人はある目的のために頭で考え、行動するものである。しかし、ある時には頭より先に行動をとる人間もいる。だがある時は自由気ままに、心の赴くままにぶらりと歩くこともあるだろう。しかし、結局のところそれは何かの目的のために歩いているのではないかと思う。俺曰くそれは時間つぶしである。しかし時間つぶしも立派な目的であると思う。ゴールが見えているとその道筋での出来事や風景にも目を向けることができる。つまりぶらり旅も悪くない。ないのだが……。
「はやくどっかの小屋でもいいから入りたいのだが」
「ちょっと待ちなさい。あともう少しで小屋に着く……はず…だから」
「輝夜に任せた私が愚かだったわ……」
-------遡ること1時間前-------
名前を聞いた後、俺たちは今後どうするのか話し合った。
「これからどうする。俺としてはとっととここから離れたほうがいいと思うけど」
「私も同感よ。このままここにいたら追っ手にしっぽを掴まれかねない」
「なら今すぐ移動しましょ。私の勘がこの先に宿があるって告げてるわ」
「待てなんだその不明瞭な移動宣言。迷子になりかねんぞ」
「待ちなさい。私は天下の輝夜様よ?この勘に間違いはないわ!」
「……従いましょう。こうなると輝夜は止まらないから」
「おいおい……、まぁいいか。全権任せるから頼むぞ輝夜」
「任せなさい!!」
―――-------回想おわり--------――
この時の俺を殴ってやりたい。おかげで森の中で迷子だ!
「おかしいわね……確かにこっちに宿がある気がしたんだけど」
「どう見ても森なんだが?というか山の中なんだが???」
顎に手を当てながら言う輝夜に即座にツッコミを入れる。おい見ろよ、永琳なんて完全に呆れて何も言ってないぞ。ダレカタスケテェ……。
「まったく、あなたという人は何をやってるんですか。バカなんですか?怒りますよ?」
おっと呆れてるどころじゃなかっためっちゃ怒ってた激おこぷんぷん丸だった。だってちょっと目つき怖いもん。
「だ、だってあなたたち私に判断委ねたじゃない!」
「それはあなたが何を言っても聞かないから仕方なくよ。だって自信あったんでしょ?」
「うっ……」
やめてあげてほしい。ここまで来るといじめにしか見えない。完全にウサギと虎だよ。かわいそうすぎる。
「しょうがねぇ。野宿するぞ」
「は?何言ってんの?この私が野宿なんてするわけないじゃない」
即答で返された。今のはさすがにカチンときたぞ?「何をバカなことを言ってるの下等生物は」みたいな顔すんな。原因お前だからね?
「もういいかしら?今から宿行くわよ」
「……は?」
永琳がとうとう頭おかしくなったのか宿に行くとか言い出したぞ?今宿探して迷子になってんだぞ?早々見つかるわけないだろ!
「お前今迷子なのわかってる?」
「いいからついてきなさい。そこ右にまっすぐ進んだら小さな小屋があるはずだから」
そういって永琳が歩き出した。このままあほやっててもおいてかれるだけだしついていくか。進むこと30分。なんと本当に小屋があった。きこりが住むような小屋。カントリーな家具シリーズに見えてきた。
「さっすが永琳!今日も地面で寝ずにすんだわ!」
そういいながら小屋を開けて中に消えていった
「お前ああなることわかってやがったな」
「もちろんよ。何年あの子に付き添ってると思ってるのかしら」
当たり前のことよ。と言いたげな顔をしていた。どうやら輝夜はいつもああいうことを言っては迷子になって永琳に助けられているようだ。なんというか……。
「お前ら親子みたいだな」
「あら、私そんなに老けて見えるかしら?」
違いますそういう意味で言ったわけじゃないですだからそのこぶしを下ろしてくださいお願いします。そんなに気にするものか?普通に美人なのに
「ふふっ、あなたって結構いじられ屋なのかしらね」
いたずらな笑みを浮かべる永琳。この時俺はどんな風に感じ取ったのだろうか。自分自身に多少の違和感を持ったが……悪くない感情だった。
「俺はMじゃないからいじり屋だ」
「誰もそんなこと言ってないでしょ」
少しここで報告です。この作品のリメイクを作ろうと思っております。話の流れはそのままですが内容があれなので内容を練っていこうかなと思います。次回はリメイクの一話でお会いしましょう。