ネタバレや攻略法を見たくない方は回避して下さい。
※以降にも使い場所のある艦娘の名前は【 】で囲んでいます
空は鉛色に重く、大粒の雨が叩きつけるように降っている。
しかし、鎮守府の空気は明るい。
海防艦たちが傘や紫陽花を描いてくれた明るい壁紙に、特製の梅雨飾り。
高品質の畳の上に、職人が腕によりをかけて作り上げた梅柄のカーペット。
筏のミニチュアと、ある伊号潜水艦のぬいぐるみが置かれた新作窓。
気合い、入れて、観葉植物を育てているある高速戦艦が愛用している雑貨棚。
そんなオシャレ空間にも意外と馴染む、昭和の香りがするちゃぶ台と、民宿風の安っぽい座布団。
座布団の上に狸の置物のようにボケーッと座っているのが、この北の辺境鎮守府を率いる提督である。
大本営の地下に某特務機関のような指揮所を設け、最先端の戦術モニターに映し出される刻一刻と変わる戦況を、微動だにせず注視し続ける横須賀提督。
海自の護衛艦を借りて自ら戦闘海域の近くまで出向く、熱血野郎な呉提督。
冬季であろうと、修行僧のように滝に打たれながら艦娘に念を送り続ける、どことなく世紀末覇者にも似た風格の佐世保提督。
色んな艦隊指揮のスタイルがあるが、ここの提督は日露戦争の大山巌を真似て「海の上のことは全て艦隊旗艦と大淀さぁにお任せもす」と、隣の通信室にいる大淀に丸投げして(ツーラーじゃないよ!)、執務室では艦娘とスキンシップをとることのみに全力を注いでいる。
そんな提督だから、この梅雨の大規模作戦はしばらく様子見し、情報が出そろってから出撃しようかと考えていたのだが……。
「はい、ご飯は大盛りにしといたから。秋になったら、
錨のマークが描かれた有田焼風の飯茶碗に、木のおひつからいそいそとご飯をよそうのは、駆逐艦娘の叢雲。
叢雲は五番目にこの鎮守府に着任した艦娘だ。
吹雪たちの留守を守り、秘書艦として提督を叱咤し、お尻を叩いて提督業務をこなさせてきた。
初期艦でこそないが、ある意味では提督と最も長い時間を過ごしてきた艦娘であり、その功績から「永世秘書艦」や「栄光の五番」などと呼ばれることもある。
「これはね、
叢雲が嬉しそうにちゃぶ台に載せるのは、長角皿からはみ出すような見事な極厚のホッケの開き。
新鮮なホッケを丁寧に下処理してから急速冷凍し、手間はかかっても一枚ずつしっかり吊るし干しで干物にすると、まさにご馳走と呼べるような味になる。
特に北海道近海の
ホロホロとした独特の食感に深い味わいは、ご飯にもお酒にもピッタリ。
「あっ、そのお茶碗もお皿も、
だが、提督の向かいに座る艦娘は、ホッケの美味しさに驚くより先に、叢雲の言葉に「?」といった表情を浮かべている。
そりゃそうだろう。
ただでさえ艦娘として転生したばかりで混乱しているのに、田んぼだの釣りだの窯だの言われても。
「うちの鎮守府は、農林水産や工芸が盛んなのが自慢でね」
提督の説明が、余計に新入り艦娘の顔に「?」を増やす。
特型駆逐艦七番艦の薄雲。
同じく五番艦の叢雲の妹であり、長らく叢雲ただ一人だった第12駆逐隊を構成する『雲級』の艦娘だ。
もうね、第一海域のボス・深海千島棲姫がその薄雲の魂を持つ深海棲艦だと聞いて、提督、叢雲のために即座に出撃を決意しました。
戦力も出し惜しみせず、ケッコン艦である叢雲の他に、薄雲沈没時の「キ504船団」の僚艦だった曙と潮、先制雷撃で敵を蹴散らせる水上機母艦・千歳と阿武隈(ただし艤装は予備のもの)の大盤振る舞い。
輸送作戦の終了後は、千歳を【那智】に交代させ、【ヴェールヌイ】を加えて、怒涛の連続出撃で深海千島棲姫を撃沈除霊した。
「このお味噌汁のじゃがいもと、漬け物のキュウリは吹雪たちと育てて……あっ、後で畑見に行く? それとホタテの養殖場もっ!」
「叢雲、落ち着きなさい」
妹との再会がよほど嬉しいのか、叢雲はずっとこのハイテンションである。
「薄雲っ、カボチャの素揚げを持って来たわっ! 今ね、カボチャがすっごい豊作なの!」
「あのあの、去年漬けた梅干しです。今年の分はもう漬けちゃったけど、来年は一緒に出来るといいなっ……て思います」
「曙と潮も落ち着きなさい」
助けられなかった僚艦との再会がよほど嬉しいのか、ぼのたんと潮もこの通り。
「薄雲ちゃん、間宮さんにイチゴ大福を作ってもらったから食べて!」
「そのイチゴは、電と一緒に摘んできたんだ。神鷹は出撃中だけど、もうすぐ果樹園でサクランボが摘めるようになるから、みんなで行こう」
キスカの奇跡の仲間との再会がよほど嬉しいのか、阿武隈と
ヴェールヌイは、深海千島棲姫を護っていた(取り憑いていたとも言える)潜水ヨ級を沈めるのに活躍してくれたが……。
後の海域での出番のことを考えると、同じキスカ組から初春を出した方が良かったかもしれない。
ちなみに薄雲は1944年の1月には、響、電とともに神鷹らを護衛してシンガポールに向かう予定だったが、機関故障した神鷹に付き添って日本に留まり、その結果として第五艦隊に組み込まれることになり、「キ504船団」の編成へとつながっていった過去がある。
「提督、大宴会場の準備は着々と進んでいるぞっ! 今夜ばかりは飲ませてもらおう!」
「梅雨……晴れの日は少ないですが、こんな日はお部屋で"軽く"飲むのもいいですね。うふ♪」
「はい~、お酒いっぱいいっぱい注文しちゃいました~」
その第五艦隊を率いていたのが重巡洋艦娘の那智であるが、千歳や後ろのアル重は特に薄雲と縁はない。
縁はあっても無くっても。
今日は嬉しい新人歓迎会です。
その頃、ひと足早く梅雨明けした沖縄では、集積地棲姫が燃やされ続けていた……。
〔E-2乙 1ゲージ目攻略&迅鯨掘り編成〕
神鷹、朝霜、涼月(対空CI)、霰(あられ)、如月、コマンダン・テスト(制空&接触補助)
夕張(先制雷撃&対潜)、三隈(三式弾)、朝潮(先制対潜)、大潮、満潮、荒潮
〔E-2乙 2ゲージ目攻略・水上打撃部隊編成〕
イタリア、最上、加古、矢矧(特効)、コマンダン・テスト、千代田(航二で射程長に調整)
夕張、涼月(特効)、朝潮、大潮、朝霜(特効)、北上(予備)
※ヴェールヌイはE-2に特効ありなので、甲を狙うならここに出すべき
※夕張は後段まで残したかったけれど、掘り効率優先で採用
※霰と間違えて霞ママを使っちゃダメ絶対