【休載】スターダスト・ノイズ   作:平井銀二

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【ATTENTION】 - 注意および警告
 必ず作品紹介のタグ前書きをお読みになってから読み進めて下さい。
 読まずにご意見を言われても、当方一切関知するつもりはありません。





 この作品は2次創作であり、同人作品として公開している小説またはSS(ショート・ショート)です。
 これで全てを理解し許容できる方のみが、この先に進めます。



頑張った。5,000文字キリました。
4,160文字(ルビタグ含む)……削り過ぎたかも知んない(汗)

焦って書きすぎた……全文修正するかも。


【第2話】HOME

「いや、しかしまいったなコレは」

 

 ――あれから、場の空気が正常に戻るまで実に30分以上の時間を要した。

 なんか今日はこんなことばかり考えている(時間ばかりをカウントしている)気がするが、とりあえず気にしないことにする。

 

「どうかなさいましたか?」

 

 あれから音無さんに捕まった僕は、何の確認だか知らないが、わざわざメモまで取りつつ調べられ、あまつさえ「馬鹿な……『男の娘を見破る36のポイント』を全てクリアしただと?」とか言われた。んなコト知らんがな。

 

 そんなこんなでなんだかんだ、ツッコミ役が誰もいないまま時間だけが過ぎて行き、気付けばご覧の有様だったのである。正直、この空間でツッコミ役になるのだけはゴメン(こうむ)りたい。胃薬を常備するにはまだ若いと思うんだ。

 

 あと、ついでに「小鳥さん」と呼んでくれと言われた。

 その方が、若干若々しく感じられるからだそうだ。んなコト知らんがな。

 

「どうかなさいましたかも何もだね……ウチは女性アイドル事務所なのだよ」

 

「あ……ということは、もしかして……」

 

「そう、ウチには男性アイドルを売り出すノウハウが全く無いと言っていいんだ」

 

「あ~……」

 

「え゛」

 

 ちょっと待った……今、聞き捨てならないコトを聞いた気がするんですが。

 勘弁して下さいよ? まさか『男の娘』なんてものを本気で考えていないですよね?

 

 そんなコトを考えながら社長の方を凝視していると、社長の方でも僕の視線に気が付いたんだろう。少々慌てたような感じで。

 

「ああ、大丈夫だよ咲也くん。流石に『男の娘』なんていう阿呆(どあほう)な方針で売り出したりはしない

 から安心したまえ」

 

 と、言質をくれた。

 

 よかった。そう思ってしまったのが不味かったのかも知れない。所謂(いわゆる)フラグというヤツだ。

 これで一安心……と、そう思った矢先の事。

 だがしかし。そう……だがしかしというヤツだ。

 

「ぷりーず! じゃすと、あ、もーめんと! 社長!」

 

 それに立ち塞がったのが、元の『男の娘』発言の主。音無(おとなし) 小鳥(ことり)さんである。

 

「確かにその『男の娘アイドルとしての売り出し』それ自体は頭オカシイとしか思えません。

 それを提案する方も、何かと理由はあろうが受ける方も、です。もう気が狂ってるとしか!」

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ―― 一方その頃。

 

 

 

「……ふぇ…………えくちっ!」

 

「ちょ! イキナリなんなのよ」

 

【挿絵表示】

 

「あ、ご、ゴメン」

 

「ゴメンじゃないわよ……アンタが『男らしいパフォーマンスで評判のエンターティメント部』

 を見てみたいって言うから、態々変装させてまで連れてきてやったってのに」

 

「いや、なんか……僕の存在意義を全否定されたというか、むしろDisられた気がして……」

 

「……? 何よ、それ?」

 

「僕にも良くわかんないんだけどさ」

 

「アンタも時々よくわかんないわね……まぁいいわ。

 どうせアンタに『男らしく』なんて無理なんだから

 

「え? 今なんて?」

 

「なんでもないわよ。ほら、行くわよ〝涼〟」

 

「あ、待ってよ〝律子姉ちゃん〟」

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

「まぁ……口は悪いが、言いたいことはわからんでもない……それで、小鳥くんは一体何を

 どうしたいのかね?」

 

「そうですね……男性アイドルのノウハウは無いが『男の娘』は有り得ない。

 しかし、その容姿を活かさない手はない……。社長のお考えとしてはそうですね?」

 

「ん……まぁ、どうしてもという訳ではないがね。そうじゃなくとも、か……ん゛ん゛っ!

 彼にはこれ以上ない売りと実力があるからね」

 

 何と言うか……これから小鳥さんが言い出すことに一抹の不安があるんですが……。

 あと社長。僕を「彼」と表現する時に引っ掛からないで下さい。泣きますよ?

 

「それもそうではあるんですが……どの道、男性アイドルのノウハウが無いことに違いはありま

 せん……そこでです社長、例えばこういうプランはどうですか?」

 

 そう言って、小鳥さんが打ち出したプランは――

 

 

 

     『性別不明アイドル』

 

 

 

 というモノだった。

 

 ええ……まぁ、うん。わかっていましたよ。そういう類のものだってコトは。

 確かに良いプランですね? うん、対象が僕でさえなければ、ね? そう……そのプランを僕で実行するには、実は致命的な欠点があるのだ。

 

「ふむ……確かに面白いアイディアではあるね。その昔、アイドルでこそなかったが、その特異

 な容姿を武器に性別が解り難いことを利用して注目を集めたヴォーカリストがいたそうだ」

 

「でしょう!?」

 

「だがね……キミとしたことが気付かないのかい? 小鳥くん。そのアイディアを咲也くんで

 実行するには、実は致命的な欠陥があるんだ」

 

「……え?」

 

「簡単なコトですよ、小鳥さん。先程、貴女自身で確認したじゃないですか」

 

「ほへ?」

 

 賢明な読者の皆様ならもうお気付きであろう。

 そう……自分で言うのも何だが、僕はその容姿が女の子に過ぎるのだ。

 だから如何に性別不明で売り出そうにも――あっさりと『男』だとバレてしまう。

 

 え? 『女』の間違いじゃないのかって?

 

 いやいや……これが普通に紹介しているなら兎も角、わざわざ性別を隠して売り出しているんだよ? ()()()()()()()()()ですと言っているようなモノじゃないか。

 

 そう、先程小鳥さんが態々どこからか調べてきた『男の娘を見破る36のポイント』ですら見破れない程の……具体的にはエラ骨格・肩骨格・指先・骨盤・脂肪の付き方など色々あるらしいが、それらを全てクリアする程の女性型なのだ。僕は。……自分で言ってて悲しくなってきたかも。

 

 このまま〝感情鈍麻〟も治らないかな~。アハハ~。

 

 

 

「……ふっふっふ」

 

「?」

 

「それでこの私を捉えたつもりですか? ホームz……じゃなかった咲也くん」

 

 ……いやいや、捉えたもなにも、追いかけっこしてたつもりはないんですが?

 

「私が言っているのは『性別不詳』ではなく『性別不明』である。というコトなのです!

 そこで私は関係ないとばかりにお茶汲みしている小暮さん! あ、ありがとうございます」

 

「へ? え、ええと……それってつまり? あ、これお茶請けの最中(モナカ)です」

 

 そして、この話題に遅れて入ってきたのが小暮さんだ。

 なんというか……イマイチこの人も間が悪いな。あと、貴女もプロデューサーならこういう話題には積極的に関わろうぜ。()()()()は僕も小鳥さんに賛成。

 

「つまり、プロフィール欄に性別に関わることを一切記載しないということなんですよ!」

 

 ん? それってどういう違いが……

 

「ほほう成程。つまりファンの皆には、勝手に勘違いしてもらって、勝手に推測して貰って、

 勝手に注目して貰おうということかな?」

 

 あ、察し……

 っていうかソレ、男の娘プランとそう変わりないような気もしますが。

 

「はい。その為に咲也くんには、普段の収録やライブなどでは時折男っぽい所を出していって

 貰えれば充分……というか、見る限り普段の咲也くんで大丈夫ですね」

 

 あ~、なる程そういうことか。確かにそれ自体はありがたいけど。

 ん~……でも『男の娘を見破るなんちゃら』とやらを持ち出してまでのその結論は、ちょっと甘すぎと言わざるを得ないんじゃないかなぁ。

 

「……言いたいことは解りましたが、そう上手く行きますかね?」

 

 自慢じゃないが、僕は学校なんかでは()()()()()()を示さない限り、絶対に男だと信用されなかった人間だぞ? 自慢じゃないが。本当に自慢にならないが。

 

「まぁ、そこは番組ディレクターやイベンターの演出力に期待するしかないだろうね。あとは

 TV番組や公式そのものであるコトによる影響力……かな。確かに苦しいトコロだが。

 なにより、このプランのキモは()()()()()()()()()()()に尽きるんだ」

 

「ああ……つまりプラン通りに進まなくても問題はないし、プラン通りに進んだとしても騙して

 いたわけではないと言えると……」

 

 さらには女性アイドルとしての売り方で、なんとか対応できるってのも有効なのかな。

 僕自身は男として振る舞っていれば良いんだから、そこで何か問題が出そうになったら随時対処療法的に対応していけば……まぁ、イマイチ不安は残るけど。

 

「そういうことです!」

 

 振り返ると、小鳥さんが超ドヤ顔で僕に指を突き立てていた。

 ……いやまぁ、一応貴女は上司ですけどね? 人に指突きつけるのは辞めた方が良いかと思いますよ? マナー的な問題で。

 

 そんな視線を僕が向けると、小鳥さんは僕に突きつけていた指を、自分の顔の前でピコピコ振りながらシュンとし始めた。こんな小鳥さんもちょっと可愛いじゃないですか。

 

「と、言うわけで……後は咲也くん、キミの決断次第なんだが……どうするね?」

 

 え? 口出しして良いの? しかも決定権持ち?

 

 いや確かにココで『男の娘プラン』なんて話が出てきたら、可能な限り……いや(もとい)、必死で反対するつもりではいましたけどね? アイドルとはいえココではただの平社員。しかもバリバリの新入社員ですよ? 普通、僕なんかが意見を出せる立場じゃないと思うんですけど。

 

 そこまで考えた時だった。

 小暮(こぐれ)さんが僕の両肩を包み込むように叩き。

 

「良いんですよ? ちゃんと自分の意見で言っても」

 

 そう言ってくれた。

 そうして――ここで僕は初めて気付いたんだ。

 

 社長も、小鳥さんも――僕の顔を、微笑みながらにこやかに見つめていたコトに。

 

「……あ」

 

 

 

 ――……ちぇ、人を使うのが上手い会社だことで。

 

 

 

 

 

 ……うん、いやさ……うん。

 

 勿論、本気でそんなことを思っているわけじゃないんだ。

 だけど、そうやって捻くれて見せていないと、なにかおかしな感覚に身を包まれそうで。

 

 

 

 

 

 ――怖かったんだ。

 

 

 

 何が?

 

 わからない。だけど……悪い気分じゃない。

 

 なのに、何が、何故、怖いの?

 

 

 

 わからない――――()()()、怖いんだ。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

「……やります」

 

 

 

 結局、それが僕の最後に出した結論だった。

 

「折角小鳥さんが僕のために考えてくれたプランですしね」

 

 慣れない笑顔を無理矢理作って言ってみる。

 

「!」

 

 見ると、小鳥さんがキラ目猫口(?)で喜んでいるようだった。

 

「ホントに……社長も、小暮さんも……僕なんかに何でそこまで……」

 

 ああもう。何度体験しても、この空気だけは苦手だ。本当に。

 

 

 

「……こら」

 

 ――チョップ。

 

「あいた?」

 

 ――チョップ、チョップ――さらにチョップ。

 

「あたたたたっ。ちょ……ちょっ。イキナリ何してんですか小暮さん」

 

「『何してんですか』じゃありません!

 自分のコトを『僕なんか』なんて言う子にはお仕置きです!」

 

 ――チョップ、チョップ、チョップ。

 

「あたたたたっ。いや、あんまし全然全く痛くないけどイタッ。イタいって」

 

 そんな『フリ』をしながら周りを見回してみる。

 社長はにこやかに微笑っていた。小鳥さんも、小暮さんも。

 

 

 

 うん――小暮さんがココを好きになるのもわかる気がするよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こういう空気は――うん、嫌いじゃない。




またシリアスっぽくなってるし……。

※ 『男の娘を見破る36のポイント』
  現実には存在しません。いや、どっかにあるかも知んないけどさ(笑)
  ですが、この作中世界ではかなり信憑性の高いものとして扱われています。

  現実だと、一番解りやすいのが喉仏で、解り難いけど確実性が高いのが指先だとか。
  あとは骨盤とか脂肪の付き方とか……どちらにせよ、その辺になってくると素人に判断の
  つくものじゃなくなってくるそうですが(汗)

※ 765プロは女性アイドル専門
  実際のところどうでしたっけね?
  少なくとも原作では女性アイドル以外いなかったのは間違いないんですが。

※ 決定的な証拠
  一体、()のコトでしょうね?
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