ファントムオールスターズ   作:牙虎

3 / 10
答がある現実より謎が多い架空の方が面白いだろ?
逆の場合もあるけどな

幻闢


第一話 闘いの続き 再始 弐

 幻朧 虚空(げんろう こくう)

 

 幻の空域という異名を持ち、その名の通りの闘い方で相手を葬り去る

 空間に関するもの全般を幻気で操作する事に長けている

 体全体は細長く、どこまであるのか判らない胴体、それに加え、無数にもあり、何処までも伸びる手と翼のようなものを持つ

 それでいて素早く、長期戦が得意である

 

 

 幻朧

「-消えろ、幻闢」

 

 

 その言葉と同時に無数の手と翼のようなものが幻闢を襲う

 しかし、幻闢はその攻撃に対し、またもや突っ込んでいった

 

 

 幻闢

「…ッ!………くッ!………ちッ!……」

 

 

 その攻撃を掠りながら避け、距離を詰めていく

 遠距離にまで攻撃が届く相手には有効な手立てではあるが、それを解らない幻の空域ではない

 

 

 幻朧

「…………フッ………クッ………当たれぇ!………クソッ………」

 

 

 攻撃をしながらも距離をあける幻朧

 攻撃が当たらないのに多少苛立ちを見せるが無闇に打つこと無く冷静に攻撃を幻闢に集中させている

 

 幻朧の腕に直撃するも、しっかりと両腕で防ぎ、幻魂御社の方に飛ばされる幻闢

 幻闢はそのまま階段のところまで飛ぶと、体勢を立て直して階段を蹴り、攻撃の流れを切り返す

 

 だがそこで突然に幻朧と幻闢の距離が縮まり、幻朧の腕が数本、幻闢目掛けて全方向から襲いかかる

 

 

 幻闢

「っ…くぅ、きっつい!」

 

 

 幻闢は迫り来る腕の間に体をねじ込ませる様に体をひねり、避ける

 無理矢理その場から退避する様に避けた為、直撃ではないがあらゆる角度から存在を少しずつ削られた

 

 

 幻朧

「うぐぅ、貴様…」

 

 

 幻朧は攻撃を回避されていた間に腕を何本か幻闢に切り落とされていた

 

 両者共に譲らない、均衡した闘いだったが、そんな中、相手に気付かれないように動きを見せていたのは幻闢だった

 

 何処と無く幻闢は武器を取り出していた

 幻朧はそれに気付き、一気に距離を置いた

 両者の動きは、ぴたりと止まった

 

 

 幻朧

「…天一か、厄介なものを」

 

 

 

 天一

 存在しない者(幻、幻影、幻想等)が使う事が出来る武器 刀であり、意思がある

 刀身はそれほど長くはないが、鉈の様に分厚く、驚く程の幻気の密度があるという

 名前の由来はこの天一を幻闢に手渡したある刀鍛冶の兄弟の名前の頭文字からとったとされているが、これは呼び名である

 刻まれている刀銘は幻斬り

 存在しない者(幻、幻影、幻想等)を斬る為に鍛造されたものである

 

 

 

 幻闢

「…」

(久々だが、頼む)

 

 

 幻闢は天一を横腰に構えると誰もが見て分かる抜刀の体勢になった

 幻闢は今、幻朧の少し上で空中に留まっていた

 本来であるなら、今の状態は幻朧にとって絶好の的である

 だが、それが出来ない原因に、天一という存在は恐れられている

 

 

 フェイントをかけ、間合いを詰めつ、取りつつし合う両名

 攻撃を仕掛けるも、かわすいなすで両方の攻撃は空を切るばかり

 

 それが続く中、幻闢は幻朧に真っ直ぐ急接近した

 幻朧はその動きの裏を取るように回り込む-が、その途中でほんの一瞬目線を切ってしまった

 視界の端には入れていたものの、幻闢の方に視線を向けた瞬間、そこに幻闢の姿はなかった

 幻気は感知出来る、しかし互いが見える範囲である為、近すぎて細かい位置を特定出来ない

 

 幻朧は上に向かい、旋回しながら幻闢を探そうとした

 上を見上げる-その時、上からとてつもない衝撃が走った

 

 

 幻朧

「-ッッッ!?!!!?!!!!??!!!」

 

 

 幻朧は崩れた体勢を身をよじりながら立て直し、幻闢を手で牽制し距離を取っていく

 その様は焦りと混乱が見てわかる

 

 何が起こったのか幻朧は最初、解らなかったが、段々と理解し始めた

 

 

 幻朧

(これは-切られた、と言うよりも抉れている-ここまで手負うとは…これ以上はやっても結果が見えている…仕方ないが、油断してしまったか、幻の空域も堕ちたものだ)

 

 幻朧

「ここは退かせてもらおう」

 

 

 そう言うと幻朧は姿を消した

 

 幻闢は追撃する事なく幻朧が消えたのを確認すると、天一を鞘に納め、何処と無くそれを仕舞った

 

 先程、幻闢は幻朧が自分から眼を離したその一瞬に、空気の壁という存在に触れ、それを瞬時に蹴って幻朧の死角を取って上に回った

 その為、幻朧は一瞬にして幻闢を見失った

 その後、幻朧の頭目掛けて、天一を斬りつけた

 

 この流れ、実は出来そうで出来ない

 存在しない者(幻、幻影、幻想等)にとっての能力を自在に使い、状況に応じて柔軟な発想を用いる事、且つ一瞬の判断で相手の動きを読み、相手より先に裏を取る-高い戦闘的技能(ファインティングレベル)が要求される

 だがそれでも、成せる事ではない。それを補ったのが天一である

 

 

 幻闢

「-っはぁぁあああ!疲れたぁ!」

 

 

 幻朧は分からないが、幻闢にとっては先程の闘いは長らく久しいものであった

 その為、何時も以上に幻闢は疲れを感じたのだ

 実際の事、疲れた、というよりは幻気が減ったという意味を持つ

 

 幻朧との闘いは一旦終わった

 が、闘いはこの先も続く、そして幻闢は次の闘いへ向かう

 

 

 幻闢

「…さて、他の幻は近くに居ないみたいだし、さっさと降りるか」

 

 

 幻闢はそのまま降下する

 降下していく最中に、先程削れていた幻気が体の方に集まり中に入っていく

 あまり自然に起こる現象ではなく、自発的に存在しない者(幻、幻影、幻想等)が行う行為だが、かの闘いを経た者達にとっては生物が呼吸をするようものだった

 

 

 幻闢

「厄介な事がまた起こりそうだな…」

 

 

 -しっかりとした計画も、宛もなく

 

 

 これから起こるであろう面倒事に一応の対策は準備をしようと考える幻闢

 

 

 幻闢

「取り敢えず仲間と合流しようか」

 

 

 -ただただ進む-その先へ

 

 

 

 




天一にはある力があるのですが、その説明はだいぶ先になります
それから、第一話はまだまだ続きます

最後まで読んで頂きありがとうございます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。