ある鎮守府のエンゲル係数   作:ねこまんま提督

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現在(2018.12)進行中のイベントのE-1と新艦娘のお話です。
ネタバレや攻略法を見たくない方は回避して下さい。

※また、E-3で特効のある艦娘をE-1で使用してしまっています


新人歓迎と四水戦の釣りもの料理

大本営の不測のトラブルにより、深夜まで発動が遅れた冬季作戦。

酒盛りしながら待っていたような、不謹慎なこの辺境鎮守府での開始はさらに遅れて、翌朝になっていた。

 

「提督、ブイン防衛作戦が発動されました! 深海棲艦各艦隊の活動が中部ソロモン海域において、活発化している模様です」

 

執務室で大淀が作戦説明を始め、香取が机の上に地図広げる。

が、長門にムリヤリ起こされて連れてこられたばかりの、飲み過ぎで頭の重い提督。

 

「我が最前線基地であるブイン基地及びその周辺エリアの防衛体制を強化する必要があります。軍令部より、軽快な駆逐艦などの小艦艇を主力とした強行輸送部隊を編成、中部ソロモン海域への鼠輸送作戦を実施せよ!と……」

「輸送ルートは、このブラケット水道になります。戦史では1943年3月にビラ・スタンモーア夜戦が発生した海域で、米軍の夜間レーダー射撃により、村雨と峯雲を喪失した……」

 

説明がまったく頭に入ってこない。

 

「うん……しばらく様子見て、週末にで……うぐっ!」

 

作戦を棚上げしようとした提督の首に、長門が斜め45度から鋭くチョップ。

眼鏡を拭きながら、何も見ていなかったふりの大淀と香取。

 

そのまま、悶絶する提督の口元に耳を寄せた長門はしらじらしく……。

 

「どうした提督、何? 耳を貸せ? うん……フムフム……なるほど。提督は、こうおっしゃっている! 村雨と夕立を護衛とし、大発動艇を満載した江風と皐月に鼠輸送を実施させる。道中は警戒陣を使用して敵の攻撃をやり過ごせ! さらに我が輸送部隊を包囲殲滅せんと敵水上艦隊が接近した場合には、電探装備の川内と天霧が合流し、夜戦により逆にこれを撃滅する!」

 

"提督の命令を精密"に伝達してくれる、頼もしい総旗艦の長門。

 

「さすがは提督、見事な采配ですね」

「すぐに村雨ちゃんたちに伝えます」

 

「提督、顔色が悪いぞ? 羅針盤を回す時まで、少し休んでいたらどうだ?」

 

ここの提督の指揮権はいともたやすく奪われる……。

見事な平常運転だった。

 

 

「村雨の、ちょっといいとこ見てくれた?」

「夕立もお手伝いしたっぽい!」

 

新しい敵、深海雨雲姫を夕立の協力を得て見事に打ち破った村雨(メタな話、壊状態になった雨雲姫はHPが高いので、夜戦連撃が強力な夕立と、特効がつく村雨は5~6番艦に置いてトドメ役にした方がいい)。

 

「二人とも、よくやってくれたね。江風と天霧も存分に暴れて随伴艦を撃ち減らしてくれたし、皐月も道中の対潜で頑張ってくれた。それに川内、みんなを守ってくれてありがとう」

 

そして、深海雨雲姫を倒したことで、この海域に囚われていた魂が解放され……。

 

「朝潮型駆逐艦、その八番艦の峯雲(みねぐも)です」

 

ふんわりした髪を三つ編みにした、可愛らしい子だ。

何はともあれ、まずは歓迎会をしなければ。

 

 

「峯雲ちゃん、あの時はありがとうねっ!」

 

歓迎会の料理の食材のほとんどは、那珂ちゃんと第四水雷戦隊が釣りで調達した。

実艦の峯雲は那珂が率いる第四水雷戦隊に所属し、那珂がクリスマス島攻略作戦で被弾した際には、名取に曳航される那珂を峯雲が護衛したのだ。

 

マイワシは刺身につみれ汁、カワハギは煮付け、クロソイは唐揚げ、ヤリイカは大根とともに煮物に。

地元の海の冬の恵みが、贅沢に並んでいる。

 

やわらかく、甘い脂がたっぷりのマイワシ。

だが、小骨も多い魚なので、これだけの量を刺身用に捌くのは大変だったろう。

つみれ汁も味が濃厚で美味い。

 

カワハギの煮付けは身がふっくら。

冬の肝が肥えたカワハギは絶品だ。

 

クロソイの唐揚げは、揚げ方で味が決まる。

160℃の低温でじっくりと、手間を惜しまずに頭や骨はさらに二度揚げするのがコツ。

高温で一気に揚げてしまっては、骨までホクホクのこの食感は出せない。

 

そして、ヤリイカのやわらかい歯応えと、優しい甘さ。

味の染み込んだ大根も、イカの旨味をたっぷりと吸っている。

 

「はぁ~、美味しい。峯雲、感激です」

「峯雲もみんなと釣りに行けるように、これをあげるよ」

 

新人への定番の贈り物、シマノのコンパクト竿「ホリデーパック」を渡す。

 

「釣り方が分からなければ、僕の部屋に入門書が……」

「峯雲、酔った提督とは絶対に二人きりになっちゃダメだからね」

「三秒で煎餅布団に引きずり込まれちゃうわよ~」

 

姉の朝雲と山雲が、慌てて峯雲を提督から引き離す。

 

 

そして、峯雲の歓迎会が終わった途端……。

 

「あっれぇー!? サークルチケットと夜行バスの乗車券どこ!?」

「秋雲のバカ、それは私が持ってるから! 司令官様、夕雲姉さん、行ってきますー!」

「提督、それじゃ行ってきます!」

「うわー、待って待って! 行ってきまーすっ!」

 

あわただしく、秋雲先生と巻雲、風雲、夕張が『有明の祭り』に参加するため飛び出していく。

 

今年もあとわずか、無理せず頑張っていきましょう。




※川内、江風、夕立はE-3で特効があるようなので、温存が吉かもしれません

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