異世界へワールドエネミー   作:リーグロード

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ドラゴン退治

7つの下がった頭を前に、アインズの鳴らない喉が鳴ったように感じた。

漂う空気がピリピリとしているように感じているのはアインズだけだろう。

 

「面を上げよ」

 

全員の頭が一斉に上がる。

その動きも一糸乱れず、アインズは練習でもしたのかと問いかけたくなった。

 

「では……まずよく集まってくれた、感謝しよう」

 

アインズがそう言うとアルベドが顔を上げ声を上げる。

 

「感謝なぞおやめください。我ら、アインズ様に忠義のみならずこの身を捧げた者たち。至極当然のことです」

 

アルベドの返答に他の者達は口を挟まない。流石は守護者統括という地位に就いているだけのことはある。

真剣な面持ちでこちらを伺う守護者達を見て、支配者らしくせねばという思いがアインズを襲う。

それだけではなく、自分の命令でナザリックの今後を左右すると思うと不安が頭をよぎる。

 

「……アインズ様はお迷いのご様子。当然でございます。アインズ様からすれば私達の力など取るに足らないものでしょう」

 

微笑みの表情をかき消し、決意に満ちた表情を固め凛々しい顔でアルベドは告げる。

 

「しかしながらアインズ様はよりご命令いただければ、私達階層守護者各員、いかなる難行であろうと全身全霊を以て遂行いたします。造物主たる至高の四一人の最高責任者——アインズ・ウール・ゴウン様に恥じない働きを誓います」

 

『誓います!』

 

アルベドの声に合わせて、階層守護者全員の声が唱和する。その声に満ち、何人(なんぴと)たりともそれを押しとどめることができない——NPCの金剛石のごとき忠誠心がアインズの口からギルド長としての言葉を滑り出させる。

 

「素晴らしいぞ。守護者達よ!お前達ならば私の目的を理解し、失態なくことを運べると今この瞬間、強く確信した」

 

アインズは守護者全員の顔を見渡し、守護者達はアインズの言葉に顔を上げ笑みを浮かべる。

 

「今回お前達を呼んだのは他でもない、今現在このナザリックの上空を住処としているであろうワイバーンの群れを駆逐するためだ」

 

アインズの言葉を聞きデミウルゴスは疑問を抱く。

 

「お待ち下さいアインズ様。セバスの見た限りそのワイバーン群れの平均レベルは30でその群れのボスでさえレベルは65のはずです。それならば戦闘に特化したシモベを数体差し向ければいいだけの話。…何故我々にそのような事?」

 

「ふっ、なにつまらないパフォーマンスだデミウルゴスよ。お前達に私が手に入れたワールドエネミーの力を見せるためだよ。それに最近侵入者などが来なくて暇を持て余しているだろうお前達に活躍の場を設けようと思ってな」

 

「なんという……左様でございましたか。我々のためを思ってくださるとは、至極光栄の極みでございます」

 

デミウルゴスが頭を更に深く下げる。それに合わせて他の守護者達も深く頭を下げる。

どうにか納得させることができたかとホッと安心する。

だがこの世界は全く未知である。仮にワイバーンがレベル30でも外に出ればレベル100を超える者がいるかもしれない、だが支配者である以上部下達に弱気な発言をすることなどできない!なので理由をつけて万が一の為に守護者達を連れて行こうと考えたのだ。

そんな事を考えながらアインズはアルベドを近くに呼ぶ。

 

「ではアルベドよこれを各守護者達に一つずつ渡すのだ」

 

アルベドにアイテムボックスから取り出したアイテムを渡し命じる。

アインズに命じられ手渡しでアイテムを渡されることに浮かれるアルベドだが渡されたアイテムに驚愕する。

 

「ア、アインズ様……これはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン!至高の方々しか持つことを許されない物では」

 

あまりの事態にアルベドはアインズに渡した物が間違ってないか遠まわしに聞いてみる。

 

「確かにそうだが今後ナザリックの移動にその指輪は必要不可欠になるだろう。故に今後お前達にこのリングの所持を認めよう」

 

守護者達はその言葉の裏に暗に(あんに)お前達を信用していると言われたのだと受け取る。

アルベドは丁寧にリングを守護者各員に渡していき、シャルティアに渡し終えると残っているリングを自身の薬指につける。

 

「各員リングを嵌めたな。ではこれよりワイバーンの討伐に向かう。シャルティアよナザリックの外にゲートを開け」

 

「仰せのままにアインズ様」

 

言われた通りにシャルティアはゲートを開きナザリックの入り口に転移する。

 

『ギャア!ギャア!ギャア!ギャア!』

 

転移すると上空から無数のワイバーンの鳴き声が聞こえてくる。

その鳴き声の大きさに誰しもが顔をしかめる。

 

「全く知性の無い爬虫類はうるさくてかなわんでありんす」

 

「全くその通りですねシャルティア」

 

「ほんとほんと、あの程度のモンスターならアタシい〜らない!」

 

「全ク御方ガイラッシャルノニワズラワシイ」

 

シャルティア、デミウルゴス、アウラ、コキュートスが口々にワイバーンの文句を言う。

 

「まあそれぐらいにしておいてやれ、どうせこの後一匹残らず死ぬのだからな。ところでマーレ、以前確かお前に強欲と無欲を渡したと思うが今所持しているのか?」

 

「は、はい、この通り肌身離さず持っております」

 

マーレは慌ててアインズに強欲と無欲を見せる。

その事を確認するとアインズは上空のワイバーンを見て笑みを浮かべる。

 

「レベル差で取得する経験値が減ろうともこれだけの数がいればかなりのものになるだろう」

 

強欲と無欲は経験値をカンスト状態から更に収集することができるアイテムである。

マーレから強欲と無欲を譲り受ける。

それを丁寧に腕に嵌め守護者達に命令を下す。

 

「では守護者達よ各々の好きなようにあの上空で叫び続けているワイバーンを倒してみせよ。そうだな1番多く倒した者には好きな褒美でもくれてやろう」

 

「そんな我々はただアインズ様に命じられるだけで褒美なのです。これ以上望む物などございません」

 

アインズの言葉に反対したのはアルベドだった!他の者達も特に反論する者はいない。

 

「そうか、アルベドよその気持ちは嬉しいだがこういうのは一位に何か褒美をつけたほうが効率も上がるというものなのだ」

 

「分かりました。アインズ様のお言葉理解いたしました」

 

アルベドや他の者達も納得し皆やる気に満ちた顔をしている。

そのやる気が消えないうちにアインズは勝負開始の合図を出す。

 

「では皆の者あのワイバーンの群れを蹴散らせてこい」

 

『はっ』

 

シャルティアはフライの魔法で空を飛び、コキュートスは山脈を登り、デミウルゴスはカエルの形相で背中に皮膜のような黒い翼を広げた半悪魔状態になり空を飛び、アウラとマーレは空を飛べる従魔を召喚しその背に乗り空を飛び、セバスはコキュートスの後に続き山脈を登る。

最後に残ったアルベドは地上から魔法でワイバーンを討伐する。

 

「流石だ!開始早々これ程までに経験値が溜まるとは予想以上だったな。これならあれが使えるな」

 

アインズが強欲と無欲を嵌めた手を上に上げると守護者達に殺され落ちてくるワイバーンの死体から青い光が抜き出て吸い込まれていく。

 

(それにしても以前なら動物の死体がこんなに降ってくるスプラッタな現場を見れば何らかの感情が湧き出るはずなのに何も感じない)

 

やはりアンデットの体になってしまったせいか元々持っていた感情が消えてしまったのだろうか?

そんな事を考えていると上空から守護者達ではない者の声が聞こえてくる。

 

「誰だ妾の縄張りで暴れる者は!!!」

 

上を見ると他のワイバーンとはひと回りもふた回りもデカイドラゴンが現れた。

あれがセバスが言っていたレベル65のドラゴンなのだろう。

現れたドラゴンにアインズは「あれが試せるな」と言ってニヤリと笑う。




いやー!アインズ様のあれが試せるとは何でしょうね?次回が気になります。
明日もちゃんと更新するので見てくださいね。
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