お待ちいただいた方々、申し訳ございません。
「海猫も 波間にたゆたう 瑞雲日和」
謎の瑞雲祭りの最中、湾に浮かべておいた1/1瑞雲の周りに遊ぶ海猫を眺めながら、日向師匠が謎の句を詠んだ。
「ウミネコって、季語になるのかなあ?」
「提督、何を言っている? 季語は瑞雲だぞ」
「瑞雲って、春の季語だったの?」
尋ねる提督に、瑞雲法被を羽織った日向師匠がヤレヤレと肩をすくめる。
「瑞雲に季節などという縛りはない。一年中使える」
師匠が何を言っているのかはちょっと分からないが、それでも楽しい春の瑞雲祭りが続いていた。
(鎮守府の五周年祝いも同時並行なのだが、何となく瑞雲にもっていかれた感がある)
さて、そんな瑞雲祭りのために……じゃなかった、鎮守府五周年記念の任務のために、鎮守府近海対潜哨戒(1-5)に出かけた佐渡と対馬が大破し、泣いて戻ってきた。
鎮守府開設から、もう五年。
艦娘が大破しても落ち着いて対処できるようになった提督だが、さすがに幼い海防艦娘が泣き顔で帰ってきたら慌ててしまう。
「大変だ、すぐにお風呂に行って寝んねしよう」
佐渡と対馬を両脇に抱え上げ、入渠用のお風呂場に連れて行こうとする提督の腕を、引率していた龍田がハッシと抑える。
「提督、この腕が肩からバッサリ落ちても知らないわよ~?」
「動くなロリコン」
「提督の落ち度について何か弁明は?」
「誰のせいで大破したと思ってんのよ、このクズ!」
背後では、陽炎と不知火、霞も、10cm高角砲や12.7cm連装砲D型を構えて提督に狙いをつけている。
龍田、陽炎、不知火、霞、佐渡、対馬……。
あれ、鎮守府近海対潜哨戒って軽空母等が含まれてなかったり4人をオーバーしてたりすると……。
ご安心ください。
鎮守府近海航路の輸送船団護衛(1-6)編成と間違えて出撃させた無能なロリコン提督は追い払われ、佐渡と対馬は龍田がお風呂に入れました。
そんなわけで、提督は土下座謝罪の後、お詫びの昼食作り。
アサリを塩抜きしながら、大根、人参、ネギ、ニラ、椎茸を切ったり刻んだり。
もやしも洗って、ワカメも水で戻す。
そして、メインの具材であるトゲクリガニを塩茹でにする。
この季節、青森などで愛好される、磯の風味と甘い繊細な身の蟹だ。
そして濃厚な味わいの蟹味噌やメスのもつ内子がたまらない。
ホタテの干し貝柱でダシをひき、日本酒と塩、こしょう、みりんで味を調えてスープを作り、アサリと野菜類を煮込んで蟹を加え、溶き卵を混ぜ入れて、白ゴマをパラパラとふれば……。
絶品海鮮クッパの出来上がり。
お風呂から上がってきた皆を台所の席につかせ、熱々のクッパを次々と配膳し、ご飯とキムチを添える。
まずはスープを味わい、お好みでご飯とキムチを投入して食べるのが流儀だ。
ほうれん草ともやし、ぜんまい、大根、人参の五色のナムルと、クレソンをゴマ油と塩で揉んだサラダも付け合せに。
「ったく、こういうことだけは手際が良いんだから……まぁ、美味しそうだけど……」
悪態をつきながらも、クッパの湯気から漂う良い匂いに抗えず、真っ先にスプーンをとる霞。
提督がニヤリとしたら、足を蹴られた。
この具だくさんの海鮮クッパ、海の幸と山の幸の旨味が溶けあい、深い味わいがある。
しばらく、無言でスープを飲む音だけが台所に響く。
「うん、やっぱり美味しい!」
やがて、栗の甘さからその名がついたという説もある、トゲクリガニの身を食べた陽炎が歓声を上げる。
みんなも口々に美味しいを連呼するが……。
「んっ……う」
濃厚なメスの内子を深い味わいのスープとともに口に運ぶと、しばし声が出なくなる。
そして、後はもう笑うしかなく、ご飯を投入してただただ貪り食べるだけ。
提督の編成ミスも、どうやら許してもらえそうだ。
「いひっ、ごっちそ~さまっ!」
この後、佐渡と対馬は寝んねさせて、龍田と
適編成で羅針盤さえ固定すれば、1-5なんて楽勝ですよ。
「軽巡クラスを旗艦に配備、駆逐艦か海防艦
大淀の冷たい声。
龍田に薙刀でツンツンされながら、さて今度はお詫びに何を作ろうかと提督は考えるのだった。
本編のミスは実際に両方やりました。
忙しい時、慌てながら艦これ(特に出撃を)やるのはダメですね。