闘いに終始はない、─全て更新されるのみだ
では諸君、物語の続きといこう
第零話 始まりの刻
世界の形はこうだ
「次元」から為る、限り無く分け隔てられている「空間」と数多の種類と成る「時間」が其々に折り重なり、互いに干渉しえない幾つもの世界を内包する空間
─
その「次元世界」一つ一つが一定の密度で寄せ合いになって互いを支え合う形で存在する特定の領域
─
そして、それら複数の「次元世界存在区域」を含めた存在する全てを内包する空間
─
これが世界の形、その全てだ
だがこれでは端的過ぎるので少し補足説明をしよう
次元世界とは一言で言えば、粒だ
砂場の砂一粒、次元空間からすればもっと小さいかもしれないが、重要なことは次元空間から比較したその大きさではなく種類数だ
各次元世界には、水や空気、光等が存在しない次元世界、宇宙万物の理を凌駕する仕組みで成り立つ次元世界、宇宙を内包する者が何名もいる次元世界、歪曲世界や鋭角世界、その他世界で成り立つ次元世界……と、一粒に同一のものが無いように様々な次元世界が存在する
明確な次元世界の数などはなく、今後も増え続ける事だけが現時点で確証できる情報だ
それに加え、次元世界の中に時間、空間の概念が在り、時間は可能性、空間は密閉性の性質を持ち、この2つの性質が互いに作用し、各次元世界の中に数多の並行世界を生み出しては消滅を繰り返し次元世界が消滅するまで作用し続ける
その為、次元世界自体が常に変化しながら形容している状態で、同一は一切無い「完全なる個」ということになるのである
次元世界が砂一粒であるなら、こちらは掌握した砂だろうか
いや、正確に言うならば握りしめた砂ではなく、握ろうとした際にこぼれていった砂だろう
各次元世界存在区域は、各次元世界をタワー状や糸状、帯状のように長くなっていたり、隙間だらけの立方体状や球体状のような疎らな密集をしていたり、不定形状等のように上下左右ばらばらに広がっていたりしながら領域を形成している
この形成は常に変化し続けるからこそ起こる干渉避けが起因している
簡単な話だが、次元世界同士が直接干渉を起こした場合、発生する事は次元世界同士の混在か、世界空間や世界情報体が入り混じり、交差、もしくは対消滅、あるいは密閉して隔てているだけに空間の性質が一つでも失われた時、交差や消滅が連鎖的に起こる可能性もあるということだ
そうなった残骸は幾つも散見される
干渉避けは決して万能ではないが、直接干渉を回避した次元世界は確実に干渉避けしているのだ
干渉避け
存在する2つ以上の存在が互い同士に存在を認識し合うことで、存在損傷、消耗を回避すべく回避行動を取ることをいう
主に次元世界同士の時に用いられる
認識し合っていても回避できない事に疑問は残るが、この分野は規模、状況ともに不明な点が多過ぎるため、ここまでにしておこう
この様にして次元世界は数を増やす度、次元世界存在区域を形成し、次元空間にその存在を置く
その置く際、不可解だが区域は必ず形成される、次元世界自体に互いを引き寄せ合う力は無く、また次元世界形成時に発生する力は他の次元世界を押し退ける程だ
一説には、干渉避け自体が目的とされている
そうして出来ているのが「密集する個」である
ここまでの例からして、次元空間は砂場そのものという例えになると勘付くだろう
説明になるとは思わないが、内包する─つまり、入れ物という事になる
入れ物というのも、ただ包み込む、蓋をして密閉する、固く閉ざし出入れ出来なくする、様な単純な意味合いではなく、空間があってそこに世界が在るから入れ物と成る、このような扱いである
ただ何も無く、そこで次元世界が終始を繰り返す
そこに、何も無いのならだが
これが世界の形、在り方だ
その空間の中、唯一他を取り込み喰らう次元世界がある
─
一体何時から在るのか、何故この次元世界だけなのか、誰も故を知らず、それはただ喰らいに喰らって存在する
いや、存在していた
現在この次元世界に変化が生じ、存在そのものの変革が起きていた
─
それは、この地より再び始まる
─
それは、この場所より再び始まる
場所 幻魂御社─最上部中央広間
幻魂御社
世界都市の中心であり、第零次元世界の中心
そして、
幻魂御社最上部、その位置はこの世界都市を一望出来る程だ、興味のある者は寝っ転がって眠るとさぞかし興奮に似た感情の昂りを覚えるだろうが、この者の様子を見る限りそのような暇つぶしをしに来たわけではないことがわかる
所々が欠けた体に、上着、衣服は千切れ傷が絶え間無い
戦った後のような、しかし損傷はその者だけで広場には傷一つ無く、見る者によっては怪奇だろう
すぅーっと次第に勢いが増しそうな風が広場全体にに流れ始める
何かの前兆か、只々不穏な気配だけが空気に入り混じって、もしその場に何者か居たなら緊張が肌身に伝わってきただろう
風で少し靡く上着の襟、仰向けでいる者はそのままだ
その少し離れた位置、床に突き刺さっている長物、柄が槍の持ち手と同等の長さを特徴とする剣が先程から光に照らされ独特の輝きをみせている
物騒なものだ
その上着、衣服は一般的に言うなら医者か研究員のそれである
この次元世界の医療、研究機関は戦う必要があるのだろうか
風はまだ、止みそうにない
流れる風のまま目線を送れば幻魂御社からの展望ができるだろう
その周辺は都市やら森やら海やら原っ葉等が広がっているが、都市は崩壊し原っ葉は荒れ地、海は死骸の骨で埋め尽くされ、森には常に怪しい霧気が立ち込めている
そんな中
「──……おーい
間抜けな声が通る
仰向けになっている者はそのまま右手を上げてひらひらと手遊びし、まるで得意げな顔をしている
名を呼ばれた者は、この様に呼べば頼まれてくれるのだろう
互いの信頼度が伺える
だが
「あれ?」
瞼を開きそのまま顔を上げた、鬱陶しく動いていた右手はもう止まっている
「あー‥、そーいやもう行ったんだったか」
一拍置き
「……よっと」
まずは体を起こし、というよりその仰向けのまま起き上がり埃払い、慣れた手つきでズボンのポッケに手を突っ込む
(‥そりゃ流石にもう行ってるわな)
少し黄昏れ、周りを見渡すように振り返った
「‥っと、俺もそろそろ動かねぇとな」
(‥あと少しで此処は騒がしくなる───ん?)
その目線の先には、今もなお独特に光る物が存在を僅かに放つ
その者はそれにスッと近付くと、柄の部分に右手で触れる──、と見せかけて右手で床に突き刺さったそれを引き抜くように弾き、宙へ回転させた
それほど遅くない回転、しかしその一回転一つ一つにこれまでを反芻する
「……」
(…まだ終わってない、終わりじゃない)
「
「いいな、この前の続きやるか」
「ちょっと、また変なことしでかすんじゃないでしょうね?」
右手で掴むまでの間、ただそれを見る
ゆっくりと、ゆくっりと流れる雲を見るように
「聞いてくれよ
「弟…?マジか、目出度いな。おめでとう!」
「はは、なんかちょっと複雑だけど…ありがとうね!」
「……」
(俺たちの闘いはまだ続いている…)
「一体何が…何故なんだ!」
「こんなことになるなんて…」
「落ち着け二人とも、今は状況把握だ…!」
輝きは絶えず、回転とともに反射し続け影を照らす
既に、そこにはない影を今も照らし続ける
「これ以上、巻き込むわけには…いかねぇな」
「ええ…ここからは私たち二人でやらなくちゃ」
「何処にいるんだ二人とも…!クソっ!」
「‥」
(続いているんだ…!)
「」
「」
簡単に掴み取りくるくると掌、手の甲で遊ばせながら腕で右回りの円を描く
そして、腕を一周させて下ろした時には、それは忽然と姿を消していた
「」
「」
パッパッ、と軽く右手を翻し払うとポッケに手を突っ込む
ふと明後日を向く
フッ、と軽く笑い、わざとらしく大きく振り返って歩き始めた、踏み締める足は一歩ずつ一歩ずつ音を丁寧に音を鳴らし遅過ぎず速過ぎず、無駄に洗練されている
振り返りざま、バサっと白衣を靡かせ大きく揺らす
意味もなく格好つけるだけのそれは、曰く周りから好評らしい
ザンッ
鋭く貫かれたような音が響いた
その音ともに
方や人影、もう方や帯状の影
突然の突入に
「‥もう来たのか、早いな君ら」
その言葉と同時に人影の銃撃が炸裂した
最後まで読んで頂きありがとうございます
※現在修正中