???「嗚呼、とうとう来たのね。月の使者たちが」
「ううう……」
???「ご老人、早く離れるんだ!邪魔立てするなら……」
???「やめて頂戴。彼らは私を育ててくれた方々です。いくらあなたたちでも容赦はしないわ」
???「も、申し訳ありません……」
???「さぁ行きましょう。これ以上は悲しいだけです」
???「ええ、そうね***」
***「ええ」
これは俺達が出会う前の出来事。様々な諸説があるが、最終的にはここまでしか描かれていないとある物語の終焉。そう、おとぎ話の中ではここまで。現実は……違った。
――――――――――――――――――――――――
時空を超える。そんな出来事は普通ならあり得ない。だが憧れた人は少なからずいるのではないだろうか?時間を操り、空間を超え、過去、未来へ行ってみたいと夢見たことくらいは誰しもある事。しかしそれは有り得ない事で、ただの夢物語。タイムマシンなんてものがあるわけでも狸型ロボットが来るわけでもない。そんな幻想だったはずだ。
皐月「………なーんでこんな山奥にいるのかね俺ってば」
私こと神条皐月は先ほどまで東京の警視庁捜査本部の真ん前に居た筈だ。それなのに何故俺はこんな森の中にいるのだろうか。空は晴天、雲一つない朝起きてこんな空が見えたらなんて気分のいい話なんだ。だが今の俺はそんな気分ではない。不機嫌極まりない。
何故俺がこんなことになったのかと言えばあの殺人鬼のせいだ。死に際に俺を
皐月「ここマジでどこだよ……今の俺じゃ空を飛ぶのもままならねぇんだけど」
見渡す限りに木!木!!樹!!!完全に森!!!!ふざけんな!なんて日だ!!って叫びてぇレベル。といっても何か出来るかと言われたらなにも出来無いのも事実。かと言って今寝たら確実にクマに襲われそう。一先ず下りよう。幸い歩行くらいなら難なく出来るみたいだし。どこ着くか分からないけどとりあえず歩かないと何も始まらんからな。
――――――――1時間後――――――――
「ここまでおいでー!!」
「待ってよお兄ちゃーん!」
「実はよぉ……」
「ほへぇ……」
なんと適当に直進したらまぁまぁ賑わっている村に着いた。まぁ見渡す限りの木造建築、猪らしき死骸……というか肉。熊肉、鹿、茸なども見えた。ふむ、どうやらここには売り物もあるらしい。村ってそういうのなさそうなイメージだったからなんか意外だ。呆気にとられた。つーか……。
皐月「男だらけやん……」
外に出ているのは全員男。多分ここは農村なのだろう。と勝手に結論付けた。女性は家事をしている!と勝手に決めつけることにした。
???「お兄ちゃん誰?」
全く気配に気が付かなかった。どうやらボーっとしていたらしい。目の前の女の子に気が付かないとは。
皐月「神条皐月。君は?」
俺は淡々と自分の名前を言った。というかこいつ俺が怖くないのか?自分で言うのもなんだが結構キツイ目つきしてるぞ俺。なのにコイツ全くビビってねぇ。すっげぇ新鮮だわ。
???「え、さやだよ」
なんで今コイツ「え?」って言ったんだ。自分の名前そんなに名乗るのって不思議なのか?あ、そうか。小さな村だからそういう機会が少ないのか。
皐月「そうか、じゃあさや。ここはどこだ?道に迷っちゃってさ」
嘘は言ってない。実際迷った結果ここに来たわけだしマジでここ分かんないし。
さや「ここは都の近くの村だよ」
都?……とするとここは京都か?なんでまた京都なんて……。まぁいいや。それが分かれば十分だ。
皐月「そっか、ありがとな」
お礼を言って立ち去ろうとしたら袖を引っ張られた。
さや「ねぇ、お兄ちゃんって旅してるの?」
皐月「ん~まぁそんなところだ」
またまた嘘は言ってない。時空を超えて強制時空旅行をしてきたとこだ。島流しともいう。……帰れたら奴のアジトすべて燃やしてやる。
さや「すごーい!!ねぇねぇ、東にはどんなものがあるの?」
また純真無垢な言葉を投げかけてくる。参ったな。俺が知ってる知識って現代の事しかないぞ。マジで困った。悩みに悩んでいると村の奥から叫び声が聞こえた。
皐月「……なんだありゃ」
その方向を見ると………。
「gugyaaaaaaaaaaaa!!!!」
超巨大熊。なんかやべぇ雄叫びあげてるし。何あれ、昔の日本ってこんなヤバいのいたの?ちょっと学者さん?そういうのちゃんと本に出版しといてくんない?
「いや、いやぁぁぁぁ食べないでぇ!!」
超巨大熊(推定3m)はどうやら肉食獣らしい。熊にしては大きい気がするが……って分析してる場合じゃないな。あれを止めればもしかしたら一泊くらいは泊めてくれるかもしれねぇ。俺は足元に落ちていた石を熊めがけて投げた。路地にいる人でも食おうとしていたのだろう。見事に熊の穴に命中し、こちらに向いた。
皐月「おーおー、怖ぇ面してんなぁ笑笑」
さや「お、お兄ちゃん何してるの!?熊こっちに来ちゃうよ!」
ものすごくおびえるさや。いや、それが俺の目的だし、それに俺には能力が………使えないんだった。…………やべぇ。
皐月「走るぞさや!!」
さや「え!?」
俺はすぐ様さやを抱き上げて全力で走った。それを逃がすまいと追いかけてくる熊公。ちょっと待ってお願い武器をください!!!
皐月「誰でもいいから武器をくれぇ!!斧でも刀でも槍でも何でもいいからくれぇ!」
しゃべりながら走ってるのと元々体力を消費しているのもあってかなりきつい状態にあった。するとさやが何かを叫びだした。
さや「そこ曲がったら確かおじちゃんが使ってた斧が……」
皐月「でかしたさや!!!!」
某吸血鬼マンガ並のご都合主義をありがとう。ありがたく使わせてもらおう。
皐月「とりあえず俺の後ろから離れんなよ。でも、目は瞑っとけ。かなり気分の悪い絵面を見ることになるからな!」
そういいながら斧を手に取ってさやを降ろした。そのタイミングで熊公は俺達と相対していた。俺は斧を構えて、隙を窺った。斧はどうぶつの森で見るような斧だったからかなり扱いやすそうだ。一発で決めてやる……。
「gyaaaaaaaaaaAAaaaaaa」
雄叫びとともに突っ込んでくる熊公。恐らく俺の持ってる斧ごと腕を食いちぎる気だろう。しかし……。
皐月「甘いぞ熊公!」
俺は右から左に一気に斧を振り上げた。切れ味が良かったのだろう。熊の腕はスパッと斬れ、そのまま首に入り、そのまま首を刎ねた。
鮮血が飛び、そのまま熊の身体は地面に沈んだ。
皐月「………ふぅ。もう目を開けていいぞ」
さや「え、倒したの!?お兄ちゃんすごーい!!」
え?目の前にこんなショッキングなくらいに血が流れてるのにその反応なの?この時代の子供って強いな。
気長にお待ちください