「…あれ、何ともねぇぞ?」
俺の身を包んでいた光が無くなり、自分の体を見回すがどうともなっていない。
「ふむ。予定とは違ったが、仲良しごっこが好きな貴様らにはこちらの方が効くだろう。…そこの紅魔族の娘よ!貴様が原因でそこの男は1週間後に死ぬだろう!」
そう言うと鎧の騎士は上手く歩を翻らせ、こちらに向かって何かを言ってきた。
「我が名はデュラハンのベルディア!紅魔族の少女と、少女を守る為その身を呈した男よ。呪いを解いて欲しくば、このオレの居る城まで来るが良い!」
そう言い残し、ベルディアは去ってゆく。
「オイ!大丈夫か、アキラ!」
「あぁ、特に異常は無いようだが…」
こちらに駆け寄り、心配してきたカズマにそう答えた。
…確かに今はどうとでもないが、死の宣告と言えどずっと調子が変わらない訳では無いだろう。どうにかして、早いところあのデュラハンの奴をぶっ飛ばさなければ。
そう考えて居ると、めぐみんが俺とカズマの間を歩き、デュラハンが去っていく方向へ歩みを進めていく。
「おーいめぐみん、どこに行く気だ?」
「…ちょっと、あのデュラハンの城に爆裂魔法を打って呪いを解かせてきます。大丈夫です、あの城に打ち込むのは日課ですから。」
めぐみんに声をかけるアキラ。それに対してめぐみんは、明るい顔を作りながら応えた。
…その言葉に、その表情をさせたことに、胸が痛んだ。
「全く、そんなことなら俺も連れていけよ。…魔王軍幹部の本拠地だ、居る敵があいつだけって訳でもないだろう?」
「…感謝します、カズマ。それでは行ってきますね。」
そう言って、カズマとめぐみんが行こうとする。行ってしまう。
「…この馬鹿野郎共が、俺も行くにきまってるだろうが。」
二人がえっ、と言った表情でこちらを見る。
「庇ったとは言え、当たったのは俺のヘマだ。ちゃんと自分の尻拭い位、自分でしなきゃな。」
そう言ってカズマとめぐみんの後ろに着く。…何やら後ろで騒ぎが起きてる様だが気のせいだろう。
「それに、あの城に爆裂魔法打って、だれがお前を背負うんだ?」
「それは…カズマにやらせようと…」
「あのなぁ…」
カズマが呆れた顔をしながらめぐみんの方を見る。
「あ、あのぉ…いい空気になってる中少しいいか?」
そんなことをしていると後ろから、申し訳なさそうなダクネスの声が聞こえた。
「呪いの方はさっきアクアが《セイクリッドブレイクスペル》で解除できたようなんだ。だから…その…もう大丈夫だぞ?」
「「「えっ」」」
予想外の発言に、俺達三人は素っ頓狂な声を上げる。
そんな時、アクアがこちらに駆け寄ってきた。
「どーよ!魔王軍の呪いなんて、この私にかかれば余裕よ、余裕!どう、凄いでしょ!だから私をもっと甘やかして!」
ふふん、も胸を張りながらアクアが言った。…なんだか、どっと疲れた。早く帰って寝たい。
とりあえず、アクアに一言「ありがとう」と言って町に戻る。めぐみんとカズマもついてきたところを見ると、俺と同じ考えらしい。
「…とりあえず、明日からは城に爆裂魔法禁止な。」
「…はい、分かりました…」
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翌日、ギルドに行くともう既に俺以外のメンバーは集まっていた。なにやらこれから、今日一日の流れを決めるらしい。
「アクアのレベル上げなぁ…ステータスは結構いいって聞いてたんだけど、必要か?」
カズマの提案した内容に純粋に湧き出た疑問をぶつける。
そう言うと、カズマが耳打ちをしてきた。
「…ほら、レベルが上がればステータスも上がるだろ?そしたら、こいつの残念な頭も少しはマシになると思って…」
ポンっと手を打った。成程。カズマ、こういう所で結構頭が回るな。
「…まぁ、ヒーラー系はレベル上げにくいからありと言えばありだが…どんなクエスト受けるとかは決めてるのか?」
「あぁ、それならこれかこれの、どちらかのクエストを受けようと思っている所だ。」
そう言って、ダクネスから二つのクエストの概要を見せてもらった。
…泉の浄化と、ゾンビメーカーの討伐か…
「思ったんだが。ゾンビメーカーはいいとして、泉の浄化はレベルアップに繋がるのか?」
「もっちろん!レベルって言うのはね、所謂経験の積み重ねなの。だから例え食事をしていても経験値は溜まっていくわ!」
「成程。それだったらカズマ、どっちを受けるか決めてるのか?」
「あぁ、泉の浄化の方は時間がかかるから準備が必要だとして、手短に済ませられるゾンビメーカーの方を受けようかなって思ってるところだ。」
「異議なし、三人は大丈夫か?」
「うむ。私も構わないぞ。」「私も大丈夫ですよ。」「問題ないわ!」
三人からokが出た。
「それじゃあ、ゾンビメーカーが出てくる夜にもう一回ギルドに集まるか。」
全員が頷き、ギルドを出ようとした所で、めぐみんに呼び止められる。
「あの、アキラ。少しいいですか?」
「ん、どうした?」
「その…昨日のことで。」
「あー。…ここじゃあれだし、少し歩こうか。」
そう言って、ギルドを出て歩き始める。
…少し歩き、人通りの少ない路地に入ると、めぐみんは口を開いた。
「…昨日はありがとうございました。」
「いやいや。と言っても殆どアクアに持っていかれた様なものだしな。」
そう少し苦笑しながら言う。…それにつられ、めぐみんも少し笑った。
「あはは…それはそうとして。どうしてアキラは私を庇ったんですか?」
「なんでって…なんでだろうなぁ。気付いたら体が動いてた。としか言えないな。」
「気づいたらって…自分の命が惜しくはないんですか?」
「惜しいと言えば惜しい…かな?」
「どうして疑問形なんですか…」
めぐみんが呆れながらこっちを見ていう。
あれ、俺、ここ最近いつも呆れられてないか?
「…惜しいけど、誰かの命を助ける為だったら、命をかけてでも守りたい…かな。」
「…それは、誰でもですか?」
「んー、少なくとも知ってる人なら、体は張ると思う。」
「……」
それを聞くと、めぐみんは俯く。
「でも、あのデュラハンの呪いからは、めぐみんは絶対に守らなきゃ。って思ったかな。…って、なんで急にこんな話になったんだ?」
「…なんでもありませんよ。どうしてあそこまでしたのか、少し気になっただけだす!」
そう言って、めぐみんはぱあっと顔を上げ、前を歩く。
「あぁ、でも…最後に言ってくれた事は、ちょっぴり嬉しかったですよ?」
そう言われ、自分が何を言ったのか思い出し、顔が熱くなるのを感じた。
そんな俺を見て、めぐみんは笑みをこぼす。
「ふふっ、耳まで真っ赤ですよ、アキラ?」
「…どうしてあんなことを口走ったのか、自分を問いただしてるところだから何も言わないでくれ。」
そう言うと、より一層めぐみんは笑い、俺もつられて笑う。
「そういえば、こっちに気になる魔道具店があったんです。少し付き合ってもらえますか?」
「まぁ、その位ならいいさ。っておい、置いてくなよ!」
「ほらほら、そんなに遅いと置いていきますよ!」
そう言うめぐみんを追って、話していた店に向かう。
めぐみんの言っていた店の店主が留守で、中を見ることが出来なかったのはまた別の話。
タイトルを序盤で回収して後半がほぼ閑話になることに定評のある珈琲@微糖です。
早いことで12話目となりましたが、まだアニメだと4話くらいなんですよね。まだ先は長いです。
ここまで書いておいてあれなのですが、時系列はアニメ準拠で進めつつ、カットされたお話は原作の位置に入れていこうと思っています。
ですので、キールのダンジョン等はデストロイヤー後になりますかね。まぁアキラくんは盗賊スキルを取っていないので、殆どお荷物と思われますが。
さて、恋愛的なあれも書きたいなぁ、とお話をしていましたが、今回の話を見ても分かる通り、ヒロインをめぐみんにして書こうと思っています。尚、サブヒロインは多分無いと思います。そこまで高度な技術はありません。
と言うことで、今回はこの辺りで筆を置かせていただきます。
また次回以降も見ていただければ幸いです。