人と光の“絆”   作:フルセイバー上手くなりたい

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千冬から一樹にある依頼が来る…

それは…


Episode93 授業-レッスン-

「…悪い千冬。今なんて言ったのか、もう一度言ってもらって良い?」

千冬から告げられた事に、一樹は耳を疑った。

「だから…生徒の模擬戦に付き合ってやってくれ」

非常に頼みにくそうに千冬が言う。

「あの…今の俺、一夏の肩を借りながら歩いてる身なんですけど…」

シャドウ・デビルとの戦いの傷は、まだ治っていない…

「それは充分承知の上だ…」

「こんな状態で、専用機持ちと戦うのは…やれなくは無いけどさ…」

「ん?ああ説明が足りなかった。相手してほしいのは訓練機の方だ」

「…はい?」

千冬の説明はこうだ。最近、学園を襲撃されるのがもはや当たり前となってきている。何かイベントが起こる度に、だ。専用機持ちだけで対応出来るならそれが一番だが、学園の自衛のためにも一般生徒が強くなった方が良い…と。

「…なーる。その案には賛成」

「決してお前がいなくなるためって訳では無いぞ?」

「わーってるよ。で、機体の数は?」

「25機だ」

「…は?」

「だから、25機だ」

あれ?デジャビュ?

「(…なあミオ。俺たちの初陣って何機が相手だったっけ?)」

『……25機、だよ』

ミオも同じ事を思ったのか、何とも言えない表情をしていた。

 

 

「ま、まさか私たちが櫻井君に相手してもらえるなんて!」

「あのカッコいい機体が間近で見れるなんて!」

「「「「生きてて良かった!」」」」

実習の時間になった。千冬の指示で、それぞれ機体を纏った1組の生徒たちに、雪恵は苦笑を隠せない。

「あの…かーくんが相手って意味を、正しく理解してる?」

「「「「…私たち何分保つと思う?」」」」

さっきまでのテンションはどこへやら、一気にお通夜の様になる生徒たち。

「…まあ、1分保てば上々じゃないか?」

「「「「秒殺の可能性!!?」」」」

一夏の回答に、生徒たちに黒い波線が現れる。

「今回の貴様らの目標は、櫻井相手に1分保つことだ。出来なかったら…」

「「「「出来なかったら?」」」」

「私が直々に補習を行ってやろう」

「「「「地獄しかない!!?」」」」

 

 

「全部聞こえてるんだけど…」

ピットのベンチで一樹は苦笑する。

『マスター、手加減してあげるの?』

「…出来ればな」

今、一樹のコンディションは最悪に近い。現に、このピットに来るまでセリーの肩を借りた程だ。

「手加減しなくても…今全力出したら普段の手加減になるんじゃね?幾らお前の性能があっても」

『マスター…』

「ま、なるようになるさ」

フリーダムを展開し、カタパルトと接続する。

「とりあえず、楽しもうぜミオ」

『…うん!』

 

 

カタパルトから出撃したフリーダム。華麗に舞う様に飛びながら、VPS装甲を起動させる。

「来たァァァァ!!」

「やっぱりカッコいいよあの機体!」

フリーダムを待ち望んでいた生徒達。中には関節部の輝きに、眩しそうに手をかざす生徒もいた。

「…本当に25機だ」

『あの時のまんま戦っちゃう?』

「それだと…何分?」

『あの時は2分掛かったよ』

「なら、丁度良いか」

作戦?を決めた一樹とミオ。

「あ、ミオ。ちょっと話したい事があるから回線つないでくれ」

『良いけど…誰と?』

「一夏」

 

 

「セシリア、一樹がよく見ておけだってさ」

一旦一夏を経由して、セシリアに言う一樹。

「え、えっと…何故私ですの?」

「かーくんが使う武装が、セシリアちゃんの参考になれば、だと思うよ」

一通りフリーダムの武装を知っている一夏と雪恵は、何か企む様な顔をしている。

「ふむ。何か櫻井には考えがあるようだな…ちゃんと学習しろよ、オルコット」

「は、はい…」

 

 

開始の合図を待つ一樹と生徒達…

 

試合、開始!

 

麻耶のアナウンスを聞いて、最初に動いたのはラファールを纏った生徒達だ。

搭載されているマイクロミサイルを、牽制の意味を込めてフリーダムに向かって撃つ。

「行くぜ、ミオ」

『うん!』

フリーダムはそのミサイルを物ともせずに、隙間を縫う様に飛ぶ。

「「「なっ!!?」」」

ミサイルを難なく避けたフリーダムに、ラファール達が愕然としている。

左腰のビームサーベルを抜刀すると、固まっていた2機のラファールをすれ違い様に戦闘不能にする。

「せめて1発は当てる!!!!」

今度は打鉄の部隊がガトリングガンを一斉射してくる。

「甘い甘い」

弾丸の嵐を避けながら、打鉄部隊のガトリングガンを切断。

「囲むよ!」

誰かがそう叫ぶと、4機が一樹を囲む様に動くが、それは持ち替えた2丁のビームライフルによって迎撃される。

「なんのぉ!!」

「コレでぇ!!」

フリーダムの動きを止めようと、迎撃されたラファールの2機が、ワイヤーを射出。フリーダムの左脚、右腕を捕らえた。

…あれ?デジャビュ?

「今だよ!みんな!」

フリーダムの動きを完全に制止したと思ったのか、一斉に攻撃してくる。

「見てろよオルコット。ビットってのはな、こう使うんだ」

翼のスーパードラグーンを射出し、まずはワイヤーを破壊。次に飛んで来た実体弾達を破壊する。

「「「「嘘ぉぉ!!?」」」」

 

 

「う、嘘ですわ…8機ものビットを、同時に動かすなんて」

同時に動かすのは、4機が限界のセシリアには、その場面は衝撃すぎた。

「しかも射出してからも、高速で動いてるしな」

一夏が少年の様な笑みを浮かべながら言う。普段、一樹が機体を展開する時は、自分か襲撃者の相手をする時だけだ。

それが、第三者の視点で見るとここまで楽しいとは…

一夏も男子である。ロボットが戦う姿を見るというのは、心にくる物がある。それは、自分がそのロボットを扱う側に立っても変わらない。

 

 

ドラグーンを操作しながら、フリーダムはビームサーベルを振り回して暴れる。数の上では有利な筈の生徒達が、防戦一方になるくらいには。

フリーダムの斬撃からどうにかして逃れようと下がれば、そこはドラグーンが狙っている。

「「「「もうイヤ!!!!櫻井君の鬼!鬼畜!ドS‼︎」」」」

『マスターを理解する女の子が着実に増えてるね』

「…そこまで言うならもう終わらせるよ」

練習に付き合わされた挙句、そんな事を言われるとは…一樹は呆れながら、フリーダムを急上昇させてマルチロックオン。

「…はい、お終い」

「「「「イヤァァァァ!!?」」」」

 

 

「…丁度1分。櫻井め、遊んでたな」

「いやあ!第三者の目で見ると楽し…一樹?」

ゆっくりと下降してきたフリーダム。そして解除した途端、一樹は膝を付いた。

「ハア、ハア、ハア…」

その額からは大量の汗、制服に少し血が滲んでいる…血?

「「セリィィィ!!急患だぁぁぁ!!!!」」

織斑姉弟の声が、アリーナ中に響いたのだった。

 

 

「ねえカズキ。何で戦っても無いのに傷口開いてるの?」

「フリーダム動かすのに夢中で、怪我の事を忘れてた」

相変わらずの一樹に、セリーは頭を抱えるのだった…




8巻行っくぞぉぉぉぉ!!!!
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