霊夢「能力が使えない?」
皐月「あぁそうだ。」
皆からピーチクパーチク言われた後、俺は俺の中にある大事な案件を話した。それは俺の能力が使用不可能になっている事だ。理由は過度な能力の使いすぎにある。俺の能力は効果こそ強いがリスクがある。それは大きすぎる力に俺自身が耐えられないというところだ。不死に関しては自動的に発動するからなんの問題も無い。雷や炎といった五大元素を操ることもそこまでの負担はない。だが[雷神]系統の大技、自然のシステムを超越した力、今回で言えば長時間に渡る[スパークモード]の使用と春度の操作が該当する。これらの「超技」を無理矢理に使用した時、俺は一時的に「不死」以外のいかなる能力も作用しなくなると言う事をみんなに説明した。
霊夢「まぁアンタのその力にリスクが無いとは思ってなかったけどまさか能力の使用に限界があるなんてね。」
皐月「当たり前だろ。それに俺の能力は俺の体力にも関係してる。俺の体力が尽きたら能力は使えない。お前らの霊力と同じだ。」
と補足説明をした。無限に能力を使えるとかどこの人造人間ですかっての。動物保護官とか知らないしどこかの細胞マンになんて吸収されない。
幽々子「でも今は飛べるだけの力は戻ってるって……。」
紅茶とクッキーを遠慮なくバリボリと食べながら状況確認をする幽々子。お前もうちょい遠慮しろよ。つーかこいつまさか腹減ってんのか?
皐月「長時間完全に休んでたからな。意識なかったしある意味安眠状態だったからな。それで飛べるまでには回復できたってわけだ。」
実際過去に同じことが起きたときは一ヶ月間空すら飛べなかった事もある。その間は確か何処かに身を潜めてたかな。その間世話になった子の作った飯が美味かったのを覚えてる。うん、今はどうでもいいな。
紫「なるほどね。大方理解したわ。しかしあなた達どうやって冥界から外へ?そして今までどこに居たの?」
最もな疑問を投げつける。ここに居る誰もが知りたい謎。俺は自分が記憶しているところだけを説明した。一度死んだ事、季節操作の事、そして妖怪の山にて文の世話になっていた事。その間なぜかこあと幽々子以外のみんなが不機嫌そうな顔をしたが気のせいだろう。そうだと言え。
皐月「まぁ幸い死者はいなかったし封印も解かれなかった。幽々子も無事だし今は反省もしてる。それでいいだろ。」
幽々子「皐月……。」
皐月「まぁ代償は全て宴会で払えよ。楽しみにしてっからな。」
何故か急に青ざめる妖夢。理由は分からんが頭を抱えている。だがそんなことは知らん。動機は何であれみんなに迷惑をかけたんだ。それだけの代償は支払ってもらわないと割に合わない。三借りたら七返せって言ってたぞ。等価じゃねぇじゃん。エルリック兄弟もビックリだわ。
妖夢「あ、あの……もしかして宴会費って全部……。」
生まれたての子鹿の如くプルプル震える妖夢その目には若干の涙と青ざめた顔が。こいつはさっきからなぜ青ざめるのだろうか。そしてなぜその度に幽々子を見るのだろうか。謎だな。世の中知っちゃいけない事もあるから突っ込まないでおこう。
皐月「流石に可愛そうだから1万くらいは家で出すよ。」
霊夢「んな金あるわけ無いでしょうが!」
俺の頭に拳骨を撃つ霊夢。俺はそれを避け、拳は空を切った。
皐月「あっぶねぇな、コブができるとこだったぞ。」
霊夢「アンタが変なこと言うからよ!ただでさえお金無いのに1万出すなんて言うから!」
プンスカと怒り出す霊夢。え、こいつまさか金庫の中身が分からないで開けようとしてたの?パンドラの箱開けようとしてたの?某カリスマ的なブラザーズの方々もびっくりだよ。
皐月「お前が必死こいて開けようとしてた金庫があったろ。あん中に俺の金が入ってんの。」
霊夢「なんですって!?なんで今まで隠してたのよ!」
皐月「そりゃあ今まで気付いてるもんかと思ってたしそもそも無条件に食料が増えるわけ無いだろ。貰い物も含めてあるけど俺も買って溜めてたんだよ。」
霊夢「………ちなみに幾ら?」
目を¥にしながらこっちを見るな。どこの忍者だお前。まぁ隠す必要もないから取り敢えず指を二本だけ立てた。
魔理沙「…………20万?」
紫「2000万よ。」
「「「「「2000万!?」」」」
流石のみんなもビックリですかそうですか。まぁ確かに大金だよね。しかも幻想郷の物価は俺にとっては想像を絶するほど安いし。過去に慧音が持ってきてくれた食料は明らかに人一人が持てるような荷物じゃなかったしそれで一万飛ばしたとか言ってたからな。てかあの人ただの人だよね?なんで持てたんだろう。実は見かけによらず馬鹿力とかかな?うん、ないな。
霊夢「なんで黙ってたのよそんなこと!」
皐月「だってお前に好きに使わせると何やらかすか分かんねぇじゃん!だから金庫にぶち込んだんだよ!」
胸ぐらを掴んで体を揺らす霊夢。イタイイタイ頭が痛い。めっちゃ揺れる。help me.
魔理沙「確かに霊夢には任せられないよなぁ。だって金の亡者だもんな。」
紫「はぁ……ホントなんでこんな子になっちゃったのかしら。」
霊夢「そこあからさまにがっかりしない!ていうか魔理沙アンタ喧嘩売ってんの?!」
皐月「事実だろ金の亡者が。そのまま「あぁぁ……」とか呻きながら金探してろ!」
ちなみに膿は出さなくていいよ。それじゃただの悲しい亡者だから。丸太で潰して焼き払わないといけなくなっちゃうから。みんな丸太は持ったか!?
霊夢「なんですって!?あんたねぇ……!」
皐月「あ、そうだ妖夢。」
妖夢「はい?」
俺は財布を取り出し、中に入っていた1万を取り出した。常に金は入れておく主義な俺です。スられたら泣くけどね。
皐月「これ宴会費の足しにしろ。俺の世界の通貨に換算したら100円だけどこっちでなら大金だろ?遠慮なく使え。こっちの物価は安いし足しにはなるだろ?」
妖夢「え、そんな!こんな大金受け取れませんよ!500円札で充分ですよ!」
そんなもんなのかな?うむ、金銭感覚がズレていけないや。つーかこっちの物価が安すぎるんだよ。なんだよトマト一つで10円て。安すぎるだろ。うまい棒かっての。
妖夢は譲るつもりもなさそうだし致し方ない。
皐月「500円じゃこっちが申し訳ないから5000円で。これならまぁまぁな額だろ?」
妖夢「む、むぅ………分かりました……。お借りしますね……。」
あげるってニュアンスだったのに……まぁいっか。俺が後で断ればいいだけだし。
皐月「んじゃあ俺帰るから。宴会場は神社でいいから。」
霊夢「勝手に決めないでよ。」
皐月「いいだろ別に。今回の異変は冥界が主犯、俺達の怠慢が原因で長引いた異変だ。場所提供くらいはしないとな。」
何故か胸を抑える霊夢と魔理沙。痛い所をつかれたらしい。まぁ当然といえば当然だな。俺とて行動を起こすのに時間をかけた。その面を含めての場所提供と5000円だ。
皐月「それじゃあ俺は帰るからな。また宴会で会おう。行くぞ霊夢。」
俺はレミリアの部屋を出て窓から博麗神社へと飛んだ。後ろから待ったの声がかかるが気にしない。そんな事より俺にはもっと気になる事があるからな。早めに戻りたいのだ。少なくとも幽々子を撒かないとな。
――――――――――――――――
紅魔館を出て20分で博麗神社に辿り着いた。やはり発現しきっていないのか速度が遅かった。霊夢が合わせて飛んでくれたのには少し面目なさが残るが取り敢えず……。
皐月「ただいま……だな。」
冥界へ行ってから一週間帰ってこられなかった博麗神社に帰ってきた。その事実だけが俺の心を支配した。安堵というか何というか。何とも言えない感情が俺の心を包んだ。そして体も。
霊夢「おかえりなさい……ばか。」
霊夢の声は震えていたがハッキリと聞こえた。お腹に腕を回し、力強く抱きしめられた。少し苦しかったが今は我慢しよう。今は霊夢の温もりを感じていたかったから。……これだけ聞いたらただの変態なんじゃないか。
皐月「さて………紫出てこい。話がある。」
紫「なにかしら?と言うかなんで私がいるって分かったの?」
博麗神社の賽銭箱の前の空間が裂け、そこから紫が出てきた。いつもなら半身のみだが今回は普通に出てきた。いつもこうならありがたいのに。
皐月「どうせいると思ったんだよ。紅魔館の時何故かお前がいたからな。お前も俺に話があったんだろ?」
紫「流石に察しがいいのね。ところでどうしたのそれ。あなた今まで敬語だったじゃない。」
皐月「ん?あぁ、これはかなり重要な話だしタメ語のほうが話しやすいからってだけ。」
ふ〜ん、と一言入れ居間へと入っていった。霊夢はお茶を三人分用意し、炬燵に入った。
紫「それで私に聞きたいことは?幽々子の事?」
皐月「正解。つーか紫も話す気でここにいたんだろ?」
そう、俺の聞きたい事は幽々子に関すること、そして西行妖に関する全てだ。あの異変には謎が多すぎる。白玉楼の主が封印の媒体になった遺体を知らないなんておかしすぎるからな。俺はそのことについて聞き出した。
紫「………あの子が亡霊なのは知ってるわね?」
皐月「あぁ知ってる。彼女が亡霊で、白玉楼の主であること。西行妖と彼女の能力が同じものであることもな。」
紫「西行妖が何で封印されてるか知ってる?」
皐月「誰かの遺体だろ?」
情報の整理のつもりなのだろう。まぁまずはこんなとこだろうね。
紫「それじゃあ最後にこの異変を起こした理由は知ってる?」
異変を起こした理由?えーっと……なんだっけ?そういえば何も言ってなかったような?
紫「何も聞かされてないようね。封印に使われた遺体の持ち主を復活させるのが目的だったのよ。」
復活?そうか。あいつは封印された人のことを知りたくなったからあの異変を……。でも……。
皐月「だとしたらなんでその事をあいつは知らないん………!!」
霊夢「ちょ、ちょっとどうしたのよ。いきなり黙って……。まさかわかったの?」
そのまさかだった。単なる辻褄合わせなのかもしれないけどこれ以外理由が思いつかない。
皐月「多分幽々子は遺体の持ち主を復活させることで何者なのか暴こうと考えた。なぜそれをする必要があったのかは恐らく白玉楼の何処にもその人物に関しての記述が無かったんだ。だから復活という手段を使った。そして何故主であるあいつの手元にその情報が無かったのか。それは知られるとまずいからだ。何故まずいのか。それは多分………その遺体が[西行寺幽々子]のものであったからと仮定したら彼女に知らされてなかったのも説明がつく。」
霊夢「なんであの亡霊の遺体が媒体になったって言えるの?」
霊夢には納得できないところらしい。確かに西行寺幽々子の遺体だと断定はおそらくできないだろう。でもこれしか説明がつかないのだ。
皐月「よく考えてみろよ。白玉楼現当主がなんで西行妖と封印の事を知らないんだ?普通は何処かに古文書だかなんだかがある筈だろ?でもそれが無くその上で幽々子が封印の存在を知らないのだとしたらそれは彼女自身が封印の媒体となって亡霊になったと仮定するのが自然じゃないか?」
まぁまだ色々あるんだけどね。取り敢えずこれだけ並べれば紫も納得だろう。
紫「………そうね、確かに西行妖の封印にはあの子の遺体が使われたわ。」
あっさり認めたな。でもまだ何かありそうだな。もしかしなくても西行妖と幽々子の能力が関係してるのか。
紫「でもあの子自身はそれを知らないし覚えもない。あの子には生前の記憶はないわ。それにあの子が生き返ったとしてもまた死んでしまうわ。」
皐月「おい待て何か聞き捨てならねぇこと言ったぞ今。「生き返ったのしてもまた死ぬ」ってどういう事だ?」
生き返ったらまた死ぬのは当たり前だけど多分そういう感じの意味じゃない。何やら不穏な感じだな。
紫「西行妖は千年前に封印された妖怪。遺体がそれまで肉体を保っているとでも?」
霊夢「なるほどね、骨になっていて内蔵も脳も肉も無いから生き返ってもすぐ死んじゃうのね。」
多分骨通り越して化石になってる可能性すらある。なるほど確かにそれは知られる訳にはいかないよな。まぁ今回はそれが裏目に出ちまったけどな。しかし……。
皐月「なんで幽々子が器になったんだ?あいつじゃなきゃいけない理由があるのか?」
扇子を開き、口元に当てる紫。それは何かを隠すかのように開いていた。多分口元が震えているのだろう。紫と幽々子はおそらく仲が良いのだろう。そりゃ震えるよね。
紫「知ってるでしょあの子の能力を。西行妖と同じ能力だからこそその力を相殺する器になったのよ。」
なるほどこれですべての謎が解けた。生前の幽々子は恐らく白玉楼内で人が死ぬのを見てきた。そして自分の能力と同じ能力を持つ西行妖を恨んだ。そして自分の能力で死を誘ってしまう事に対しても同様だ。多分彼女は自害したのだろう。そしてその遺体はただ埋葬されるのではなく封印という形で利用されたのだ。西行妖の抑止力として。結果彼女は生前の記憶を無くした亡霊となり、冥界の管理人になった。そしてふとした時に異変を起こすきっかけとなった書物を見つけた。知れば知るほど嫌な話だ。人の死を利用するなんて神経がどうかしてるとしか言えない。
皐月「ありがとうな紫。あまり話したくないことだったろうに。」
紫「いいの。貴方にはそれを知る権利があるから。親友の幽々子を救ってくれた、幻想郷を救ってくれた貴方に対する礼儀よ。」
また言ってるよ。俺は気にしてないってのにまたそういう………と言いたいところだけど今回に限って言えば俺は死にかけてる。こうなるのは必然だろうな。
皐月「いいっての。取り敢えずみんな無事だったんだ。それで十分だ。」
霊夢「はぁ……あんたなら絶対そういうと思ったわ。感謝くらい素直に受け取んなさいよ。」
頭をポカっと殴られた。地味に痛い。この流れにも慣れてきた。そんな自分が怖いな。Mではない。勘違いするなよ?
皐月「いてっ………ま、ひとまずこの件はこれで終いだ。分かってるだろうけど幽々子に知られたら本当にヤバイから絶対誰にも言うなよ。」
霊夢「分かってるわよ。別に私は気にも留めてないし言うつもりもないわ。」
分かってるならいいや。これ以上は何も言うまい。
紫「貴方達……ありがとう。」
そう言い残して紫はスキマの中へと消えていった。生前の幽々子の事は少々驚いたけど予想外ではなかった。むしろその時代に紫が生きていた事に驚いた。口にしたら絶対ボコられるから言わないけどね。
―――――――――――――――――
あれから数日後が経過し、今日は宴会の日。その間に俺は体を休めつつ能力の再発現に尽力していた。指先から電撃を出そうとしてみたり水を出そうとしてみたりした。結局出来たのはじこさいせい、そしてそらをとぶのみとなった。これで当分は電化製品の為の電気を補給出来なくなった。そのため今はこたつは仕舞い、洗濯機のみを使っている。少しでも節電しないと使えなくなっちまうからな。
そういえばその間に色んな人が博麗神社に訪れたな。確か最初に来たのは慧音と妹紅だったな。慧音は俺の怪我身を見るなり胸に飛び込んで来て泣いてたな。涙を流して珍しく鼻も垂れてた。しかも当分の時間離してくれなかったし柔らかな2つのバレーボールが下半身あたりに当たってて危なかったのを記憶してる。妹紅は「力になれずにすまなかった」なんて謝ってきた始末だ。彼女は蓬莱人ってので死ねないからあの場においては一番強いしかなり有利に戦況を運べた人物とも言える。文の発行した「文々。新聞」で大方の戦況は知ったみたいだから余計強く思ったのだろう。そんな事もあって彼女達をなだめる他なかった。ほんと気にしすぎだよあの子達は。
次に来たのはアリスだったかな。妹紅達と同じく「文々。新聞」を見て来たらしい。俺が帰って来てから二日後の事だけどね。菓子折りと上海を連れて今に勝手に上がって勝手に俺の看病をしに来たな。その時のアリスが天使に見えた事は死んでも口にはしない。殺されちゃうから。主に霊夢に。
その日は夜まで俺に付きっきりで飯も食っていったな。その時に飯を食わせられたときはめちゃくちゃ恥ずかしかったわ。しかも霊夢からの冷たい視線が飛んでくるしマジで俺の居候先の主と友達が修羅場過ぎた。精神がゴリゴリ削られたし胃も痛かった。
その後は村の人たちが来たりしたな。薬草だったりカモだったりをくれた。一番驚いたのは何とお賽銭箱にお金を入れてった事だな。理由は確か「英雄へのせめてもの奉納品」だそうだ。別に英雄になったつもりはないんだが結果的にそう捉えられてしまっているのだから仕方ない。因みに霊夢は俺に感謝してたな。陰で金づる扱いしてたの知ってるから素直に喜べない俺氏。
そして今は午後2時。場所は博麗神社の台所。場所は提供すると言ったからな。台所から持ってけば作りたてが食えるし時間も掛からんからな。因みに冥界は安定しており、西行妖の気配もパタリと消え、平穏を取り戻したらしい(幽々子談)。
皐月「おいおいこれ運べってのか?俺怪我人だし傷口開いちゃうんだけど……。」
目の前には俺の腹辺りまでの大きさの酒樽があった。これに満タンに酒が入ってるのだとしたら重さは多分100kg近くある。完全に俺を殺しに来てる。
妖夢「し、仕方ないじゃないですか。ちょっとお高い物のほうがお詫びになるかなって……。それに手伝うって言ったのは皐月君じゃないですか。」
だからと言ってこれはでかすぎるし重すぎる。こんなの持てる人間は霊長類最強と名高い吉田沙◯里か篠原◯一くらいだろう。よって怪我人で能力の使えない俺には無理だ諦めろ。
皐月「俺別の物運びたい。」
妖夢「じゃあその酒樽の奥にある物持っていってください。木箱の中に酒瓶が入ってますから。」
皐月「よっしゃ比較的楽や!もろたで!」
早速その酒瓶の入った木箱に手を伸ばす。
魔理沙「私が持ってくから皐月はその酒樽を頼むぜ!じゃあな!!」
魔理沙に持ってかれました……。なんだあいつは。怪我人を労るって考えはないのかあの野郎。俺下手したら肩から右腕が落ちちゃうよ?グロテスクな描写が出来上がっちゃうよ?肩の傷がどんどん広がっていって肉がブチブチと音を立てながら横っ腹まで裂けて内臓がドバドバ出ちゃうよ?な、内蔵を……集め…ない………と…。
皐月「おい待て魔理沙!………行っちまったよ。」
霊夢「はぁ……まったくあいつはすぐ人の物盗るんだから。私も手伝うから運びましょう。」
皐月「ナイスタイミングだ霊夢!助かるぜ!」
暖簾からいつもの服装で出てくる霊夢。出てきたところが暖簾じゃなくてどっかの扉ならドラえもんと間違えるところだったぜ。ドラえも〜ん、どこでもドア出してよぉ!そしたらマジで助かるからさぁ!
妖夢「それじゃあお願いしますね。運び終わったらまた戻って来てください。と言うか……。」チラッ
何かを横目に見る妖夢。その先には扇子をパタパタと優雅に仰ぐ主犯こと幽々子がいた。椅子に腰掛け、仕事を一切せず、偉そうに命令だけする上司のように見える。そして逆の手には料理が……。くっ、これが社会の縮図なのか。働きたくないでござる!
幽々子「仕事してるじゃなぁい。」モグモグ
皐月「食ってるだけだろうがこの食い物泥棒が。働かざる者食うべからずって言うだろ。だから仕事してから食え。」
幽々子「私の仕事は妖夢の作ったご飯を食べることよ!」モグモグ
霊夢「悪意しか感じないんだけど。ねぇ、夢想封印撃っていい?」
懐から払い棒と赤い札を取り出す霊夢。かなりご立腹なご様子です。無理もない。幽々子はさっきから一切働いてないし素振りすら見せないのだから。どうしてくれようかこのアマみたいな顔してる。怖いマジ怖い超怖い。
皐月「落ち着け霊夢。あいつは八割本気だろうけど少し待て。あいつを動かす方法を一つ思いついたぜ。」
霊夢「ふ〜ん。なによ、やってみなさいよ。」
言われなくてもやってやるぜ。今のを見たところ幽々子は多分食いしん坊だ。食に煩くなく大抵のものは食べるだろう。いや多分食べたいのだろう。現に妖夢の料理を今か今かと待っている。つまりそれをお預けにすればこっちのもんだぜ。
皐月「なぁ幽々子、お前これ以上食ってばっかだと宴会場で食えなくなるぞ。」
幽々子「ここで食べてるからいいもん。」
ムカつくこいつ。仕方無い、ここは妖夢に協力を仰がなくては………。
妖夢「幽々子様、今働かないと私御飯作りませんよ。」
幽々子「すぐに運ぶわ!どれを運べばいいの?!」
な、なんという機転だ。飯の為にここまでやる気を出すやつ始めてみたぞ。まぁ当分楽できそうだからいいけどな。
皐月「じゃあその酒樽よろしく。」
妖夢「さり気なく重いものを持たせようとしないでくださいよ。」
皐月「飯なんか持って行かせたら途中で食われちまうだろ。」
妖夢「幽々子様、酒樽を持っていってください。」
幽々子「そんなぁ。妖夢ぅ……。」
ナイス裏切りだぜ妖夢。とは言えあの重さの酒樽を幽々子一人では担げないだろうから……結局俺か霊夢が手伝わねぇとダメだな。
霊夢「文句言わない。私も手伝うからあんたも運びなさいよ。」
渋々だが幽々子も酒樽を持って行った。あそこで霊夢が切り出してなかったら更にグズってたな。魔理沙と違って気が利くな。
妖夢「皐月君、そろそろ作り終えますからお皿出してください。」
皐月「このタイミングで飯が出来ましたとか悪意しか感じないんだけど。幽々子に見せつけろと?」
妖夢「なんでそんな捻くれた考えに行き着くんですか。普通に運んでくれればいいんですって。」
そんな他愛のない会話をしながら皿を運び、料理を運び、魔理沙をボコり、酒を運んだ。途中変な描写があったとかは気にするな、あいつが悪い。
そうこうしているうちに人が集まってきた。紅魔館組や人里の人達、妖精のチルノや大ちゃん、アリスもやってきて大所帯となった。
皐月「相変わらず勝手にどんちゃん騒ぎしてんなぁ。まぁ俺には関係ないからいいけどな。」
桜の木の上に座り、みんなを見下ろしながら盃に酒を汲み、喉を潤した。この光景もこの酒の味もみんなの笑顔も俺が勝ち取ったものだ。命をかけて西行妖に挑み、死にかけながらも幽々子を救うことに成功し、俺自身も生き残った上でみんなが生きていた。こうして桜の木の上でみんなの笑顔を見ながら酒を口することに俺は誇らしささえ覚える。
皐月「本当にここに来て良かったよ。こうしてみんなでバカやって、笑っていられるんだからよ。」
こうして春雪異変は幕を閉じた。途中幽々子が食べ物を食い荒らしている姿を目撃したが止めもせず見なかったことにした。
皐月「ようやく終わったな。」
紫「次は何が起きるのかしらね。」
霊夢「当分は起きなくていいわよ。」
次回 : 第三十四話 見慣れない人と人助け
作者「次回の舞台は人里です。」
皐月「平和って素晴らしいな。」
霊夢「予告をしなさいよ。」