ガタン……ゴトン……。
身体が一定間隔で上下に揺さぶられている。
周りから話し声が聞こえる。
ここは何処だろう……。
俺は少し前まで部屋でゲームをやっていて………変な夢を見て―――――――――
――――――意識が覚醒する。
目を開けるとそこには見知った自室の風景は無く――――高級そうな列車の座席が見えた。
(ッ!? どこだ……此処……。)
―――誘拐
脳裏にその言葉が浮かぶ。 だが即座に否定する。ありえない。
俺という一般人を攫ったとしても相手にはまったくもって利益はないはずである。
周囲を見回そうとして、自分の身体が動かせないことに気づく。
縛られたかのように身動きできず、動かせるのは目だけのようだ。
かろうじて動かせる目であたりの様子を少しだけ見ることが出来た。
そこには緑色が主体の制服を着た高校生ぐらいの人々がいた。
しかし、表情はとても誘拐されてきたようには見えない。
そして、拘束されている感じはなかった。
ではなぜ、自分だけ動けない?
(というか、これは動かないというより、俺以外の意識があって、そのせいで動かせないのか?)
と、俺が考えたとき
――――――よく気づいたのぅ。
声が響く。
その声には思わず平伏したくなるような不思議なオーラを纏っている。
(俺を動かせなくした犯人か?)
――――――いや違う。お主にちゃんとした説明をしていなかったからな。
説明?何のことだ?
――――――今お主の意識をこちらに引き寄せるからな。
その言葉の瞬間俺の意識はブラックアウトした。
目の前にどこかの魔法学校の校長のような髭の老人が座っている。そして妙に神々しい
。老人は俺が老人を認識するとおもむろにしゃべり始めた。
―――――さて、勝手に儂らの都合でお主の意思も関係なくそちらに送って悪かった。
深々と老人が頭を下げる。
―――ここは何処なんでしょうか?そしてあなたは?
―――此処は天界。本来ならば寿命を全うした魂や不慮の事故で命を落としてしまった人々が来るべき場所。儂はイザナギ。お主も日本人ならば聞いたことがあると思うが?
―――本当に神様何ですか?俺は何故此処に?俺は死んでいないはずだが……。
―――ああ。本当に済まない。 私の部下である神が死んでいないはずのお主を間違えて
呼び出してしまったようなのじゃ。
そして、あまつさえ『神の信託』でさえ課してしまうとは……。
―――その、『神の信託』とは? 俺は元の世界に帰してもらえるんでしょうか?
―――普通ならば間違えて呼び出してしまったとしても記憶を少し消して元の世界に帰せばいいのだが……。
―――『神の信託』が邪魔をしていると……?
―――ああ。『神の信託』とは神々の願いじゃ。 これを課されると課された人間はその願いを叶えるまで天界に戻って来られないんじゃよ…。
―――あなたでは解くことはできないんですか?
―――同じ系列の神々でも『神の信託』には強力なプロテクトが掛かって居ってな。
たとえ日本神話の上位の神である儂でもそのプロテクトを外すことは出来ないんじゃ………。
―――その、俺に課された『神の信託』とはどういったものなんでしょうか?
―――クロウ・アームブラストの救済じゃ。
―――………………え? クロウ・アームブラストは創作物の人物ですよね?
そうだ。閃の軌跡に出てくる人物クロウ・アームブラストはゲームの中の人物であり
其の最期は自分の人生がすべて鉄血宰相の手のひらの上で踊っていただけ
というものだった。
―――そう、それが問題なんじゃ。普通ならば、物語の世界に跳ぶのは無理なんじゃ。しかし、お主を送った儂の部下は物語と得て非なる世界を作り出してそこに送り込んだんじゃ。
もちろん、矛盾がでないようにお主をそこの世界に元々存在する人物としてな。
こんなことをしてしまった者の上司として済まないが、どうかこの『神の信託』を成就させてくれないか?
成功させるためならば、どんな特典でもお主に授けよう。
―――俺が元の世界に戻るには『神の信託』を成就しないといけないんですよね?
―――心苦しいが…そうじゃ。
―――わかりました。では受けさせていただきます。
ここから俺の新たなる生活が始まる――――と思っていたんだがなぁ。