「ついにボス登場といったところか」
周りに聞こえないような小さな声でアインズが呟く。
守護者達も現れたドラゴンに少しばかり警戒の態勢をとる。
ドラゴンの体の色は黒く紅石のような瞳に人に似た手と足がありその姿は竜人のようであった。
ドラゴンは次々に死んでいく仲間のワイバーンの死体を見て怒りの形相を浮かべる。
「愚か者共め!誰の縄張りに手を出したか分かっておらぬのか!!!」
口調からしてメスなのだろうか?それともこの世界のドラゴンは皆こういう喋り方なのだろうか?
それにしてもゲームでも喋るモンスターは居たが、ここまで流暢に喋るモンスターは居なかった。
そう思うと異世界に来たんだなと改めて思う。
「すまないな、お前が誰かは知らんが今日からここは、このアインズ・ウール・ゴウンが住むことになった。ついでにそこら辺に転がっている死体にはこれからする実験の材料(経験値)になってもらったよ」
いかにも悪役が言いそうな言葉をつらつらと口から出してくるアインズにプライドの高いドラゴンは口から真っ赤な炎を漏らしだす。
「貴様!妾が誰か知らぬなら教えてやろう、この山脈の主にして天空の支配者!全ての者が我が姿を見て地にひれ伏す絶対の強者!アラスガルドであるぞ!」
聞いてもいないことをペラペラ喋るドラゴンにアインズはうんざりしつつドラゴンの言葉に不快だとでも言いたそうな顔をする守護者達に手を出さないように伝える。
「いいかお前達、このドラゴンの相手は私がする!手を出すな」
ここでアインズは試しておきたかったワールドエネミーの特典の一つを使用しようとしてた。
ワールドエネミーの特典の一つに大量の経験値を使用して中位までのレイドボスを召喚することができる。
中位のレイドボスはレベル90のプレイヤーでもフル装備で挑む敵である。
上位ならばレベルカンストのプレイヤーがパーティーを組んで挑むレベルで最上位ともなると上位ギルドのメンバー全員か複数集まったギルドのメンバー全員で相手するレベルである。
「経験値もだいぶある。相手も不足はない。今こそ試すのに絶好の機会だ!」
アインズは腕を一振りする。それに呼応するかのように体の中から何かが抜け出ていく感覚とともに頭の中に召喚できるレイドボスの映像が流れ出て来る。
だがそんな事には驚かない、何故ならこの力の使い方が分かるからだ。
どのモンスターにどれ程の経験値が必要で、召喚時間がどのくらいか、どれ程の力を持っているのかを完璧に把握できている。
アインズは数多のレイドボスの中から召喚するモンスターを選ぶと経験値を使用して口からそのモンスターの名前を世界に聞かせるように大声で叫ぶ。
「《
そう叫ぶとアインズの目の前に巨大な召喚陣が出現しその中から一頭のモンスターが現れる。
『グオオオオオン!!!』
雄叫びと共に現れたのは真っ赤な翼を生やし背中に特大のクリスタルを乗せた悪魔の狂狼だった。
「な…!あれは!あのモンスターは!」
そのモンスターをデミウルゴスが見るといつもの冷静な顔では無く驚愕に満ちた顔になる。
それもそのはず、同じ悪魔であるデミウルゴスはあのモンスターを知っているのである。
そしてそのモンスターを使役した者がいないことも知っているために驚きもするだろう。
「流石はアインズ様、まさかかの大悪魔を手懐けていようとは。やはりこの私ではアインズ様を推し計ることは出来ないということですか!」
デミウルゴスの様子を見て他の守護者達もアインズの召喚したモンスターが凄まじい者だと理解する。
「なんだ!何を呼び出したのだ貴様!」
「ふっ、何貴様に相応しいモンスターを呼んだのさ!地の底を駆け抜け天にまで飛び空を飛ぶもの全てを喰らったと言われる悪魔を召喚したまでのこと」
アラスガルドはワイバーンが殺されている間に逃げれば助かったのだ。
だがもう遅い!例え今から全速力で逃げてもアインズの呼んだ悪魔はすぐに追いつき翼に噛みつき地に落とし無惨に焼いて喰い殺すだろう。
プライドの高いドラゴンに逃走という2文字は無い。
ただ正々堂々と闘い勝つ!それがアラスガルドの思い描く未来だ。
「ではそろそろ始めるとしようか!生死を賭けた奪い合いを!!!」
「いいだろう。妾に牙を剥けたことその身で後悔するがよい!!!」
『グオオオオオン!』
アインズの言葉を受け、悪魔とドラゴンは動き出す。
アラスガルドが口からマルコシアスに向けブレスを吐く。だがそんな単純な攻撃なぞ当たるはずもなくあっさり躱されブレスは地面に当たり弾け飛ぶ。
その隙をつきマルコシアスは空を飛ぶアラスガルドの翼めがけて口から炎の塊を撃ち出す。
隙をつかれ無防備になってる翼は避けることができず炎の塊にぶつかり片翼を燃やされ墜落する。
ドラゴンの体は本来火に耐性がある。このドラゴンも例外では無いのだが相手が悪かった、叩きつけられた炎の塊はドラゴンの耐性を上回る威力だったのだ。
落ちてくる獲物に向かってマルコシアスはその着地地点に走る。
だがアラスガルドもタダではやられず残った片翼で態勢をほんの少し立て直し自身に飛びかかってくるマルコシアスに岩をも砕く尻尾の一撃を喰らわす。
「どうだ!タダではやられぬぞ」
『グルルルル』
先程の一撃はマルコシアスにとってそこまで深刻なダメージにはならなかったが警戒するのに十分な攻撃だった。距離をとろうと数歩後退するマルコシアスにアインズは声をかける。
「どうした、マルコシアス!貴様の力はそんなものではないだろう」
アインズの言葉にマルコシアスは後ろに下げようとした足を前に出しアラスガルドに向かって走り出す。
それに対してアラスガルドは近づいてくるマルコシアスに魔法を使う。
「《ドラゴン・ライトニング/龍電》」
全速力で駆けるマルコシアスは目前に迫る雷に背中のクリスタルの力を使い透明な壁を目の前に作り出し凌ぐ。
だがその程度の事態アラスガルドも想定内であった。雷によってマルコシアスの視界が奪われている間にアラスガルドはその場を離れマルコシアスの死角に入る。
だがマルコシアスは視界に頼らず嗅覚でアラスガルドの位置を捉え爪で引き裂く。
「GYAーーーー!!!」
肉をエグられアラスガルドは悲鳴をあげる。
引き裂かれた場所は骨まで見え血が絶え間なく流れ続ける。
片翼を焼かれ体をエグられ重症を負ったアラスガルドに対しマルコシアスは尻尾で叩きつけられ軽傷を負った程度誰が見ても勝敗はあきらかである。
「やはりこの程度か、レベル65では中位のレイドボスと勝負にはならなかったか。マルコシアスよその者を片付けろ」
マルコシアスは命令に従いアラスガルドの側に寄り牙を剥く。
「くっ!出てこいダークインフェルノスパイラルもぐらその骸骨を倒せ!」
「お命頂戴!」
アラスガルドは最後の悪足掻きに召喚者であるアインズにずっと潜ませていた手下に命じ襲わせる。だが飛び出してきたモグラを横からセバスが殴り飛ばす。
「失礼、貴方がずっと潜んでいたことは知っておりました。我が主に手を出すならば死をもって償っていただきましょう」
最後の手下も殺され絶望するアラスガルドにアインズは無慈悲な宣告を告げる。
「さて、お前の切り札も無くなった死ぬがよい」
「そ、そんな……」
恐怖のあまりろくに口も動かせないでただ震えることしかできない。
アラスガルドが最後に見たのは自身に迫るマルコシアスの牙だった。
戦闘シーンが難しくて雑になってしまいました。
分かりにくい面白くないかもしれませんでしたが読んでくださりありがとうございます。