えっちゃんといっしょ   作:雷月皆無

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えっちゃんが出ないので続いた。

なお、文章荒れ気味のため注意。
基本的に話ごとの時系列はバラバラのため悪しからず。
今回は少し暗いよ。

それでも問題ない方はどうぞ。


えっちゃんと2月14日の朝

 あーたらしーい、あーさが……キター!

 

 目覚まし時計の音で目を覚まし、心の中でテンションを無理矢理上げながら叫んで、布団から勢いよく起き上がる。

 眠っている同居人を蹴ったり踏んだりしないように気を付けて移動する。部屋のカーテンを全開にして、日光を取り入れ足早に洗面台へ。

 

 ……これだから冬の朝は嫌なんだ。

 

 蛇口から流れる冷水を顔に叩きつけながら思う。

 

 眠気が覚めつつある今だから言えることだけど……今日も寒い、まだおふとんでぬくぬくしたい。

 この誘惑に耐えなくちゃいけないのが辛いところ。

 

 悠々と布団に包まって寝ている彼女が羨ま妬ましい。

 

 

 

 朝食を終えてスーツに着替えると、時刻は七時半ちょうど。

 そろそろ仕事に行かないといけない時間だ。

 

 気持ちよさそうに寝ている彼女を起こすのは気が引けるから、そっとしておこう。

 

 彼女の分の朝食と昼食の準備はしてあるし、さぁて今日も張り切ってお仕事に……。

 

「……おはよう、ございます」

 

「おはよう」

 

 玄関口で革靴を履きかけたまま、振り返る。

 

 珍しく早起きだなぁ……。

 

「私だって早起きくらい、します」

 

 あれ、もしかして顔に出てた?

 

 でも早起きしてるってことは何か用事でもあるのかな。

 

「俺は仕事に行ってくるけど。あ、もしかしてお金とかいる?」

 

 革靴を履いてから財布を取り出して、野口さんを一枚渡す。

 

「わーい。……はっ!?もしやこれは噂に聞く以心伝心というものでは。まぁ私はヒロインですし、当然のことですけど」

 

 寝起きなのに元気だなぁ。お金を貰ってあんなに喜ぶなんて、やっぱり外出するのかな。

 

 何の気なしに腕時計を見ると五分も経ってる。

 

 って、やば。もう仕事に行かなきゃ。

 

 鞄を持って、ドアを開ける。

 

「あ、おかずはいつも通り冷蔵庫に入ってるし、ご飯は冷凍庫。足りなかったら、ご飯炊いてもいいから。もし出かけるなら戸締りはしっかりと。日が暮れる前には帰ってくるように。あとはあとは……」

 

「はあ……そんなことより早く仕事に行ったらどうですか?」

 

「…………いってきます」

 

「……いってらっしゃい。はあ……めんどくさい」

 

 のろのろと歩いて部屋に戻る彼女を見送る。

 ドアを閉め、玄関先で立ち尽くす。

 

 俺は悲しい、とても悲しい。

 えっちゃんが俺のこと、めんどくさいって。めんどくさいって……。

 

 でもあの言葉は、本当に俺に向けての言葉だったのか。いや、でもそうとしか考えられないタイミングだったし……。

 

 反抗期の娘がいる男親ってこんな気持ちなんだろうか。

 俺まだ二十代半ばだけど。恋人もいないけど。

 そのうち、お父さんと一緒の空気なんて吸っていたくない!なんて言われるのかな。俺、彼女のお父さんじゃないけど。

 気持ち的には保護者だし、似たようなもんかな。

 

 ……嫌われることがこんなにつらいなんて思いもしなかった。

 

 はぁ……仕事行こ。

 

 願わくば、部屋に帰ったら彼女がいなくなっていませんように。……むなしいなぁ俺。




後半へ続く。

話のキリもいいのでサクッと1000字で投稿。
14日中に残りを書き上げたい。
目指せ、苦くて甘いチョコレートっぽい話。
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