異世界へワールドエネミー   作:リーグロード

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大変長らくお待たせいたしました。
旅行楽しかったです。帰ってからも旅行疲れで小説を書くのをズルズルと伸ばしこんなにお待たせいたしました。あとオーバーロードの劇場版見てきました。感想はあとがきに書きますので最後まで読んでいってください。


もう一つの生存ルート

ナザリック地下大墳墓のある元ワイバーンの巣である山脈からニ匹のモンスターが逃げ出していた。

一匹は産まれて1年の若いワイバーンの子供ともう一匹はセバスに殴り飛ばされたダークインフェルノスパイラルもぐらであった。

若いワイバーンはドラゴンとしてのプライドが薄く守護者達の強さを本能的に感じとりアラスガルドがアインズ達の注目を集めているスキに逃げ出したのだ。

ダークインフェルノスパイラルもぐらはセバスに殴り飛ばされ動けないダメージを負ったがすぐさま地中に潜りワイバーンの死体回収をしに来たプレアデス達から逃げることに成功した。

 

「クソ!まさかアラスガルド様が負けるなんて何故あんな奴らが突然現れやがったんだ」

 

悪態をつきながら少しでも遠くに離れるために地中を掘り進める。

だいぶ山脈から離れた所でダークインフェルノスパイラルもぐらは確認のため地上に出る。

空を見ると星空ではなく朝日が昇っていた、どうやら必死で逃げているうちに朝になったようだ。

体の傷を癒すために森の中でひと休みする。

 

太陽が東から西に傾きかけた時に目を覚ましたダークインフェルノスパイラルもぐらの耳に小さな足音が聞こえて来た。その足音はゆっくりとだがこっちに向かって近づいてくる。

もしかしたらあの連中が追ってきたのではと思い恐怖で息を殺し身をひそめる。だんだんと足音が近づき声が聞こえてくる。

 

「ネム〜!どこいったのネム〜!もー、どこ行っちゃったのよ!!!」

 

どうやら近づいて来たのはあの恐ろしい連中ではなく村娘のようだ。あっちはまだ自分に気付いていないのだろう。その証拠にあっちはどんどんこっちに近づいてくる。例え傷ついていようが村娘程度ならどうとでもできるだろう。

だができるだけ騒ぎにならないようにしなければいけない、もしあの恐ろしい連中に自分の生きていると気付かれでもしたら今度こそ絶対の死を迎えるだろう。ならば例え気付かれても脅して黙らせた方がいいだろう。

 

「ネム〜!どこ…に……っ!?」

 

どうやらこちらに気付いたようだ。目の前で絶句している。

当たり前だろうただの村娘がモンスターを前に何ができるというのだろうか。

腰を抜かして一歩も動かない村娘に私は声を掛ける。

 

「そこの村娘今この場で見た事を忘れよさもなくばその白き肌を鮮血で染め上げることになるぞ」

 

鋭く尖った爪を娘の顔に近づけると腰を抜かしガタガタと震えながらコクコクと頭を縦に降る娘に興味を失い再び眠りにつく。

時間が経ち昼から夜になった頃目を覚ますと目の前に薬草がたくさん入った袋が置いてあった。

その袋から薬草の匂いに混じってかすかにあの村娘の匂いが漂う。

少し戸惑いながらも薬草を一つ掴み口の中に放り込み咀嚼する。

口の中に薬草の苦味が広がるがあの執事に殴られ傷ついた内臓が少しだけ癒えたような気がした。

 

また眠ろうとまぶたを閉じかけたとき、ふと耳に小さな足音が聞こえてきた。

閉じるまぶたを止めて前を見るとあの村娘が立っていた。

 

「あの、傷が酷かったから手当てしたけど大丈夫?」

 

何を言っているんだこの娘は?そう思って体を見てみると殴られて血が出ていた部分に少々大きめの薬草が貼られていた。

応急処置ではあるが何もしないよりはマシというところだろう。

 

「娘よ何故私を助けた?人間とは己が姿と違う者には敵意を抱き排除する愚かな種族の筈だ。何故だ!」

 

今まで見てきた人間は我々モンスターを見れば怯えるか殺すかのどちらかでしかなかった、今の手負いの私など人間から見れば殺す絶好のチャンスの筈だ。

分からない、この娘の考えていることが分からない。

 

「何故って、貴方は私を殺さないで見逃してくれたから。それに、そんな傷ついた体を見て助けてあげたいと思ったから、かな」

 

最後は自信がないのか尻すぼみしたがこの娘が何を考えているのかは分かった。

だがこの娘のやっていることは裏切りだ、モンスターを助けるという行為は人類から見れば裏切り行為でしかない。こんなことをしたからといって私の人間に対しての考えが変わる訳ではない、この娘がやっていることはただの自己満足であり偽善なのだろう。

 

「礼は言わんぞ娘」

 

ふんとそっぽを向く私に娘は気を許したのか手が触れる距離まで近寄ってくる。

 

「娘じゃなくて私の名前はエンリって言うのよ覚えておいてね」

 

屈託のない笑顔でそう言ってくる娘に少なからず好意を覚えた。

娘はそれで満足したのか来た道を戻って行った。視界から消える時「また明日」と聞こえ少しだけだが明日が楽しみになった。

 

ダークインフェルノスパイラルもぐらが眠りにつき夜が明けた。

陽の光を浴び輝いて見える森の中からカチャカチャと鉄と鉄がぶつかる音が聞こえる。

この音は人間が着る鎧の音なのだろう。その音は昨日の娘が帰って行った場所に向かっているようだ。

だが自分は関係無い人間同士の争いなど微塵も興味は無い。今は傷ついた体を癒し新しい縄張りを見つけることが先決だろう。

面倒な事にならないうちにこの場を去ろうと立ち上がった時昨日の娘の足音が聞こえてきた。

足音からしてもう一人連れているのが分かる。どうやら必死で走って逃げているようだ。

藪をかきわけ、頭を出して見てみるとあの娘がもう一人小さな娘を庇ってうずくまっている。

その後ろから騎士のような2人組みの男達が娘の背中を剣で斬る。

同族同士で争うなどやはり人間とは愚かな生き物だ、ならば私が始末した方がいいだろう。

別にあの娘に手を出されて怒っているという訳では無いんだからな!!!

 

「お姉ちゃん!!!」

 

騎士が再び剣を娘に向かって突き立てようとした瞬間に娘と騎士の間に入り込む。

 

「全く愚かな種族だ人間!このダークインフェルノスパイラルもぐら様が貴様らに死をくれてやる」

 

目の前にいる騎士の首を自身の鋭利な爪で真一文字に斬りとばす。

飛んで行った首はもう1人の騎士の前に落ち、首が切り離された体は噴水のように血が飛び散る。

 

「そこでじっとしていろエンリよ」

 

そう言うと私は残ったもう1人の騎士に飛びかかり押しつぶす。騎士は「グヘェ」と潰れたカエルの鳴き声のような声を出し口から泡を吹く。

 

「あ、ありがとうございます。ほらネムもお礼を言いなさい」

 

「えっと、ありがとうございます」

 

「礼などいらん、まだ騎士はいるのだろうならここでじっと身を隠しておくのだな」

 

それが正しい判断だがエンリは今まで一緒に暮らしていた村の人達を見捨てるようなことはできなかった。

エンリは斬られて痛む背中を無視してダークインフェルノスパイラルもぐらにお願いする。

 

「お願いいたします。どうか村の人達を助けて下さい」

 

土下座で頼み込んでくるエンリに戸惑ってしまう。

 

「図々しい事は承知しております。ですが村の人達を見捨てるなんて出来ません。ですからどうか貴方の力をお貸し下さい」

 

必死に頼み込む姿にもう1人の女の子のネムも「お願いします」と同じように頼み込んでくる。

以前の私ならば考える間も無くこの場から立ち去っていただろう、だが傷ついた私に優しくしてくれたこの娘の願いを断ることが出来ない、全く私は実はかなりチョロいのでは無いのだろうか?

 

「しょうがない手を貸してやるだがこれっきりだからな」

 

渋々だがこの娘の言うことを聞いてやる事にした。

傷ついたエンリの背中に薬草を貼って応急処置を済ませエンリとネムを背中に乗せ村まで全速力で走り抜ける。

 

「これは…。酷い何も悪い事していない村の人達がなんでこんな事になるの」

 

村につくとまず目に入ったのは村人の死体だった。地面は血で真っ赤に染まり道に死体が乱雑に捨てられていた。他に生き残っている者はいないかと周囲を見渡すと村の奥を見ると村人達が広場の中央に集められていた。

 

「あそこに村の人達が!どうかみんなを助けてあげて下さい」

 

エンリは村人達がいる広場の方を指差して救いを願う。

もうこれ以上誰かを殺されたくはない、せめて今生き残っている人達だけでも助けて欲しいのだ。

助けてと声を出すたび目から涙が零れ落ちていく。

そんな姿をもう見たくないのかダークインフェルノスパイラルもぐらは広場の騎士達に向かって突っ走る。

 

「貴様らには地獄すら生温いはぁぁぁ!!!!」

 

怒号をあげて広場にいる騎士達を吹き飛ばし、斬り裂き、踏み潰していく。

 

「な、なんだあのモンスターはこの村はモンスターを手懐けているのか!?」

 

突然現れたモンスターに騎士達は悲鳴をあげる。

そんな混乱する騎士達の中でも一際大きな声で叫ぶ男…ベリュース隊長。

 

「ひ、ひぃ、俺は、俺はこんなところで死んでいい人間じゃない!お前ら、時間を稼げ!俺の盾になるんだ」

 

だが誰もベリュースの言葉を聞いて動こうとする者はいない。隊長といえど隊員達からの人望はかけらも無いそんな男のために命をかけるはずがない。

 

皮肉にも唯一その言葉に反応したのはダークインフェルノスパイラルもぐらだった。

 

「貴様は特に人間らしい屑だ!貴様を殺すのに一切の罪悪感無し!」

 

怒りと共に刃のような爪をベリュースの顔に打ち込むと爪はベリュースの顔を突き破って反対側に飛び出る。

 

「ベリュース隊長が…死んだ」

 

誰かが静かにそう呟くとそれが波紋して騎士達は武器を落とし諦めたように地面に倒れ込む。

だがダークインフェルノスパイラルもぐらは止まらずに倒れ込んだ騎士を殺そうと腕を振り落とそうする。

その時ダークインフェルノスパイラルもぐらと騎士の間にエンリが入り込む。

 

「待って下さい!!!」

 

慌ててダークインフェルノスパイラルもぐらは振り落す腕を止めた。

 

「もう、こんな争いはやめましょう。 命がぁもったいなぁぁぁぁい!!!!!!」

 

手を広げ涙を流すエンリにその場の誰もが釘付けになる。

 

「村の人達にも騎士の人達にも帰りを待つ家族がいる。誰かが殺されてその殺した人を殺せばまた誰かが殺しに来る!そんな無駄な争い私はしたくない。誰かがやめないといけないのならば私達がやめましょう!」

 

死を覚悟した騎士は目の前に手を広げて涙ながらに立つ娘に光を見た気がした。

周りの騎士達も装備を外しその場に泣き崩れながら座り込む。

 

「エンリ大丈夫か!」

 

集められていた村人の中からこの村の村長が駆け寄って来た。

 

「私は大丈夫です村長さん。それよりも怪我人の手当てを!手の空いている人は死んだ人達の埋葬をして下さい」

 

テキパキと指示を出すエンリに近ずくダークインフェルノスパイラルもぐらに警戒する村長さん。

 

「あ、安心して下さいこの人は私達の味方ですから」

 

モンスターを人扱いするエンリに驚く村人達だがさきほど助けて貰ったため誰も何も言わなかった。

そんなエンリにダークインフェルノスパイラルもぐらは「何故騎士を助けた」と問う。

 

「私はもう誰かに死んでほしくないんです。例え敵でも助けられる命があるのなら助けたいじゃないですか」

 

そんな当たり前のようにエンリは言うがそんな事が出来る人は滅多に居ないだろう。

自然界では弱肉強食の世界!強い者が弱い者を喰うのは分かる。だがその逆で強い者が弱い者を助けるなど理解出来ない。

 

「そうか」

 

口に出せたのは「そうか」のたった一言だけだった。

彼女の純粋さに呆れたのかそれとも圧倒されたのかただその場で黙って立つ事しか出来なかった。

 

「あ、そうだ、改めて村の人達を救ってくれてありがとうございました」

 

頭をペコリと下げ礼を言われ案外悪い気分ではなかった。

 

「あー、エンリそういえばまだ私の名前を言ってなかったな。私はダークインフェルノスパイラルもぐらだちゃんと覚えておけよ」

 

照れ隠しに自分の名前を出すダークインフェルノスパイラルもぐらにクスっと笑うエンリに村人達は警戒を解く。

 

 

 

その後村の人達と騎士達が死んだ村人の死体を埋葬する。その中にエンリの姿もあり妹のレムと一緒に泣きながらお父さん、お母さんと言っている。

埋葬が終えると騎士達を逃げられないように住民が殺されて空いた空き家に閉じ込め見張り役としてダークインフェルノスパイラルもぐらがドアの前に立つ。

ドアの前で辺りを暇つぶしで見ていると広場の片隅で数人の村人達と村長が真剣な顔で何やら相談している。

それだけならば今後の事か騎士達の処遇を話し合っていると思うが村長の顔の表情に緊迫感が浮かんでいる。

やれやれまた面倒事が起こったようだ。

持ち場を少し離れ村長の元に向かう。

 

「どうかしたのか?」

 

「はあ、それがこの村に騎士風の者達が近づいているようで」

 

やっぱり面倒事が起きているようだ。

奴らの仲間が味方を取り返しに来たのだろうか、それとも別の勢力かどちらにしろ面倒な事には変わりない。

ひとまず村人達を家の中に隠し村長と2人でその騎士達を出迎える。

村人達が避難し終えると広場に残った私と村長の前に馬に乗った騎士達が集まってくる。

騎士達が立ち止まると先頭の隊長らしき者が自己紹介を始める。

 

「私は、リ・エスティーゼ王国、王国戦士長ガゼフ・ストロノーフ。この近隣を荒らしまわっている帝国の騎士達を討伐するために王の御命令を受け、村々を回っている者である」

 

どうやらこの村の敵ではなさそうだが私にはどう対処するのだろうか、モンスターという理由で敵対するのであればこちらも全力で相手しよう。

戦士長の後ろの騎士達もこちらを見て剣を握っている者が多い。

 

「この村の村長だな」

 

私から隣にいる村長に視線が逸れる。

 

「横にいるモンスターはお前が使役しているのか?それとこの村を襲った帝国の騎士達がどうなったかも教えてもらおう」

 

戸惑いながら話だそうとする村長と押し止め前に出る。

警戒し剣を抜こうとする騎士達をガゼフが手で出して止める。

 

「私は縁あってこの村の助けに入ったダークインフェルノスパイラルもぐらだ」

 

それに対してガゼフ達は皆驚いた顔をする。ガゼフはすぐに驚いた顔を元に戻し馬から降り大地に立つ。

 

「驚いた、まさか喋る知能があるモンスターだとは、いやこれは失礼な事を言ってしまったかな」

 

ははは、と笑う戦士長を見てこの人間も変わっているなと思う。すると笑うのをやめた戦士長は真剣な顔つきになり重々しく頭を下げた。

 

「この村を救っていただき、感謝の言葉も無い」

 

その行為に周りの騎士達は慌ただしく止めに入ろうとする。当たり前だろう、身分の違いが明瞭なこの世界においては驚愕に値する。そんな戦士長が馬を降り、モンスターであるダークインフェルノスパイラルもぐらに頭を下げる。だがガゼフはそんな騎士達を無視して頑なに頭を下げる。

 

「モンスターがなんだというんだ、王国戦士長などという地位に就きながら村人1人救えない私よりもこの村を救った彼の方がよほど立派だ」

 

そんな事を恥ずかしげもなく言うガゼフに照れくさくなるダークインフェルノスパイラルもぐら。

 

「あ〜、もう気持ちは十分伝わったから顔を上げろ。あと襲ってきた騎士達は何人か殺したが生き残りはあそこの家の中に閉じ込めてあるから引き取るのなら引き取ってくれ」

 

騎士達がいる家を指差して遠回しに早く帰れと言うダークインフェルノスパイラルもぐらにガゼフは好感を抱いた。

 

「そうか、ありがとう。その騎士達は私達が責任を持って預かるとするよ」

 

そう言ってガゼフは数人の騎士を連れて家の中に入って行った。

中からは暴れるような物音はせずガゼフが帝国の騎士達にこれからの処遇を言い渡しているようだ。

それから少しして家の中からガゼフと帝国の騎士達が出てくる。

 

「ではご協力感謝いたします。それでは私達はこれで失礼させてもらうとします」

 

そう言って立ち去ろうとするガゼフに私は国やこの場にいる者達以外に自分の事を喋らないように頼む。

それ聞いて若干残念そうにガゼフは了解してくれた。

これでようやく森に戻れるそう思ったがガゼフの仲間の騎士が慌ててこちらに駆け寄ってくる。

息は大きく乱れ、運んできた情報の重要性を感じる。

騎士は大声で緊急事態だと告げる。

 

「戦士長!周囲に複数の人影。村を囲むような形で接近しつつあります!」

 

やれやれどうやらまた面倒ごとのようだ。

 




劇場版オーバーロードは内容を知っていても楽しく見れてアニメでは無かったハムスケとの戦闘シーンがあったりなどチョイ足し部分がありました。
アインズ様の戦闘シーンにはポップコーンを口に運ぶ手も止まっちゃうくらい迫力がありました。
あと最後のプレプレプレアデスもハムスケとアルベドのおバカさに笑ってしまいそうになりました。

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