血を受け継ぎし者   作:怠惰のクソ悪魔

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こんばんは読者様、そしてまた今日から投稿を開始する怠惰のクソ悪魔です。それと玲音の話は恐らく次回かその次で終わりとなりますのでよろしくお願いします。では本編へどうぞ。


第20話 リ・スタート

紅魔館を襲った炎に事件から約2週間が経過したこの日。レミリアは親友のパチュリーと共に移り変わる景色を眺め感じるためにテラスにいた。

 

レミ「駄執事お茶を持ってきて頂戴」

 

パラソルテーブルで日光は当たらないとはいえど座っていると喉が乾いてきた来たため玲音に紅茶を頼むのだが、

 

レミ「あれ…こないわね?」

 

パチ「レミィ………」

 

一向に玲音が来ない。何故だと思っていると咲夜が紅茶のセットを持ってきた。

 

咲夜「お嬢様…その玲音は……」

 

レミ「あっそう…だったわね……」

 

折角の雰囲気を台無しにしてしまった。もう玲音が死んでからかれこれ2週間が経過したが未だに自分を含めて館の住人達の心の傷は癒えないでいた。

 

咲夜「お嬢様パチュリー様…紅茶です」

 

そう言い咲夜は紅茶を目の前に置く。色合い香りからしてダージリンティーだろう。

 

レミ「頂くわね」

 

パチ「はぁ………」

 

パチュリーと共に紅茶を飲む。咲夜の紅茶の作り方そして入れ方は美鈴から玲音そして玲音から咲夜へと伝授していったために味は似てはいるのだがやはりほんの少しだけ違う。

 

レミ「………咲夜どう?ここ最近は」

 

咲夜「えっえぇと館を広くしたので少し掃除が

   大変にはなりましたね?」

 

レミ「そう………」

 

玲音がいなくなって数日後、気分を変えるために咲夜の能力を使って館を歪ませ更に広くしたのだが逆に咲夜の負担が大きくなったみたいだ。というか話が盛り上がらない。

 

レミ「気まずいわね………」

 

咲夜「そうですね………」

 

パチ「はぁ…見てらんないわ……」

 

そう言うと本を畳んでパチュリーは立ち上がり赤いふちの眼鏡を外しながら、

 

パチ「そろそろ駄執事の墓の花を交換しに行か

   ないレミィ?」

 

レミ「………そうねそうしましょうか♪」

 

無理にでも顔を笑わせて自分を元気付ける。でないと気持ちが沈んでしまう。

 

咲夜「なら日傘を用意しますね」

 

レミ「それから咲夜!美鈴や小悪魔にも伝えて

   きて頂戴♪………本当ならフランも連れて

   行きたいけどあの子は………」

 

咲夜「かしこまりました」

 

そう言うと咲夜は一瞬で消える。とりあえずすぐに行けるように玄関へと向かうのだった。玄関に向かうと咲夜に美鈴そして小悪魔が来ていた。

 

レミ「早いわね」

 

美鈴「少しで綺麗な花を見せてあげたいですから

   ね」

 

コア「パチュリー様その喘息は大丈夫ですか?」

 

パチ「えぇ今日は気分が良いのよ♪」

 

レミ「とりあえず早く行きましょう…咲夜」

 

咲夜「はい」

 

玄関を開けると咲夜が日傘を指してくれる。その影に入りながら紅魔館の裏側へと向かう。そこはこれまでの歴史と言っても過言ではない程の無数の墓という歴史がある。自分の両親も含めて先祖や先代のメイドや執事などもいる。その無数の墓が立ち並ぶ一角の墓。それは墓標もそうだがその隣にはガンブレードが突き刺さる墓つまり玲音の墓だ。

 

レミ「2週間でもう蔦が伸びてきてるわね」

 

美鈴「本当ですね掃除しましょうか」

 

美鈴が屈んで蔦をむしり取りその間にパチュリーが枯れた花を新しい花に入れ変える。

 

レミ「綺麗になったわね」

 

綺麗になった墓を皆は見る。見ているとついつい涙が出てきそうだ。そうして墓をずっと見ていると、

 

パチ「レミィそろそろ」

 

レミ「えっ?」

 

よく見てみるともう日が沈みそうになっていた。どうやら何も考えずに墓を見続けたために時間を忘れてしまっていたようだ。

 

レミ「………咲夜その傘を貸して頂戴」

 

咲夜「えっ?はっはい」

 

咲夜から傘を貰い自分の手で傘をさすと、

 

レミ「皆は先に行ってて頂戴」

 

パチ「………分かったわ行きましょう」

 

パチュリーの一言で皆は先に紅魔館へと向かっていった。そして自分はもう一度、玲音の墓を見る。

 

レミ「…………………」

 

墓を眺め2週間以上前の事を思い出す。最初の出会いから執事へとなったこと。それから私達の事を家族と思ってくれたこと。よく喧嘩もしたけれどもう二度と戻ってこない日常を思い出すごとに涙が溢れてくる。

 

レミ「何故…何故いなくなってしまったの……

   玲音貴方がいないと寂しいじゃない」

 

何時もとはもう違う日常がこんなにも悲しいとは思わなかった。悲しいし何よりも寂しいし恋しい。

 

レミ「玲音………」

 

墓石に涙がポロポロと落ちていく。また会いたい。また下らないと言われるかもしれない喧嘩をしたい。そんな事を思っている瞬間だった。

 

ピシッ!ドゴーーーーン!!

 

突然、墓石が爆発し巨大な蒼い炎の火柱が上空へと向かって放たれた。これには腰を抜かして驚いてしまう。すると、

 

咲夜「お嬢様!!」

 

パチ「これは!?」

 

美鈴「蒼炎の柱………まさか!」

 

コア「皆さんあれを!」

 

小悪魔が指差す火柱の中に人影が出てくる。その人影は見た感じ背丈的には男性だった。しかも自分が一番会いたいと願った人物そのままだ。そして炎からゆっくりと手が伸びてくると自分の頭に手を置いて、

 

? 「聞こえたぜお嬢その声を」

 

この頼れるような声に優しく撫でる手。いつの間にか悲しみの涙は喜びの涙に変わっていた。そして火柱が消えるとそこにいたのは自分が会いたいと願っていた産物だった。

 

玲音「ただいまお嬢♪それに皆♪」

 

それはレミリアも含めて会いたかったもう会えないと思っていた玲音だったのだ。これには驚きと嬉しさの涙が入り交じってしまった。

 

レミ「っ!このバカ!!私は皆はどれだけ………

   どれだけ泣いたと思ってるのよ!」

 

玲音「あっあぁ~何か悪いな」

 

と、玲音もとい自分は申し訳なく言う。しかも何故か皆さん涙目で此方を見てくる。

 

レミ「本当…本当に泣いてグズッ!損したじゃない

   駄執事♪」

 

レミリアは笑顔で言う。壊れたのかと思うがそんな事を追求して考える間もなく皆がと近寄る。

 

咲夜「本当に玲音なのよね!」

 

玲音「……そうだけど?」

 

咲夜よ俺以外にも誰がいるというのだ。

 

コア「体がある!」

 

玲音「いやあるだろ!?」

 

小悪魔それは失礼だろ。しかし死ぬかと思った瞬間に体が灰になっていったために言っていることに間違えてはいないが、

 

美鈴「気も玲音さんそのものだから本物ですね」

 

玲音「いやだから俺だって!?」

 

しつこく皆は自分の体をペタペタと触りながら不思議な目で見てくるが、

 

パチ「でもどうやって………だって封印は失敗した

   筈なのに?」

 

玲音「それを含めて説明するがベリアルと再度の

   契約をしたんだよなこれが」

 

それを聞き皆は顔を真っ青にした。だがこれはどうしても伝えなくてはならない。

 

レミ「あんたそれ同じ過ちじゃないの!」

 

玲音「だが今回は俺が出来る限りで有利な条件

   で取引してきた俺が呼ばない限りは絶対

   にお前らの前では顔は出さないついでに

   俺が生きるための自由も勝ち取ってきた」

 

美鈴「そうなると大丈夫なんですよね?」

 

玲音「あぁ一応はなただベリアルはある事を望ん

   だからその望みは叶えてやらないといけな

   くはなったけどな」

 

パチ「それってまさか………」

 

パチュリーはどうやら知っているみたいだが皆はよく分かっていなさそうなため、

 

玲音「あぁ七つの大罪と呼ばれる悪魔それもアス

   モデウスを除いた6人の魔王の抹殺をする

   協力だよ」

 

コア「れっ玲音さんそれ下手したら!?」

 

玲音「だが奴等がもし出てきたらだそれに期限は

   ないんだとさ」

 

パチ「そっそう………」

 

皆は恐らく七つの大罪だけは出ないでくれと望んでいるだろう。それは自分も同じことだ。もう彼女達を傷つけたくはない。

 

レミ「ねぇ駄執事…教えて頂戴……貴方はそこま

   でして何でまた現世にきまぐれかしら?」

 

何故また現世に甦えったのかってそんなの決まりきっているだろう。

 

玲音「きまぐれ……何かじゃない…お前らの事が

   忘れられなくて結局戻ってきちまったん

   だよ………言わせんな恥ずかしい」

 

それを聞き皆はニコやかに笑う。そして、

 

レミ「そう………ふふっ♪お帰り玲音執事長」

 

咲夜「おかえりなさい玲音♪」

 

美鈴「もう心配させないでくださいね?」

 

パチ「静かになったのにまた騒がしくなるわね♪」

 

コア「玲音さんおかえりなさい♪」

 

皆からのおかえりが心に染み渡る。もうこれには笑うことしか出来なかった。恐らくこんなに笑顔になれる事なんてないだろうと思えるぐらいの幸せな気持ちだ。

 

玲音「あぁただいま皆♪」

 

こうして玲音はまた紅魔館の執事という職務に戻っていったのだったが帰る際に咲夜の背中を見て、

 

玲音(……咲夜…悪いな俺はあんたを越えれる自信

   はねぇよ………)

 

そんな事を心に思いつつ自分は心にこの気持ちを秘めるのだった。




怠惰「お久々ですね皆様♪」

狗神「どうだったんだ四十九日とやらは」

怠惰「色々な親族が大集合したよね」

神楽「そうなんですか………」

鈴蘭「怠惰の親族か………皆揃って草を食べて
   そうなイメージ」

怠惰「それはどういう意味だ?まぁ確かに羊の
   悪魔だけど皆が皆で羊とは限らないから
   な?」

狗神「イメージしたくもないな」

怠惰「まぁイメージはしないほうが良いかもね
   そして次回はまたこっちを投稿するので
   よろしくね♪ではではそろそろ時間なの
   で今回はここまで!」

神楽「皆さんまた次回もよろしくお願い致します」

狗神「そんじゃあな読者様」

鈴蘭「またね♪」

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