俺、ヤンデレ神に殺されたようです⁉︎   作:鉛筆もどき

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ゴメンなさい。長すぎたので流石に切りました。
ということで27話は短いです。


第27話 計画通り

 夕暮れ時、夏の蒸し暑さにウンザリしながら文の部屋に向かっている。この約束を破ったら今後改造とかしてくれなさそうだし。

 そして人様の家に行く時は必ずシャワーを浴びてから行くこと、ジュースなど何か食べれる物を買っていくのが俺の中のルールであったりする。俺が今持っている手提げ袋の中身はお金を奮発して高級チョコレートとカルピスだ。文は見た目も中身も子どもっぽいからこういうお菓子は大好きだろう。

 

「朝陽ー! 」

 

「ん? 」

 

 聞き慣れたアニメ声が後ろから聞こえ、振り返ってみるとアリアとキンジがいた。懐かしいな。カジノの仕事以来だ。

 

「よう、いつもお前ら一緒だな。それで、シャーロックを倒したんだって? 」

 

「そうよ。正確には逃げられてしまったけど・・・・・ジャンヌと戦った時に助けてくれたのも、曾お爺様だった。それを知った時はビックリしたわよ」

 

「まあそりゃそうだろ。それにしても、よくシャーロックに勝てたな」

 

 俺は模擬戦で一回も勝ったことないからな。できる限りの姑息な手段を尽くしても全然攻撃が当たらなかったのに、さすがキンジとアリアってことか。

 

超能力(ステルス)どれだけ持ってるんだよって思ったがな。なんとかやれたぞ」

 

「そうか・・・・・話が少し変わるが、アリア、緋緋色金について何か知ってるか? 」

 

「緋緋色金? 何か聞きたいことでもあるの? 」

 

「ちょっと瑠瑠神関係でな。緋緋神は・・・・・時間を操れたりするのか? 」

 

 アリアはキンジと顔を見合わせると、その平たい胸に両手を重ねるように合わせ、再び俺の目をまっすぐ見た。

 

「緋緋神自体が時間を操れるのは知らないけど、過去に干渉する鏡のようなものを創れるみたいよ」

 

「瑠瑠神は時間の延長と短縮、緋緋神は時間​──特に過去に干渉するってことか。どうやって気づいたんだそれ」

 

「キンジが曾お爺様と戦ってる時に、あたし達に『緋天』という光弾を撃った。あたしもキンジの力を借りて撃ったんだけど、それらがぶつかって・・・・・レンズのような形になったの」

 

 レンズ​──時間に干渉だから、日本でいう暦鏡みたいなものか。

 

「そこに映し出されたアリア​を後ろからシャーロックが狙撃したんだ。三年前のアリアに緋弾を継承するとか言って。緋弾の副作用もあるとか言ってたな。確か​──肉体的な成長を遅らせるのと、髪と瞳が緋色になっていくことらしい」

 

 キンジが不機嫌そうに顔を引きつらせたのを横目で流しつつ、一つ疑問に思っていたことが解消できた。アリアの髪と瞳が妙に綺麗だったのは緋緋神の影響を受けたからか。俺の体に埋まっている璃璃色金は・・・・・蒼だったな。もしかして俺の瞳と髪の色が蒼になるかも​──いや、その前に瑠瑠神に殺されたら終わりだ。

 

「他にシャーロックは何か言ってたか? 」

 

「えっと、質量の多い色金同士は片方が覚醒するともう片方も目を覚ます性質があるとか言ってた。共鳴現象(コンソナ)だったか? それでアリアはシャーロックに『緋天』を撃ったんだ」

 

「共鳴現象か。それって外から見て変わった事はあったか? 」

 

「アリアの体が緋色に光っていたぞ」

 

 共鳴現象が起きるとアリアの体が緋色に輝いた​───待てよ? その共鳴現象、レキも璃璃神に憑依された時にも蒼く輝いたな。それを踏まえると・・・・・アドシアードで俺とシャーロックとの戦闘後に、左の二の腕​──瑠瑠神につけられたであろう傷口が光っていたのは、俺の二の腕に瑠瑠色金が埋まっているから・・・・・なのか?

 

「はあ。女にマーキングされたのは人生で初めてだな。通りで俺の前にピンポイントで現れるわけだ。最初から腕の中にいるんだから」

 

「朝陽何言ってるの? 」

 

「今言った通りだ。俺の体の中、厳密にいえば左腕だが、そこに瑠瑠色金が埋まってる。まあ璃璃神が一時的に封印してるから、一年は大丈夫らしいんだが・・・・・あの瑠瑠神のことだ。それより早く復活してくるかもしれん」

 

 緋弾なる物質は名前からして緋緋神が宿っている緋緋色金か。アリアも憑依される時が来るかもしれないな。成長が遅くなるのは勘弁して欲しい。仲いい友人の葬式に泣きながらアリアと出席なんてしたくない。俺が生きていればの話だが。

 

「アンタ、瑠瑠神を倒す方法とか考えてあるの? 」

 

「まったくない」

 

「はあ!? 」

 

 今のところ瑠瑠神を倒す方法は分からない。瑠瑠色金を傷つけろと言われても、場所も傷つけ方も知らないのだから対策のしようがない。

 

「そこは璃璃神と協力しながら解決してくよ。じゃ、今日は情報提供ありがとな」

 

「へ? 今日はアンタの料理を久々に食べられるって楽しみにしてたんだけど、どこか行くの? 」

 

 アリアが上目遣いで切ない顔をしてきた。俺の作る飯を食べたいとはとても嬉しいことだが、それは明日にしてもらうか。

 

「文のとこにちょっとな。」

 

「そう。なら明日、楽しみにしてるわ。帰るわよ、キンジ」

 

「ん、おう」

 

 そう言い残すと、二人並んで第三男子寮に歩き出した。夕陽に照らされた二人の背中を見ると関係がより深まった気がするな。距離感というか、パートナーとしていい感じに纏まってきた。それを見るとまだレキはまだキンジに結婚を申し込んで無いようだが・・・・・伝えない方が無難か? まあいい。それより、一言アリアに言っておかなきゃならないことがあった。

 

「アリアー」

 

「なに? ももまんならあげないわよ? 」

 

「そうじゃない。肉体の成長が遅くなるってことは、お前は一生貧乳だ。ドンマイ! 」

 

 一生貧乳、その言葉にアリアは立ち止まると、アリアの両足を中心に踏まれていた部分のコンクリートが半径五メートルほど蜘蛛の巣状に割れた。横にいるキンジの顔はこれまでに無いくらいに青ざめている。

 

「なんていったの? 」

 

 ゆっくりと俺の方へ振り向いてくるその顔は控えめに言って般若だ。額には血管が『D』の文字で浮かび上がっている。Die のDだな。

 

 般若もといアリアは両手で短いスカートを少しずつ捲り上げ始めた。はたから見たら痴女だと思われるこの行為は、スカートの内側にあるレッグホルスターから自慢のガバメントのグリップを握ろうとする動きだ。

 ここで戦闘しようものなら制服が土で汚れる。そこで俺はアリアに素早く近づき、ガバメントのグリップを掴んでいるアリアの小さい両手を包み込むようにして握る。そしてホルスターからガバメントを抜かせないように上から力をかけた。

 

「うぐぐ、アンタその手引っ込めなさいよ! 」

 

「さてアリア、俺はこれから文の部屋に行かなければならない。今日の所は勘弁してくれ」

 

「人を、挑発しといてッ! 許さない! 」

 

 徐々に俺の手が押し上げられてきた。俺のほぼ全体重をかけた力よりアリアの腕力の方が強いだと!?

 こんなことがあっていいはずが・・・・・ここでもしホルスターからガバメントが抜かれたら、良くて蜂の巣、悪ければこの世から消滅させられる。それだけは避けねばッ!

 

「アリアよ。そろそろ、周りをよく見る癖をつけたほうがいいんじゃないか? 」

 

「なに? アンタを殺した時に目撃者がいないことを確かめればいいの? 」

 

「全然違う」

 

 俺はアリアの吐息がかかる距離まで顔を近づけた。

 

「俺が今お前の手を抑えている。それはお前の手が俺の手の下にあるってことだ」

 

「ぐっ・・・・・だからなに!? 」

 

「俺が今この状態で真上に手をあげたらどうなると思う? 」

 

「どうなるってそれはアンタが​───あ」

 

 アリアの顔が少しずつだが赤くなってきた。力も弱くなってきている。

 よし、この作戦イケるぞ!

 

「そうだ。俺が手を上にあげたらスカートが捲りあがってお前は野外で思いっきりパンチラすることになる! それが嫌だったらさっさと力を抜くんだな! 」

 

「朝陽ぃ! アンタ本当に二つ名に恥じないクズなのね! 」

 

「褒め言葉どうも! 」

 

 そしてアリアが完全に力を抜いた瞬間、俺はガバメントのグリップとホルスターを貼り付けるように凍らせ、文のいる女子寮へとダッシュで逃げた。アリアはすぐさまガバメントを抜こうとしたらしいが、凍らされていることに気づくと悔しそうな声をあげている。

 

 カラス達はそんなアリアを嘲笑うかのように鳴いていた。

 

 

 ​息を切らしながら文のいる部屋の前まで着いた。俺の記憶によれば、文をいれて三人で住んでるんだっけか? 運良くいなければいいけど・・・・・

 俺は念じる気持ちでインターホンを押す。すると、中からドタドタと廊下を走る音が聞こえ​───

 

「きょーじょー君! 」

 

「おぶっ!? 」

 

 ​ドアがいきなり開けられ、それを回避する術を持っていない俺は顔面を強打する事以外出来ることはなかった。

 

「ご、ごめんなのだ!? 」

 

「大丈夫だよ、はは」

 

 正直鼻が折れるかと思ったよ。そんな強く開けるほど待っていてくれたのは嬉しいけどさ。

 

「もう来たの? じゃあ、お二人さん頑張ってねー」

 

()()()はベッドのとこに置いてあるから」

 

 中から澄んだ声が聞こえ、身長160センチくらいで黒髪ツインテールが特徴の二人の女子が出てきた。何度か見たことあるけど名前は分からない。女子二人がいなければという念じる気持ちは届かず、か。誤解されたら大変なことになるが、まあなんとかなるだろう。装備科かな? そしてなぜ輪ゴムをベッドに置く。

 

「そ、それは必要ないのだ! 」

 

「おおお!? つまりは()()()使わないと? ヤるねえ」

 

「そういう意味じゃないのだ! 」

 

 ・・・・・話している内容がまったく分からん。仕事の話とかだったら部外者の俺が聞いてもしょうがない。

 すると、一人の女子が俺の肩を軽く叩いてきた。

 

「なんだ? 」

 

「今夜はお楽しみに」

 

「お、おう? 」

 

 

​────俺は何をされるのだろうか。




アンケート結果、今の更新ペースでやらせていただきます。(作者の気まぐれで月曜日以外にも投稿するかもしれません)28話はすぐ出します。

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