アリアとレキの間にバチバチと火花が散っている幻覚がする。アリアは犬歯をむき出しにしてグルル、と犬みたいに唸っているが、レキは無表情を崩していない。ただ形容しがたい何かを瞳に宿しているだけだ。
「アリアさんは・・・・・キンジさんの何なのですか? 」
レキが抑揚のない──だがハッキリと敵意のある口調でアリアに尋ねた。
「た、ただのパートナーよ! 」
「私は婚約者です。これは遊びではありません。本気です。今後キンジさんに近づかないでください。これからもキンジさんは昼夜を共にしてもらいます」
レキから繰り出される言葉にアリアは一々反応を変えながら、耳まで真っ赤に染めていた。
キンジの反応を見る限り、夜を共に過ごしたといっても一線交えてはいなさそうだな・・・・・今から一戦交えそうだが。レキではなくアリアと。
「キンジ! アンタはレキと・・・・・組むの!? あたし達から離れて二人でやっていくの!? 」
「そんな事、お前に関係ないだろ。俺は来年になれば武偵校から出ていくつもりだ。チームとかパートナーとか、お前だって───」
そこまで言ってキンジは言葉を詰まらせた。言ってはいけない事を言う直前で踏み止まったって感じだ。
キンジはため息をつくと、キンジとアリアの間にできた溝をさらに深めるような事を言い出した。
「アリア。仮に俺とお前、あと理子とか朝陽とかでチームを作ったとして、それが何になる。さっきも言ったが来年になれば俺は武偵校からいなくなる。すぐにバラバラになるんだ。それなのにチームを組むなんてナンセンスだろ」
「ちがう! たとえバラバラになったとしてもチームはチームよ! 国際武偵連盟に登録すれば制約なしに助け合うことが出来るし、あたし達が仲間だった証がずっと残る! だから────」
「そんなもの残さなくていい! 」
キンジは少し目を見開いていた。自分が声を荒らげたことにビックリしているのか。
これは・・・・・本格的にマズイぞ。こうなってしまったら気持ちを抑えることは難しくなる。今までパートナーとしてやってきたなら尚更だ。
「もうほっといてくれ。お前と一緒に戦ったことは過去のことだ。お前はお前で新しいパートナーでも・・・・・」
そう言った所でキンジが言葉を飲んだ。
アリアが拳を震わせキンジに近づいていくからだ。
「おいアリア! やめろ! 」
俺の忠告も聞かずどんどんキンジに近づいていき──
────パシィッ!
あまりにも意外なことでレキを除く全員目を丸くした。
キンジとアリアの間にレキが素早く入り込んだかと思うと、
不意のことでアリアは反応できずその場に尻餅をついた。
「え・・・・・レキ・・・・・え? 」
「キンジさん下がってください。今のアリアさんは危険です」
レキは肩にかけてあったドラグノフを回転させると袖から銃剣を取り出し、ドラグノフの先端に着装し、低く構えた。
あれは────完全にアリアを殺す気だ!
「アリア避けろ! 」
レキが、槍と化したドラグノフをアリアの首元に突き刺すように動かした。
アリアは背中の小太刀を逆手で一本抜き、迫り来る銃剣を横に弾く。だが完全には避けきれていなかったようでアリアの緋色の髪が一、二本斬られ宙を舞っている。
「キョー君後ろにも敵」
「敵って・・・・・デカい犬のことか」
「正確には狼」
振り向くと、美しい白銀の毛並みにアリアとは比べ物にならない鋭く尖った犬歯をむき出しにした狼が低く唸っていた。
「襲ってくると思うか? 」
「アレはレキュが『襲え』と命令すれば襲ってくるだろうね。キョー君その時は背中の盾で守ってね」
「はいはい・・・・・理子を守る盾となりますよ」
背後でまだ金属音が鳴り響いている。レキのあの構え方はえらく古風な銃剣道の構えだ。堂に入っているが、今戦っている相手は『双剣双銃』のアリア。本気を出せば決着などすぐつくだろう。でもまだ決着がついていないって事はアリアが手を抜いているから───レキが親友だから本気を出せていないのか。
キンジとアリアがカナさんの件で喧嘩別れした時もアリアを泊めてくれたのはレキであり、数々の任務を一緒にこなしてきた
「ハイマキ、やりなさい」
レキの澄んだ声に俺たちを睨んでいる狼──ハイマキはレキの声を聞くや否や、犬より発達している四肢を動かし俺たちに向かってきた。
俺は制服の背中にある盾の衝撃吸収材に左腕を通し、右手は制服の袖の中に入れ、噛まれても手を食いちぎられないようにする。
「さあ犬っころ! こっちだ! 」
「グルァ! 」
ハイマキは体全体を使って体当たりをしてきた。
正面から車が当たってきたような衝撃だが──まだ耐えれるぞ!
ハイマキは盾を噛み砕こうとしているが、この盾はジュラルミン製なんでね。そう簡単に壊されてたまるものか。
「理子・・・・・ハイマキを無力化させろ! 」
「じゃあ押し倒されて」
押し倒されろだとっ!? 中々鬼畜な事を言ってくれるぜちくしょう!
俺は腰をゆっくり落としながら盾に込める力を徐々に抜いていく。ハイマキはヨダレを俺の顔に撒き散らしながら自身の体重をかけ───俺はそのまま押し倒された。
「グルゥ! 」
顔の肉を食いちぎろうと迫ってきた牙を首を左右に動かし、右手でハイマキの目を覆うことでなんとか避けていると、
「とうっ! 」
理子が横から見事なヘッドスライディングをハイマキの横腹に決めマウントを決めた。
「ふっふーん、もきゅもきゅにしてやるぞぉ! 」
そのまま理子はハイマキの上からうつ伏せに寝るようにして押し潰し動きを封じてしまった。
ハイマキに力で負けたら食われるって恐怖はないのか?
「やめろレキ! 」
キンジの鬼気迫る声が聞こえ、ついにレキがヤらかしたのかと思い恐る恐る振り向いてみると・・・・・
アリアの首にドラグノフの銃剣が深々と突き刺さっていた。
「お、おい! 」
レキはドラグノフを回転させつつ、また連撃に入る速度を稼ぐつもりなのか距離をとって再び構える。
アリアの首からは───血は出ていない。
よかった、アリアの首スレスレに刺さっていたのか。
「レキ! そこまでだッ! 」
ずずっ、とレキがつま先を動かした瞬間キンジの怒鳴り声が再び響き渡った。レキはキンジの声を聞くと、ドラグノフを一回ししてから肩に担ぎ直した。
レキを友達だと、親友だと思っていたアリアは、目に大量の涙を浮かべながらもレキをきつく睨んだ。
「あんたなんかもう絶交よッ! 二度と・・・・・うっ・・・・・二度と顔も見たくない! 」
そう喚き散らすと台場駅方面へ走り去ってしまった。俺と理子は慌ててアリアのあとを追う。
ハイマキは無防備に背中を向けている俺たちを襲うことはなかった。
「アリア! 待てって! 」
十分聞こえている筈なのに、アリアは止まらない。それどころか走る速度をあげている。
だが───
───小石につまずいてしまったようで、その速度のまま地面に倒れ込んでしまった。
そのまま立ち上がろうとせず、両手を地面につけたまま涙を零している。
「アリア・・・・・」
「キョー君、理子が行ってくる。キョー君は先に帰ってて」
「わ、わかった。アリアを頼んだぞ」
コクリと頷くと、アリアの元まで走り寄り傍にしゃがんだ。アリアは差し出された手を一度は払うが、もう一度差し出されると・・・・・その手をとることなく理子の胸に抱きついて子どもみたいに泣きじゃくり始めた。
心を痛ませながらも理子に言われた通り帰路につく。
どうすんだよこれ・・・・・
アリアがレキに絶交宣言をしてから数日後、目の前に広がるのは桃源郷もとい第二グラウンド脇のテニスコートにいる。このテニスコートは女子がいつも使っているのだ。別に覗きに来たわけじゃない。俺と同じ氷の超能力を使うお方に会いにきたからだ。
そのお方は、結った長い銀髪を揺らしながらラリーを続けている。ボールを打ち返す度にスカートがめくり上がり目の保養となっているのだが、今日はそれを大脳皮質に保管しておくだけにする。
と、ラリーの音が止み、変わりに周りの女子の歓声が聞こえてきた。
「キャー! ジャンヌさんが勝ったよ! 」
「お疲れ様です! 私のタオルを使ってください! 」
「いえ、私のを! 」
「私を使ってください! 」
ジャンヌモテモテなんだな。てか最後のはなんだ。私を使ってくださいって・・・・・ 聞き違いだろう。絶対そうだ。そうに決まっている!
「京条か。もうすぐそっちに行くからな」
ジャンヌは女子共に囲まれている中から俺に話しかけてきた。
「ごゆっくりどうぞ」
ジャンヌは大量の後輩共を引き連れて部室へ引き返した。あれだけ集まればかなりの熱気だと思うんだが・・・・・暑くないのか?
俺は木陰のベンチに腰掛け携帯を開きメールを確認する。理子から一件と、キンジからか。
とりあえず理子のから見てみよう。
『あのあとからアリアヤケ食いばっかするんだけど!? てことで食費はキョー君の口座から落としとくね。でもある程度落ち着いたから大丈夫だと思う。修学旅行までには立ち直ってるはずだから・・・・・はずだから』
そうか。俺の口座から金を引き落としてるのか・・・・・シバくぞ。アリアのヤケ食いでアサルトライフルが何丁買えると思ってんだ。マジでシバく。
怒りで若干指先が震えながらもキンジのメールを見る。
『迷惑かけて悪かった。実はレキに狙撃拘禁されててな。アリアには・・・・・何か言っておいてくれ。それでレキのことだが、リマ症候群を起こさせて何とか逃げる以外にいい方法とかないか? 』
リマ症候群──確か犯人が人質に対して特別な感情や親近感を抱くようになって、人質に対する態度が軟化する現象だったか。
犯人がレキで、人質がキンジってところだな。
あの電波系少女レキにその方法は効かないと思うが。アリアには直接言えと言っておこう。あの時のキンジの言い分は確かに正論だったが、相手の──アリアの気持ちを無視した言い方だった。だからまた喧嘩になったんだ。キンジが武偵校をやめるということは前々から聞いていたが、自分のミスは自分で尻拭いしてもらわないと残された俺たちに迷惑がかかる。
理子には『シバく』と、キンジには『ない。アリアには自分で言え』と送ったところで、ジャンヌが走り寄ってきた。
「おー早かっ──」
言い終わる前にジャンヌの少しヒンヤリとした手が俺の腕を掴み、引っ張られるようにしてテニスコートを後にした。まだ暑さが引いていない中、全速力で走らされ着いた場所は───学園島内に一店舗だけあるファミレスだった。
「ど・・・・・どうした。あんな急いで」
「逃げてきたのだ。わけのわからない事を、言っていたからな。とりあえず入るぞ」
そう促され店内に入ると、冷房が程よく効いていて汗をかいていた俺にとっては楽園そのもの。店内は俺たちと店員さん以外に誰もいなく、入口から死角になる店内の奥の席に座る。
ジャンヌは座ると同時に呼び出し鈴を鳴らすと、厨房から綺麗なお姉さんが出てきた。
「ご注文は」
「ドリンクバー二つで、あとポテトをたのむ」
「かしこまりました」
にこやかな笑顔で注文内容を確定しまた厨房に戻ると、連れてジャンヌも立ち上がった。
「ここまで走らせてしまった詫びにドリンクをとってきてやる。何がいい? 」
「コーラで」
「女である私に物を取って来させるとは、お前は女性を労る気持ちが欠片もないようだな」
「お前がとってくるって言ったんだろ!? 」
ジャンヌは、冗談だと言うと長い銀髪を解きながらドリンクバーへ向かって行った。
ジャンヌは天然だからどう扱っていいのか分からない。顔はめっちゃ可愛いんだけど変人というヤツが武偵校には多すぎる。白雪もアリアも理子もジャンヌも、頭のネジが一本外れてると思う。
「ほら、とってきてやったぞ」
「ん、ありがと」
ジャンヌは俺の前にコップいっぱいのコーラを優しく置いてから自分の前にカルピスを置き席に座った。俺はドリンクバーから出たとは思えない冷たさのコーラを一気飲みする。強烈な甘さと爽快にはじける炭酸が喉を蹂躙していくようなこの感覚・・・・・最高ですッ!
「そんなに美味しいのか? 」
「なんだジャンヌ。炭酸飲めないのか? 」
「飲めないこともないが、お前がそんなに美味しそうに飲むのでな」
「ジャンヌが超能力を使って冷やしてくれたんだろ? 尚更うまいさ」
ジャンヌは少し目を見開いている。変なこと言ったか?
「──気づいてたのか」
「そんくらい気づくだろ。同じ氷系の超能力使ってるし、俺がジャンヌの立場だったら同じことをしてるよ」
「そうか・・・・・話は変わるが、今日は何で私を呼び出したんだ? 」
「謝りたいことと相談が一つずつある」
ジャンヌはテーブルに肘をつき両手を組んでその上に顎を乗せた。アイスブルーの目を細め口元は意地悪そうに緩ませた。弟をからかう姉のような態度だな。俺的には満点だが。
「よし、謝りたいことから言ってみろ」
「まず──ごめん。あの時断りもなくキスをして」
ジャンヌはその瞬間石のように固まった。だが恥ずかしさからか、白い頬を赤く染め始めている。
「い──いつのことだ? 」
「いつって忘れたのか? お前がキンジとアリアに地下倉庫で負けた時だ。その時お前は霊的なものに憑依されて・・・・・助けるためにそうするしかなかったんだ。すぐ謝ろうと思ったけど今日のこの時まで色々あって先延ばしにしちまったな。ごめん」
ジャンヌはさっきのお姉さん的な態度から一転、恥じらう年頃の少女の反応で俯いてしまった。俺もこんな美人にキスしてしまったかと思うと、顔から火が出るほど恥ずかしい。いい意味でだ。
「いや、いいんだ。その件は理子から聞いている。もういいんだ・・・・・それより相談したいことはなんだ」
「え、ああ。それはだな──理子の好きなものって何か知ってるか? 」
「ふむ、理子の好きなものか・・・・・」
ジャンヌは少し考えると携帯を取り出し操作し始めた。すぐ目的のものを見つけたようで、ずいっと俺に携帯の画面を見せてくる。そこに写っていたのは、赤と白の紐が交互に巻かれたブレスレット。
「こんなのがいいのか? 」
「理子に限らず、大半の女性は可愛いものを貰ったら喜ぶものだぞ」
「そっか。じゃあこれを買おう」
「それはダメだ。お前は理子の彼氏というやつなのだろう。彼氏だったら自分の彼女へ送るものくらい自分で選べ」
くッ! アイツは俺たちが『ニセモノの恋人』だって伝えてないのか! 今ここで真実を伝えるか?
───いや、多分信じてもらえないだろう。そうなると難しいぞ。自他ともに認めるほど俺にはプレゼントを選ぶセンスがないからな。
「でもなぜ理子にプレゼントを? 誕生日はまだ先のはずだが」
「いやー実は未だにデートにすら行かせてやれてなくてな。言い訳は先に言っておこう。俺はこれでもSランクだから任務が多くてな」
胸を張って言うと、ジャンヌはマジ引き顔で俺を見てきた。そこまで引かなくてもいいだろ。
「お前は確か・・・・・強襲科と諜報科でSだったか? それは忙しいと思うが、一回くらいは行かせてやってもよかっただろう」
「そうなんだよな。そこで、だ。修学旅行がそろそろあるだろ? 京都の雰囲気を楽しみながらデートするのもありかなと思いまして」
「ふむ。いいじゃないか。デートプランは・・・・・考えてないか。まあ今からでも遅くない、じっくり考えて理子に楽しい思い出を作ってやれ」
ジャンヌは部活用のカバンから何かを取り出すとお手洗いに向かった。
それを横目で流しつつ俺はインターネットで可愛い系のブレスレットを探す。理子は二十歳になれば誰もが振り向く美女になっているだろう。今の歳からずっとつけていても似合うようなものをあげたい。もっとも、受け取ってくれるかどうかだが。
それから某通販サイトでブレスレットを選んでいるとジャンヌが帰ってきた。
そして座る時にジャンヌから爽やかで女の子っぽい香りが俺の鼻腔をくすぐってくる。
「いい匂いだな」
「シャネルの19番を着た。汗くさいのは嫌だからな」
「シャネル? 香水みたいなものか。別にそれをつけなくてもジャンヌはいい匂いだったぞ」
「か、嗅ぐな! さすが
いや別に嗅いでるわけではないんですよジャンヌさん。座る時の動作とか振り向く時の髪の動きと一緒に来るんですよ。いい香りが。
「シャネルの19番を着ている時に思ったのだが、理子へのプレゼントでミサンガもいいと思う。どうだ? 」
「ミサンガって切れたら願いが叶うやつか。それもいいな」
「まあそこは自分で選ぶといい。理子がもらって喜ぶやつにしろよ。あと、デートの時は理子の荷物を持ってやれ。女の荷物を持つことは男にとって義務であり名誉な事だからな」
「そういうもんか・・・・・ありがとな」
あらかた話し終え、俺とジャンヌは席を後にした。
そうだ、会計は男である俺が出したほうがいいな。そう思いポケットの中に手を突っ込むが──財布がない。
(あ・・・・・そういえばジャンヌと会うだけだったから財布持ってきてないんだ)
ジャンヌがレジについたところで俺をチラッと見た。その目つきは、お前が払うんだろう? とでも言いたげだ。
「すまん。財布は寮だ」
「はあ・・・・・ファミレスの料金を全額も女に払わせるなんて、ヒモの鑑だな。京条」
「グフっ⁉︎ 今度払うから勘弁してくれ! 」
「分かった分かった」
ジャンヌはやれやれといった感じで会計を済ませ店から出ると、待っていたのは身をジリジリと焼くような暑さだった。
「あちい・・・・・」
「そうだな。今日はこの辺にして、私は帰るとしよう」
「だな。俺も帰るわ。色々迷惑かけてごめんな」
「なんてことはない。また相談したい事があったらいつでも呼んでくれ」
なんて頼もしいお方なんだ! 神よ、
っと、こんなくだらないことじゃなくて聞きたい事があるんだった。
「最後に一ついいか? 」
「なんだ、言ってみろ」
「なんで部室棟から逃げるようにして来たんだ? 」
「あーそれはだな・・・・・」
一瞬言葉が詰まり、苦笑いをしながらまた口を開いた。
「私の──ファンと呼ぶのだろうか。まわりの女子たちの一部が、私が部室棟に入った時から異様な言葉を発していてな。ジャンヌさんもう我慢できませんとか、今なら襲えるとか。怖くなって逃げてきたのだ」
「暑さで頭がやられたんじゃないか? 部室棟に扇風機でも置けばいいのに」
「それが出来たら苦労しないぞ」
「そうか。引き止めて悪かったな。また今度会おう」
ジャンヌは微笑みながら俺に別れを告げると女子寮へと歩き出した。
さて、理子へのプレゼント・・・・・どうしようか。
31話は割と早く出せるかも