ついに高校生から社会人になった私の小説ゆっくり読んでってね。
ワイバーンの群れのボスであるアラスガルドを倒したマルコシアスは時間が経過し消え去る。
こうしてナザリックの上空を飛び回っていたワイバーンの群れは全て駆逐され変わりに地上に無数の死体が横たわっていた。
「さて、セバスよこの周辺の情報が欲しい。ナザリックに戻り隠密能力の高いシモベに周辺の地理や国家などがあるか調べさせろ。ついでにこの辺りに転がっているワイバーンの死体の回収もしておくように」
「はっ、では八肢刀の暗殺虫/エイトエッジ・アサシンをお借りします。ワイバーンの死体の回収にはプレアデス達に任せることにしましょう」
セバスに周辺調査を命令させるとワイバーンがいなくなった空を見上げアイテムボックスから一つのアイテムを取り出す。それを首にかけ、意識をそちらに向ける。
その瞬間、込められた唯一の魔法の力は解放された。
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地を離れ夜空に舞い上がる。後ろから守護者達も慌てて追従してくるが、アインズは気にも留めずにただひたすらに上昇し続ける。
上昇し続け雲を突き抜けたアインズはゆっくりと止める。
周りを見渡してみれば人工の光は無く星と月の光のみが地上を照らす。
この世界をかつてのギルドメンバーであるブルー・プラネットが目にしたらどう思うだろうか。
アインズはため息混じりに言葉をこぼす。
「星と月の光だけで物が見えるなんて本当に現実の世界とは思えないな」
元の世界では見れなかった光景にアインズはブルー・プラネットのうんちく話をもう一度聞いてみたいと思うもその隣には誰も居ない。
この世界に来たのは本当に自分だけなのだろうか、もしかしたら他のメンバーの誰かもこの世界に来ていて戻れなかったとしたら。
思考の渦に飲み込まれそうになったアインズの目に守護者達の姿が見える。
こっちに向かって飛んでくる守護者達から、再び天空を見上げ感嘆の息を吐く。
「本当に素晴らしい世界だ…キラキラと輝いてまるで宝石箱みたいだ」
「そうなのかもしれません。この世界が美しいのはアインズ様の身を飾るための宝石を宿しているからかと」
お世辞らしきものを言うデミウルゴスに、顔を赤く染め「夜空に浮かぶアインズ様」などと独り言を呟くアルベドやシャルティアに何か考えごとをするコキュートス、星空を見て騒ぐアウラとマーレにやれやれと思う。
しかしこうやって美しい世界を眺めていると、そんな思いもどこかへ吹っ飛んでいく。
それどころかこうして世界を見下していると、世界が矮小にも感じられ、世界を侵略する悪の組織の王の演技をしても良いとさえ思えてくる。
「確かにそうかもしれないな、私がこの地に来たのはこの誰も手に入れていない宝石箱を手に入れるためかもしれん…いや私一人で独占する物ではないな。ナザリックと我が友たちを飾るためのものかもしれん」
アインズは顔の目の前に手をかざすと、それを握り締める。天空に輝く星のほとんどがその手の中に納まった。そんな子供っぽい行動に肩をすくめる。
「お望みとあらばナザリック全軍をもって手に入れてまいりましょう。そしてそれを私の愛するアインズ様に捧げらさせていただければ、このアルベド、それに勝る喜びはございません」
そんなアルベドの芝居がかったセリフにアインズは静かに笑う。
アルベドの言葉にかつての仲間であるウルベルトさん、るし★ふぁーさん、ばりあぶる・たりすまんさん、ベルリバーさんが冗談で言っていた「ユグドラシルの世界の一つぐらい征服しようぜ」なんて言葉を思い出した。
「この世界にどのような存在がいるか不明な段階でか、その発言は愚かとしか言えないがな。だが……そうだな。せっかくワールドエネミーなんて称号を持っているんだ。世界征服なんてやってみるのも面白いかもしれんな」
世界征服なんて今時子供向けのテレビ番組の悪役でも言わない台詞だ。
だがナザリックは悪の組織で自分は世界の敵であるワールドエネミーだ、そんな途方も無い事を言っても良いだろう。アインズにとってはただの冗談のような発言だった。
アルベドやデミウルゴスならば、世界征服という発言が子供の戯れのようなものだと分かっているだろうし、他の守護者達にも後でデミウルゴスがあれは冗談だと言うだろうと思っていた。
だがもし仮に後ろを振り向いて守護者達の顔を見ればアインズは必死に今のは冗談だったと言っただろう。
それにしても本当にこの世界に来たのは俺だけなのだろうか?もし仮に他のメンバーがこの世界に来たのならばその者達の耳にアインズ・ウール・ゴウンの名が入るぐらい世界に轟けば向こうから会いに来てくれるだろう。それぐらいの仲はあるはずだ。
満足したアインズは地上に降り自身の自室に戻る。
アインズが地上に戻りナザリックの中に入ったのを確認するとアルベドは静かに声をかける。
「皆、私が言いたい事は分かっているでしょうね」
「ええ、分かっていますとも。アインズ様の元に宝石箱を——この世界にお渡しすることですよねアルベド」
デミウルゴスの言葉に皆の瞳に鋭いものが宿る。そしてそれは決意の色でもあった。
アルベドはこの場にいる全ての者の顔を見渡す。
応えるように皆が、アルベドを凝視した。
「その通りよデミウルゴス。皆よく聞きなさい、アインズ様のおっしゃった真意を受け止め、準備を行うことこそ忠義の証であり、優秀な臣下の印。各員、ナザリック地下大墳墓の最終的な目的はアインズ様にこの世界をお渡しすることだと知れ」
アルベドは満面の笑みを浮かべて、世界を見渡す。
「正当なる支配者たるアインズ様の元に、この世界の全てを」
アルベドの言葉にシャルティアにアウラとマーレそれにコキュートスが声を上げる。
「デミウルゴス、ナザリックに戻った後他の者達にもそれとなく知らせるように、セバスには私から直々に言うから大丈夫よ」
デミウルゴスとセバスは犬猿の仲仕事では揉めはしないがこれはナザリック地下大墳墓の最終目標仮に何か食い違いが起きたりすれば大惨事だ。
「それでは各員ナザリックに戻り各々の仕事をせよ」
アルベドの言葉に従い全員がナザリックに戻ると地表で何者かが動き出した。
卒業旅行があるためまた少し間が空きますが我慢して下さい。
旅行楽しんで来ます。