魔法戦士リリカルSEED Strikers   作:ぬらりひょん

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PHASE-5

高町なのは。

フェイト・T・ハラオウン。

この二人は、管理局の中でもトップクラスの実力を持ったエース級の魔導士だ。

故に、その名前も世間には知れ渡っており、管理局に所属する者でその名を知らない者はほとんどいない。

 

となれば、キラを襲撃する上で、関わりのあるこの二人を警戒するのは当然のことだった。

 

「私達急いでるんです。そこ、通してくれませんか?」

 

はやてからの連絡を受け、救援に駆け付けたなのはとフェイト。

その二人の前に立ち塞がったのは、白いバリアジャケットに身を包んだ一人の男だった。

 

「悪いがそれは出来ない相談だ。僕は仲間がターゲットと接触している間、君達を足止めするよう命令を受けているからね。仲間からの連絡があるまで、君達を通す訳にはいかない」

 

そう言うと、男は手に持った杖型のデバイスを構え、その先をなのはとフェイトに向ける。

同時に男の足元にミッド式の魔方陣が展開し、周囲に無数の魔力弾が生成され、照準をなのはとフェイトに固定したまま滞空する。

 

「悪いが、君達の相手は僕だ。もちろん、倒せるとは思っていない。だが、命令はあくまで足を止めることだ。それくらいなら、未熟な僕でも果たして見せよう」

 

その瞳には、感情と言うものがまるで見えなかった。

どこまでも機械的に、それ故に正確に、下された命令を実行する。

それが、今の彼の最優先事項だ。

 

(フェイトちゃん、この人)

 

(うん。多分、凄く強い)

 

念話でそう言葉を交わし合う二人。

目の前の男がかなりの強敵であることは、一目見た時から感付いていた。

それでも、ここで足止めをくらう訳にはいかなかった。

はやてからの連絡で、昨日、二人で助けると誓い合った少年、キラ・ヤマトが危機に陥っていることはわかっていた。

だからこそ、上からの指示を待たずに、始末書も覚悟の上で、独断で駆けつけてきたのだ。

 

「それなら、仕方がない」

 

そう言って、フェイトは自らのデバイス、バルディッシュ・アサルトを構え、男を迎え撃つ。

 

「今は、お話しをしてる時間がないの。どうしてもって言うのなら」

 

なのはもそれに続き、レイジングハート・エクセリオンを構え、臨戦態勢をとった。

 

「全力全開で!」

 

「貴方を、倒します!」

 

そして、同時に魔力弾を形成し、撃ち放つ。

なのはのアクセルシューター。

フェイトのフォトンランサー。

二人の魔法が、男のそれ以上の威力と数をもって襲いかかる。

 

「………」

 

それを前にしても、男は冷静だった。

冷静に、冷徹に、冷酷に、二人に対し応戦する。

 

こうして、もう一つの戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

『Accel Zamber.』

 

その音声と同時に放たれた斬撃は、キラの防御を易々と切り裂いた。

 

「ぐっーーあぁぁっ!!」

 

防御魔法プロテクションごと身体を切り裂かれた。

それでも、プロテクションによる威力減退に加え、咄嗟にバックステップで回避を試みた為、致命傷は避けることが出来た。

勿論、それは致命傷を避けたというだけである。

只でさえ深刻だったダメージは、これによって意識を保つことすら満足に行えないレベルに達していた。

先程まで著しく活性化していた思考は見る影もなく、打開策は何一つ思い浮かばない。

周囲の状況は愚か、自分の身体の状態すら満足に把握出来ていなかった。

 

「どうした、これで終わりか?」

 

動く気配の無いキラに剣の切っ先を突き付け、ミゲルは問う。

その姿は、先程までとは違う。

灰色だったバリアジャケットは鮮やかなオレンジ色に変わっており、更に背中には新たにバックパックが追加がされ、そこから魔力で生成された翼が展開されていた。

これこそが、魔導士ミゲル・アイマンの本来の姿、トワイライトモードだ。

この姿のミゲルは、運動性、機動性、動体視力が著しく向上する。

一撃離脱の戦法を得意とするミゲルは、この姿の時こそ本来の力を発揮出来るのだ。

 

「まっ、本気出す前に気を失われちゃ、せっかくのモードチェンジも無駄だったかな」

 

そう言って、突き付けていた剣の切っ先を逸らし、地に突き刺す。

見るとキラは既に意識を手放し、デバイスも待機状態に戻っていた。

 

「これで任務完了、か。ったく、手間かけさせやがって」

 

横たわるキラの隣に膝を突き、その身体を抱えあげるミゲル。

そして、その軽さに驚く。

 

「よく見ると、こいつまだガキじゃねぇか。まぁ、プラントじゃこんくらいのガキが戦場に出るのは珍しくないが」

 

キラの血にまみれた顔を見て、ミゲルはそう呟く。

実際、こうして仇敵の顔を間近で見るのはこれが初めてだった。

自分を殺した相手であることは理解してる。

それでも、何となく後味が悪かった。

と、その時だった。

 

「うおっ!?」

 

突如結界内を大地が揺れ動く程のが強い衝撃が襲い、ミゲルは思わず体勢を崩した。

見ると、空港全体を覆う結界にひびが入っている。

 

「なっ、結界が!?」

 

この空港を覆う魔力結界は、ランクにしてAAAの強度を誇っている。

これだけの強度の結界を外部から破壊できる魔導士など、管理局の中でも数えるほどしかいない。

 

(ミゲル!結界が破られます!すぐに退却を!)

 

結界を張った仲間からの念話に、思わず苦い表情を浮かべるミゲル。

結界が破られる可能性を考えていなかった訳ではなかったが、これほど早く破られるとは予想していなかった。

 

(予想より随分早いな。あの変人から借りたオモチャは役にたってんのか?)

 

(はい。ですが、彼女のユニゾンデバイスと部下達が意外にも善戦していて、つい先程突破されました。それでも少しは保つかと思ったんですが、まさか何の躊躇いも無くS ランクの空間殲滅魔法を使用するとはーー)

 

そこまで言ったところで、遂に結界が崩壊した。

膨大な魔力を漂わせながら現れたのは、堕天使の姿を連想させるバリアジャケットに、剣十字のアームドデバイスを手にした少女の姿だった。

 

「アンタら……よくも好き勝手やってくれたな」

 

その少女は、静かな怒りを込めながらミゲルを一瞥し、手にしたアームドデバイス《シュベルトクロイツ》の切っ先を向ける。

 

「ハッ……万を辞して登場かよ」

 

対抗するように睨み返しながら、しかしその魔力に圧されるミゲルは、彼女の名前を静かに告げた。

 

「……八神はやて」

 

「さぁ、キラ君を返してもらうで!」

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