」

「画面に映ってたでしょ。マニュアルモードって。そうですよね皆さん」

一樹が周りに同意を求めると、ギャラリーの全てが頷いた。

「じゃあそういう事なんで、俺とセリーは帰りますね」

一樹はセリーを連れてその場を去ろうとする。

「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

激昂した男が、一樹に殴りかかってくる______

 

バキッ!!!!

 

「ガッ!!?」

殴られたのは男の方だ。ちなみに一樹もセリーも全く動いていない。やったのは…

「ありがと。シュウ兄」

真島組幹部の一人、シュウだった。

「なんか、前にも似たようなことがあった気がするよ」

「そうですね…しかし、コイツはウチが探していた連中の1人です。協力、感謝します」

それだけ言うと、シュウは男を連れて去っていった。

 

「…ん?メールが来てる」

ゲームセンターを出た一樹達。スマホを見ると、メールが1通…それを確認する一樹。

「…セリー、お前は宇宙に行けるか?」

「ん?私は全然平気だけど…」

「そっか、なら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機体が完成した。本社に戻り次第、宇宙に上がるぞ」




便利な真島組

覚えてた人いるかな?


さてさて、次はタッグマッチかな?




来るぜ…アレがな!!!!

楽しみに待ってろよ!!!!

待っててくださいね。
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