と、いうわけで月にペースで頑張ります!
………は?
理解が追い付かなかった。ついさっきまで話していた、声を出していた、高らかに笑っていた。そんな相手が突如として………
首無しになってそこにいた。
首は床に転がり、おっさんの頭部があったであろう所からは大量の赤黒い血が噴水の様に飛び、その向こう側には首を跳ね飛ばしたであろう殺人鬼がそこにいた。
なんだ?何が起こった?奴は気を失っていたんじゃなかったのか?
何故だ?奴はどうしておっさんの首を刈り取った?俺はこれらの事に関しての理解が追い付かなかった。
瞬「あーあ、死んじゃったね。このおじさん」
殺人鬼の声で俺の意識が思考の嵐から現実に戻ってきた。殺人鬼は無表情で淡々と告げ、それでいて俺の眼をしっかりと見ていた。
瞬「ねぇ、君を陥れていたおじさんは死んだよ?これで君は僕の仲間になってくれるよね?」
殺人鬼は満足げにそういった。なにも悪びれもなく、まるで自分のやったことは正義だとでも言わんばかりの屈託のない、それでいて純真無垢な笑顔でそう告げた。
あぁ、そうか。このおっさんは死んじまったのか。『何故?』なんてのは無粋だな。分かりきっていたことじゃないか。おっさん
その疑問も一瞬で晴れた。どっちに転んでもこいつはここを襲撃していただろう。なら、俺のせいではない。そう考えると少しは気が楽になった。そしてそれと同時に俺の中に黒い感情が生まれた。
皐月「お前は馬鹿か?俺がお前に従うわけねぇだろ」
瞬「!?」
俺の答えに心底謎だと言わんばかりの表情を表す。
瞬「なん……で?君を縛っていた警察の人はもういないんだよ?君はもう自由だ!その自由はたった今
皐月「利害が一致しねぇからに決まってんだろ。俺達は利用し合っていたに過ぎない。俺は金のために、おっさんは事件の解決のために。でもお前は俺に何か対等の『なにか』をくれるのか?何もねぇんなら俺は協力なんざしねぇよ。
瞬「くっ!」
俺の最後の言葉が聞いたのだろう。笑みは消え、怒りの表情が見て取れた。自由を与えたと言いながら俺を縛ろうとしていたくせに、自分の思い通りにいかないからと言ってキレるか。救いようがねぇ。
殺人鬼はナイフを構え、殺気を放った。空気が一瞬で変わった。俺を仲間に引き入れることを止めたらしい。
皐月「さぁこい。俺とお前じゃ勝負にもなんねぇからよ」
俺は右手に電撃を集中させた。これを放ればこいつは
瞬「……へへ、へへへへへ」
殺人鬼は奇妙に笑いだす。なんだ、こいつ。とうとうおかしくなったのか?いや、元から可笑しかったか。
皐月「どうした、死を前にしてぶっ壊れたか?」
瞬「君は何もわかっていないんだなぁって思ってさ」
皐月「あぁ?」
挑発のつもりなのだろうか。それともブラフか?色々考えているとふと殺人鬼に違和感を覚えた。
瞬「
殺人鬼の指をさした場所を見た。決して俺の後ろ側にある壁でもなく、俺自身に指をさしていた。その位置は……。
皐月「テメェ……
瞬「あっはっはっはっはっは!!!油断したね!僕の能力は僕自身と
不意を突かれた。予期せぬ攻撃。敵の能力の分析不足。高らかに笑う殺人鬼を見てそう思わざるを得なかった。一本取られた、と。
皐月「ぐっ……かはっ…………」
口から大量の血を吐いた。もう口の中は鉄の味しかしない。さっきまでとは立場が変わった。逆転されたのだ。俺の心臓には深々とナイフが刺さっていた。持ち手の部分が3㎝しか出ていなかった。つまり俺の心臓部には柄の部分も埋め込まれていた。俺は左胸から伝わる激痛で膝をついた。その瞬間、俺の視界には床と血まみれの靴が見えた。
瞬「へへへ……形勢逆転だね。これじゃあもう君は助からない。僕について来ればこうはならなかったのに」
そういいながら俺の左胸から微妙に飛び出ているナイフの持ち手部位分に触れ、そして自分の手元に瞬間移動させた。大抵は引き抜かれれば痛みが伴うものだと聞いていたが引き抜かず、ただ移動させただけだったため痛みはなかった。だが、刺し口から大量に出血した。血の気が引いていく。滝のように流れ落ちる俺の血を眺めながら俺は殺人鬼を見上げた。
皐月「………一本、とられた…ぜ」
瞬「……ふーん、そんだけ?じゃあ、ばいばい」
そういった瞬間、殺人鬼は俺の首にめがけてナイフを横に振った。
そこで、俺は意識を手放した………。
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……終わった。ようやく、僕の邪魔をするやつらを片付けられた。あのおじさんはむかついたな。偽善者の分際で彼のような超能力者を利用するなんて。まぁもう死んじゃったから関係ないんだけどね♪
それにしてもこの彼はどうして僕の味方になってくれなかったんだろう。同じ能力者なのに、同じ境遇のはずなのに。やっぱりあのおじさんに洗脳されてたのかな?
皐月『お前は馬鹿か?俺がお前に従うわけねぇだろ』
くっ、思い出しただけで忌々しいよ。僕を、この僕を馬鹿扱いするなんて。僕のやっていることは能力者にとって大切なことなのに。差別のない平和で秩序ある世界を作りたかっただけなのに。僕の親から始まった。僕を化け物扱いして、無い者扱いした僕の両親。一瞬にして首を刈ったけどね。その時の快感ときたら最高だったなぁ。その次は教師、親戚、僕を化け物扱いした連中を全員殺した。手段は同じ。ナイフを横一線。復讐の後は社会の変革のための前準備としての人殺し。確かこのころにはもう殺人に対する快感に歯止めが利かなくなってたんだっけ。うん、素晴らしい感覚だったからね。でもただ殺すだけじゃつまらないから僕の名字「渦巻」に因んで東京を中心に螺旋を描くように殺していったんだっけ。僕の証明になると思ったからね。悪い気は全くなかった。むしろ僕が社会を変えていく「本物」なんだと思った。だってそうでしょ?こんな特別な力を持ってるんだからさ。
瞬「まぁ、その特別な力を持った人の一人を僕自身が殺してるんだけどね」
僕は殺気斬った彼の死体を見ながらそう呟いた。彼の能力はなんだったのだろうか。多分
瞬「おっと、もうこんな時間。もう眠る時間だ」
どうやら今回の件で深く考え事をしていたらしくいつの間にか6時間ほど経過していた。そういえば若干記憶も断片的だなぁ。もしかしたらちょっと寝ちゃったのかもね。さぁて帰ろうかな♪今日は大金星。今日の夕飯はすき焼きにしようっと。
僕は死体を放置してそのまま僕の隠れ家に帰った。
―――――――――皐月が飛ばされるまであと7時間――――――――――
次回まで気長にお待ちくださーい