人と妖の夢   作:「NULL」

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傀儡人形

月はまだ高い位置にあり、忽然と輝く満月の光が辺りを照らしその光で薄らと浮かび上がる道を度々感じる視線を気にしながらおぼつかない足取りで先を歩く2人の魔法使いの後ろを付いて行った。

 

人形遣いの女性に助けてもらい道を案内してもらってかなりの時間が経っているはずなのに一向に景色は変わらないままだった。

 

(あれからかなりの時間が経ってるはずなのに景色が変わらないどころか、さっきも同じ道を通ったような気がするな。)

 

「なぁ、おい魔理花....この道さっきも通ったような気がしなかったか?」

 

そう言い、2人の数歩先を歩く人形遣いには聞こえないような声で話しかけた。

 

「んーそうかぁ? 妖怪の森はだいたいこんな感じだろ? それに信用してアリスさんに付いて行ったら間違いないぜ☆」

 

 

「それじゃ魔理花、ちょっと貸して欲しいものがあるんだけど少しいいか?」

 

 

「あぁ良いけど、これを何に使うんだ?」

 

 

「ん?まぁそのうちわかるさ。それと今から言うことをよく聞いといてくれ。」

 

 

そう言って近くにある何度も見覚えのある大きめの石に気付かれないように小さく目印を書いた。

 

(それにしてもやっぱり何か気になるんだよなぁ....最初に会ったときに偶然見かけたからと言っていたけど、こんな場所で何をしていたのか気になる。 それに最初に目が合った時、あの眼には意思がなかった....どこか虚ろで自分ではない何かを見ているようなそんな感覚....)

 

「なあ、お前 俺たちを見かける前にこんな森で何をしていたんだ?」

アリスと呼ばれている人形遣いの女性に少し大きめの声で話しかけた。

 

「えぇ、少し探し物をしていたのよ。」

 

 

「探し物....か、それで その探し物は見つかったのか?」

 

 

「そうね、ちょうど見つけたから帰ろうと思った時にあなた達を見かけたのよ。」

 

 

「そうか、それじゃあその見つけた探し物って見せてもらうことは出来るか?」

 

 

「えぇ、いいわよ こんなのでよかったらね?」

 

そう言って鞄の中から1冊の本を差し出した。

見た目はかなり古びた感じがしており使い込まれすり減り何度も読み漁られた跡がある童話だった。

 

「ん?なんだこの本は、なにかの童話か?」

 

 

「興味があるのなら、読んでみるといいわ その本はしばらくあなたに貸しといてあげるわね。」

 

 

「そうか、それじゃあ後で読ませてもらうよ。」

 

 

「それはさて置いて、お前は俺たちをどうするつもりだ?」

 

 

「なにを根拠にそんなこと言ってるのかしら?」

 

 

「さぁ?....さっきから同じ道をグルグルと回らせられたら嫌でも気付くだろ?」

 

 

「なんで同じ道をを回らせられていると思うのかしら?」

 

 

「そんなの簡単だ、そこの岩に数分前にお前に気付かれないように目印を書いてあった そしてその目印がある岩の前を2度通ったと言うことは同じ道を回らせられていると言うことだろ?」

 

 

「そうね でも、もう少し早く気付いていたらまた違った結果になって居たんじゃないかしら?」

 

そう言い虚空から、さまざまな凶器をもった数体の人形が飛び出してきた。

 

 

「ははっ やっぱりそうなるよな、 おい魔理花! 準備は出来ているだろう....ってなに!?」

 

後ろを振り向くと、そこには見えない糸で動きを封じられた金色の瞳の少女が虚ろな目で佇んでいた。

 

 

「残念ねぇ....さきにその子から対処しないと後がめんどくさいじゃない?」

 

 

「あぁ、確かにそうだな それでいい。」

そう不敵に笑い人形が迫る方向とは逆の向きに全速力で走り出した。

 

 

「逃げたって無駄なのはわかっているでしょう?同じ道をまた辿るだけよ あはは。」

 

 

周りに何も居なくなるのを確認し、安心して息を整えようとした つかの間に闇から数体の人形がいっせいに飛び出してきた。

 

なす術なくその場に人形によって取り押さえられ強制的に膝をつかされる。

 

「さぁてぇ、その首を刎ねる前にあなたに聞きたいことがあるのだけれどいいかしらぁ?」

 

そう言い悪魔も身震いするような邪悪な笑で身動きが取れない少年を上から見下ろし血に塗られた剣を漂わせる人形が周りを囲む。

 

少年は笑顔を引き攣らせながら余裕な態度はかえずに挑発的に答えた。

 

「お前に答えることは何もねぇ、何を聞こうが俺も知らないことは答えられないだろ?。」

 

 

「そうかしらぁ? それなら無理やり思い出させてあげるだけよぉ?」

 

 

「そりゃあ残念だ、もう少し情報を引き出したかったんだがどうやらここまでか。」

 

先程までのただ死を待つだけの人間はどこに行ったのか、その顔には恐怖でも畏怖でもなく、ただ最初から勝利を約束されたかのような余裕に包まれた表情だった。

 

そう言ったのと同時に闇に包まれていた人形遣いの足元に複雑な模様が浮かび上がり淡く輝き出したのと同時に人形遣いの体を光の縄が締め上げ、赤い目をした妖怪と同じように縛り上げられた。

 

 

「もう少し話をしたかったんだけど、残念だったよ。」

 

挑発的な笑みを浮かべながら縛り上げられ身動きがとれない人形遣いを少し離れたところから話しかける。

 

 

「いつから、わたしが人形だって気づいてたのかしら?」

 

光の無い目で周りにいる人形同様、ただの傀儡人形のような声で話しかけてきた。

 

 

「いつからかって? お前と最初に目が会った時からだよ。」

 

 

「お前の目には最初に会った時から意志が無かった、助けた時も話している時も、まるでただの傀儡人形のようにな。」

 

 

「うふふ、確かにそうねぇ でも もう あなたは手遅れよ? わたしがこうなる事を想定してないとでも思っていたのかしら?」

 

そう言ったのは傀儡人形ではなく、人形を創り上げ、操る謎の女性の声だった。

声は人形から聞こえるが別の場所から人形を通して会話しているのだろう、その声に同調するかのように縛られていた傀儡人形は自分の四肢を切り離し胴体だけ浮遊した状態で見えない糸で血に塗られた人形を周りに漂わせながら、傀儡人形の口から謎の女性が話しかける。

 

 

「かなり楽しませて貰ったわぁ、それじゃあ今から 一番の楽しみを始めましょう?」

 

そう言って、まわりに漂わせる血に塗られた人形の剣の先を 少年に向けて狂気に満ちた人形が壊れた笑みでこちらを見据える。

 

 

「最後に何か言うことはあるかしらぁ?」

 

 

「あぁ、最後になるかは置いといてだなぁ 今から何か言うのは俺じゃないんだよなぁ~」

 

そう言い、腕を上げて上の方を指差す その方向を見つめると闇の中にかなり高めな木の枝で薄暗い笑みを浮かべる金色の瞳をした魔法使いが あぐらをかいて 目を鋭く輝かせながら待機していた。

 

 

「よう、アリスの見た目をした人形さんよ☆」

 

そう言うのと同時に周りを眩いばかりの光が包み込み、傀儡人形の目の前に 一瞬で移動した金色の魔法使いは、鋭く目を輝かせながら血に塗られた人形の攻撃をかわし闇の中に溶け込んでいる見えない所からの追撃も最初から分かっていたかの様に全てかわす。

 

 

「よけて ばかりで攻撃はしないのねぇ?」

 

 

「残念だけど、攻撃するのは私じゃないんだぜ☆」

 

そう言い傀儡人形の前から金色の瞳の少女が視界から消えたのと同時に、理不尽な力が人形を包み込み視界が光に包まれ消滅しかけた意識の中 術者の契約から解かれ初めて自分の意思で見た最初の世界はとても心地の良い光に包まれており そのまま身を委ねた。

 

 

 

 

 

「ふぅ.....やっと着いたか。」

 

 

「そうだな、ほら見ろもう里はすぐそこだぜ☆」

 

 

「あぁ、ここまで案内とは言えないが、送ってくれてありがとな。」

 

 

「まっ最初は私も乗り気じゃなかったんだけど、なかなか楽しかったぜ☆ またいつでも遊びに来いよ!」

 

 

「その時はよっぽど死に急いでない限りお前とは会いたくないけどな ははは。」

 

 

「なんだよそれ あはは!」

 

月は既に深い位置にあり、日が暮れてからずっと満月は光り輝き金色の少女と少年を暖かい光が包み込む。

 

 

 

金色の瞳の少女に別れを告げた直後に少女は、ほうきに乗って空を飛び来た道を帰って行った。

 

その時、少年は思った....最初からその ほうきで空を飛んでここまで来た方が絶対に早かったのではないかと 喉まで出かかった罵声を噛み殺し、月の光を反射しながら優雅に空を飛ぶ金色の少女を見えなくなるまで半目で見送った。

 

 

 

 

しばらく無言のまま、山道を歩いていると少し開けた場所があり そこには木は生えて居らず 里を見渡すことが出来るほど眺めの良い場所だったが、そこに居たのは、どんな価値のある宝物よりも存在感を放ち、どんな宝石よりも輝いて見える 月明かりにてらされ妖艶なまでに美しく異形なまでに存在感を示す 美しく光を乱反射する長い金色の髪に白い帽子の様なものを被り、周りの景色が歪み空間を引き裂いたその亀裂の中から上半身だけ出し月を眺めるその姿に心を奪われた。

 

 

あまりの存在感に自然現象を目の当たりにした為す術のない人間のようにその場に佇むしか出来なかった。

しばらく見つめていると、妖艶なまでに美しい女性がこちらを振り向き目が合った、その瞬間 体の隅々から心の中まで全て見透かされたかのような錯覚を覚え、その錯覚のお陰で長い夢から開放されるような感覚に意識が定まった。

 

直感で感じるに足る異形なまでに存在感を放つそれは、長く居たら危険だということを悟らせないまでに魅力的な何かがあった。

何とか足を動かすことが叶い半ば夢見心地のまま山を下ろうとしたその時に最初から目の前に居たかのように ごく自然にそれが当然であるかのように存在感放ち 一言その声を聞くだけで全てが酔いしれ 意識を失うだろうソレを辛うじて踏み止まり目の前にいる者を正面から見つめる。

 

 

「お前は、何だ....?」

 

 

「私は 八雲紫、近いうちにまた会いましょう。」

 

 

そう言い残して、やはりそこには最初から何も居なかったかのようにさっきまでの緊張と存在感はどこに行ったのか、夢だと言われたら何の疑いもなく信じるだろうその出来事を近いうちにまた来るというその時を思い浮かべて薄暗く不敵に笑った。

 

 




投稿が不定期で申し訳ありあません!しかし!今回は待たせる方ではなく早く出したと言う意味での不定期だったのでお許し下さい!
出来るならば週1投稿を出来るように心がけようと思いますのでこれからもぜひよろしくお願い致します!

感想などありましたら遠慮せずにぜひお書き下さい!メッチャモチベ上がって更新頻度上がるかもですので!←ここ重要! 評価なども付けて頂けるとありがたいです(((o(*゚▽゚*)o)))
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