東方新記伝   作:黒鉄球

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 どうも黒鉄球でござんす。何日ぶりだろう、これ投稿するの。


第五十六話 永夜異変十ノ三話 : 養う

 

 

 さやの親父さんから村の事情を知ってから一晩明けた。寝ている間もしっかりとそのことを考えていたせいか半寝半起きの状態で朝を迎えた。身体は若干重いが大した問題はない。問題はそこじゃないからだ。今能力が使えるか(・・・・・・・・)が問題なのだ。俺は右手に力を入れて電撃を出そうとした。すると右手の指先が火花を散らした。どうやら少しは使えるようだ。

 

 皐月「ふぅ……相変わらず使い勝手の悪い能力だなこれ」

 

 俺の自動再生(オートリバース)はかなりの体力を使うからか使用後は能力の使用が制限されるのだ。そしてそのまま継続して能力を使うと空っぽになる。10Lのペットボトルに入った水があるとしよう。本来の俺ならペットボトルの中身は減りにくい。針の一本ほどの穴から水が出る程度の減少しかない。だが、あの能力が発動するとその穴が一気に広がって中身がなくなってしまう。素寒貧……とまではいかないがそれに近い状態になる。その状態のペットボトルにとって針の一本ほどの穴は致命的だ。すぐに栓をしないと本当になくなってしまう。感覚的にはそれが一番近い。まぁ何が言いたいかというと体力の消費が多すぎるという事だ。なのにそんなの知るかと言わんばかりに肉体だけは再生するのだから勘弁してほしい。

 

 皐月「何しようか……情報収集?も悪くない。正直色んな人から話は聞いた方がいいだろうし。もしかしたらここ周辺の集落にも同じ被害者がいるかもしれない」

 

 朝からこんなことは考えたくないが致し方ない。この村には飯という仮がある。それは返さねぇと俺の信条に反する。借りたものはきちんと返さないとな。

 

 『がーっはっはっはっは!!!』

 

 俺はふとあの刑事のおっさんの事を思い出した。つい先日まで俺は東京にいて、そしてあのおっさんは目の前で死んだ。犯人を倒したのはいいが、死んだことには変わりない。そして現在、何年ともしれない時代に飛ばされた。まったく、こういう時は軽快笑った方がいいってか?なぁおっさん。

 

 さや「お兄ちゃん……?起きたの?」

 

 どうやら考え事をしているうちにさやが起きたらしい。こんな朝早くから起きるなんて社畜か?その年でもう社畜とか死にたくなる。あ、俺も起きてるんだった。死にてぇな。あ、俺死ねないんだった。

 

 皐月「あぁ、ちょっと散歩しようと思ってな。とりあえず顔洗って来い。めちゃくちゃ眠そうだぞ」

 

 まだ目が細いさや。ふらふらしながら井戸に向かうさや。……落ちねぇか?大丈夫かあいつ?まぁなんかいつものことっぽいし別に問題はないか。それじゃあ俺は能力テストのために森に行きますか。

 

 皐月「俺は少し森に散歩してくる。30分くらいで帰ってくるから」

 

 井戸の方角から「いってらっしゃい」と聞こえたのですぐに森へと足を運んだ。

 

 森へ入るとやはり朝方で暗いからだろうか、かなり不気味な雰囲気が漂っていた。幽霊でも出て来るんじゃないか?そんなことを思いながら右手に力を入れて順に雷、炎、水、風、土、木、と自然界にあるものを使った。結果は………

 

 皐月「微妙すぎる……」

 

 雷は人を短時間しびれさせる程度、炎は火の粉、水は強めのシャワー、風はそよ風、土は拳ほどの大きさの石、木に至っては苗木しか生えなかった。何このクソ能力。回復する代償デカすぎるだろ。こんなんじゃ熊も殺せないぞ。なんだよシャワーって。水圧弱すぎるだろ。「キャー冷たい」くらいしか感想でないじゃねぇか。あ、でも水使った後に風使えば凍えさせることはできるか。なにその微妙な嫌がらせ。

 

 皐月「……帰ろうか」

 

 帰ろうと決めて村へと踵を返したら木が軋む音がして、草が動く音がした。そちらの方向へ振り向いたらそこにいたのは……。

 

 「ぐおおおおおぉぉぉぉooooooo」

 

 熊だった。いやちょっと待てなんでコイツ此処に居んの?数奇すぎんだろ俺の運命様。

 

 皐月「やべぇ超逃げてぇのに逃がしてくれる雰囲気じゃねぇ絶対喰う気だこいつ」

 

 ……応戦しかなかった。熊相手に手ぶらなのは危険だが幸い俺の能力は嫌がらせ程度には使える。それを試行錯誤し、臨機応変に使えれば多分勝てる!!

 

 熊「GUGYAAAAAAAAAAAAAaaaaAAaaaaaaaAaAAAA!!!!!!」

 

 熊は一気に前方に飛びかかり、俺は間一髪で躱した。………応戦とか無理だろこれ。俊敏すぎる。大きさにして2m。子供なのか大人なのか分からんがこいつは今血気盛んな時期にいるらしい。そんな奴相手に人をしびれさせる程度の電撃?効くわけねぇだろ。もう詰みなんだよ。ゲームオーバーなんだよ。マリオの残機99個でも無理があるレベル。いうなれば巨大クッパ相手にミニマリオで挑めと言われているものだ。しかも警戒心むき出しだから逃げることも出来ない。

 

 皐月「……こりゃあ腹括って応戦か。腕の一本は覚悟しようか」

 

 腹を括って熊に一歩近づいた。熊はそれに反応したのか右回りに動き出した。どうやら隙を窺っているらしい。流石は森のハンター様だ。よく分かってらっしゃる。俺は右手に今出せる全力の電撃を纏った。人を短時間痺れさせる程度だが、もしかしたらコイツに有効な一手があるかもしれない。などと考えていると熊は大きく前足を踏み出した。

 

 熊「ぎゃおおおoooooooaaaaAaAAAA!!!!」

 

 確実に、そして的確に俺の腕を狙っていた。食いちぎろうとしていた。俺はとっさに右手を前にだし、そのまま振り切った。

 

 皐月「あ、当たった」

 

 運よく俺の拳は熊の眉間を的確に打ち抜いたらしい。よく見てなかったからわからないが。そして熊はぴくぴくしていた。電撃も脳に近い部分で受けたからか効いたようだ。

 

 皐月「………帰ろう」

 

 俺はこの後どうするか考えるのも面倒になったので村に戻ることにした。

 

 村に戻り、さやの家へと帰ってきた俺はさやが用意してくれたご飯を頂いた。多分こいつはいい嫁さんになるなと思ったのは内緒だ。食事を終え、俺はすぐさま昼寝をした。正直やることないし今は英気を養う方が重要だ。さやの母ちゃん、及び村の女性たちの救出には俺の能力は必要不可欠。俺は昨晩それを誓った。それが俺の今の目標、そして現代に帰る手がかりをつかむ。まだ報酬は貰ってない。もらわんと割に合わないからな!

 

 

 

 




以上でーす。え?必要なかったんじゃないかって?一応ですよ
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