真剣で神槍に恋しなさい!   作:むこうぶち

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第十八話:神槍VS雷帝

「・・・・もう一回聞いて良いか?葵」

 

本陣を離れた俺は要所防衛についていた忠勝、翔一、岳人のところを順番に回り、最後に詳細な戦況を尋ねるために参謀部隊を訪れていたのだが・・・・

 

「えぇ、ですから直江君は単身戦場へと向かいました」

 

イケメン四天王(エレガンテ・クワットロ)』と呼ばれるだけはある、ハーフ系イケメンの葵はにっこりと、ただちょっと寒気を、具体的には妙に俺の尻とかに視線を注がせながら微笑んでそう答えた。まぁこの際、そこには眼を瞑ろう。

 

「ったくあのバカ野郎・・・・」

 

回避能力こそ高いがそれ以外は素人もいいところな大和が、戦場に単身突っ込んで無事なワケねぇ。一般兵程度なら何とでも出来るだろうが残る十勇士と遭遇しようものなら勝目なんざ皆無に等しい。

 

「指揮系統に異常は無ぇか?無ぇんならこのまま頼むわ」

「えぇ、お任せ下さい。貴方はどうするのですか?」

「頭脳労働担当のクセに敵陣突入したバカ野郎を連れ戻しに行く」

 

ったく、普段は結構正確な読みを持ってるクセに感情が昂ぶったり焦りが出てくると途端に読みの精度を落としやがる。それさえなけりゃ呉用よりも軍師としての技能が上回るってのによ。

 

「分かりました、それと情報ですが敵方の西方十勇士の内、貴方が倒した鉢屋、不死川さんが倒した宇喜多、マルギッテさんが倒した大友、椎名さんが倒した毛利、準が倒した尼子、ユキが倒した長宗我部、仔細不明ですが龍造寺も倒し、大村も倒れた・・・・と伝令が入りました。残るは総大将の石田、副将の島の二名、それに加えて相手側の軍師」

 

そう、かなり投げやりな作戦を立てた軍師だ。古来から敗走するフリをして敵を釣る、と言う戦術は存在するが将八人の欠落はやりすぎだ。

 

「油断せず間断なく攻め立てろ、終始気を抜かせないようにな」

「ええ、そこは抜かりなく」

 

 

―――――――――

 

「どういう状況だコレはよォ」

「りっ、リン!!ナイスタイミング!!!」

 

大和の気を辿り、途中で一子と合流しつつ来てみれば。大和と対峙していたのはスーパーサ○ヤ人と明らかに同年代には見えない男。多分、コイツらが総大将の石田と副将の島か。

 

「まぁこれに懲りたら無茶なマネはしねーこった、で・・・・選手交代だ西の総大将さんよ」

 

見たところ、全体的な能力値を底上げするタイプの技と見た。しかも電撃属性のオマケ付き、こりゃあ壁を越える事ができたなら百代にとって『良いクスリ』になるんだがな。

 

「川神学園の将が一人結城竜胆、お相手仕ろうか」

「フハハハハハハッ!!!貴様はバカか!?なぜ俺が貴様との一騎打ちを受けねばならん!!」

「受けざるを得ない理由を付け加えてやろうか?俺は川神学園の二年じゃ一番強い、そして時間切れを狙うアンタらにとっちゃ最も邪魔だし最も討つべき存在だと思うぜ?」

「・・・・ふむ、続けてみろ」

「最高戦力である俺を討ち、それを喧伝すれば残るこっち側の戦力は当然萎縮する。辛うじて攻めを敢行したとしても俺を倒した相手、と言う先入観が邪魔をして思うがままに動く事は出来ない。もし活路があるとすればそこだと思うんだが・・・・どうだ?」

 

少考し、石田がゆっくりと刀の切先をこちらへと向けた。

 

「敵ながら理に適った物言いだ、例えそれが俺を一騎打ちへと引きずり込むための詭弁だとしてもそうせざるを得ないと思うに十分だ・・・・何より」

 

石田の身を包む雷光がさらに輝きを増してやがる。気分が反映されるってか?しくじったかな。

 

「確かに貴様は強い!大将としての努めを果たそうとする理性よりも一人の武人として貴様と刃を交えたいと願う本能が俺の中で勝っているのだ!!」

「良いツラ構えじゃねぇか・・・・一子ォ!そっちの副将は頼む、お前よりちょっと格上だぞ?」

 

俺の言葉を聞いた一子が、いつものように笑顔を浮かべて薙刀を握り締める。

 

「大丈夫よ!そう言う相手と戦って、それで倒してこそ強くなれる!お兄ちゃんそう言ってたじゃない」

「だな。んじゃあ気張ってけ!勝ったら大和が焼肉奢ってくれるぞ!!」

「俄然やる気が出てきたわ!!」

 

大和の「え!?ちょっ・・・・!!」とかいう声が聞こえてくるが気にしない気にしない。

 

「『煉獄武侠』」

「何っ!?俺の『光龍覚醒』と同じ技だと!」

「ちょっと違うな、まぁ源流が同じの可能性は大だと思うが・・・・」

 

正式名称は『川神流・生命入魂』。細かい理屈は忘れたが、まぁ生物を模した気を全身に纏い、その特徴と最大の武器を得る、って感じだったと思う。俺が着目していたのは全身に気を纏う、と言う点。この技をヒントに、偶然か必然か対を成すように俺が編み出した焔の気を全身に纏う『煉獄武侠』と石田の雷の気を纏う『光龍覚醒』。

 

「どんな偶然かは知らんが・・・・良い、実に良いぞ!同系統の技を使っての戦いならば地力の差がハッキリと出ると言うものだ!!」

 

そう言いながら、達人の使う『縮地』にも近しい速度で接近してきた石田の上段からの振り下ろしを槍で受け止める。

 

「あぁ、そうだなっ!!」

 

鍔迫り合いになる前にと槍を払えば、石田は直ぐに距離を取る。

 

「・・・・久しいな、俺より格上と戦うと言うのは。同年代では松永ぐらいのものだったか・・・・」

「へぇ・・・・分かってて応じたのか?」

「言っただろう?大将としての『理性』より武人としての『本能』が勝ったのだと」

 

あー、あるある。立場とか、状況とか、力量差とか、そんな面倒なモノを全部かなぐり捨ててでもコイツと戦いたい、コイツに勝ちたい、って強すぎるぐらいの思い。願望って言っても良いかも知れない。それが石田にとって俺だった、ってワケだ。

 

「イイぜ、来いよォ!今この一時だけは!!何もかも忘れようぜ!!」

 

 

 

side 明石夕凪

 

この東西交流戦と言う催し物にボクは乗り気じゃ無かった。作戦なんか立てたって、ハッキリ従うのは尼子と鉢屋ぐらい。毛利と大友、島が申し訳程度に従い、残りはまずこちらの思い通りになんて動いてくれない。だからぶっちゃけ適当にやり過ごすつもりだった。ボクを信頼して動いてくれる尼子と鉢屋には申し訳ないんだけどね。

 

「鉢屋さんの奇襲失敗!敵方の被害は無し!!」

 

ボクはそんな報告を疑った。被害無し?鉢屋は忍として非常に優秀な部類に入る。仕事として引き受ければ仲間相手とて容赦せず、依頼は必ず果たす。ボクはそんな鉢屋をプロフェッショナルとして信頼していた、だがその鉢屋が奇襲を失敗、その上手も足も出ずに一方的に打ち負かされたのだという。直ぐに、ボクはその相手の情報を集めさせた。

 

結城竜胆

 

報告でその名が上がってきた。作戦会議をした時に館長が要注意人物として推していたヤツだ。興味が沸いてきた。次々と十勇士敗走の報告が入ってくる、正直ここから反撃しきれる策は無い。せめて十勇士がもうちょっとこっちの言うことを聞いてくれればどうとでもできたんだろうけどね。

 

「どうしましょう!?」

 

と、ボクの護衛って名目でいる同級生に聞かれる。期待を込めた五対の視線が向けられたんだけど、どうしましょうも何も戦力が削られすぎてどうしようも無いもんねぇ。

 

「適当に逃げときなよ、いくらなんでもここから挽回出来るような策をボクは持ってないからさ」

「明石さんはどうするつもりで?」

「ちょっとね、大一番を見に・・・・かな」

 

そう言ってボクが移動し始めれば、他の五人も追従してくる。まぁそれが無難だよねぇ。

 

「ねぇねぇ、アレなんだと思う?」

「・・・・電撃、は御大将でしょうが」

「それと拮抗、いや圧している炎は一体・・・・」

 

移動し始めて間もなく見えてきたのは迸る電撃と、それを飲み込むように渦巻く白い炎。

 

「アレは・・・・件の特記戦力じゃないかな?でなければいっしーを相手に優位に戦えるヤツなんてそうそういないだろうしねぇ」

 

性格はアレだし、直ぐに慢心するが『いっしー』こと『石田三郎』は紛れもない実力者だ。表に出たがらない『アイツ』を除けば間違いなく十勇士最強、壁越えまで間もなくといったところだ。気を雷に変換する力とその力を使っての剣術はぶっちゃけてバカに出来ない。

 

だが、そのいっしーの電撃を飲み込むように暴れるあの白い炎はシャレにならない。まるで天を駆ける龍のように踊り狂う白炎、触れた鉄管や貯水タンクが中身の水や液体ごと溶かされ、蒸発し、気でガードしてるいっしーも徐々に火傷が増えつつある。

 

当然、それだけでは無く白炎を操る結城竜胆自身の能力も『壁越え』確定なのだろう。というか、いっしーの電撃を真っ向から食らってもスーパーアーマー状態で踏み込んで突きを繰り出してる。秀美ちゃんの自称スーパーアーマーと違ってあれはホンモノだろう。

 

本来なら、天神館の勝利を考えるならここで仕掛けるべきなんだろうけど・・・・

 

「もっと、もっと見せてよ・・・・」

 

今はこの二人の戦いから、目が離せないんだよ・・・・




第十八話でした。

後の『神槍』結城竜胆と『雷帝』石田三郎の初対面&初対決の回でした。戦闘描写に不安アリアリでもう・・・・((;゚Д゚)ガクガクブルブル

そして新キャラ『明石夕凪』。改訂前の『甲斐宗延』ポジションのキャラになります。性別女だけどヒロイン候補には入ってません。

さて、次回は東西交流戦決着。そして・・・・

次回!『なんでそーうなるのっ!?』をお楽しみに。
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