漆黒の牙の辿る道は…   作:Pie

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 大分ほったらかしにしてしまいました……。ごめんなさい!!しかも今回短いです。次話はなるべく早めにできるよう努力いたします。
 それではどうぞ。


第9話 入院 上

 毎週の週初め、そして2連休の2日目でもある日曜日。いつもよりはゆったりと起きたヨシュアがカーテンを開ければ遮る物なしと光があふれこんでくる。見事な秋晴れだ。

 窓を開け新鮮な空気を入れた後、ヨシュアは背伸びをしながら今日の予定を組み立てていく。午前中はいつものひも切りを30分×6、間には走り込みも加えようか。じゃあ午後は筋トレと……といった感じに。一日の予定、というよりは修行の予定と言った方が正しいだろう。

 

 修行内容が一通り決まったところでヨシュアは日課である朝食作りに取り掛かった。

 冷蔵庫の中身を見て思い付きに、それでいて栄養バランスをしっかりと考えて手早く、器用に、丁寧に作っていく。その動きに一切の無駄は存在しない。

 早々に作り終えたヨシュアはきれいにさらに盛り付けダイニングテーブルに並べていく。不足がないことを確認し、今日も完ぺきなことを確めたヨシュアは早速食べようとした、が思わぬ邪魔が入ってしまった。

 それはヨシュアが作り出した静寂を見事に打ち壊す、機械音。つまりは携帯の着信音だった。少々不機嫌になりつつもひとまずプライベート用の携帯電話を手に持ち電話に出る。

 

「もしもし、どちら様でしょうか」

 

 見知らぬ電話番号だったため、名前一つの情報もくれてやる気のないヨシュアは自分の名前は一切言わず、穏やかな口調で聞いた。

 いくらプライベート用とは言え電話番号などそうそう教えないヨシュアはおそらく間違い電話だろうと思ったのだが、それが間違いだった。

 

「おう!ヨシュアか?おれおれ。ちょっと用事があってよ!」

 

 ものすごく聞き覚えのある声だった。名前を名乗らないあたり、少々どころではなく呆れてしまう。

 一種の意趣返しかと思ったがこの能天気男はそんなこと絶対に微塵も考えないと思い直し只の気分、あるいはノリ、あるいは本当に分かっていないで名乗っていないのだろう。

 

「おはよう、山本。ずいぶんと早いね。何かあった?」

 

 内心の葛藤は置いておいて、すぐさま返事をするヨシュア。電話番号はさしずめリボーンから聞いたのだろうとあたりをつける。あまり個人情報を言いふらさないで欲しいと思いつつ、逆に言えば山本の電話番号を入手できたと言えるため、まぁいいかと諦める。

 ひとまず今は山本の用事を聞くのが先だ。この時間―7時半―にかけてくるあたり、どうやら本当に何かありそうだがこの山本の口調からしてそう重要なことでもないのだろう。しかし、この予想も裏切られることになる。

 というのも、次に言った一見能天気そうに聞こえる声の言葉の内容は冗談にもならないようなものだったのだ。その内容とはつまり……。

 

「実はツナが入院しちまったらしくてさ。だから一緒に見舞行かねーか?獄寺に言ったら断られちまってよ」

 

 ツナの入院の知らせ、それはつまりそれなりに重いけが、あるいは病気になったということだ。さすがのヨシュアも山本のこの能天気さにあきれを通り越して逆に尊敬してしまう。

 まぁ、さすがの山本でも本当に重大だったらもっと、それこそ前の誘拐事件並に取り乱すだろうから言うほどの酷いけが、あるいは病気ではないのだろう。正直、本日すでに2回も予想が外れているヨシュアにとってはあまり自信がなかったが。

 

「分かった、一緒に行くよ。どこにいつ、待ち合わせる?」

 

「んじゃ、学校の校門に10時集合でどうだ?」

 

 10時、ということはあと2時間半ほどある。多めにとって30分朝食としても2時間余る。これならば軽い修行と見舞品は余裕で買えるだろう。

 

「了解、それじゃあ校門で」

 

「あぁ、そんじゃあな」

 

 ふう、と軽くため息をついてからヨシュアは少し冷めてしまった朝食を食べ始めた。そして、食事を味わいつつも頭の中では一体何の理由でツナが入院したのかを考えていた。

 一昨日の様子から、おそらく病気は十中八九ないだろう。とすると残りはけが。昨日は確か、忙しいはずのキャバッローネのボスが日本滞在残り3日ということで、前のお詫びを含めてツナとちょっとした山に修行に行ったと聞いている。また跳ね馬が何かやらかしたのかと一瞬思ったが、そこには部下も同行していると聞く。それを踏まえるとおそらく、ツナが自分で勝手に一人でへまをやったのだろうと予想できた。そしてその予想はヨシュアを確信させてしまうような現実味を帯びていた。

 ヨシュアは(理由もそうだと決まっていないというのに)くだらない事で修行時間が少し潰れたと心の中で悪態をつきつつ、修行時間を長くとるために箸の動きを速めるのだった。

 

 

 

 

 さすが日曜日、といったとこだろうか。親子連れやカップル、あるいは友人同士のグループがここ、並盛商店街にはひしめき合っていた。

 耳のそばで聞こえる様々な会話による騒音。そしてあまりの人混み具合にこういう場所になれていない、もとい嫌いなヨシュアにとっては体力を修業とは違う感じに削ってゆく地獄の場所だ。そして、ヨシュアは決意した、2度と、間違ってもこんな場所には来ない、と。

 そんなヨシュアの決意はさておき、ツナの好きそうなものを物色していくヨシュア。しかし、そもそもツナの好みという何の役にも立たないような情報をヨシュアが知っているはずもなく、最終的には本屋で見つけた生々しい闘争が書かれたマフィアの本を買ったのであった。

 

 そして並中校門。ヨシュアはぴったり5分前に着くように行ったのだが山本はすでに校門の前に立っていた。……右肩に船を模した木の器を担ぎながら。

 

「早いね、山本。ところでそれは何?」

 

「これか?これは船盛りって言うんだぜ!」

 

 そう言ってヨシュアに中身が見えるように持ち直す山本。そこには色とりどりの魚の切り身がきれいに並べられていた。日本食が大好きな家光に寿司というものを何度か食べさせてもらったが、その上に乗っていたものだとヨシュアは認識した。

 

「へー、わざわざ買ってきたの?」

 

「いんや、うち竹寿司っていう寿司屋やってっから親父が見舞いにっつってさばいてくれたんだぜ」

 

「すごいね、それは」

 

 こんなにきれいに魚をさばくなど、ヨシュアでもできない。

 今度お寿司を食べがてら魚をさばくところを見に行こうと思い山本に店の場所を教えてもらうなど、病院につくまで山本と他愛のない雑談をするのであった。

 

 

 

 

 並盛中央病院、そう書かれている建物は少し古臭く、薄汚れており、中央病院というには少し小さ目の病院だった。しかし、中は打って変わって清潔かつ真っ白で小さいとは思わせないような広々とした空間だった。中は休日だからか、人がひしめき合っていた。

 受付は入ってすぐ右手というわかりやすい場所にあった。天然で何をするのか(ヨシュアでも)予測不可能な山本よりは自分の方が適任だろうと思い、営業スマイルをしている若い受付嬢に自分も笑顔を張り付けて話しかけた。

 

「すみません。こちらの病院に昨日から入院している沢田綱吉さんのお見舞いに来ました。部屋はどちらでしょうか?」

 

「沢田様ですね。少々お待ちください。……大部屋の202……いえ、失礼しました。個室の304号室になります。そちらのエレベーターで3階に行った後、右手にあります」

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

「ありがとうございましたー!!」

 

 さすがは運動部という感じに元気よくお礼を言う山本と、とてもうれしいです、という副音声付きの爽やかな笑顔を作り出してお礼を言うヨシュア。

 受付嬢が何やら顔を赤らめたり周りの看護師がささやきあっているのが見えたがヨシュアはさらりと無視して、そんな周りの様子に気づいていなさそうな山本と言われたエレベーターの方に向かいボタンを押した。幸い、エレベーターは1階にあったためすぐにこの面倒な空間からの脱出に成功したのだった。




 ……短かったですね。
 では恒例の裏話。
 ヨシュアと山本がエレベーターに乗った直後の看護師さんたちの会話です。
 一応閲覧注意としておきます。

A「ねぇ、あの二人、かっこよくない?」

B「うんうん、今時の子にしては礼儀がしっかりとなっているし」

C「そうよね。私は背の高い子がいいな~。元気いっぱいって感じで」

A「え~、私は断然外人の子よ!!日本語ペラペラ、落ち着いていて、礼儀正しく、いかにも秀才っ て感じで」

B「あ~、確かにあんたはああいうのが好みよね~。そして腹の中は真っ黒な暗躍タイプでしょ?」

A「そうそう、眼鏡かけたら完璧ね!!」

C「え~、絶対あの男の子よ!!そんな訳の分からない人はちょっと、ねぇ……」

B「純情ね~」

C「うるさい!!」

B「よし、それじゃあ今から見に行く?個室の304だって」

A「賛成!!じゃあ早速行きましょう!!そして眼鏡系腹黒男子について語ってあげるわ!!」

C「こっちだって、純粋男子のいいところを語ってやる!!」

B「はいはい、とっとと行くよ」

※看護師さんたちの妄想です

 こんな感じです。
 皆さんは何系が好きですか??因みに私はおふざけ系が好きです(笑)
 この裏話で誤解されるとあれなので言っておきますが、この小説は変な方向にはいきません。ご安心ください。それではまた、近いうちに会えるように頑張ります!!
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