ある鎮守府のエンゲル係数   作:ねこまんま提督

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現在(2023.03)進行中のイベントの話です。
編成等のネタバレを見たくない方は回避して下さい。


那珂ちゃんのマグロ五色丼

 楽しい時間というのは本当に早く過ぎていく。

 

 クリスマスの大騒ぎ、大掃除に年賀状書き、年末の餅つき、年越しの大宴会に初詣、凧揚げに羽根つき大会、1月7日の七草がゆに11日の鏡開き……。

 

 そして毎年恒例の季節のマイルストーンたるセッツブーンで盛り上がったと思えば、いつの間にかバレンタインも過ぎ去った。

 

 執務室にレンジャーが持ち込んだ、人間をダメにするもちもちクッションに身をうずめながら、提督は雛飾りの片付けをする艦娘たちをボーッと眺めていた。

 

 長波と高波のお内裏様に、巻雲、夕雲、風雲の三人官女。

 そんな夕雲型雛人形二段飾りのあとに置かれたのは、修羅場のお供、風雲の原稿支援物資庫。

 可愛らしい択捉型桃の節句壁飾り棚の代わりに、物々しい二水戦の小物壁棚。

 

「提督、編成を真剣に考えてくださいね」

「う……ん」

 

 分厚い作戦計画書を抱えた大淀の声に、あいまいにうなずく。

 

 2月28日の深夜というか、3月1日の早朝から久しぶりの特別作戦「小笠原兵団救援」が始まっている。

 

 だが、大本営からの事前情報がほとんどなかった今回の作戦。

 全体の規模が不明だったり、前段最終海域の開放は週末まで保留だったり、後段作戦の実施時期が明かされていなかったり(これはいつもの事か……)、全体像が謎過ぎていまいち動きづらい。

 

 さらに、先行勢の有力提督たちが、いきなり第二水雷戦隊と大和・武蔵を第二海域に投入した上、それでもなお大苦戦したとあっては……。

 

「雛祭り優先」という言い訳で出撃拒否していたここの提督だが、そろそろ大淀からの視線が痛い。

 

 レンジャークッションも片付けられてしまったが、場所をとっていた雛人形豪華四段飾りが撤去され、いつもの家具も戻ってきた。

 鎮守府に集うものにとって大事な家具、それが鎮守府ちゃぶ台。

 

 ちゃぶ台脇の座布団に座り直すと、すぐに対面に座った大和がお茶を淹れてくれた。

 ここ数日、散歩が待ちきれない犬のように、そわそわと提督についてまわっているのだ。

 

「まあ……お昼を食べたら、特別海域に出撃してみようか」

 

 提督もいよいよ観念し、重い腰を上げるのだった。

 

 

 今日のお昼の食堂はにぎやかに盛り上がっていた。

 那珂ちゃんがマグロの解体ショーをやっているのだ。

 

「はーい、立派なカマがとれたよー♪ 誰か、カマ焼き定食を頼む人いる?」

「よし、この長門が注文しよう!」

「長門さんからカマ焼き定食入りましたー!」

「はいよっ、カマ焼き定一丁!」

 

 全国有数の天然マグロの水揚げ基地として知られる塩釜魚港で、仲買人からも「那珂ちゃんさん」と一目置かれる、目利きのアイドルが選んできたメバチマグロ6本。

 

「ほらっ、ここが赤身、ここが中トロ、そしてここが大トロだよ~♪ 中落ちとネギトロもオマケした五色丼で、それぞれの味を食べ比べてみてね!」

「こっちの心臓(ホシ)は、尾の身と一緒にバター焼きになるっぽい?」

 

 トークを交えつつ、流れるようにマグロをバラバラにしていく那珂ちゃんと、それを補助しつつ次々と切り分けられた食材を厨房へと運んでいく四水戦の駆逐艦娘たち。

 

 提督も那珂ちゃんおすすめの五色丼を注文した。

 

「提督、できましたよ~」

 

 間もなく五月雨によって運ばれてきた五色丼は、(ここの鎮守府ではいつものことだが)無料の食堂で出すには原価が心配になる豪華なものだった。

 

 でかい丼のご飯の上には、厚めに切りとった赤身が4枚、中トロ3枚、大トロ3枚、イカ刺、ホタテ刺、甘エビが放射状に並び、中央には贅沢に中落ちとネギトロが盛ってある。

 

 小松菜のお浸しの小鉢。

 桜大根漬け、貝ひもの佃煮、玉子焼きというカラフルな小皿。

 豆腐と海苔の味噌汁がついている。

 

「これ、お店で食べたら3000円はいくよなぁ……」

 

 とはいえ、四水戦は干しナマコやフカヒレ作りの内職(?)で色々と稼いでいるらしいので、ここは素直に那珂ちゃんさんにご馳走になろう。

 

 まずは美しい宝石のように輝く赤身から。

 鉄分の混じったマグロらしい風味に、ねっとり濃厚に広がる旨味。

 少しだけ酢で味付けされたご飯がすすむ。

 

 これは良いマグロだ。

 

 その確信に、さらなる期待を抱いて次は白い脂が多く混じった中トロ。

 先ほどの魚らしい濃厚な旨味は減った分、良質な脂が舌の上へと広がっていき、これまたご飯とよく合う。

 

 そして霜降りのような大トロ。

 箸で千切れそうなやわらかいそれを口に入れると、その瞬間から脂がトロトロと溶けだして、口の中が幸福になる。

 もちろん、ご飯に合わないわけがない。

 

 中落ちは三枚におろした際、中骨に残った身肉をかき出したもの。

 綺麗に柵で切り出した赤身には見栄えで劣るが、その味わいはより濃厚に凝縮されていて、マグロの旨さの本質が詰まっている。

 これもご飯に(以下略)。

 

 そしてネギトロ。

 皮に残ったトロ身をかき落としたもので、その脂の美味さは大トロに負けずとも劣らない。

 ご飯に混ぜ混ぜして醤油をちょいと垂らし、一気にかっ込むともう絶品だ。

 

 小鉢や小皿、味噌汁もローテーションに加えつつ、あとはもう黙々と丼を食べすすめる提督だった。

 

 

「旗艦は那珂ちゃん。駆逐艦は五月雨、初月、桃、レーベ、シロッコ。途中で重巡と軽空母が必要になるらしいから、愛宕と千代田はスタンバイをお願い」

 

 マグロの五色丼で鋭気を養った提督。

 頼もしい那珂ちゃんを先頭に、いよいよイベント海域に足を踏み出します。




○3/5現在のイベントの進捗ご報告

話の中の編成でE-1【甲】クリア

E-2【乙】1ゲージ目は下記編成でストレートクリアしました
ラスダンだけ道中支援と決戦支援、霞も退避してましたが朝霜カットインで終了

矢矧(遊撃司令部)、伊13(高速化)、冬月、金剛、朝霜、霞、瑞鳳(改二乙)


甲は敵編成からして激ムズそうですが……
乙は敵の先制雷撃も少なく、敵の装甲値・制空値がゆるくなった分を対潜・対空装備に割り振れるため、遊撃司令部と高速潜水デコイ+警戒陣で道中も安定でした
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