漆黒の牙の辿る道は…   作:Pie

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 今回の話……なぜか前回よりも長い……。まぁ、問題は(多分)ないですよね!

 では、本編をどうぞ。


第7話 誘拐事件 下

 元は白色だったと思われる、黒ずんだコンクリートに覆われたぼろぼろのビル。

 どこにでもありそうな事務所風の建物だが、付近の住民たちからは最も忌避されている場所だ。さわらぬ神に祟りなし、と。

 そして、誰からも干渉されないが故にここ――桃巨会はどんどん巨大化していき、周りにあった組織はほとんど吸収され、あるいは潰された。

 桃巨会は今現在、あたり一帯の王者として君臨している。

 

 そして、そんな誰からも避けられている場所に人影が3つあった。組員、ではない。彼らは並盛中学の制服を着ていた。

 もう授業が始まっている今の時間帯に中学生がいること自体おかしな光景だというのに、彼らの纏う雰囲気がそりいっそう異様な感じを生み出していた。

 彼らの雰囲気、それは怒りから始まる敵対心。あるいは倒さんとする闘争心。

 

「さて、アジトについたわけだけど……どうする?」

 

 全面的にこの2人に任せると決めたヨシュアはとりあえず作戦を聞く。

 そんな問いに2人は建物をにらんだまま、何の迷いもなく言い切った。

 

「そりゃあ当然……」

 

「正面突破に決まってんだろーが!」

 

 作戦もくそもへったくれもないのか、と潔い2人の回答に頭を抱えたくなってくるヨシュア。普段は犬猿の仲よろしく(一方的に)いがみ合っているくせに、こんなところで息があってもらっても困るというもの。

 しかし、一度付き合うと決めたヨシュアはとりあえずそれに従うことにする。いざとなれば自分で何とかすればいいだけの話だ。

 先々進んでもう建物に入ってしまった2人を追いかけるようにヨシュアも走っていった。

 

 

 

 

「えらくぼろっちぃ入口だな」

 

 見下すように吐き捨てる獄寺にボンゴレは比較対象外だと言いたくなるヨシュア。

 ここは内階段を上った2階の部屋入口。何とも分かりやすいことに玄関左には“桃巨会”と書かれた大きな看板が立っている。

 

「とりあえず、荷物は邪魔になるから置いておこうか」

 

「だな」

 

 ここは礼儀正しい(?)中学生。通行の邪魔にならないように通路端のほうに荷物を並べる。

 ヨシュアは動きやすいようにブレザーを脱いでネクタイを外し、ラフな格好になって体を伸ばしていると一応声の控えられた怒号が聞こえてきた。

 

「てめーら、いい加減行くぞ!!」

 

 荷物もなく、手ぶらで来ていて暇を持て余していた獄寺の堪忍袋がとうとう切れたようだった。

 一通りの準備を終えていた2人はうなずき、獄寺はそれを見て入口の扉を勢いよく、ダンッと足で蹴り開ける。

 開いた扉の先には15人程度の驚いた顔が微動だにしないで並んでいた。動けないでいるチンピラたちの中で最初に正気を取り戻したのはこの中でリーダーと思われる男。

 男は動き出すなり近くにあったガタガタの椅子を蹴り飛ばす。ガシャン、と耳障りな音を立てながら床を転がって行った椅子が止まるころにはこの場にいる全員が我に返っていた。

 

「おいおいおい、坊やたち。ここがどこだか分かってんのか?」

 

 リーダー的男が獄寺達に近づきながらどすの利いた声で聞いてくる。同時に、他の組員たちも立ち上がり睨みを利かせながら近づいてきた。

 

「おれたち心ひれーからよ、とりあえず……」

 

 瞬間、リーダーの男が獄寺の頬に向かって直線状に、勢いよく、何の手加減もなしに殴り掛かってきた。そのこぶしは鋭く、速い。

 

「立ち上がれねーぐらいボロボロになったら帰してやるよ!!」

 

 獄寺にあたる、その瞬間。男の視界から獄寺が消えた。そして、次に男に襲ってきたのは腹部の痛み、浮遊感、背中の衝撃。目を開ければそこには天井と驚いた顔で覗き込んでくる下っ端どもがいた。

 何をされたのか、一瞬わからず呆けてしまったが理解した瞬間、見る見るうちに顔が赤くなる。怒りが、悔しさが、怒気が、屈辱が、烈火のごとく体中を駆け巡る。

 

「この程度かよ」

 

 獄寺が吐き捨てるように言う。

 

「ここって桃巨会であってんだよな?」

 

 山本が周りをきょろきょろしながら疑念を抱いた声色で言う。

 

「僕たちもとても心が広いのであなた方を青あざだらけにしてツナの所在を聞いた暁にはここから立ち去って差し上げますよ」

 

 ヨシュアは落ち着いた声で礼儀正しく意趣返しの如く言う。それが、とどめだった。

 激情が動き回りすぎて、入り込み過ぎて、行き場を失ってしまったのだ。風船に押し込められた空気のように。そして行き場を失った空気ははじけ飛ぶ。激情も同じだ。

 

「ぁぁぁぁぁぁああああああ!!

 なめやがって!!ざけんじゃねぇぞコラ!!てめぇら全員、やっちまえ!!!!」

 

 狂ったように叫び、喚き、怒号を上げ、雄たけびを上げた。組員たちはそれに同調して殴り掛かってくる。たかだか3人の中学生に、本気になって。

 

「死ねガキィィィィィ!」

 

 なんて醜い、なんて愚かだ。ヨシュアは軽蔑のまなざしで見ていた。

 ムカついたから、癪に障ったから、ただそれだけで考えようともせずすぐに暴力に訴える。

 

「そのすました顔、今にもぐちゃぐちゃにしてやっからな!!」

 

 まるで小物だ。ただのゴミ屑だ。まだ虫たちの方がいい仕事をする。

 

「余裕ぶっこいてんじゃねぇぞ、コラァ!!」

 

 彼らはただの、社会から追い出された、裏の人間にもなりきれない、雑魚たちだ。

 

「なんだよ、ビビッて声も出せねぇのかよ!!」

 

 そしてその立場を変える力がない無力者であり、変えようともしない怠慢者だ。

 

「てめぇ、聞いてんのかぁぁぁ!!!」

 

 本気を出すに、及ばない。

 

「おりゃあぁぁぁぁ!!!」

 

 右手から繰り出された顔面パンチを左に体を傾けて躱し、すれ違いざまに右手首をつかんで勢いよくひねる。自然と、男は空中できれいに一回転をした。

 ぐるりと回っている最中、ヨシュアはとどめの手刀を入れる。

 

「てめぇ!!」

 

 背後から聞こえてくる叫び声。気配で分かっていたヨシュアは少しも焦ることなく、男の攻撃が当たる直前にしゃがみ、右ひじを後ろに動かす。

 直後、右ひじのわずかな衝撃とともに男が腹を抱えて倒れていった。

 

「くそやろぉぉぉ!!」

 

 後ろからヨシュアの頭部めがけて振り下ろされる組まれた両手。

 何のモーションにも入っていない左手を即座に地面において右足で地面を蹴り左足で男の首とあごの間を蹴りあげる。

 男が後ろに倒れるのを確認する間もなく逆立ち状態のヨシュアは右手を地面につかせ、ばねにして近くにいた男のほうに飛び、着地した瞬間に腹に一撃を与えて気絶させた。

 

 これで計4人、倒したことになる。ヨシュアに向かってきたのは5人、つまり残るはあと一人。もう一人の気配のする方に顔を向けると、そこには今にも逃げ出しそうな程おびえている細身の男がいた。

 この程度でおびえるくらいなら裏なんかにはいない方がいい。そう思ったがそれを言うほど優しくないヨシュア。

 倒したばかりのチンピラの持ち物を探り、出てきた小型ナイフをちらつかせながら震える男に近づいていく。

 

「さて、前言撤回しましょう。青あざだらけ、あれは言い過ぎでした。あなた方は青あざだらけにするほどの価値もない。ツナの居場所を教えてくれさえすればあなたを無傷で開放します」

 

 ヨシュアにナイフを首に向けられて半ばパニック状態に陥る男。

 ツナなんて人間知らない、でも言わなきゃやられる、でも嘘を言ったら……?どうすればいい、何を言えばいい!?

 体を小刻みに震わせ目をそこらじゅうに動かす彼をヨシュアは冷静に見つめる。

 ヨシュアは今、自分がかなり残酷なことをしているということを理解している。ツナの居場所などヨシュアが一番分かっている。それでいて、怪しまれないように聞いているのだ。すべては自分の目的のために。

 相手にも分かるよう大っぴらに、首に向けるナイフに力を入れる。瞬間、男は慌てた様子で、震えた声で、早口に、矢継ぎ早に言葉を吐き出す。

 

「し、し、し、知らない!!お……オレは知らない!!!か、かか関与してないんだ!!う、上の奴らならきっと知ってる!!」

 

 追い詰められた彼が言ったのは責任逃れの言葉。しかも、自分の上役に当たる人物を身代りに置くというやり方。しかしヨシュアに責めるつもりは全くない。彼は交渉術など持ち合わせがないのだろうから。だからこれ以外に方法が浮かばない。

 とりあえず定石通りに進めよう、と決めたヨシュアは次なる言葉を紡ぐ。

 

「なるほど……。では、その“上の奴ら”は今どちらに?」

 

 ヨシュアの食いつきようを見て自分は標的から外されたと思った男の体は自然と震えを止める。でも、まだ安心はできない。男は早く解放してもらいたい一心で、必死に叫ぶ。

 

「そこの扉の中だ!!まちがいねぇ!!昨日の夜からずっとポーカーとか麻雀で遊んでんだ!オレ達はただの見張りみてーなもんなんだよ!!!本当だよ、信じてくれ!!!」

 

「……あの扉の中に残りの桃巨会のメンバー全員がいるんですか?」

 

「あぁ!そうだ!」

 

「だれか途中で部屋を出た人間はいますか?」

 

「いねぇ!あそこん中は冷蔵庫とか風呂とか便所とか、みんなみんなそろってんだ!足りなきゃオレらをパシリに使うしよ!!」

 

 これはすごい見事なタイミングだった。これで無駄な仕事をせずに、早く帰れるというもの。

 ここが引き際だと思ったヨシュアは男の首からナイフを離し、適当なところへ投げ捨てる。途端、男はうれしそうな顔をした。

 

「情報提供ありがとうございました。お疲れのようですし、ゆっくり眠っていてください」

 

 ヨシュアの言葉が終えるが早いか、男は気絶した。この男には悪いが変に意識があってもヨシュアからしてみれば面倒なだけなのだ。

 ほかの2人はどうなったのかとあたりを見回してみると、獄寺や山本も自分と似たようなことをしていた。

 

「いい加減吐けや、コラ!!」

 

「頼むから居場所教えてくれねーか?」

 

 あたり一面倒れたチンピラども。そして訊問している獄寺と山本。

 ヨシュアと違うことと言えば2人はツナの無事を知らないということ。そして、尋問されている人間はすでに意気消沈していてしゃべれる状況ではないということだった。

 ……尋問の意味がない。あまりにもなさ過ぎる状態だった。

 半分呆れながら早く面倒事を終わらせたいヨシュアは憐れみからではなく、決して情けからでもなく、2人を止めにかかる。

 

「2人とも2人とも、この様子だとこの人たち、もうしゃべれないと思うよ」

 

 急に現れたヨシュアに驚きながらも正論と思った獄寺は舌打ちしながら男を解放(投げ飛ば)し、山本も今気づいたのかあわてながら男を床に眠らせた。

 

「それと、君たち2人に朗報」

 

「十代目の居場所が分かったのか!?」

 

 急に食いついてきた獄寺に現金な人間と思いながらもとりあえず教えておく。

 

「うん。実はさ、なんでも彼らで終わりではないらしくてね。こいつらは下っ端なんだってさ。で、誘拐したのはたぶんこいつらより上の奴らね」

 

 朗報とは言えない朗報。というか、完ぺきに悪い方のニュースだろう。まだいんのかよ、とぼやく獄寺にヨシュアは言葉をつづける。

 

「まぁ、これはその下っ端の意見なわけでさ。なんでも話を聞くにその上の奴らって昨日の夜からギャンブル三昧らしくてね」

 

「へ?昨日の夜っておかしくねーか?だってツナが攫われたのって今朝の話だぜ?」

 

「そうそう、しかも昨日の夜から彼らは一度も部屋を出ていないらしい」

 

 これらからくる結論。それはつまり……

 

「こいつらは犯人じゃねーってことかよ」

 

 すごろくで言う、振出しに戻る、だった。ヨシュアから言わせてもらえばそのすごろく自体始まってなどいないのだが。

 

「じゃあ、結局犯人はだれになるんだ?」

 

「さぁ?そこまでは分からない。でも、少なくとも桃巨会じゃない。とりあえずここから撤退しよう」

 

 そういってヨシュアが扉のほうに進もうとすると、急に自動ドアの如く扉が開いた。

 

「大丈夫か!?助っ人に……」

 

 勢いよく、そしてかっこよく出てきた金髪青年ディーノの言葉は最後まで続かない。何せ目前に広がっているのはチンピラどもの死屍累々なのだから。

 予想外の光景で呆然としているディーノの横から人影が飛び出してきた。

 

「獄寺君!山本!ヨシュア!」

 

 慌てた様子で遅れて入ってきたツナに真っ先に反応したのは当然の如く獄寺だ。

 

「十代目!!ご無事でしたか!!」

 

 速攻でツナに近づいていく獄寺に続き山本も駆け寄っていく。

 

「なるほど。あの赤ん坊を差し向けて騙したんですね。申し開きはあとで聞くのできちんと考えておいてください。正当性があり、僕たちにも納得できる理路整然な内容でかつ簡潔に、短く……50文字以内でなければ認めませんよ」

 

 ツナのほうに行きがてらディーノに向かって囁くヨシュア。こんな面倒事を押し付けてくれたお礼である。

 ディーノは青ざめてしまったがそんなものは自業自得だろう。ディーノの高評価は残念なことにヨシュアは必要としていなかった為、ほうっておかれていた。

 

「さて、そろそろこんな物騒なところからは退散しようか」

 

「だな。まだ扉の向こうにいるらしいしな」

 

 この言葉を合図に部屋を出ようとした瞬間だった。バンッ、とうるさく、荒々しい衝撃音が聞こえてきたのだ。

 そしてその後に聞こえてくるのはジャラジャラという金属音。

 

「そうは問屋が卸さねえぜ」

 

 扉からぞろぞろと、先ほどのチンピラよりガタイのいい男たちが出てきた。手には金属バットや鉄の棒等々、先ほどの男たちは持っていなかった武器をそれぞれが所有している。

 

「ずいぶんとうちのをかわいがってくれたみたいだな」

 

 ど真ん中にたたずんでいるのは周りよりも人一倍凶暴そうな、そして一番覇気のある、なるべくしてなったというべき組長。

 さっきの奴等とはまるで次元が違う。これぞまさに、ヤクザだ。

 

「お前たちは下がってろ。大人の相手は大人に任せとけ」

 

 そういうなり数歩前に出てヤクザと面と向かうディーノ。

 いくらこの件の主原因とはいえ、ディーノは巨大なマフィアのボス。つまり相手と同格かそれ以上のはずだ。正直、かなり頼りになる。

 しかし、ヨシュアは一抹の不安が残っていた。それは昨日のディーノ来日の知らせとともに来た情報。それは、絶対に部下をそばにいさせなければならないということ。

 なぜ部下が要るのかまでは分からなかったが、今この場に部下がいないことは分かる。

 保険程度に物陰に隠れようかと思いヨシュアはそっとツナのかげに身を置いた。

 

「オレはキャバッローネファミリー十代目、ディーノだ。こうなったのはすべてオレの責任だ。悪かったな。全員の治療費と備品の修理費は払う。それで手を打ってくれ」

 

 ディーノの言葉に一瞬、沈黙が流れたがまるでその沈黙をかき消すかのごとくに笑いが起きる。それは紛れもなく相手を見下す汚い笑い。

 そんな笑いの中、組長の右側に立っている男が嘲笑いながら、まるで組の総意と言わんばかりに話し出す。

 

「はっ?ファミリー!?何わけのわかんねーこと言ってやがんだ?ココは日本だぜ?金はいただく。そしててめーらは帰さねぇ!」

 

 ヤクザたちは笑いながらディーノたちのほうに武器を向け臨戦態勢をとった。

 ディーノはまるで最初から予測していたといわんばかりに鞭を取り出し構える。

 

「交渉決裂か。じゃあ力ずくで帰るしかねーよな」

 

 「いくぜっ」と気合いの言葉を言ってかっこよくふるう。そして、瞬時にヨシュアは理解した。なぜ部下が近くにいなければいけないのかを。

 理由――それはディーノのふるった鞭はヤクザたちに、ではなく真逆のツナたちの方に迫ってきたのだ。そして……

 

「うがっ!!」

 

 獄寺に当たり、

 

「わ!!」

 

 山本に当たり、

 

「だっ!!」

 

 最終的にはありえないことにディーノ自身にも当たった。

 あまりのひどすぎる鞭さばきにあきれすら通り越して笑ってしまいそうになるヨシュア。自分のした攻撃が自分に当たるだなんて前代未聞。初心者だってそんなミスはしない。

 ツナが真っ青な顔で落ち込んでいるのを見たヨシュアは理解する。ツナはこのことを知っていながら忘れていたんだなぁ、と。

 

「ヒャハハハハ!!なんだ今のは!!アホだ!!自爆しやがった!!」

 

 嘲笑の渦を巻き起こすヤクザたちに、まぁ、今のは笑うほかないだろうなと思うヨシュア。

 今のディーノの攻撃のせいで獄寺と山本は少しの間使えなくなった。ディーノもついでに使えなくなったのは僥倖として、さて、これからどうしようかと考えていると思考を壊す雑音が入ってきた。

 

「こいつらみんな口をきけなくしてやれ!!!」

 

 その言葉を皮切りにヤクザたちが武器を構えて襲い掛かってきた。時間の猶予はない。

 そしてヨシュアにしてはかなり投げやりな結論を下す。さっきからずっと傍観しているあの赤ん坊に丸任せしよう、と。

 

「お助け~~~~~~~~っ!!」

 

 見る見るうちに血の気が引いていくツナを見ながらヨシュアは感じ取る。動いた、と。

 感知してから1秒と経たないうちに聞こえたのはガラスを突き破る音。それとほぼ同時に鳴る人の倒れる音。遅れてやってきた銃声。

 素人が聞いたら一発にしか聞こえないであろう銃声はしかし、ヨシュアの耳にはしっかりと3発分聞こえてきていた。

 

「リ・ボーン!!!死ぬ気でヤクザを倒――――す!!」

 

 3発、銃弾を食らったのはヤクザではなくツナだ。一つは額に、1つは右手に、一つは左手に。

 これが資料にあった死ぬ気弾か、と納得するヨシュア。資料によれば額に打たれたものは後悔があるときに限り、通常の倍以上で行動ができるとか。

 ただし、何事にも代償はつきもので後悔がなかった場合は死ぬし、死ななかったとしても今のツナのように下着のみの姿になってしまう。

 

「な……なんだあの手は!!?」

 

 そして、手の甲に当たればそれはゲンコツ弾となり拳が巨大化、パンチでの攻撃力がアップするというものだ。現に、あの拳に現在進行形で叩かれているヤクザは一様に、一発でノックダウンしている。

 しかし、いくら通常の何倍もの力を出せたところでやはり経験不足は否めない。ツナがヤクザに背後を許してしまったのだ。

 

「手助け……かな」

 

 ヨシュアが小さくつぶやいてツナの元へ駆け寄ると同時に爆音が鳴り響く。そして、煙が去った後に見えるのは焼け焦げ倒れたヤクザが1人。

 

「大丈夫スか、十代目!!」

 

 獄寺の攻撃か……と冷静に場を見極めながらツナの背後を守るように立つ。

 

「後ろはオレ達に任せろ!!」

 

 ヨシュア同じく、ツナを心配して駆け寄ってきた山本に同調するようヨシュアはツナに向かって頷き、直後、襲い掛かってきたヤクザを殴り飛ばす。

 そして、入口付近に大量の気配を感じ取ったヨシュアがディーノのほうに顔を向けるとツナの家の前で見た、黒ずくめの集団がいた。

 遅い登場だがいいタイミングではある。

 

「よっしゃ!!暴れるぞ!!」

 

 先ほどとは違う、華麗な鞭さばきで敵を圧倒するディーノ。ディーノの部下もいることによって実質今までの倍以上の戦力になり戦況は楽になった。

 そして、数分後には組長をはじめとする組員が全員床に倒れ伏し泡を吹いていた。

 

「よし、帰るか!!」

 

 いい運動した!!と副音声で聞こえてきそうなくらいさわやかな声で言うディーノ。なんとなくムカついてしまったヨシュアはイタリア語でディーノに冷静で穏やかな声で、鬼のようなことを言った。

 

『ところで、申し開きの言葉は考えましたか?まぁ、あれだけぼおっとしている時間があったんですから当然もうできていると思うんですけど』

 

 暗に、役立たずな時間が多いと罵るヨシュア。ディーノは先ほどまでの晴れやかな顔から一変、顔が固まり動きが止まる。

 

「ねぇ、ヨシュア。なんて言ったの?」

 

 何語すらわかっていなさそうなツナがディーノのことを横目で見ながら聞いてきた。ディーノの様子から気になったのだろう。山本も頭にクエスチョンマークを浮かべている。

 獄寺はイタリア語が分かるからか、ツナに教えようとした。しかし、ヨシュアはそれをギリギリのところで止める。

 

『獄寺ストップ。今回の事件の主原因ってこの人だから、これくらいのことしないと溜飲が下がらないんだよね。ツナに言ったら止められるから黙っててくれないかな』

 

 ディーノが原因、そう聞いた獄寺は思いっきり不機嫌そうな顔をする。

 

『跳ね馬のやろぉ……。よし、俺が許す。もっとやりやがれ』

 

『おいっ』

 

 まさかの獄寺の助長する発言に青ざめるディーノ。今、獄寺は気にしなくてもいい、などのことをツナと山本に言っている。

 止めるものなしとなったヨシュアは次々に、どんどん、様々な嫌味を言い募る。しかも、今までのストレスがたまりにたまっているせいか、普段の倍以上毒が盛られている。

 そして、唐突に、思いついたという感じでツナたちに言葉をかけた。

 

「あ、ツナたち、先帰ってていいよ。ディーノさん……だっけ。いろいろ気が合っちゃってさ」

 

「そっか。同じイタリア人だもんな!!んじゃ先帰ってようぜ、ツナ!」

 

「邪魔になるといけませんしね、十代目!」

 

「う、うん」

 

 満面の笑みでらしくないことを言う獄寺に首をかしげながら同意するツナ。瞬間、ディーノは青ざめる。そして、そんなディーノに対しヨシュアは満面の笑みでディーノに死刑宣告をする。

 

「それでは、ゆっくりお話ししましょうか」

 

 すでにツナたちの姿は目の前に存在しない。

 助け主を失い、まるで親に置いてけぼりにされた迷子のような顔をするディーノ。しかし、ヨシュアの辞書に容赦などという言葉は載っていない。

 

 その後、様々な形での嫌味により神経をすり減らしたディーノと、それに比例してさっぱりとした顔になるヨシュアが道を歩いていたらしい。

 ……ディーノが体よく、ヨシュアの憂さ晴らしの対象になったことは言うまでもないことだろう。




 では裏話ということで。これは次話に入れるつもりで書いたんですけどなんか本編に入れるにはちょっと……っていう内容だったのでやめたやつです。
 ただの企画なのでセリフのみ、しかも「」←これすらついていないというひどさです。推敲も全くされていない投げやりなやつです。これが嫌な方は読まないことをお勧めします……。

 というわけで先に連絡。長期滞在でパソコン二週間近く使えなくなるので次週、再来週はお休みします。

 それでは裏話です。ちょうど今話の続きです。ではどうぞ。

ツナのファミリーとして適任かどうかを見定めるためにやりました。迷惑かけて本当に申し訳ございませんでした。

だめですね。2文字オーバーです。

え?なんでだよ。ちょうど50文字だぜ?

特に断りがない場合、句読点はカウントするのが国語のテストの時の常識です。

なに!?

それにファミリーってなんのことですか?意味が分かりませんが……

あ!!えーとそれはだなぁ……まぁ置いといて!!
それじゃあ……

心の底から深く反省しております。申し訳ございませんでした。

だめです。

なんでだよ!?今回は50文字以内だぜ!!?

50文字以内と言われたら普通8割の40文字以上にするのが常識です。

それじゃあ……

こころの、そこから、ふかく、はんせい、して、おります。もうしわけ、ございません、でした。

バカにしていますか?
こんなあほらしい文章、幼稚園児でも書きません。

うっ、じゃあどうすればいいんだよ。

それを考えるのが反省というものですが……ツナの家に着いたようですし、まぁいいとしますか。

ほっ

ツナの家庭教師と言っていたあの赤ん坊にあとは一任するので。

はぁ!?待て待て、なんでそうなるんだよ!?
(おれが死ぬ!!)

なぜって……赤ん坊ですから、助言なんてしてもらえない相手でしょう?

そういうことか……っておいおいおいおい!

あぁいいところに。

どうしたんだ?

実はねヒットマンさん。このお兄さんは悪いことをしたのに反省の兆しが全く見えなくて。
それで50字以内っていう短い反省文を要求したのになかなか出来ないみたいなんだよね。
だからツナの家庭教師たる君に一任しようと思って。紙に書いてもらって明日ツナに持ってきてもらえばいいから。

分かったぞ。

まじかよ……

あら?新しいお友達かしら?

初めまして、ヨシュアと言います。お邪魔しています。

あらー、礼儀正しいのねー。お茶は飲めるかしら?

大好物です。

よかったわー。ツナの部屋で待ってて頂戴ね。

はい、ありがとうございます。

態度違いすぎだろ……

何か言いましたか?

いや、別に何も。

そうでしたか。迷惑をかけた人間の分際で何か失礼なことを言ったのかと思いましたが気のせいでしたか。それはよかったです。

……………………。

あ、ヨシュア!来たんだ。オレの部屋、こっちだよ。

案内ありがとう、ツナ。お邪魔します。


 以上です。次話はこの裏話の続き、ツナの部屋からです。それではまた。
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