人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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まだまだ続くウルトラマン関係!


Episode90 回復-リカバリー-

……く……ん……

か……き……

……す……た……

声が、聞こえる。

恐らく自分を呼んでいるであろう声が。

しかし、彼の意識は深い闇の中へと落ちようとしていた。

帰ってこれるか分からない、闇の中へと。

 

 

「心拍数がどんどん弱くなってる!C24を投与して!」

「はい!」

バードンとの戦いの後、雪恵に発見された一樹。だが、意識は無く、素人目にも危険なのが分かる程だ。雪恵は急いで千冬に連絡してセリーを呼ぶと、テレポート能力で一樹をIS学園の緊急治療室へと搬送した。

今、急遽セリーがS.M.Sに行って呼び出した一樹の主治医、遥香によって一樹の手術が行われている。雪恵やセリー、ミオはそれが成功するのを祈ることしか出来ない…

「かーくん…」

 

 

「クソッ!!!!!!!!」

 

ガァァァァァァンッ!!!!!!!!

 

格納庫では、一夏が悔しそうに壁を殴っていた。

出撃する前は、確かに自分達でバードンを倒すと決めていた。だが結局は、一樹1人に負担をかけることになってしまった。それが、悔しくて仕方ない。

「ちくしょう…ちくしょう…」

それを、陰で見ることしか出来ない専用機持ちたち。彼女たちも、今回はかなり悔しかった。今までの贖罪として、自分達でバードンを倒すつもりだったのが、一樹の援護すらまともに出来なかったのだから…

「…貴様が泣いたところで、アイツの負担が無くなるのか?」

悔しさのあまり、一夏の目に涙が浮かんでいた。

だが、千冬が一夏にかけた言葉は、慰めではなかった。

一夏の胸倉を掴んで、更に叫ぶ。

「泣くのが許されるのは、田中たちだけだ!貴様が泣いたところで、そんなのクソの役にも立たん!」

「お、織斑先生!それは幾ら何でも…」

見かねた麻耶が、千冬を止めようとするが、千冬の眼光に気圧されてしまう。

「今貴様が出来るのは、自分の不甲斐なさを戒めることだろうが!でなければ貴様は今まで櫻井を支えようだなんて言ってたのはただの戯言になると、何故気付かん!!」

「……るせえよ」

今まで黙っていた一夏が、千冬の手を掴み返して叫ぶ。

「うるせえんだよ!!!!じゃあどうしろってんだ!!?俺がアイツの代わりになれるんならなってやりたいさ!!!!でもそれが出来ねえんだよ!!俺はただ、ISが動かせれるだけのちっぽけな人間なんだよ!!!!アイツみたいな特別な力がある訳じゃねえんだ!!!!ちっぽけな人間の俺に、何を求めてんだよ!!!?」

一夏は激昂して叫ぶが、その顔に千冬の全力の拳が叩き込まれる。

 

バギィィィィィィ!!!!!!!!

 

「ガッ!!?」

千冬の拳によって、一夏の体は数メートル吹っ飛ぶ。

「特別な力、だと?それこそふざけるな!お前は私よりアイツの事を理解してると思ってたが、どうやら買い被りすぎたようだな!!」

「何が言いてえんだよ!!?」

「お前は…櫻井が特別な力が無ければ戦わないとでも言うつもりか?違うだろう!!?アイツが理由を言うとしたら、ただひとつだ。『自分に出来る事を、全力でやってるだけだ』とな!それに対してお前は何だ!!?お前はあの怪獣に対して、対策を練るような事をしたのか!!?何か弱点はないかと探したのか!!?ただアイツが戦ってるのをボケーっと見てただけでは無いのか!!?」

「「「「ッ!!?」」」」

その言葉は、一夏を見守る専用機持ち達の心にも響いた。

先のバードンの戦いだって、自分達から進んで援護したのは雪恵だけ。

自分達は、一夏の指示が無ければ動かなかった…いや、()()()()()()と言うべきか。

「悔しがってる暇があるなら、少しでもチェスターを強くする方法を考えろ!!でないと奴が来たら、お前などすぐに消し炭だ!!!!」

 

 

『ふふふ…まさかあんな切り札を持っていたとはな…そろそろ、私の相手をしてもらうとしようか』

夜の森に、シャドウの声が響く…

 

 

遥香や医師団の尽力によって、なんとか一命を取り留めた一樹。目覚めて最初の一言…

「うん、あの技はもうやめよう」

「「『当たり前でしょ!!?』」」

雪恵、セリー、ミオに詰め寄られるのも無理ない話だ。

それだけ、命の危険があったのだから。

「とりあえず、後は寝てるうちに治るだろ。後で一夏にも言っとかないと」

だと言うのに、一樹は呑気だ。

…実際は、内臓が焼けるように痛んでいるのだが、そこは無視している。

「かーくん、私たちは怒っています」

「『ます』」

「…あん?」

一樹のベッドの前で仁王立ちする雪恵とセリーとミオ。

「かーくんは、罰を受けるべきだと思います」

「『ます』」

「…とりあえず、セリーとミオが雪側なのは分かった。で?何をしろと?」

苦笑いを浮かべながら先を促す一樹。

「耳掃除です」

「……は?」

 

 

「おーい一樹、見舞いに来た、ぞ…」

チェスターの強化案を考えながら、一夏が一樹の病室に入ると、そこでは…

「…よお、一夏」

雪恵に膝枕されて、耳掃除をされている一樹がいた。

「…どんな状況?」

「…俺に対する罰なんだそうだ」

「…マジで?」

「…コイツらは大マジ」

一樹も、何故コレが罰になるのか分かっていないらしい。そりゃそうだ。弾が見たらコレを『何イチャついてんだゴラァ!!』と言うに違いないのだから…

「…あーあ、かーくん耳綺麗にしすぎ。掃除するところ無いよ…」

「あのさ、俺こんなんでも戦闘要員なんだぜ?結構音には気を使ってんだよ」

「…むう」

「…さて、一夏が来たからそろそろ終わりに「駄目」何で?」

「かーくんは今日、私の膝から降りてはいけません」

「お前飯とかどうすんの?」

「かーくんは今日の夜まで、私の膝から降りてはいけません」

一樹にツッコまれて、訂正する雪恵。

「…俺はそのままで良いから、話を聞いてもらえるか?」

「…なんか、すまん…」

「謝るなよ。でさ、相談なんだけど…」

「おう」

ここに来るまでに考えていたことを、一樹に相談する一夏。

「ウルティメイトバニッシャーのエネルギーを、ミサイルに積み込むことって…不可能かな?」

 

 

「…雪、悪いがここまでだ」

「…しょうがないね」

一夏の提案に、一樹の顔が真剣になる。それを察した雪恵の手を借りながら、ゆっくりと起き上がる。

「あ、無理すんなよ。寝ながらで良いから」

「…セリー、クッションを俺の背中に合わせてくれないか?」

「はい」

セリーの協力により、何とか座った姿勢を保てれる様になった一樹。

「…これで大丈夫だ。さて一夏。どうしてそれが浮かんだのか、教えてくれるか?」

一夏は、チェスターを強化する事になった事と、具体的な強化プランを考えなければならなくなった事を伝えた。

「…なるほどな。お前らにも心配かけたな。もうあの技は使わないよ。思った以上に負担がデカイ」

「そうしてくれ。目の前で自爆されるのは、良い気がしない」

違いない、と一樹が苦笑する。

「で、あのエネルギーをミサイルに詰められないか、だったな…理論上は可能だと思う」

「本当か!!?」

「ただ…出来れば避けたい…」

「何で!!?」

思わず一樹に詰め寄る一夏だが、セリーの念動力によって止められた。

「カズキが怪我人だって、忘れたのか…!」

「ご、ごめん!」

セリーから向けられる本気の殺気に、冷や汗が止まらない一夏。

「落ち着け、セリー」

痛む体に鞭を打ち、一樹はセリーを抱き寄せてその頭を撫でる。それだけで、セリーからの殺気は消えた。

「…で、何で避けたいか、だけど…一夏、ダイナマイトの歴史って知ってるか?」

「えーっと、ノーベルが発明した爆弾で、ノーベル自身は鉱山業が豊かになるために発明したのに、軍部によって戦争の道具にされてしまった…だっけ?」

「大体そんな感じだ。俺があのエネルギーをミサイルに詰め込むのを避けたいのは、ダイナマイトの歴史と同じになってほしくないからだ」

「…というと?」

「ビーム砲として撃つのには、束さん(と俺たち)以外には開発出来ないレベルのジェネレーター出力がいる…ここまでは良いか?」

「「「『うん』」」」

一樹の説明に、一夏だけでなく雪恵達まで真剣に聞いている。

「だけど…実弾の中に詰め込むとしたら、ジェネレーター出力なんか関係無くなるだろ?」

「まあ…俺が出来ないか?って思ったのも、それが理由だし。少しでも多くバニッシャーが撃てる様になるに越したことはないからさ」

「それ」

「「え?」」

一樹の発言に、呆然とする一夏と雪恵。対してセリーとミオは、一樹が言いたい事が分かった様だ。特にミオは、()()()()()()()()()()もあって…

「ミサイルにすればジェネレーター出力を気にしなくて良くなる…逆に言えば、今世界にある()()()()()()()問題無いことになっちまう」

「それが…」

「どうしたの?」

まだ理解出来ない一夏と雪恵。

「…ISが元々、何を目的に作られたか分かるか?」

「宇宙開発のためだろ?いつからかそれが軍事力に…あ」

「まさか…」

ここに来て漸く理解した2人。

「そう、元々は宇宙空間を自由に動けるようにするためにISは開発された。だが、政治家のクソ共はその事から目を逸らし、その戦闘能力だけを注目した結果が今の世界情勢だ。俺があの光線のデータをお前や千冬にすら渡さず、束さんだけに渡したのは訳がある…お前や千冬だと、世界に報告する義務が出来ちまう。けど、束さんはそんな義務なんてなんのその。それに一度データを見た後、すぐに塵すら残らずに消してくれたからな。あのデータは今、俺と束さんの頭の中にしか無いってことだ」

「「……」」

「だが、ミサイルに詰め込むとなるとそのデータをある程度流さなきゃいけなくなる。俺はそれが悪用されることが、何より怖いんだ…」

それは、強力な力を使っている者故の恐怖だった…

 

 

一夏のチェスター強化案の相談を受けてから、早1週間。

「…おし、体の調子も戻ってきた」

雪恵達の看護もあり、一樹の体の調子も戻ってきた。

「早く宗介と交代してやりますか」

一樹が動けない間、代理として宗介が一夏の護衛についていた。

…と言っても放課後は一樹の病室(個室)で一樹に宗介、一夏はモンハン大会をやっていたのだが…

それで良いのか護衛役たち。

「おーっす。体の調子はどうだ?」

「あ、宗介。おかげさまで、ここまで回復したよ」

片手逆立ちをしてみせる一樹。

相変わらず凄い回復力だ。

「よし、なら遠慮なく…」

「ん?」

ズンズン、と宗介は一樹に近づき…

 

ゴチンッ!!!!!!!!

 

拳骨を落とした…

さっきから一樹の後ろに隠れていた一夏の頭に。

「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」

頭を抑えてゴロゴロ転がる一夏。そんな一夏の背中を鍛え抜かれた足で押さえつける宗介。

「よお一夏。お前何隠れてんのかな〜?そんなに俺にやましい事したのかな〜?ん?んぅ?」

顔は満面の笑みなのだが、目が全く笑っていない。

一樹はそれを苦笑しながら見るしかない。

「し、シテナイ」

此の期に及んでまだシラを切る一夏。

「ほぉ…」

左手一本で一夏の左腕を極める宗介。

「ぎゃあぁぁぁ!!?ギブギブ!!!」

「じゃあ説明してもらおうか…何で俺に理香子から『…浮気してるの?(泣)』って電話が来たのかを!!!!」

「お前そんな電話来てたのか!!?」

S.M.S内カップルの中で、最も付き合いが長い2人が、どうしてそんな状況になっているのだろうか。

しかも一樹は知っている。宗介と理香子は、暇さえあればイチャついてる事を!

「お、俺はただ!理香子さん「あぁん?()()()()()?」ヒィッ!?瀬川さんから聞かれた事に答えてただけなんですぅぅぅぅ!!!!」

「おい、一夏。そのメール見せろ」

宗介の剣幕にビクビクしながら、一夏は一樹に携帯を見せる。

 

 

理香子『宗介は学園ではどう?』

一夏『こんな感じです』

宗介がクラスのみんなに微笑みかける画像。

 

理香子『クラスの人と喧嘩してない?』

一夏『無事に会話出来てますよ』

 

 

「オカンか!!?」

理香子の宗介に対する心配が、母親のソレなのに驚く一樹。更に続きを見ていくと…

 

 

理香子『ね、ねえ…宗介と仲が良い人、誰かいる?』

一夏『大体隣にいますよ』

 

 

「これかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?!!?」

「どれだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?!!?」

ひと通り一夏にプロレス技をかけた宗介が、凄い速さで画面を覗き込む。

「…お前、一応聞くけどさ。この1週間で隣にいたのは主に誰?」

「7割一夏、残りは雪恵さんとセリーだぜ」

「…となると、この質問の答えは」

「…一夏(コイツ)って事だよな…」

「「……」」

無言で顔を見合わせる一樹と宗介。

「あ、あの…ご理解頂けたでしょうか?」

「「一夏」」

「は、はい!!!!」

「「これでも喰らえやゴラァぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」」

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!ブーメランが連続で飛んでくるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?!!?」

どこからか取り出したブーメランを、一夏に向かって連続で投げる一樹と宗介。一夏は悲鳴をあげながら何とかそれを叩き落とす。ゲンとの修行の成果が、こんなところで生きようとは…

その後、一夏が土下座する勢いで理香子に電話をし、何とか誤解は解けました。

 

 

「雪、お前と一緒にこの学園にいれて本当に良かったよ…」

「い、いきなりどうしたのかーくん!?ま、まあ嬉しいけどさ…」

後半はボソボソッと呟く雪恵。

宗介が帰った日の昼時、一樹は食堂で雪恵を膝上に座らせて夕食を取っていた。

「くっ…今日は負けた…」

そんな一樹の隣で悔しそうに座っているセリー。ミオにいたっては…

『いいもんいいもん…どうせ私は放置プレイ慣れてるもん…グスッ』

意識空間で地面に【の】の字を書いていた…暗い、暗すぎる。

「さ、櫻井君ってあんな風に甘えるんだね…」

新たにグループに加わった簪が驚いた顔をしている。

それは一夏以外の専用機持ちも同じだ。

「ね、ねえかーくん。急にどうしたの?」

「今日の昼間にさ…」

かくかくしかじか

宗介に起こった騒動を説明すると、皆納得した顔になった。

「た、確かに一夏に聞いたらとんでもない誤解が生まれるね…」

シャルロットも苦笑いを浮かべる程だ。対する一夏はブスッとした表情を崩さない。

「俺は聞かれた事を答えただけなのに」

「雪、ちょっと降りてくれ…今すぐ表出ろやゴラァ!!!!!!!!」

「上等だゴラァ!!!!!!!!いつまでも俺がやられっぱなしだと思うんじゃねえぞ!!!!!!!!」

いつぞやと同じ流れをする2人。

『いいぞ〜やれやれ』

『ミオさん!!?出番が欲しいからって煽らないでください!!!!』

今度は止めずに、逆に煽るミオ。ツッコミ役は、ハク1人に一任された。

『ああもう!学園のツートップへのツッコミが私だけってどんなイジメですかぁぁぁ!!?』

ハクの叫びが虚しく響く。

「ッ!!?」

そんな時、一樹が背後に向けてブラストショットを放った。

ブラストショットから放たれた波動弾は、何かに相殺された。

『久しぶりだな、櫻井一樹』

「…何の用だ、シャドウ」

一夏たちを下がらせて前に出る一樹。セリーも、いつでもバリアを張れるよう構える。

『なに、久しぶりに()()()貰おうと思ってな…こうして来た訳だ』

「お前と遊ぶのなんかまっぴらだぜ…」

『そう言うな。わざわざお前の体が回復するのを待ってやったんだからな』

「……」

『近々、やりあう事になる…その時を待っているんだな…』

それだけ告げると、シャドウは闇に包まれ消えていった…

 




予定としては、
1年生時がジュネッス。
2年生の頃からジュネッスブルーの予定ですので、ブルーファンの方はそれまで御付き合いください。

よろしくお願いします。
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