文章力リハビリしつつ、ぽつぽつ投稿増やしていきたいです。
秋を感じるひつじ雲が、鏡のように穏やかな湾の水面に映っている。
とある地方の漁港の隣に設けられた、小さな鎮守府。
もともとは第三セクターの水産加工場だった、大型プレハブ建ての工廠。
同じように漁協事務所だった、無味乾燥な鉄筋コンクリート2階建ての鎮守府庁舎。
駐車場や冷凍倉庫の跡地に建てられた、小さめの赤レンガの倉庫群。
鎮守府は現在、秋の大作戦に向けた倉庫整理の真っ最中。
艦娘たちが倉庫から、軽トラやフォークリフトで装備を次々と運び出している。
「日向さーん、瑞雲12型が一機、水上偵察機に混じってたよー」
「三式弾改が一つ足りませんわ。モガミン、予備の艤装に積みっぱなしにしてるんじゃないかしら?」
「そうだ、返すの忘れてた!」
「この三連装砲はソ連の物でしょ、イタリア艦のスペースに置かないでくれる?」
「あー、ワシの砲が一基足らないと思ったら、ガングートのと入れ替わってたのか!」
埠頭のはじっこでは、提督が作業をボーッと眺めている。
肉体労働では猫の手ほども役に立たない、か弱い中年の提督。
陽だまりでまどろむ猫のような表情で、考えているのは今日の昼食を何にするか。
昨日の昼に食べたのは、間宮食堂の定番・固定メニューの一つ「味噌ラーメン」。
ラーメン好きの軽巡洋艦娘たちが切磋琢磨し、日々進化しているこの鎮守府のラーメンワールドから見れば、いわゆる古典派に属する"普通の味噌ラーメン"だ。
「名取の味噌ラーメン(黒)」のような黒味噌と黒マー油にガツンと焦がしニンニクが香るといった特徴があるわけではなく、特別に濃厚とかコク深いとか、何かエッジが効いているわけでもないのだが……。
それだけに下は海防艦から、上は大和・武蔵まで広く受け入れられる王道の味。
ズルズルと一気に食べ進め、気づけばスープまで完飲して満足している、柔道の達人に綺麗に一本背負いされたような気分を味わえる逸品だ。
戦艦や空母たちの間では、この「味噌ラーメン」に一味唐辛子をかけるか、七味唐辛子をかけるかで二大派閥(豆板醤は異端とされている)があるが、そういえば長門が論争に加わっているのを見たことがないなあ……。
「ええと、一昨日の昼は何を食べたっけ」
最近、正妻の鳳翔さんから、毎日の食事を思い出して脳を刺激するように言いつけられている。
悲しいけど、もう鎮守府に赴任したころのように、まだ青年と言い張れた歳ではない、ズブズブの中年なのだ。
「うーん……何だっけ……あれぇ?」
今日の朝食、焼き鮭、ほうれん草のお浸し、卵焼き、豆腐の味噌汁、玄米入りご飯と、脳に良いという食材のオンパレードだったんだけどなぁ……。
「ヲ?」
うんうん唸っている提督を、鎮守府の居候の空母ヲ級が不思議そうに眺めている。
ここの鎮守府は今日も平和です。
最初、年数間違ってた……リアルでダメだも